感染症・ワクチンニュース拾い読み

感染症・ワクチン・予防接種関連ニュース拾い読み

 新型インフルエンザ発生に際して、「日本はワクチン後進国」とワクチン行政の歪みが露呈されました。今後よくなっていくことを祈りつつ、報道にも注目したいと思います。

西ナイル熱で5人が死亡 ロシア南部ボルゴグラード地方、感染者は200人超

(2010年9月3日 提供:共同通信社)

 ロシア南部ボルゴグラード地方の保健当局は1日、7月16日から9月1日までの期間に、西ナイル熱ウイルスへの感染者が206人報告され、このうち5人が死亡したと発表した。
 感染者はこの数日間、1日に10人ないし20人のペースで報告されており、感染速度が増している。感染者はほぼすべての年齢層にわたっているが、特に高齢者が重度の症状を訴えており、死亡した5人はいずれも60歳以上だったという。地域別では感染者のうち162人がボルゴグラード、7人がボルシスキーとされている。
 感染拡大について専門家は、今年の夏の猛暑のほか、ボルガ川流域に飛来している渡り鳥の存在が西ナイル熱ウイルスの感染拡大にとって好条件となっていることを挙げている。
 西ナイル熱ウイルスはまず鳥に感染し、その後、感染した鳥を刺した蚊を媒介して人に感染するのが一般的で、人の場合、感染しても約9割に症状が出ないが、時には激しい頭痛や高熱を発し、死亡することもある。

(院長のつぶやき)世界にはいろんな感染症が満ちあふれています。

デング熱患者が過去最高に フィリピン

(2010年9月2日 提供:共同通信社)

 【マニラ共同】フィリピンのオナ保健相は1日、同国でデング熱の患者が今年6万2千人を超え、過去最高だった昨年の約5万7千人を上回ったと発表した。8月21日現在の死者は465人で、死者数も昨年の同時期を上回っている。
 同保健相によると、エルニーニョ現象の影響で猛暑が長引いたため、各家庭がためていた水に、ウイルスを媒介する蚊が大量発生したのが一因という。
 今年はタイなど、フィリピン以外の東南アジア諸国でも、例年以上の流行が報告されている。

日本脳炎ワクチン 新製品が開発され、4月から接種通知が再開。

(2010年9月1日 提供:毎日新聞社)

 ◇原料変更、副作用少なく 専門家「依然、治療法ない病気。ぜひ接種を」

 高熱や意識障害に見舞われ、運動障害などの重い後遺症や、場合によっては死に至ることもある日本脳炎。蚊が運ぶウイルスが感染の原因で、予防接種法に基づいて公費でワクチン接種が行われているが、ここ5年間、自治体から市民への接種の通知(積極的勧奨)が、国の政策で差し控えられていた。接種後に重い副作用を起こす事例があったためだが、昨年になり副作用の少ない新ワクチンが開発された。4月から接種の通知も再開されている。
 日本脳炎ウイルスは、ウイルスに感染したブタの血を吸ったコガタアカイエカなどが媒介して、ヒトへ感染する。感染を防ぐ日本脳炎ワクチンの歴史は古い。1954年に日本で開発された。
 当時、毎年2000人前後の患者が出ていたが、ワクチン接種が積極的に行われるようになった67年以降患者は急減。70年代には数十人から200人ほどに抑え込まれた。近年は10人未満で推移している。
 一方、ワクチン接種後に、発熱やけいれん、意識障害などを伴う中枢神経系の病気「急性散在性脳脊髄(せきずい)炎」(ADEM)や脳症を発症する例が、年に1件ほど起きていた。中には寝たきりになるケースもあったため、05年に接種通知が差し控えられた。
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 接種後に副作用が起きる一因は、ワクチンの原料にあると考えられた。ワクチンは、マウスの脳に日本脳炎ウイルスを注射して感染させ、発病後にウイルスを採取、働きを鈍くしてから精製して作る。このため理論的にはマウスの脳に含まれるミエリンというたんぱく質が含まれる可能性があり、これが接種後にヒトの体内で異物と認識され、免疫反応を引き起こしてADEMにつながりかねなかった。
 そこでワクチンメーカーの阪大微生物病研究会(阪大微研、大阪府吹田市)は、マウスの脳に代えてアフリカミドリザルの細胞で培養したウイルスを使った新ワクチンを開発、09年に販売を始めた。阪大微研は、大阪大の研究成果を応用してワクチンなどを開発するため、1934年に設立された財団法人。
 開発に携わった上田重晴理事(阪大名誉教授)は「マウスの脳を使わないので、脳へ影響する可能性のあるミエリンが混入する心配がない」と強調する。別の利点として、ウイルス培養のために数多くのマウスが必要だった従来法と比べて、製造工程で品質を一定に保ちやすくもなったという。
 新ワクチンの接種は、現在各地で行われている。大阪市天王寺区の大阪府医師会予防接種センターではおおむね週1回、接種を実施している。8月26日には、いずれも東南アジアへ渡航する7歳と1歳の女児が受けた。7歳女児の母親(31)は「以前のワクチンは、副作用による障害が残る可能性があると聞いていた。安全性の高いワクチンの接種を受けられてよかった」と話した。
 近年の患者減少は、蚊が繁殖しやすい田んぼが減って、養豚施設の大規模化もあって感染の機会が少なくなったことも大きい。だが阪大微研の上田理事は「患者は年に数人でも、発症すると有効な治療法がなく怖い病気。仮に新ワクチンを接種して熱やはれが出ても一過性で終わる。ここ数年は接種数がとても少なかったが、今後はぜひきちんと接種をしてほしい」と話している。

 ■日本脳炎を巡る出来事
1954年    世界初の日本脳炎ワクチンが実用化される
  67年    積極的な予防接種が始まる
  67-70年 患者数が急減し、2000人を超えていた年間患者数は200人以下に
2005年    副作用のため、国が接種の積極的勧奨を差し控える
  09年    細胞培養によって製造したワクチンが開発される
  10年    積極的勧奨が再開される

作業班で定期接種化を検討 子宮頸がんなど

(2010年8月30日 提供:共同通信社)

 厚生労働省の予防接種部会は27日、子宮頸(けい)がん予防など8種類のワクチンについて感染症などの専門家による作業チームを設置することを決めた。事実上無料で予防接種が受けられる定期接種化の是非などを検討する。
 11月に検討結果を部会に報告してもらう予定。
 細菌性髄膜炎の原因となるインフルエンザ菌b型(Hib)と肺炎球菌、子宮頸がんの原因とされるヒトパピローマウイルス(HPV)、水痘、おたふくかぜ、B型肝炎、大人の百日ぜきのワクチンについては、病気のまん延状況や予防接種の効果、定期接種にするかなどを検討。
 現在、生きたウイルスを使った「生ワクチン」による定期接種をしているポリオは、予防接種による感染の恐れがない「不活化ワクチン」導入に向けた課題を議論する見通し。

(院長のつぶやき)予防接種行政が少しずつ動きつつある確かな感触。

期限切れワクチン接種、15歳体調すぐれず …静岡済生会病院

(2010年8月30日 提供:読売新聞)

 静岡済生会総合病院(静岡市駿河区小鹿)は27日、有効期限を約2か月過ぎた新型インフルエンザワクチンを静岡市内の15歳の男性1人に接種するミスがあったと発表した。男性は2週間後にめまいや吐き気を訴えて別の病院に入院し、現在は退院して自宅療養中だが、体調がすぐれないという。めまいなどの症状とワクチン接種との因果関係について、静岡済生会総合病院は「否定できない」としている。
 同病院によると、接種ミスがあったのは7月15日。8月18日に薬剤師が在庫を確認していた際、5月25日で期限が切れていたワクチンを接種したことに気づき、病院は今月25日になって静岡市保健所に報告するとともに、家族に謝罪した。接種ミスが起きた原因について同病院は〈1〉ワクチンを保管する冷蔵庫内で、有効期限による分別が正しく行われていなかった〈2〉接種する際も有効期限を確認しなかった--ことを挙げた。
 記者会見した石塚隆夫病院長は、「接種を受けた患者や保護者に心よりおわび申し上げる。今後、同じ過ちを繰り返さないよう管理態勢を改善し、再発防止に努める」と陳謝。ミスが確認されてから市保健所への報告と保護者への説明・謝罪まで1週間かかったことについては、「18日に病院で大規模なシステム障害が発生し、その対応に追われていた」と釈明したうえで、「実際に遅れたことは非常に申し訳ない」と述べた。

大半の市町村、補助せず 任意予防接種6種 〜愛知県〜

(2010年8月27日:中日新聞)

 県内の市町村が行っている任意予防接種の費用補助について、医師や歯科医師でつくる県保険医協会が調査したところ、市民から補助の要望が高い小児用肺炎球菌など計6種類の予防接種について、大半の市町村が実施していないことが分かった。 
 小児用肺炎球菌とヒブ(インフルエンザ菌b型)、子宮頸(けい)がん、水ぼうそう、おたふくかぜ、高齢者用肺炎球菌の6種類について、5月末に県内の全57市町村にアンケートした。
 6種類すべてに補助をしている自治体はなく、1種類でも実施している自治体(実施予定を含む)でも11市町村にとどまった。
 アンケートでは、多くの自治体の担当者から「財政面で厳しい」「国が定期接種化するべきだ」などと意見が出たという。
 人口約6万7000人の津島市は、10月から小児用肺炎球菌とヒブの予防接種で1回につき1000円の費用補助を始める。2歳未満の対象者約1800人が接種率25%で利用したと想定して、来年3月末までの半年間で計約100万円の予算を組んでいる。
 予防接種には、日本脳炎やポリオ、MR(ましん、風しん)など無料で受けられる定期接種と、自己負担で受ける任意接種がある。日本は定期接種に位置づけられるワクチンが海外諸国より少ない。
 自己負担額も、小児用肺炎球菌なら4回の接種で計3万6000~4万円と高額になるため、厚生労働省が見直しを進めている。
 同協会の担当者は「本来は予防接種法を改正して定期接種化することが必要だが、法改正までの間は市町村が補助を充実させてほしい」と訴えた。

ノバルティスの狂犬病ワクチン、日本で販売へ

(2010/8/24:日本経済新聞)

 スイス製薬大手ノバルティスは24日、海外で販売している狂犬病ワクチンを化学及血清療法研究所(熊本市)が日本で開発・販売する契約を結んだと発表した。販売の認可を得しだい化血研が輸入販売を始める。ノバルティスも日本での販売に参入できる内容となっている。ノバルティス社のワクチンは生産効率が高く、供給量の拡大が期待できるという。
 狂犬病はウイルスに感染した動物にかまれて感染・発症する。世界で年間5万5千人が死亡している。

(院長のつぶやき)狂犬病ワクチンは入手困難状態だったので、朗報です。

ワクチン接種で13%ヒヤリ

(2010.8.24:47NEWS)

 新型インフルエンザが流行した昨シーズン、医療現場でワクチンの接種業務に当たった看護師の13%がミスをしたり、ミスをしかける「ヒヤリハット」を経験していたことが米医療機器メーカーの日本法人、日本ベクトン・ディッキンソン(東京)の調査で分かった。
 看護師千人に今年5月、インターネットを通じて聞いた。
 ミスやヒヤリハットを経験したと答えた130人に複数回答で内容を尋ねると「注射器に詰めるワクチンの量を間違えた」が最も多く88%、次いで「器具の破損」が82%、「期限切れのワクチン使用」も25%あった。
 原因には52%が「多忙」、25%が「煩雑な作業による疲労」を挙げた。

(院長のつぶやき)原因の一つに「患者の号泣」も入れたいですね。早く終わらせようと皆焦ってしまうので間違いが起こりやすいと思います。

3つの村で88人が炭疽病を発症 バングラデシュ北西

(2010年8月24日 提供:共同通信社)

 [ダッカ新華社=共同]バングラデシュの首都ダッカの北西134キロのシラジガンジ地区の3つの村で、22日までに計約88人が炭疽病を発症していることが判明した。炭疽病にかかった牛の肉を食べて3週間後に発症したという。国営バングラデシュ通信(BSS)が民間医師団の話として22日伝えた。
 19日以降、炭疽菌に感染した住民には薬品が無償配布された。発症者のうち41人の症状は改善している。

製薬大手、ワクチンに活路

(2010年8月23日 提供:読売新聞)

肝新薬次々特許切れ、新たな収益源へ参入

 日本の製薬大手が、インフルエンザなどの感染症を予防するワクチン事業に続々と参入する。
 各社は、開発した医療用医薬品(新薬)の特許が相次いで切れる「2010年問題」を抱えており、新型インフルエンザの流行などで需要が高まるワクチンに活路を見いだすのが狙いだ。
 製薬大手各社は、インフルエンザワクチンの製造技術を持つ新興企業などと組んでワクチン事業に乗り出す。アステラス製薬は今月16日、「UMNファーマ」(秋田市)の技術供与を受け開発、販売することで合意した。第一三共は7月、学校法人「北里研究所」(東京・港区)と合弁会社を設立し、製造・販売することを決めた。はしかなどのワクチンを手掛けてきた最大手の武田薬品工業も事業を拡大する方針だ。
 製薬大手は、医療用医薬品に比べて品質管理が難しく、製造コストがかかるワクチンに消極的で、主に中小企業などが供給してきた。このため、新型インフルエンザが流行した昨年は、国内生産分では十分な量を確保できないとされ、海外から大量に輸入する事態に陥った。深刻視した政府は国内生産を強化するため、従来より低コストで量産できる「細胞培養法」でインフルエンザワクチンを作る企業に数百億円規模の補助金を出す方針を固めた。
 世界的に医療費を抑えるため、病気の治療より予防を重視する動きも追い風となっている。
 感染症の予防につながるワクチンの世界市場は、2007年の170億ドル(約1兆5000億円)から、20年には380億ドル(約3兆3000億円)に達するとの試算もある。日本でも、高齢化などを背景にインフルエンザワクチンの需要が増加傾向にある。
 国内の製薬大手は、「2010年問題」で特許切れが相次ぐ新薬をカバーする新たな収益源を求めていた。市場の拡大や政府の支援などをにらみ参入を決めた。
 将来の輸出も視野に入れるが、世界シェア(市場占有率)は、欧米の製薬大手が圧倒的に高い。まず国内で製造技術を確立した上で、先行する欧米勢の割安な価格に対抗できる量産体制を整備できるかどうかが課題となる。

日本、かつては「先進国」

 ワクチン「後進国」とされる日本だが、1980年代までは「先進国」だった。
 かつて日本の実績と技術力は、国際的に高く評価されていた。百日ぜきでは、50年に1万-1万7000人にのぼった国内の死者を、近年はゼロ-数人程度に激減させた。新たなワクチンも次々と開発していた。
 だが、89年に接種が始まった、はしか、風疹(ふうしん)などの「新3種混合ワクチン」で副作用を巡る訴訟が相次いだ。製薬会社は、感染症の流行しだいで需要が変動し、余ると廃棄コストがかかることもあり、ワクチンの開発や販売に消極的になった。
 厚生労働省によると、90-2008年にかけて米国が導入したワクチンは20種類を超えたが、日本はわずか4種類にとどまった。

新技術「細胞培養法」って?
低コストで迅速に量産

 動物などの細胞でウイルスを培養してワクチンを作る方法で、必要な量を迅速に低コストで量産できるのが特徴だ。従来のインフルエンザワクチンは、鶏卵にウイルスを入れて作っていた。感染症の流行が製薬会社の想定を超すと、卵の確保に時間がかかった。ワクチンを取り出した卵の廃棄コストも負担となっていた。
 細胞培養法は、動物から取り出した細胞を、流行ぶりに合わせて増殖させ、必要な量を容易に調達できる。日本の全国民分のインフルエンザワクチンを卵で作るには1年半-2年かかるが、約半年に短縮できる。

エボラ熱の発症抑制に成功 米研究所、サルで実験

(2010年8月23日 提供:共同通信社)

 【ワシントン共同】アフリカで時折流行する致死性のエボラ出血熱の対処法を研究している米陸軍感染症医学研究所は、民間企業の遺伝子治療技術を応用した2種類の治験薬の実験で、エボラウイルスに感染したサルのうち60%の発症を抑えることに成功し、22日付米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表した。
 実験では、エボラ出血熱に症状が似たマールブルグ病のウイルスに感染したすべてのサルの発症を抑えることにも成功したという。
 エボラ出血熱は高熱や筋肉痛に加え皮膚や口、目、耳などからの出血を伴う感染症。治療法やワクチンはなく、生物テロに使われる恐れもある。
 米メディアによると、同研究所と民間バイオ企業AVIバイオファーマが、アンチセンスと呼ばれる人工遺伝子を利用してウイルスの増殖を妨害する2種類の治験薬を使ってサルを対象に実験。エボラウイルスに感染したサル8匹のうち、5匹に効果が見られた。
 AVIバイオファーマは、食品医薬品局(FDA)に人間での臨床試験実施を申請済みで、応用が期待される。

スーパー細菌、感染疑いの通報要請 …厚労省

(2010年8月20日 提供:読売新聞)

 抗生物質がほとんど効かない新型耐性菌(スーパー細菌)の感染や死亡例が欧米などで報告されている問題で、厚生労働省は都道府県などに対し、菌が検出された場合は通報するよう求める通知を出した。
 新型耐性菌はNDM1という遺伝子を持ち、感染すると臓器に重い炎症を起こす恐れがある。インドやパキスタンが発生源とみられ、これまでにベルギーで1人が死亡したが、国内での報告例はない。
 通知では、感染疑い例があったとき、国立感染症研究所への通報を要請。医療機関には、他の患者に感染が広がらないよう対策をとるとともに、海外渡航歴などの聴取を求めた。

熊本県が日本脳炎注意報を発令 感染豚が基準超

(2010年8月19日 提供:毎日新聞社)

 県は18日、日本脳炎注意報を発令した。県内では07、09年に1人ずつ患者が出ており注意を呼びかけている。
 日本脳炎は蚊が媒介する感染症。県が16日、食肉衛生検査所の豚20頭の血液検査をしたところ、2週間以内に感染したとみられる豚が7頭見つかるなど発令基準を上回った。
 県健康危機管理課によると、人は感染しても多くは症状が出ないが、100-1000人に1人が発病するとされており、40度以上の高熱やけいれん発作、こん睡の症状が約1週間続く。虫よけ剤の使用や、蚊の発生源となる水たまりをなくすなどの防止策が重要という。

(院長のつぶやき)先日の福岡県に引き続き、熊本県でも注意報が発令されました。でも、ペットの犬も日本脳炎の抗体が陽性らしいので、本州でも安心できないと昨年報道されていました。

蚊の媒介による東部ウマ脳脊髄炎で4人死亡 米南東部フロリダ州

(2010年8月19日 提供:共同通信社)

 米疾病対策センター(CDC)は17日、南東部のフロリダ州で通常はウマだけが感染する蚊の媒介による東部ウマ脳脊髄炎(EEE)に感染した住民4人が死亡したと述べた。
 CDCは先月、同州中部のタンパ地区で住民2人がEEEに感染して死亡したと発表していた。EEEは脳の炎症を引き起こすウイルス性疾患で、新たに死亡が確認されたのは州都タラハシーと州北西部の住民各1人。
 EEEには人間用のワクチンがなく、米国では毎年数人の死者が出ている。感染者の3人に1人が死亡し、生存者も脳に重大な後遺症が残るという。
 州保健当局者によると、同州の67郡のうち43郡でEEEおよび同じく蚊の媒介による西ナイルウイルスが検出されており、同様のデング熱も同州の南部2郡で確認されている。デング熱の感染者も昨年から州内で出始めており、今年に入ってから少なくとも28人が感染、ほかに67人が訪問先の外国で感染した。デング熱は中南米で流行する例が多い。
 CDC当局者は、蚊の媒介による病気発生のピークは8月と9月だと指摘、住民に対して蚊との接触を避け、さらに蚊を駆除することが最も重要だと述べた。

子宮頸がん ワクチンへの助成急げ

(2010年8月18日、中日新聞)

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種費用への公費助成にようやく国が重い腰を上げ始めた。これまで世界の主要国の中で日本のみが公費助成をしていないだけに、早急に始め、遅れを取り戻すべきだ。
 長妻昭厚生労働相は今月初め、二〇一一年度予算の概算要求に子宮頸がんワクチンの公費助成を盛り込む方針を明らかにした。
 民主党は〇九年八月の衆院選に向けた政策集の中で、同ワクチンの日本での開発の推進とともに「任意接種に対する助成制度」の創設を掲げたが、いずれも実施を先送りしてきた。
 一〇年度は検診の無料クーポン券の配布と検診手帳の交付の予算を計上したが、これらは自公政権時代の〇九年度から始まった政策で、その継続にすぎない。
 ワクチンは十分な免疫力を得るには三回接種が必要で、個人負担だと合計五万~六万円かかる。
 国の対応の遅れを尻目に、単独で負担・補助する自治体が急速に増え、これまでに百六十を超している。だが、接種費用の助成を自治体に任せると、居住地の違いで助成を受けられるかどうかが決まり、格差が生じると以前から指摘されていた。厚労省が公費助成に転じたのは、こうした声を無視できなくなったためだろう。

 子宮頸がんが注目されているのは、現代医学で予防ができるようになった唯一のがんだからだ。
 わが国では毎年一万五千人が発症し、三千五百人が亡くなっている。二十~三十代女性のがんで最も多い。発見が遅れれば命にかかわるほか、助かっても出産できなくなる。病原体はヒトパピローマウイルスで、この中の特定の二つの型のウイルスによる感染が若い女性では八~九割を占める。

 日本で昨年末から販売が始まったワクチンは、この二つの型の感染予防が目的で、欧米では重い副作用はこれまで報告されていない。これに定期検診を組み合わせれば、高い割合で予防できることが欧米で確認されている。
 予防が徹底すれば長期的に見て医療費が少なくて済むため、三十を超す国が接種費用を助成している。ほとんどの国が十歳前後からの接種を勧め、学校で集団接種している国も少なくない。出足が遅れたわが国は、こうした国の経験に学び、効率的な接種体制をつくる必要がある。
 自民、公明両党は子宮頸がん予防のための議員立法を検討している。民主党とも協力して超党派で取り組んでもらいたい。

(院長のつぶやき)先日の河北新報社の記事と同じソースです。

食中毒発生、過去最低ペース
'10/8/18

(中国新聞)

 広島市内の食中毒発生件数が、届け出が徹底された1997年以降、最少ペースで推移している。1~7月は79件で、過去最少だった昨年同期の82件を3件下回った。関係者は啓発活動が浸透したことに加え、新型インフルエンザ対策も影響しているとみている。
 市保健所によると、2009年の年間発生件数は124件で、08年の230件からほぼ半減した。保健所は「詳しい分析はしていない」としながらも「新型インフルエンザ対策として手洗いなどが家庭や食品業者に広まったことが予防につながり、今年もその意識が継続しているのでは」という。
 食中毒の発生は、業者への規制強化が進んだこともあり全国的に減少傾向。市内ではピークだった98年の872件と比べ、昨年は14・2%まで減っている。

新種の細菌感染が拡大 ベルギーで初の死者

(2010年8月17日 提供:共同通信社)

 インド、パキスタンが発生源とみられ、ほとんどの抗生物質が効かない新種の細菌に感染した患者が欧州などで増えており、ベルギーで16日までに最初とみられる死者が確認された。欧米メディアによると、英国、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、米国、カナダ、オーストラリアで感染が確認され、今後さらに拡大する恐れがあるという。
 英医学誌ランセット最新号によると、何種類かの細菌が「NDM1」と名付けられた遺伝子を持ち、ほとんどすべての抗生物質に対して耐性を持つようになった。こうした細菌に感染すると死亡率が非常に高くなるため、感染への監視強化と新薬の開発が必要だとしている。
 同誌によると、英国では約50件の感染が確認されている。感染者の多くは、医療費の安いインドやパキスタンで美容整形手術などを受けており、同誌は感染源は両国との見方を示している。
 ベルギー・メディアによると、新たな細菌に感染した男性が死亡したのは今年6月。男性は旅行中にパキスタンで交通事故に遭い、現地の病院で手当てを受けた。ベルギーに戻った時には既に感染しており、投与した抗生物質も効かなかったという。
 インド保健省は、感染源をインドと関連づけることに反発し「インドへの医療目的の観光は安全だ」と主張している。

■ スーパー細菌は「SARSほどの脅威はない」=伝染病の専門家が指摘

(Record China)

 2010年8月14日、抗生物質に対する耐性が著しく高い「スーパー細菌」と呼ばれる新種の細菌について、広東省の著名な伝染病専門家が「SARSや新型インフルエンザほどの脅威はない」と指摘した。15日付で南方日報が伝えた。
 記事は、英医学誌ランセットからの情報として、「スーパー細菌」と呼ばれる「ニューデリー・メタロベータラクタマーゼ1(NDM-1)」はインド、パキスタンが発生源と見られ、両国のほか欧米諸国を中心に感染者は170人にまで広がり、死者も確認されたと報じた。香港でも昨年10月、インド籍の男性(66)からNDM-1が検出されたが、すでに退院しているという。患者の多くは費用が安い美容整形手術を受けるため、インドやパキスタンに旅行に行っていた。一方、インドは発生源とされたことに強い不満を表明している。
 これに対し、広東省疾病コントロールセンター流行病研究所の何剣峰(ホー・ジエンフォン)所長は、「報道には誤りがある。これは新種の細菌ではなく、新種の薬剤耐性遺伝子だ。一種の酵素で大腸菌と肺炎桿(かん)菌という2種類の細菌に出現する」と述べた上で、「『スーパー抗生剤』と呼ばれるバンコマイシンなら効くはずだ。全く対応策がない訳ではない」と指摘した。
 また、NDM-1の脅威について、「SARSや新型インフルエンザのような人類を直接攻撃する新型ウイルスではない」とし、それほど大騒ぎをするほどのことではないとの見方を示した。

子宮頸がん予防に150億 厚労省、11年度予算特別枠

(2010.8.17:河北新報社)

 厚生労働省が2011年度政府予算で、経済成長や国民生活の安定などのため設けられる1兆円超の「特別枠」に要求する事業の案が16日、分かった。
 子宮頸がんを予防するワクチン接種の助成事業を新たに設け、約150億円を盛り込むほか、医師不足解消のための「医師確保・地域医療推進支援センター」(仮称)を全都道府県に創設する事業に約20億円を計上。計20強の事業で約1300億円を要求する方針。
 今後、政務三役が優先順位を付け、与党と調整して最終決定する。特別枠をめぐっては、各省庁の要求を公開の場で議論する「政策コンテスト」を実施し、予算配分を決めることになっている。
 厚労省が特別枠で要求できる割り振り額は1287億円で、全体の規模はほぼこれに沿った形。
 子宮頸がんは性交渉によるヒトパピローマウイルスの感染が主な原因とされ、10代前半のワクチン接種で予防が期待できる。費用は4万~5万円で、厚労省は国、都道府県、市町村で負担し合って助成する仕組みを想定。対象者は今後詰める。

パキスタンでコレラ拡大か 洪水被災地で患者確認

(2010年8月16日 提供:共同通信社)

 パキスタンの洪水で、国連の緊急援助当局者は14日、北西部の被災地でコレラの感染が確認されたことを明らかにした。重症の下痢疾患とみられるケースも約3万6000人に確認されており、感染拡大が懸念されている。
 当局者によると、感染が確認されたのは北西部カイバル・パクトゥンクワ州スワト地区の患者。当局者は「時間と費用を無駄にしないため、コレラ感染をすべて確認することはせず、治療に重点を置いている。重症の下痢疾患の患者もコレラとみなして治療している」と話した。
 コレラは汚染された水や食べ物を摂取することで感染し、激しい下痢と脱水症状を引き起こす。洪水被災地では衛生状態が悪化、感染が懸念されていた。
 また国連は13日、緊急支援のための資金拠出を国際社会に要請するアピールをあらためて発表。国連は4億5970万ドル(約400億円)の拠出を求めているが、これまでに確保された額は1億2480万ドルで、約27%にとどまっているとしている。
 当局者は「追加拠出がなければ、被災者を十分に支援できなくなるだろう」と強調した。
 パキスタンの洪水は現在も南部で被害が拡大。これまでに約1600人が死亡、1400万人超が被災したとされる。

福岡県が日本脳炎注意報を発令

(2010年8月14日 提供:毎日新聞社)

 福岡県は13日、日本脳炎注意報を出し、ウイルスを媒介する蚊が活動する夕方から夜明けまでの外出を避けたり、肌が露出している部分には蚊よけの薬剤を使用したりするよう呼びかけている。同注意報は、ほぼ毎年、7、8月に出ており、02-09年の県内の患者届け出数は計6人。
 日本脳炎ウイルスは、豚への感染が広がっている場合、その地域での人への感染の危険性が高くなっている可能性がある。県は国の委託を受け、毎年、日本脳炎感染源調査を実施。8月10日に採血した豚10頭のすべてが陽性だったことなどから、注意報を出した。
 県によると、日本脳炎は数日間続く高熱、頭痛などの症状が出る。重症になると、意識障害やけいれん、こん睡が起きる。

バリ島で狂犬病拡大=大規模ワクチン接種へ-インドネシア

 (2010.8.14:時事通信)

 日本人にも人気のインドネシアの世界的観光地バリ島で、狂犬病が拡大している。2008年11月以降の死者は78人に達しており、州政府は9月、地元大学生や非政府組織(NGO)関係者ら約1万人の協力を得て、島内の犬にワクチンを接種する大がかりな計画を始める。
 州当局によれば、09年はバリ島に約60万匹の犬がおり、うち約76%が野犬。同島では独特のヒンズー教が信仰されており、伝承などから犬は「忠義の象徴」(地元の同教関係者)と愛されていることも、野犬が減らない一因のようだ。
 バリ島では08年11月に狂犬病による最初の死者が確認され、政府や州当局がワクチン接種や野犬駆除などの対策に乗り出したが、犬の数が多く、成果が上がっていないのが実情だ。

新規エイズ患者、過去最多 4~6月、母子感染例も

(2010.8.14:共同通信)

 厚生労働省のエイズ動向委員会は13日、エイズウイルス(HIV)感染に気付かないままいきなり発症したエイズ患者は、4~6月に新たに129人報告され、3カ月間ごとの集計では過去最多だったと発表した。また4年ぶりに母子感染が1件報告された。
 HIV感染の有無を調べる自治体の抗体検査は3万1691件。1~3月より約2千件増えたが、前年同期に新型インフルエンザ流行の影響で大きく落ち込んで以来、低迷が続いている。
 委員長の岩本愛吉東京大教授は「検査が行き渡っていないために(感染に気付かず発症する)患者が増えた可能性がある。検査を受けやすい体制強化など、発症前に感染を発見できるようにする必要がある」と話した。
 発症はしていない新規感染者は263人。母子感染のケースは、妊婦健診を受けず出産直前に病院に駆け込んだ可能性があるという。岩本教授は「感染が分かっていれば、治療で母子感染を防ぐことができる」と、事前検査の徹底を呼び掛けた。
 患者は男性が125人と大半を占めた。同性間の性的接触による感染が68人。30代が43人と最多で、40代が38人、50代以上が30人だった。

[社説]子宮頸がん、ワクチンの普及を急ぎたい

(2010年8月13日 提供:読売新聞)

 若い女性に増えている子宮頸(けい)がんの本格対策として、政府が、予防ワクチンの接種費用を、来年度から公費で助成する方針を打ち出した。
 子宮頸がんは「ヒトパピローマウイルス(HPV)」というウイルスの感染が原因で起きる。
 HPVは主に性交渉を通じて感染するが、10歳代前半でHPVワクチンを接種すれば、6-7割の感染を防ぐことができる。
 子宮頸がんを予防する効果は極めて大きいと期待され、世界で接種が拡大している。日本でも昨年10月、このワクチンの安全性と有効性が政府に承認された。
 公費助成により、HPVワクチン接種が国内でも広く普及するはずだ。厚生労働省は今後、助成額や対象年齢などを詰め、来年度予算案に盛り込むという。検討を急いでもらいたい。
 現在、HPVワクチンは任意の接種だ。期間を置いて計3回繰り返す接種の費用約5万円は、原則全額を自己負担する。はしか、ポリオのワクチンのように、定期接種の対象にはなっていない。
 厚労省の6月末の集計では国内114自治体が、負担軽減のため公費助成している。ただ、全自治体の1割足らずだ。助成額も半額以下という所が少なくない。医学関連学会、患者団体などから、国の助成を求める声が出ていた。
 子宮頸がんは国内で年に約1万5000人が発症すると推計され約3500人が死亡している。特に近年は、20-30歳代に患者が急増している。
 10代前半の特定の年齢全員に接種費用を助成すると、年に約200億円の予算がかかるとの試算もある。だが、ワクチン接種で多くの女性の命が救われることを考えると、多額ではない。
 ただ、どんなワクチンにも、わずかながら副作用がある。HPVワクチンの重い副作用はほとんど報告されていないが、他のワクチンと同じく、副作用への迅速な対応と、補償制度の充実策も十分詰めておくことが欠かせない。
 がん検診の重要性も忘れてはならない。ワクチン接種の主な対象となるのは、10代の女性にとどまる。しかもワクチンは、がんを100%防げるわけではない。
 子宮頸がんの検診を受ける人はまだ2割程度という。多くの女性が定期的に検診を受け、異変があれば、早期に適切な措置を受けられるような体制が必要だ。
 検診費用の公的助成も一部に限られる。これも国の助成の強化を検討すべきだろう。

HPV 4価ワクチンの上皮内腫瘍低グレード病変の予防効果が明らかに

BMJ誌2010年7月31日号(オンライン版2010年7月20日号)

 ヒトパピローマウイルス(HPV)の4価ワクチンは、HPV-6、-11、-16、-18を抑制することで上皮内腫瘍の低グレード病変を持続的に予防し、疾病負担を実質的に軽減することが、スウェーデンLund大学のJoakim Dillner氏らが実施した無作為化試験(FUTURE試験)で判明した。HPVはグレードII/IIIの子宮頸部上皮内腫瘍よりもコンジローマやグレードIの上皮内腫瘍の発症に関与しており、これらの疾患に対するHPVワクチンの予防効果に大きな期待が寄せられている。その一方で、4価ワクチンで予防可能な低グレード病変の総疾病負担は明確にされていないという。

1万7,622人を登録、フォローアップ期間は42ヵ月

 研究グループは、HPV 4価ワクチンの子宮頸部、外陰部、膣の上皮内腫瘍グレードI病変や肛門性器疣贅(尖圭コンジローマ)に対する予防効果を検討する二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行った。
 二つのプロトコール[protocol 013(FUTURE I試験)、protocol 015(FUTURE II試験)]を用いて4年間にわたる試験が行われ、フォローアップ期間は42ヵ月であった。
 2001年12月~2003年5月までに、24の国と地域の施設から16~26歳の女性1万7,622人が登録された。主な除外基準は、これまでの性交パートナー数>4人、頸部スミア検査異常の既往歴、妊婦などであった。これらの女性が、3回(初回、2ヵ月後、6ヵ月後)の4価ワクチン接種を行う群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられた。

フォローアップ期間を通じて疾病負担を実質的に軽減

 3回のワクチン接種をすべて受け、初回接種時の血清学的検査およびPCR法でHPV-6、-11、-16、-18がいずれも陰性で、7ヵ月後のPCR検査も陰性であった女性に関するper-protocol解析では、4価ワクチンによるHPVタイプ別の上皮内腫瘍グレードI病変の抑制率は子宮頸部が96%(95%信頼区間:91~98%)、外陰部が100%(同:74~100%)、膣が100%(同:64~100%)であり、尖圭コンジローマの抑制率は99%(同:96~100%)であった。
 少なくとも1回のワクチン接種を受け、初回接種時の血清学的検査およびPCR法でHPV-6、-11、-16、-18がいずれも陰性で、さらにPCR法による他の高リスクHPVタイプ(31、33、35、39、45、51、52、56、58、59)および頸部スミア検査のいずれもが陰性であった女性におけるHPVタイプを問わない上皮内腫瘍グレードI病変の抑制率は、子宮頸部が30%(95%信頼区間:17~41%)、外陰部が75%(同:22~94%)、膣が48%(同:10~71%)であり、尖圭コンジローマの抑制率は83%(同:74~89%)であった。
 著者は、「HPVの4価ワクチンは、HPV-6、-11、-16、-18を抑制することで上皮内腫瘍の低グレード病変を持続的に予防し、42ヵ月のフォローアップ期間を通じて疾病負担を実質的に軽減することが示された」と結論している。

(院長のつぶやき)論文の紹介なので、ちょっと専門用語が多くてわかりにくいですねえ。

はしか 脳炎、根絶いつ? ワクチン接種率向上が不可欠

(2010年8月13日 提供:毎日新聞社)

 はしか(麻疹(ましん))の予防接種率が伸び悩んでいる。国は接種率95%以上で人口100万人当たりの感染者が1人未満になる「排除」の状態を目指している。だが、09年度の接種率は1歳の定期接種では93・6%と目標に近いものの、13歳と18歳を対象にした追加接種では、それぞれ85・9%、77・0%にとどまった。幼少期のはしか感染には、難病発症の可能性があり、はしかの早期根絶には接種率の向上が鍵を握っている。

 ◇ウイルス変異で神経に症状 治療法なく

 はしかウイルスが原因の難病「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」の患者家族の会が毎年実施している東京都内での合宿が、今年も7月30日から2泊3日で開かれた。「わらをもつかむ気持ちです」。初めて参加した那覇市の栗原康さん(51)は、SSPEを発症した長男康太郎さん(21)を連れてきた心境を語った。
 SSPEは特に学童期に発症することがある中枢神経疾患だ。一度感染したはしかウイルスが脳に潜伏後、SSPEウイルスに変異して数年後に発病。原因は不明で治療法はなく、ゆっくりと神経症状が進んで意識がなくなり、やがて死に至る。発生頻度は、はしか患者10万人に1人とされる。
 康太郎さんは6歳でSSPEを発症。すでに食べたり話したりできない状態で、まぶたを閉じることができず眼球が乾燥するのを防ぐため水泳用ゴーグルも欠かせない。生後10カ月の時に感染したはしかが原因だ。
 治療に使われる薬も患者個人の状態をみて病院で判断するのが現状。患者の状態が少しでも改善すると思われる薬があると、患者家族に情報が広まる。栗原さんも、現状の治療法で良いか、少しでも良い薬がないか、情報を求めて参加した。
◇   ◇
 国立感染症研究所によると、はしか患者は高校や大学で流行した07年に子どもだけで計3133人、08年は成人も含めて計1万1012人に上った。今年の患者数も8月4日現在計326人で、人口100万人当たり約2・7人と流行が続いている。
 SSPE患者の親の会は、東京、大阪で84年に結成され、その後「SSPE青空の会」として統合した。現在は患者家族の正会員約50人と、医師や教師、看護師、ケースワーカーなどの賛助会員で構成する。
 今年の合宿には患者家族7組、計50人以上が参加した。情報交換だけでなく、普段旅行ができない家族同士が集まり、レクリエーションなどで親交を深める。会の願いはSSPEの治療法の確立に加え、はしか予防のためのワクチン接種率の向上だ。
 「SSPEははしかに感染すれば、だれでもなる可能性がある病気。治すことはできないが、なくすことはできる」。今年1月、SSPEだった長男の勇樹さんを27歳で失った畑修二さん(60)は訴える。
 はしかは接触や飛沫(ひまつ)、空気のいずれでも感染する。はしかウイルスの直径は100-250ナノメートル(ナノは10億分の1)で、飛沫核の状態で空中を飛び、それを吸い込むことで感染するため、マスクでの予防は難しい。唯一の予防方法は、ワクチン接種ではしかに対する免疫をつけておくことだ。
 国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長によると、予防接種をしない人が増えると感染が広がる。はしかワクチンは通常、1回接種すれば95%以上の人に免疫ができる。毎年、95%程度の接種率を保てば、患者発生はほぼゼロに抑えられる。
 岡部センター長は「はしか患者が20万-30万人いれば、そのうち数人がやがてSSPEを発病する。だが患者が1000人を切れば、この病で亡くなる人がいなくなることにつながる」と説明する。
 沖縄では90、91年にはしかが流行した。原因は不明だが、高頻度でSSPEが発生している。康太郎さんもこの流行ではしかに感染した。母陽子さん(52)は「はしかの怖さを知らず、予防接種をしなかった姉から(接種前の)弟の康太郎に感染してしまった。いつも後悔している」と話す。
 合宿に参加した静岡県立こども病院(静岡市)の愛波秀男医師(神経科)は「医師として治療法を見つける研究は続けなければならない。だが、必ず実現できる手段として国民の予防接種率の向上を訴えていきたい」と話している。

デング熱感染で10人死亡 カンボジア、1―7月期

(2010年8月12日 提供:共同通信社)

 カンボジア保健省当局者は10日、今年1―7月にデング熱に感染して死亡した人が10人に上ったことを明らかにした。感染者は3771人で、このうち多数が依然として病院で治療を受けているという。
 当局者は、感染して死亡する人は次第に減少してきているとしながらも、周辺各国に比べれば感染者はまだ多いと指摘。国民に対して水がめを清潔に保ったり、感染を媒介するが繁殖しないよう貯水槽の清掃を続けるよう要請した。

子宮頸がん:予防啓発、ワクチン接種へ県がCMを制作 /山梨

(2010.8.11:毎日新聞)

 子宮頸(けい)がん撲滅に向け、県は予防ワクチン接種や定期検診の大切さを呼び掛けるテレビCMを制作した。県によるワクチン接種の助成制度などを周知する内容で、13~26日の2週間に計140回放映する予定。
 CMでは、富士吉田市在住のモデルで中学3年の宮下みらいさんがワクチンを接種する場面が流れ、甲府市出身の女優、筒井真理子さんがナレーションを担当する。
 子宮頸がんは10代前半でワクチンを接種すれば発症リスクを7割程度軽減でき、定期検診と合わせて「100%予防できる唯一のがん」とされる。
 高額な接種費用がネックとなっていたが、県は6月、小6と中3女子を対象に費用の一部を助成する制度を設け、これに呼応して県内全27市町村も助成方針を決めた。このため、山梨は全国で唯一、対象年齢の女子全員が自己負担なしでワクチン接種が受けられる
 横内正明知事は10日の定例記者会見で「夏休みの時期にPRし、多くの子供たちに接種してほしい」と述べた。CMは山梨放送とテレビ山梨で1日10回程度放映されるほか、県のホームページでも見ることができる。

スーダン南部で黒熱病流行、31人死亡 部族紛争や大雨で治療に遅れ

(2010年8月11日:共同通信社)

 スーダン保健当局者は9日、同国南部のアヨド村で6月から「黒熱病」として知られるリーシュマニア症が流行、これまでに31人が死亡したほか、118人の感染者がいることを明らかにした。
 リーシュマニア症は、リーシュマニア原虫が吸血昆虫サシチョウバエを介して人の体内に侵入して発症する感染症。専門家によると、適切な治療を施せば95%は治るが、放置すると免疫力が低下して数週間で死亡する恐れがある。
 保健当局者は治療に必要な医薬品を備えているが、中には8〜10時間も歩かなければ治療を受けられない患者もいる。さらにこの地域では部族間の戦闘が続いており、人々は長距離の移動に不安を抱いているうえ、大雨で道路の状態が非常に悪くなっており、治療活動に遅れをきたしている。

はしか追加接種、低迷続く 09年度、厚労省集計

(2010年8月9日:共同通信社)

 はしか予防のための13歳と18歳を対象にしたワクチンの追加接種について、2009年度の全国の接種率は13歳が85・9%(08年度85・1%)、18歳が77・0%(同77・3%)にとどまり、目標の95%に届かなかったことが厚生労働省の集計で6日、分かった。
 07年に、はしかが若者を中心に流行したのを受け、小学校入学までの接種が1回だった年代を対象に、免疫力を高める目的で導入した5年間の時限措置の2年目。厚労省は「本年度の対象者は、夏休みなど長期の休みを使い、接種してほしい」と呼び掛けている。
 接種率は都道府県ごとの差が大きかった。13歳で最も高かった茨城県は97・0%、最も低かった神奈川県は76・0%。18歳は最高が山形県の91・7%、最低は神奈川県の58・6%だった。

はしか リンゴ病「誤診」の恐れ 感染研「ウイルス検査を」

(2010年8月8日:毎日新聞社)

 国が全国の医療機関から報告を受けて集計しているはしか(麻疹(ましん))の患者数に、リンゴ病(伝染性紅斑(こうはん))の患者がまぎれ込む可能性があることが分かった。感染の結果、血中にできる抗体が似ているため、血液検査ではしかと「誤診」されやすいという。国立感染症研究所は、はしかの患者数把握や予防接種率向上のため、医療機関に対して血液検査だけでなくウイルス検査も実施するよう求めている。
 静岡厚生病院の田中敏博医師(小児科)が、今年に入って静岡市内の医療機関から「はしか」と報告があった成人患者6人について再調査したところ、ウイルス検査で全員がリンゴ病と分かった。田中医師は「リンゴ病の症状であるほおの赤い発疹が大人には出にくいため、医師がはしかを疑い、血液検査だけで診断したのだろう」という。
 はしかは感染力が強く、死亡例もある。予防接種が不十分な10-20代の若者に広がりやすく、07年の流行では、全国の高校や大学で休校が相次いだ。海外旅行先で発病し「日本ははしかの輸出国」と批判されたケースもあった。
 世界保健機関(WHO)は日本に対し、12年までに「人口100万人当たりの患者1人未満、予防接種率95%以上」を達成するよう求めている。感染研によると、今年の患者数は7月25日現在計317人で、人口100万人当たり約2・6人。09年度の予防接種率も13歳で86%、18歳で77%にとどまる。
 感染研感染症情報センターの多屋馨子(たやけいこ)室長は「一度はしかと診断されてしまうと、その患者は予防接種を受けない。その後はしかを発症して感染が拡大するおそれもある。医療機関は血液検査に加えてウイルス検査も実施してほしい」と話す。

手足口病やおたふくかぜ、九州・山口で流行

(2010年8月8日:読売新聞)

 九州・山口で今夏、手足口病とヘルパンギーナ、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)が流行している。最新の発生動向調査(7月26日-8月1日)では、鹿児島、佐賀県を除く6県で、いずれかの感染症で流行発生警報の基準値に達した地区があった。
 国立感染症研究所・感染症情報センターは「昨年は新型インフルエンザが猛威をふるった影響からか、手足口病などの発生頻度は低かったが、今年は多くなっている。特におたふくかぜは4年周期で訪れる流行年に当たっており注意してほしい」と呼びかけている。
 感染症については、各保健所管内で指定医療機関が1週間ごとの患者数を調査しており、1機関当たりの平均患者数が流行の目安になる。
 手足口病の警報基準値は5人以上。大分県佐伯市では17・7人、福岡県京築地区と宮崎県国富町などを管轄する中央保健所管内ではいずれも14人と、基準の約3倍に達した。大分県は全域の平均値が5・3人。宮崎、山口県は流行警報を発令して注意を呼びかけている。ヘルパンギーナの基準値は6人以上。山口県の周南地区で6・3人となるなど2県で超えた。
 おたふくかぜでは、警報基準値6人以上に対し、宮崎県の日向保健所管内で12人、山口県防府地区で8人、長崎県島原市などを管轄する県南保健所管内で6・6人となった。北九州市小倉南区の小学校では夏休み前に集団感染が起こり学級閉鎖した。
 一方、インフルエンザは現在、8県で発生件数がほぼ0の状態が続いている。
 昨年はインフルエンザ予防のために手洗いやうがいが励行され、他の感染症予防にもつながったが、今年はインフルエンザへの警戒感が薄れ、揺り戻しが来ているとの見方もある。

子宮頸がん:ワクチン接種費、特別枠で要求…厚労省方針

(2010.8.4:毎日新聞)

 厚生労働省は11年度予算概算要求の特別枠で、20~30代に増えている子宮頸(けい)がんのワクチン接種費を要求する方針を固めた。子宮頸がんはワクチン接種による予防効果が期待されているが、健康保険がきかないため、予防に必要な3回の接種にかかる約5万円は全額自己負担になる。独自の補助制度を始めた自治体もあり、長妻昭厚労相は4日の参院予算委員会で「予防ワクチンの公的助成を予算要求したい」と述べた。
 子宮頸がんは性交渉によるウイルス感染が原因で、年間約1万人がかかり、約3000人が死亡すると推定されている。7~8割の女性が一生に一度は感染するとされ、大半は1年以内に消えるが、感染が続いた場合、10~20年で発症する。ウイルス感染前の予防接種で死亡リスクは大幅に下がるとされる。ワクチンは昨年12月に国内販売が始まり、厚労省によると、全国126市区町村(6月末現在)が小学5年~中学生を対象に独自の補助制度を設けている。
 必要額について厚労省は精査中だが、民間団体などの試算では、中学1年生の女子全員に接種した場合の経費は約200億円という。国と地方の費用分担については今後、検討する。
 副作用の問題や検診と併せた予防策も必要になるため、長妻氏は厚生科学審議会予防接種部会に小委員会を設置して対応策を検討する考えを示した。

(院長のつぶやき)ようやく国が重い腰を上げそうですね。

狂犬病拡大 08年以降バリ島で78人死亡、ワクチン接種遅れで

(2010.8.4:北海道新聞)

 日本人観光客も多く訪れる世界的な観光地のインドネシア・バリ島で、狂犬病が広がりをみせている。最初の死亡者が確認された2008年11月以後、これまでに78人が死亡。放し飼いの犬が多く、ワクチン接種の遅れが拡大を招いたと指摘されている。
 同国からの報道によると、当局は約12万匹にワクチンを接種。ただバリ島には推定40万匹がおり、専門家は生息数の70%(28万匹)まで接種率を上げる必要があると指摘する。人間用ワクチンが高価なため、犬にかまれた住民が購入をあきらめ死亡した例もある。当局は犬の駆除を進めているが「行き当たりばったりで効果的でない」との批判もある。

ジェノミディア、沖縄でDNAワクチン インフル向け開発着手

(2010/8/3:日本経済新聞)

 バイオベンチャーのジェノミディア(大阪府茨木市、中島俊洋社長)は、沖縄県で、ウイルスの遺伝子の一部をもとに、インフルエンザを予防するワクチン開発に乗り出した。まず豚インフルエンザを対象にウイルスを分析、免疫細胞が認識する遺伝子を特定し大腸菌で培養する。現在の手法に比べてワクチンを迅速に大量生産できる技術の確立を目指す。
 沖縄県の治験薬製造ベンチャー、AMBiS(アンビス、南城市、喜久川政直社長)と組んで「DNA(デオキシリボ核酸)ワクチン」と呼ばれる新しいワクチンの開発を、同社の本社研究所(南城市)で始めた。
 現在のワクチンはウイルスを鶏の有精卵で培養、病原性がないように処理し体内に接種する。ただ、この手法だと有精卵の調達に時間を要し大量生産が難しい。昨年に新型インフルエンザが流行した際はワクチンの製造が大幅に遅れたほか、供給量も不足し、海外から輸入する事態となった。
 新手法では遺伝子を活用する。まずジェノミディアが豚インフルエンザのウイルスの遺伝子を特定。AMBiSの技術を使いこの遺伝子を「プラスミド」と呼ばれる環状DNAに組み込み大腸菌で大量培養。高純度で精製しワクチンを完成させる。
 新手法が成功すれば全国民にワクチンを供給する時間が生産開始から2~3カ月と「現在に比べ10分の1程度に短縮できる」(中島社長)とみる。今後5年間でマウスや豚を使った動物実験を展開。研究開発が軌道に乗った段階で大手製薬会社などと提携し、10年以内の製品化を目指す。
 近年、亜熱帯気候の沖縄では、インフルエンザが流行しやすい傾向にあり、ジェノメディアはワクチンの研究開発拠点として沖縄を選んだ。同社は2002年に設立。結核などの感染症のワクチン開発を手掛けている。

子宮頸がん:小6・中学生のワクチン代助成、佐野市が全額 /栃木

(2010.8.3:毎日新聞)

 佐野市は2日、子宮頸(けい)がんワクチンの予防接種を市内に在住する現在の小学6年と中学生の女子を対象に、費用を全額助成して実施する、と発表した。
 市健康増進課によると、対象の児童と生徒は計約2300人。10月中旬から来年10月末までに3回の接種を助成する。希望者は、今年度内に1回は実施する必要があるという。
 接種方法は原則として市内の医療機関で、個別に行う。来年度からは、小学6年生の女子のみが対象となる。
 佐野市はこの予防接種の予算として、1億1870万円を9月の補正予算に計上する。

(院長のつぶやき)私の住む隣町の足利市に同調した動きです。栃木県は公費助成の輪が広がっています。群馬県は動きが鈍いですね。

規定の2倍の量、ワクチン誤接種 生後10カ月の男児に 群馬

(2010.7.31:産経新聞)

 板倉町は、館林市邑楽郡医師会に所属する医療機関が6月18日に実施した日本脳炎の予防接種で、同町内の生後10カ月の男児に、規定の2倍の量のワクチンを誤って接種するミスがあったと発表した。これまでのところ、男児に健康被害は確認されていないとしている。
 町健康介護課によると、通常はワクチン0・25ミリリットルを接種すべきところを、誤って0・5ミリリットル接種した。担当医や看護師が年齢の確認を怠ったという。
 今月中旬、同医師会から送られてきた予診票を確認していた同課職員が誤りに気づいて発覚。同課職員と担当医師が27日に男児宅を訪問して謝罪した。

(院長のつぶやき)とうとう私の所属する医師会管内でも誤接種が起きてしまいました。ふつう、生後10ヶ月児に日本脳炎ワクチンは接種しませんが・・・なにか特別な事情があったのでしょうか?

子宮頸がん予防接種、北海道が補助検討

(2010年7月29日:毎日新聞社)

 高橋はるみ知事は28日の定例記者会見で、子宮頸(けい)がんのワクチン接種について「道としても負担をしながら、患者さんを減らす努力をしたい」と述べ、費用補助を検討する姿勢を示した。
 道健康安全局によると、子宮頸がんは年間約1万5000人が発症し、特に20-30代の女性で増加しているという。昨年10月に国内で初めて承認されたワクチンを性交渉前に接種すれば約7割で予防できるとされるが、必要な3回の接種で4万-5万円かかる費用が普及のネックになっている。
 道内では▽福島▽七飯▽幌加内▽斜里▽佐呂間▽湧別--の6町で助成を始めているほか、50市町村議会が道にも費用負担を求める意見書を可決している。

(院長のつぶやき)徐々に公費負担の輪が広がってきました。当地では・・・市長にメールを出しましたが、ごにょごにょ・・・という返信でした。

新潟県 MRワクチン接種と脳症の関係認定

(2010年7月29日:読売新聞)

胎内市の医療費不支給 取り消し

 はしかと風疹(ふうしん)の混合ワクチンの予防接種が原因で子どもが脳症になったとして、胎内市中倉の石井雄作さん(36)が次男の鎌(れん)君(4)の救済を求め、行政不服審査法に基づき行った審査請求で、県が因果関係を認め、医療費などを不支給とした同市の処分を取り消す裁決を行っていたことが28日分かった。
 裁決は22日付。県によると、予防接種の健康被害救済をめぐる不支給処分が取り消されたのは県内初。県は今後、今回の裁決結果を国に報告し、国が改めて救済の可否を判断する。
 鎌君は2007年4月、同市内の病院で予防接種を受けた後、けいれんや意識障害などを起こして脳症と診断され、手足のまひなどの後遺症が残った。石井さんは07年11月、予防接種法に基づき、市を通じて被害救済を請求。国が因果関係を否定し、医療費などの支給は認められなかった。
 裁決書で県は、ワクチンの製造者が、接種と脳症の関連性を認めていることなどから、「予防接種と疾病との因果関係は認定される」と結論付けている。

(院長のつぶやき)これで日本脳炎ワクチンと同じように「積極的勧奨停止」となるのでしょうか?

第一三共、ワクチン生産へ 北里研究所と提携

(2010.7.26:産経新聞)

 第一三共が学校法人の北里研究所(東京)と、インフルエンザなどの感染症を予防するワクチンの生産を検討していることが26日、分かった。来春にも北里研と新会社を設立する。
 国内のワクチン生産はこれまで外資や中小事業者が担っていたため、海外に比べて後れを取っているとの指摘があった。製薬大手が乗り出すことで、新型インフルエンザ用など供給拡大につながりそうだ。
 新会社では北里研のワクチン生産部門を取り込んで増産体制をとる。第一三共と北里研は2008年12月にワクチン事業の強化を目的に研究開発や販売などで提携。この提携を生産分野にまで拡大し、製造と販売の一体体制を確立する。
 第一三共は昨年10月に専門部署「ワクチン事業企画部」を設置、事業強化を進めてきた。現在、第一三共のワクチン事業は年間約130億円の売り上げがあるが、北里研との提携で、近い将来に500億円にまで拡大させたい考えだ。

パッチはるだけでインフルワクチン接種 米研究チーム

(2010年7月20日:朝日新聞)

 微小な針が多数ついたパッチを皮膚にはるだけで接種できるインフルエンザワクチンを、米ジョージア工科大などの研究チームが開発し、動物実験で効果を確認した。針は皮膚に刺さると溶け、ワクチンと共に吸収される。実用化すれば、自分でも接種でき、輸送や保存も簡便になり、接種費用が抑えられる。米医学誌ネイチャー・メディシン(電子版)で発表した。
 開発したパッチは、生体に吸収されやすい物質でできた高さ0.7ミリの針が100本ついている。針の中に、液体ワクチンを凍結乾燥させた粉末が入っている。
 人の皮膚に似た豚の皮膚を使った実験で、親指でパッチを皮膚に押しつけただけで表皮に刺さり、数分以内に溶け、ワクチンと針が皮膚に吸収されることを確認した。深く刺さらないため、研究チームは「痛くはないはずだ」としている。
 このワクチンを接種したマウス6匹にインフルウイルスを感染させたところ、すべて生き残り、体重も5%以下しか減らなかった。通常のワクチンを注射したマウスも同様だったが、接種しないマウスは6日以内にすべて死んだ。
 研究チームは「通常のワクチンと同等の効果がある。製造費用も同程度だが、接種に医師や看護師が必要なく、注射針の処理もいらず、費用は安くなる」とみている。

有効期限切れの日本脳炎ワクチン、2人に誤接種 静岡・菊川市立総合病院

(2010年7月17日:毎日新聞社)

 菊川市は16日、同市立総合病院で3歳と4歳の女児2人に有効期限切れの日本脳炎ワクチンを誤って接種したと発表した。担当者の確認ミスが原因といい、同市は保護者に謝罪した。健康被害の報告はないという。
 同市によると、予防接種は6月21日と28日、女児2人にそれぞれ実施した。このうち1人が住んでいる掛川市は今月7日、接種に関する報告書類を点検。ワクチンの有効期限が3月9日までなのに気付いた。同病院側が調べたところ、菊川市の女児1人にも誤って接種していたことが分かったという。
 同病院の村田英之院長は「心からおわびします。薬品の管理体制を見直し再発防止に努めます」とコメントを出した。

(院長のつぶやき)使用期限のチェックが甘い・・・保存温度管理など、他の面はどうだったのか心配になります。

乳幼児の夏風邪流行で初の警報 山形県が発令

(2010年7月16日:毎日新聞社)

 県は14日、乳幼児の夏風邪の一種である「ヘルパンギーナ」と「手足口病」が流行しているとしてともに初の警報を発令した。
 5-11日の週に、調査対象の県内30医療機関から報告された患者数が1医療機関平均ヘルパンギーナは8・23人、手足口病は5・07人とともに国の警報基準を超えたため。県保健薬務課は、うがいや手洗いの徹底を呼びかけている。

島根県立大学生12人が百日ぜき感染

(2010年7月15日:毎日新聞社)

 県立大(浜田市)は14日、学生12人が百日ぜきに感染、1人が感染の疑いで検査中と発表した。12人は一時出席停止としたが、現在は全員が回復している。検査中の1人は自宅待機中。

2倍速でワクチンを量産する会社

(2010.7.13:日経ビジネス)

 主力薬の特許が2010年前後に相次いで失効し、後発医薬品にシェアを奪われて収益が激減する「2010年問題」。多くの日本の製薬会社は、バイオ医薬や抗体医薬といった次世代の医薬品へのパラダイムシフトに乗り遅れ、かつてない危機に立ち向かおうとしている。
 その一方で、次世代をリードする可能性を秘めた先端医療技術の芽は確実に存在する。この連載では、2010年7月5日号の特集「武田も揺るがす『2010年問題』」の連動企画として、世界の先頭集団を走る日本発の先端医療技術を取り上げる。
 第4回は、細胞培養によってワクチンを量産する技術を採用し、従来の半分以下という2カ月でインフルエンザワクチンを量産できる目処を立てた秋田の創薬ベンチャー、UMNファーマである。先端のバイオ技術を活用し、旧態依然としたワクチン業界に大きなインパクトを与える同社の取り組みを紹介する。
 昨年夏に全世界を襲った新型インフルエンザ。その猛威を前に日本ではワクチン不足が深刻化し、社会問題となった。
 大きな理由は、日本メーカーによるワクチンの供給量に限界があったからだ。これまで国産インフルエンザワクチンを生産してきたのは、化学及血清療法研究所、北里研究所、デンカ生研、阪大微生物病研究会の4団体・企業にすぎない。
 パンデミックを想定していなかったので生産量が少なく、製造プロセスも影響している。有精卵をウイルスに感染させて増殖させ、増えたウイルスを不活化・生成する方法を採るので、量産に半年程度の期間が必要となるのだ。
 そのワクチンの製造期間を、半分以下の2カ月程度に短縮するメドが立った。その主役となるのは、創薬ベンチャーのUMNファーマ(秋田市)とIHIである。今年5月に合弁会社のUNIGEN(ユニジェン)を設立し、2012年にも新型インフルエンザのワクチン原薬を量産する。

 BEVSによるワクチン原薬の生成プロセスはこうだ。
 まず、インフルエンザウイルスへの耐性を持つタンパク質の遺伝子情報を入手し、昆虫を主な宿主として感染する別のウイルス(バキュロウイルス)に、遺伝子組み換え技術を使って組み込む。このウイルスを昆虫の細胞に感染させて培養槽で増殖させ、精製して濃縮したものがワクチンになる。
 この方法であれば、従来はボトルネックになっていた大量の有精卵の調達や、ウイルスそのものの入手が必要ない。培養しやすい高増殖株を選んでウイルス自体を増やしたり、最終的に不活化する手間もいらない。UMNファーマの金指秀一社長は、「ウイルス自体を増やす必要がなく、安全性が高いのが特徴」と説明する。
 ワクチンの量産に必要な期間は、約8週間(2カ月)だ。最も手間がかかるのが、遺伝子情報をバキュロウイルスに組み込む作業で、約4週間かかる。
 それさえ済んでしまえば、ワクチン成分の組み込まれた細胞の培養に1週間、ワクチン成分の抽出・生成に1週間、製剤化と出荷試験に約2週間で、計8週間で出荷できる。
 金指社長は、「ファーストロットは遺伝子情報さえ手に入れば2カ月で作れる。パンデミックが起きたときに威力を発揮するはずだ」と胸を張る。しかも、生産量を増やすのであれば、基本的にはタンクを大型化したり、数を増やしたりすればいいだけだ。
 この過程にIHIのプラント技術が生きている。IHIは製薬会社向け細胞培養プラントの研究開発を、2007年からUMNファーマと共同で進めていた。その過程で、ワクチン原薬の製造に参入することが決まったのだという。
 実験室レベルのワクチン生産を、大量生産できる規模に拡大するのには、プラントメーカーが持つ技術が必須だ。UMNファーマの金指社長は、「効率よく細胞を培養し、量産するにはIHIのプラント技術が欠かせなかった」と言う。今後、600リットル規模のタンクをIHIと共同で新設する計画がある。

 両社が持つ技術が1つになり、インフルエンザワクチンの業界勢力図は大きく変わることになる。細胞培養を使ったインフルエンザワクチンの量産には、武田薬品工業も参入を計画している。UMNファーマの取り組みは、2010年問題による従来型医薬からのパラダイムシフトの動きの1つと言っていい。

いち早く次世代型ワクチン技術に着目

 UMNファーマが昆虫細胞を用いた次世代型のワクチン製造技術に着目したのは、創業から間もない2005年頃のことだ。この技術を保有していた米バイオベンチャーのプロテイン・サイエンシズが日本でのライセンス供与先を探しており、「新型インフルエンザに効率よく対応できる技術はこれしかない」と考え、契約を結んだ。
 金指社長は、こう振り返る。「ほかの国内メーカーは手を出さなかったようだ。海のものとも山のものともつかぬ技術よりも、既存の技術を優先させたのだろう」。昨年のパンデミックでワクチン不足が起きる数年前に、戦略を転換するチャンスはあったのだ。
 UMNファーマはこうして、既存のワクチン業界に“風穴”を開けるチャンスをつかんだ。今後同社は、細胞培養技術を様々な分野に応用していく考えを示している。金指社長は「インフルエンザのワクチンを皮切りに横展開していきたい。これは10~20年の大仕事になるはずだ」と意気込む。
 金指社長は同社の3人目の社長で、元々は京都府の舞鶴市民病院で小児科医長を務めていた医師である。その後、旧・日本ロシュでインフルエンザ治療薬「タミフル」の日本導入に関わり、ソニーのライフサイエンス事業開発室でDNAチップの開発に携わった経験も持つ。
 「医者として従来型の薬の限界を感じていた」という金指医師は、製薬業界に身を投じ、そしてバイオへと華麗な転身を遂げた。異色の経歴を持つ経営者を中心に、UMNファーマは今後どのような新風を製薬業界に吹き込むのか。インフルエンザワクチンは、その試金石になる。

ワクチン行政、改善急務 乳幼児の細菌性髄膜炎の悲劇なくせ

(2010.7.9:中国新聞)

 ▽接種義務化・公費負担望む

 周南市の主婦斉藤裕子さん(36)は、長妻昭厚生労働相の言葉を信じている。「急ぐべき事項である」―。それは、細菌性髄膜炎の予防ワクチン接種の義務化や公費負担の要請への返答だった。
 3月、長妻厚労相に要望書を提出する市民団体に同行し、東京・霞が関の厚労省を訪ねた。「前向きさを感じた」。大臣室でのやりとりを振り返る。
 斉藤さんの次男、伊吹ちゃんは2009年12月1日、1年9カ月の短い生涯に幕を閉じた。国内で年間千人の乳幼児を襲う細菌性髄膜炎が原因だった。
 亡くなる8日前、11月23日夜に40度を超す熱を出すまで予兆はなかった。その日も、父の学さん(37)の夕食時には好物の白いごはんをねだった。食後はいつもの通り学さんと入浴もした。翌朝、かかりつけ医を受診すると総合病院に救急搬送された。間もなく意識を失い、入院。インフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)による髄膜炎と診断を受けた。
 「ヒブは知っていた。でも関心はなかった」と裕子さん。息を引き取る息子をベッドの横で抱いた。約12キロの体重を両腕で感じた。「守ってあげられなかったね。ごめんね」。謝罪の言葉ばかり心に浮かんだ。ワクチンで防げた可能性がある―。そう聞かされた。  ヒブワクチンは08年12月に国内で販売開始。細菌性髄膜炎のもう一つの主な原因菌、肺炎球菌のワクチンも今年2月に流通が始まった。

 ■高額がネックに

 ただ、ポリオ(小児まひ)のように国が市町村に義務付ける定期接種の対象ではない。任意接種は保護者の全額負担が原則。両ワクチンの接種には総額約7万円かかる。細菌性髄膜炎の8割の予防効果が期待されながら、高額負担が敬遠され普及が進まない。
 「ワクチン・ギャップ」―。日本のワクチン行政の遅れを示す言葉である。先進国の中でも無料の定期接種ワクチンが少ない現状の改善を求める声は、地域医療の現場からも上がり始めた。
 斉藤さんの地元の周南小児科医会(賀屋茂会長)は6月、周南、下松、光市に両ワクチン接種の半額助成を求める署名活動を始めた。会員がいる22医療機関に賛同呼び掛けの文書を置いている。
 「細菌性髄膜炎は初期症状がかぜと似ていて診断が難しい」と賀屋会長。「死に直結するこの病気を予防できれば、小児科医の負担も軽減される」。県小児科医会も知事への同様の要望を計画する。

 ■与野党対応訴え

 参院選を戦う与野党もワクチン・ギャップへの対応を一定に打ち出している。
 民主党は、満額支給を断念した子ども手当の現物サービスの一環として「ワクチン接種の公費助成などを検討」を公約。野党第1党の自民党は「ワクチン施策の推進」をうたい、「(両ワクチンの)定期接種も含め感染症予防を促進」と唱える。
 「定期接種に組み入れるのが本来の姿だが、いつになるのか分からない」「子どもに優しい社会とはとても言えない」―。周南小児科医会が医療機関に置く文書には現状を憂う言葉が並ぶ。
 この7カ月間、斉藤さん夫妻は細菌性髄膜炎の関係資料のファイルを続けている。「親の判断にすべてを委ねるのではなく、公的サポートで多くの子どもの命を守ってほしい」。伊吹ちゃんが亡くなって最初の国政選挙で示した約束を、政治がどう果たすのか。夫妻は悲劇が繰り返されないよう願い、見届けるつもりでいる。

細菌性髄膜炎 鼻やのどに常在するヒブや肺炎球菌が髄膜に侵入して起きる炎症。国内で毎年1千人の乳幼児が発症し、その5%が死亡、20%に後遺症があるとされる。ヒブワクチンの接種費用は1回7500円程度で、標準的な4回接種で計約3万円。肺炎球菌ワクチンは1回9500円程度で、4回接種の場合は4万円弱になる。県内では宇部市がヒブワクチンの費用を1回4千円助成している。

手足口病猛威、10歳男児が急性脳炎

(2010年7月9日:読売新聞)

 手足口病の病原体「エンテロウイルス(EV)71」によって、中国地方の10歳男児が4月下旬、急性脳炎を発症していたことが、国立感染症研究所などの調査で分かった。 今年初の重症例で、身体の一部に障害が残っているという。
 手足口病は今年、全国で猛威を振るっており、原因ウイルスの中でも重症化しやすいタイプのEV71が、報告の7割を占める。

(院長のつぶやき)とうとう来たか・・・という感じです。隣国の中国ではすでに500人以上の子ども達が死亡しています。

ヘルパンギーナ 警報レベル超える 神奈川県が注意呼びかけ

(2010年7月9日:毎日新聞社)

 県は8日、乳幼児を中心に発熱やのどの発疹(ほっしん)を伴うウイルス感染症「ヘルパンギーナ」について、県内の定点当たりの発生が6月28日~7月4日の週に6・55人となり、警報レベルの6人を超えたと発表した。県内のヘルパンギーナの流行が警報レベルを超えたのは07年7月以来約3年ぶりとなる。
 県によると、ヘルパンギーナは初夏から秋に流行する。口などからウイルスが入り込んで感染し、高熱やのどの痛みといった症状が出る。うがいや手洗いが予防策になる。夏は咽頭(いんとう)結膜熱(プール熱)や手足口病などの感染症も流行するため、県は注意を呼びかけている。

(院長のつぶやき)今夏の要注意感染症はヘルパンギーナではなく、ズバリ「手足口病」です。

任意接種」疾患の症状、ワクチンの効果は?

(2010年07月08日:キャリアブレイン)

 ワクチンで予防可能な疾患(VPD)だが、予防接種法で位置付けがなく「任意接種」となっている疾患について、臨床症状や患者数、ワクチンの導入によって期待される効果などをまとめた「ファクトシート」が、7月7日の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会に提出された。それぞれの疾患のファクトシートの内容を整理した。

■ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(ヒブ)

 ヒブ感染症の臨床症状は、髄膜炎、菌血症、急性喉頭蓋炎、化膿性関節炎など。感染防御に不可欠とされるポリリボシルリビトールリン酸(PRP)に対する抗体価は年齢とともに上昇するため、ヒブ感染症は乳幼児が主体になる。日本で小児100例の血清中抗PRP抗体価を調べたところ、44例で感染防御に十分な抗体価が認められず、特に2歳未満の40例では6割に当たる24例で抗体価が低かったと報告されている。

 米国CDC(疾病予防管理センター)は、1990年代からのヒブワクチンの定期的な使用によって、5歳未満の子どものヒブ感染症は99%減少し、10万人に1人より少ない発生率になったと報告している。

 日本でヒブワクチンが導入されれば、患者治療費などの削減により、接種費用を考慮しても年間82億円の費用削減が期待されるとの推計がある。

■肺炎球菌

 肺炎球菌は、特に乳幼児では、血液中に侵入して菌血症を起こすことがある。菌血症から髄膜炎を来すと、発熱、頭痛、意識障害などの症状が見られる。また、髄膜炎が治癒した場合でも、難聴や四肢麻痺、てんかんなどの重度の後遺症が残ることがある。抗菌療法が発達した現代でも、肺炎球菌性髄膜炎の予後に改善は見られず、治癒88%、後遺症10%、死亡2%と報告されている。
 罹患率は、昨年は髄膜炎が5歳未満人口10万人当たり2.6人、髄膜炎以外の侵襲性感染症が同21.0人だった。

 米国では、小児用の7価コンジュゲートワクチンに含まれる血清型による5歳未満の侵襲性感染罹患率が、ワクチン導入前の人口10万人当たり年81.9人から、導入後には同0.4人にまで減少した。また、ワクチンを接種した小児だけでなく、接種していない成人の感染も減少する「集団免疫効果」があった。

 日本での7価コンジュゲートワクチンの接種率を100%、接種回数を4回とした場合、接種の総費用296億円に対し、削減される費用は中耳炎で610億円、髄膜炎で34億円、菌血症で29億円、肺炎で14億円の総額687億円との試算がある。また、米国と同様の集団免疫効果を期待した場合、肺炎による入院医療費の削減額は5年間で613億円と推計されている。

■ヒトパピローマウイルス

 ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染は、子宮頸がんや尖圭コンジローマなどの発症の原因になる。
 日本では、2008年に5709人が子宮がんで死亡したとされている。内訳は子宮頸がん2486人、子宮体がん1720人、どちらか不明ながん1503人。年齢別では、30歳代後半から死亡率が増加している。
 海外でHPVワクチンの接種が始まったのは06年。HPV感染から子宮頸がん発症まで10年以上の潜伏期間があるため、HPVワクチン導入が子宮頸がんの患者や死者の減少につながるかどうかはまだ分かっていない。

■ポリオ

 ポリオワクチンは、経口生ワクチン(OPV)と不活化ワクチン(IPV)が実用化されているが、日本では国産のIPVは承認されていない。OPVを使用していた諸外国では、ワクチン関連麻痺などのリスクを考慮して、IPVへの切り替えを進めている。
 08年の報告では、欧米を中心に30か国がIPVのみで、ベラルーシやポーランドなど9か国がIPVとOPVを併用して予防接種を行っている。

■百日ぜき

 百日ぜきは、主にワクチン接種前の乳児やワクチン未接種の小児が感染する。しかし、近年ではワクチンの効果が減退した青年・成人層の感染が新たな問題となっており、青年・成人の保菌者が乳幼児の感染源になると指摘されている。
 日本では現在、生後3か月からジフテリア・破傷風・百日ぜき三種混合ワクチンの接種を開始している。一方、米国では「大人から子ども」への感染防止を目的に、05年に青年・成人用三種混合ワクチンの使用を認可している。

(院長のつぶやき)この資料は小児科医が求めて探しても手に入らなかった貴重なものです。是非データを元に議論していただきたい。
 日本の医療行政の特徴として、保険診療点数には敏感ですが、予防医療のコスト削減評価には鈍感です。先を見越して行動できる政治家・官僚はいないのでしょうか?

Hibワクチン11%が助成 任意接種で自治体調査

(2010年7月8日:共同通信社)

 費用が自己負担となる任意接種のワクチンに対し、これまでに公費助成を決めた市区町村は、細菌性髄膜炎の原因となるインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンで11・7%、小児用肺炎球菌で0・6%、子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)で6・5%に上ることが、厚生労働省の調査で7日、分かった。
 厚労省は「予防接種への関心の高まりを反映した」とみている。
 2007年に承認されたHibワクチンへの助成は08年度は4自治体だったが、10年度は204と増加。1回8千円前後の費用の半額程度の助成が多かった。
 昨年承認されたHPVワクチンへの助成は114自治体。このうち3分の2は1回1万3千~1万7500円かかる費用の大半を補助する。
 高齢者向けの肺炎球菌ワクチンは18・8%の自治体が助成していた。
 厚労省の予防接種部会は、定期接種に新たに含めるワクチンなどを検討中で、早ければ年内にも結論が出る見通し。

(院長のつぶやき)下のニュースと同じソースですね。ヒブワクチン助成、想像していたより多い印象です。

子宮頸がんワクチン、114自治体が公費助成

(2010年7月7日:読売新聞)

 任意で接種する予防ワクチンの費用に対し、公費助成をしている自治体が増加傾向にあることが、厚生労働省が7日発表した調査結果で明らかになった。
 昨年12月に接種が始まった子宮頸がんワクチンは、半年で3回の接種(1回につき1万3000~1万7500円)が必要で、公的助成しているのは全国の114市区町村(6・5%)に上る。多くは1回当たり1万2000円以上助成している。
 乳幼児が細菌性髄膜炎を引き起こす「インフルエンザ菌b型」(Hib=ヒブ)の予防ワクチンについては204の自治体が、以前からある水痘(水ぼうそう)ワクチンやおたふくかぜワクチンも、それぞれ59、61自治体が公費助成を行っており、近年増加傾向にある。
 厚労省は「住民のワクチンに対する関心の高まりが背景にあるのでは」と分析している。同省の予防接種部会は、これら任意接種ワクチンを定期接種にすべきかどうか検討しており、年内に結論を出す方針だ。

(院長のつぶやき)厚労省が統計を取っているのが、何かヘンですね。

予防接種受けてたのに… 百日ぜき 大人に流行

(2010年7月6日:東京新聞)

 長期間せきが出続ける百日ぜきが、大人の間で流行している。百日ぜき菌による感染症で乳幼児の疾患とされていたが、二〇〇七年に大学で集団感染があり、大人の間での感染拡大が分かってきた。流行の原因は、乳幼児期に受けたワクチンの免疫効果の減少のようだ。 
 百日ぜきの主症状は「長く続くせき」だ。乳幼児だと激しくせき込み、息を吸うときに高音を伴うけいれん性の発作が続く。せきは場合によっては数週間続く。重症化すると死亡したり、後遺症となることもある。
 大人では重症化ケースは少ないが、長期間せきが続き、夜間にひどくなる場合が多い。せきぜんそく、風邪などと判別しづらいため診断がつかず、気付かないうちに周囲に感染を広げることがある。
 「2007年までは呼吸器科医の間で、大人の病気とは考えられていなかった」。呼吸器疾患に詳しい「白金呼吸器・アレルギー科クリニック」(東京都港区)の竹内聡美院長は指摘する。百日ぜきは新生児期からかかる可能性があり、乳幼児に多かった。だが同年、香川大(高松市)や高知大医学部(高知県南国市)の学生らの間で集団感染が起こり、「認識が変わった」(竹内院長)。今年も東京大など複数の大学で感染者が出ている。
 国立感染症研究所感染症情報センターによると、全国約三千カ所の小児科医療機関から寄せられた発症報告のうち、二十歳以上の占める割合は2000年には2%だったが、2007年に31%。今年(六月中旬まで)は51%と、成人の発症数が半数を超えた。同センターの安井良則・主任研究官は「成人患者が確実に増えている」と語る。
 報告件数も増加、六月中旬の一週間の報告数は二百八十八件で、昨年同時期(百四十六件)の約二倍だ。都道府県別では東京と千葉が最多で、次いで神奈川が続く。
 大人に広まっている理由について、北里大の中山哲夫教授(ウイルス感染制御学)は「欧米に比べて予防接種の回数が少なく、十分な免疫が持続していないため」と説明する。「流行が認識され、診断がつかなかった症例が百日ぜきと診断されるようになったこと」も背景にある。
     ◇
 百日ぜきの予防接種はジフテリア、破傷風とともに三種混合ワクチン(DPT)として、乳幼児期に計四回接種する。ジフテリアと破傷風は十一、十二歳で追加接種(DT)があるが、百日ぜきはない。接種後に自然罹患(りかん)による免疫の持続がなければ、ワクチンによる免疫持続期間は「五~十年程度と考えられている」と中山教授は話す。
 実際、日本ワクチン学会のワクチン推進ワーキンググループが〇八~〇九年に行った臨床試験で、乳幼児期にDPTの接種を受けた十一、十二歳の二百六十六人の免疫を調べたところ、約半数に当たる百二十二人が予防に有効と考えられる免疫を下回った米国では大人の感染拡大を受け、十一、十二歳への百日ぜきを含んだ混合ワクチン接種を開始、効果を挙げている。臨床試験の結果をまとめた中山教授は「大人の流行で、ワクチン接種前の新生児への感染の危険性が高まる」と指摘、「十一、十二歳ごろに追加接種の必要がある」と語る。
 治療にはクラリスロマイシンなどマクロライド系の抗生物質が有効だ。
 大人の場合、症状がせきだけだと医療機関を受診せず、感染を広げてしまう可能性がある。長引くせきには注意が必要だ。「抗生物質を服用して五日ほどで菌が消失する。その間はマスクを着けて、乳幼児や高齢者との接触を避けて」と竹内院長は助言する。

まれに人にも感染します 口蹄疫「正確な情報を」

(2010年7月5日:共同通信社)

 まれに人にも感染するが、症状は軽く、すぐに治る―。4月以降、宮崎県で家畜への被害が広がった口蹄(こうてい)疫について、国や県は「人には感染しない」と断定的な表現で広報してきたが、専門家は「言葉が足りず、正確ではない」と指摘。リスクに関する情報を一般の人にも分かりやすく、客観的に伝える「リスクコミュニケーション」の在り方が問われそうだ。
 広辞苑(岩波書店)は「人にも感染することがある」と記載。岩波書店の編集部は「専門家にチェックしてもらったが、問題ないとの結論になった」とする。宮崎での発生を受け、読者からは「本当か」と問い合わせがあった。
 人への感染可能性について、山内一也(やまのうち・かずや)東大名誉教授(ウイルス学)は「研究所で高濃度のウイルスに毎日さらされた場合などに、ごくまれに感染する。『感染しない』という科学的に正しくない表現は、かえって風評被害を招く」と話す。1997年に台湾で発生した際には、現地で「人に感染する」という情報が誤解や憶測とともに広まり、豚肉の価格暴落が起きたという。
 山内名誉教授によると、口蹄疫は、国際ウイルス学会などで「人獣共通感染症」として取り上げられている。ただ、人が感染しても軽い発熱があったり口内炎になったりする程度で、すぐに治る。インフルエンザなどと違い、人から人へ感染が広がる可能性も極めて低い。
 食品安全委員会は4月に「人が感染することはない」と広報した。同委員会事務局の担当者は「注意書きを入れるか議論になったが、余計な不安を国民に与えないよう見送った」と説明。農林水産省も「日常生活で人が感染することはない。風評被害を防ぐため『感染しない』と表現している」との立場だ。

(院長のつぶやき)風評被害を防ぐのは「正しい情報提供」です。ウソはパニックを引き起こします。

「百日ぜき」急増中 過去10年で2番目の多さ

(2010.7.4:産経新聞)

 長期間せきが続く百日ぜきの感染報告が急増していることが4日、国立感染症研究所の調べで分かった。6月20日までの1週間で、1医療機関当たり0.09人の報告があり、過去10年間で最多だった平成20年のピーク時の0.11人に次いで2番目の多さになっている。厚生労働省は「予防接種前の子供が発症すると重症化し死亡する可能性もある」と注意を呼びかけている。
 百日ぜきは「百日ぜき菌」による感染症で、熱は出ないケースが多い。長期間のせきが特徴で、1~2カ月続くこともある。インフルエンザと同様、くしゃみやせきなどによってうつるといい、マスクや手洗い、うがいなどが感染防止に有効とされる。
 成人が重症化することはまれだが、子供は肺炎や脳症など重い合併症を併発することがあり、過去10年で5人が死亡している。
 感染研によると、春から夏にかけて流行することが多い。今年は5月中旬から報告が増え始め、同月末には昨年のピーク時(同0.07人)に並び、6月中旬時点では20年のピーク時に迫る勢いになった。
 増加の原因などは不明だが、20歳以上の成人の感染が目立つのが最近の特徴で、今年も成人が51.3%と過半数を占める。
 最も有効な予防策はワクチンだ。厚労省は予防接種法に基づく定期接種としてジフテリアと破傷風のワクチンを入れた三種混合(DPT)ワクチンを接種しており、十数年は効果があるとされる。ただ、対象は生後3カ月以上なので、小さい子供は受けていない場合がある。
 厚労省は「成人は、自身が重症化しなくても、予防接種を受ける前の子供にうつしてしまう懸念がある。せきが続く場合は、人ごみや小さい子供との接触を避けてほしい」と話している。

大分県内で手足口病猛威 県「発症したらすぐ病院へ」

(2010年7月3日:毎日新聞社)

 小学校低学年までが感染する「手足口病」が県内で猛威を振るい始めた。6月21-27日の感染者数は1定点医療機関あたり9・67と全国平均(2・56)の4倍近く。ここ10年で最も流行した01年(最高25・67)に次いでいる。県健康対策課は「まれに合併症で重篤化するので、発症すればすぐ病院へ」と呼び掛けている。
 手足口病は、口の中や手のひら、足底など四肢末端に2-3ミリの水疱(すいほう)が発生。口の中が痛くて食事ができなくなる。普通は数日で治るが、脳に影響を与えたり、髄膜炎や心筋炎を起こすこともあるという。腸で増殖するウイルスが原因で、夏場に飛沫(ひまつ)、接触、経口感染しやすい。

(院長のつぶやき)手足口病には特効薬はありませんので「発症したらすぐ病院へ」行っても意味がありません。意識障害やけいれんが起きたら開業医ではなく「入院施設のある病院」へ行く意味はあります。

手足口病:流行警報 県、手洗いの励行呼びかけ /滋賀

(2010.7.3:毎日新聞)

 重症化すれば髄膜炎など中枢神経系の合併症にもつながる「手足口病」が流行していることから、滋賀県は2日、初の発生流行警報を発令した。
 県内7保健所のうち3所(草津・東近江・高島)で1医療機関あたり患者が基準の5人を超えた。全体でも1日現在、1機関あたり4・97人(全国2・56人)となっている。
 手足口病は主に乳幼児の口内や手足に発疹ができるウイルス性感染症。ワクチンがなく、中国では昨年、数十人の死者が出た。今年は特に重症化しやすいウイルス「EV71」が流行。接触や飛まつで感染するため、県は手洗いの励行などを呼びかけている。

(院長のつぶやき)先日は愛知県でも流行のニュースが流れました。

日本脳炎ワクチン(上)3歳児対象に接種再開

(2010年7月2日:読売新聞)

 2005年から事実上中断されていた日本脳炎の予防接種が、新しいワクチンの承認に伴い、今年4月から再開された。
 日本脳炎は、豚などの体内で増えたウイルスが、蚊を媒介して人に感染する。人から人へは感染しない。
 感染しても大部分の人には症状が出ない。発症するのは、100~1000人に1人とされるが、もっと少ないとの見方もある。
 ただし、いったん発症すると高熱や頭痛、吐き気などが数日間続き、意識を失う、けいれんを起こすなどの重症に陥る。脳の温度を下げるなどの集中治療が必要だが、20~40%が死亡し、回復しても半数程度は発達障害やまひ、てんかんなどの後遺症が残るとされる。
 日本脳炎ワクチンは、国が定めた定期接種だ。しかし接種後に重い障害(急性散在性脳脊髄炎=ADEM)で寝たきりになった子供が出たため、05年に厚生労働省が「積極的な勧奨を差し控える」と発表し、事実上、中断されていた。
 ADEMは脳や脊髄に炎症が起きて頭痛や意識障害などの症状が表れる。ほとんどは回復するが、まれに後遺症が残ることがある。
 厚労省によると、従来のワクチンは、接種後70万~200万回に1回ADEMが起きるとされた。製造工程でマウスの脳を使うのが原因ではないかとして、別の動物細胞を使った新しいワクチンが09年2月に承認された。これを受け、同省は10年4月、初回接種の標準年齢である3歳児を対象に「勧奨」を再開すると自治体に通知した。
 日本脳炎の患者数は予防接種や環境の変化で激減し、特に1992年以降は年間10人未満。05年から09年までの中断期間に発症した子供は熊本県で2人、高知県で1人で、いずれも命は取り留めた。患者は九州、中国、四国地方で多い。ただし、日本脳炎ウイルスの抗体を持つ豚は、西日本を中心に全国にいる。
 新ワクチンの副作用報告は、09年6月から10年1月までに、発熱、全身の発しん、けいれんなど22件あるが、ADEMはない。ただし、因果関係は不明だが、同じ細胞を使って作った別の病気のワクチン接種後にADEMが出た例があり、「今後も慎重に監視を続けたい」(厚労省)という。
 日本小児科医会常任理事で及川医院(島根県出雲市)院長の及川馨さんは「日本脳炎の患者は減っているものの、発症すると確実に治す方法はない。特に発生が多い地域の子供は早めに接種してほしい」と話す。

日本脳炎ワクチン(下)定期接種 対象年齢に注意

(2010年7月5日:読売新聞)

 今年4月から“再開”された日本脳炎ワクチンの予防接種について、7歳8か月の子供を持つ東京都の主婦から、質問のファクスをいただいた。
 主婦の住む市では6月から、3歳児に対し日本脳炎の予防接種開始の通知が送られている。この主婦の子供の場合、事実上中断されていた期間に接種年齢を迎えたため受けていないにもかかわらず、今回の通知の対象にはなっていない。
 日本脳炎ワクチンは、国が定めた定期接種の一つで、計4回の接種が必要だ。
 1期は生後6か月から7歳6か月未満の間に2回(標準年齢は3歳)、その1年後に追加接種を1回、2期は9歳から13歳未満の間に1回(標準年齢は9歳)と、受ける時期が決まっている。
 ワクチン接種後に重い障害で寝たきりになった子供が出たため、2005年に厚生労働省が「積極的な勧奨を差し控える」と発表し、事実上中断されていた。新しいワクチンが承認され、10年4月、国から勧奨接種を再開する通知が自治体に出された。
 新ワクチンはまだ十分な量が製造されていないことから、当面は3歳児のみが対象とされた。
 ただし、勧奨を受けていない年齢の子供でも、予防接種は可能だ。
 厚労省によると、生後6か月から7歳6か月未満であれば、通知がなくても定期接種で受けられる。定期接種なら、ほとんどの自治体では無料で受けられ、重い副作用に対しても予防接種法に基づく補償が行われる。
 9歳から13歳未満の子供も、7月中にも国の規則が改正され、定期接種で受けられるようになる見通しだ。中断で接種の機会を逃してしまった子供は、1期で受けられなかった回数分を定期接種で受けられる。

 問題なのは、冒頭の方のように、7歳6か月-9歳未満の子供だ。定期接種の年齢に当たらないため、9歳になるまで待つか、今すぐ受けるならば任意接種として受けるしかない。しかし、任意接種では基本的に全額自費負担をしなければならず、万が一、重い副作用が起きても予防接種法での補償対象にならない。通常の薬の副作用と同じ扱いになり、定期接種のような手厚い補償は受けられない。

 「ワクチンの量がまだ十分でなく、優先順位を考慮した」(同省結核感染症課)というが、この対応に疑問の声も上がっている。
 日本脳炎の患者は近年、年間数人程度。だが、感染の危険は低いとは言え、ゼロではない。日本赤十字社医療センター(東京・広尾)小児科顧問の薗部友良さんは「国の対応で接種の機会を逃した子供は、すべて定期接種で打てるようにしなければおかしい」と訴える。

日本ポリオ研、2010年内に混合ワクチン用不活化ポリオワクチンの製造体制整備

(2010/07/02:CareNet)

 日本ポリオ研究所は、ジフテリア、破傷風、百日咳の3種混合ワクチン(DTPワクチン)にポリオワクチンを加えた4種混合ワクチン開発の進捗にあわせて、年内にも不活化ポリオワクチン(IPV)の製造施設の再整備を終了する。厚生労働省はワクチンメーカー4社に対し、IPVを加えた4種混合ワクチンの開発を急ぐよう今年4月に要請しており、早ければ今年末にも2社が申請する見通し。日本ポリオ研究所のIPVはこの2社に供給される。
 ポリオワクチンには弱毒ウイルス株を用いたOPV、強毒ウイルス株を用いたIPVの2種があり、より安全性が高いとされるIPVに移行してきた。弱毒株のセービン株によるOPVのみ製造していた日本ポリオ研究所は独自にIPVを開発し厚労省に申請していたが、2005年にGCP問題で申請を取り下げた経緯がある。
 日本でポリオは根絶されたものの、世界では流行地域があるためワクチン開発の必要性が残されており、またポリオワクチンは投与の利便性を高めた混合ワクチンが主流になっている。日本でもDTPとの混合ワクチン開発が始まり、日本ポリオ研究所のIPVが使われることになった。
 混合ワクチンを開発しているのは阪大微生物病研究会(阪大微研)、化学及血清療法研究所(化血研)、北里研究所・第一三共・サノフィパスツール。また武田薬品工業が臨床開発を準備中だ。日本ポリオ研究所は阪大微研、化血研にIPVを供給することになっており、単剤開発時に用意していたIPV施設の手直しを進めている。
 OPVの生産能力は年間300万人分だが、IPVは約500万人分になる。日本ポリオ研は4種混合ワクチン承認後、生産要員を50人弱から若干増員しIPV生産に切り替えていく予定だ。
 日本ポリオ研は武田薬品とはセービンIPVの種ウイルスの提供、研究、開発、製造に関して契約。同契約により武田は、日本ポリオ研のIPVワクチンとIPV混合ワクチンの全世界での開発、製造、企業化権利を獲得している。

Copyright:化学工業日報社

乳児への肺炎球菌ワクチン接種の費用対効果:オランダ

(2010/07/02:CareNet)

 オランダで行われている全乳児への7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV-7)の4回投与の予防接種プログラムについて、費用対効果に関する研究が行われた。オランダ・フローニンゲン大学薬学部のMark H Rozenbaum氏らによるもので、PCV-7の投与回数を減らした場合や、10価(PCV-10)、13価(PCV-13)のワクチンを用いた場合との比較を行った結果、現行のPCV-7の4回投与は、費用効果的ではないことが明らかになったと報告している。BMJ誌2010年6月19日号(オンライン版2010年6月2日号)掲載より。

PCV-7、PCV-10、PCV-13投与と非投与とを比較

 Rozenbaum氏らは、デシジョンツリー分析モデル(予備研究データにより構築)を用いて、PCV-7、PCV-10、PCV-13の費用対効果をワクチン非投与との比較で検討した。
 コホート母集団の被験児は、オランダ生まれの乳児18万人で5歳まで追跡された。PCV-7の4回投与が始まる前の肺炎球菌感染症の発病率と抗原型に関するサーベイランスデータは、2004~2006年分が入手できた。
 主要評価項目は、コスト、獲得生存年およびQALYs(生活の質を調整した生存年)、増分費用効果比(incremental cost effectiveness)とした。
 ワクチンの効果が5年に及ぶと仮定した条件下で解析した結果、5歳児集団におけるワクチン接種による副次効果(集団感染の抑制)は、推定ネットで認められなかった。PCV-7の4回(3+1)投与で予防できたのは、5歳児で、侵襲性症例は推定71例、非侵襲性症例は同5,778例で、173獲得生存年、277QALYsに相当するものだった。

PCV-7の4回投与はコストの割には効果に乏しい

 PCV-7の増分費用効果比、すなわち1QALYを獲得するのにかかったコストは11万3,891ユーロで、当初、費用対効果があるものとして推計されていた1QALY当たり5万ユーロをかなり上回っていた。
 PCV-7の3回(2+1)投与の場合は、8万2,975ユーロに減っていた。
 また、PCV-10、PCV-13接種の場合は、仮定条件により異なるが、3万1,250~5万2,947ユーロの範囲だった。
 Rozenbaum氏は、「現行のPCV-7の4回投与は、費用効果的ではない。ワクチン非接種者による感染者増加が、ワクチン接種者による集団への副次効果を減じ、ワクチン接種の予防ベネフィットを相殺しているためと思われる。その点、PCV-10、PCV-13接種の方が利点がありそうである。PCV-7についてはワクチンの接種回数を減らすこと、および値段の引き下げでプログラム全体のコストが減らすことができれば、増分費用効果比を寛容できる範囲に減らすことは可能である」と結論している。

(院長のつぶやき)統計学の専門用語が入ってきて私にも十分理解できません・・・もっとも日本では7価ワクチンしか発売されていないので選択ができませんが(涙)。

高温保存のワクチン接種 京都の中学、147人に

(2010年7月2日:共同通信社)

 京都市保健所は1日、同市山科区の市立山科中の1年生147人に行った6月22日の集団接種で、厚生労働省の基準より高い温度で一時保管された麻疹(ましん)・風疹(ふうしん)混合ワクチン(MRワクチン)を使用したと発表した。体調に異変があった生徒は報告されていない。
 市保健所によると、MRワクチンは5度以下で保存するよう規定されている。問題のワクチンは山科保健センター(同区)の冷蔵庫に保管していたが、接種前の22日午前0時から1時間、内部の温度が最高で9度まで上がったことが分かった。
 市保健所は、霜取りの運転に自動的に切り替わったためとしており「担当者がチェックを怠った」としている。

(愛知)手足口病流行で 県、警戒呼びかけ

(2010年7月2日:読売新聞)

 主に乳幼児の手や足などに水ほうができる「手足口病」や夏風邪「ヘルパンギーナ」が流行し始めているとして、県が警戒を呼びかけている。
 手足口病は、乳幼児を中心に夏に流行し、手のひらや足の裏、口の中などに2-3ミリの水ほうができる。かゆみや痛みはほとんどないが、ごくまれに、髄膜炎や脳炎などを併発することもあるという。くしゃみや便などで感染が広がる。
 県によると、県内では6月21日から1週間で、県内の医療機関182か所で平均2・63例(昨年0・29例)の報告があった。
 また、発熱し、のどの奥に水ほうができるヘルパンギーナも、同日から1週間で、平均4・08例(同1・03例)の報告があった。
 手足口病などにはワクチンがないため、うがいや手洗いをし、感染者との密接な接触を避け、予防に心がけることが大切としている。

(院長のつぶやき)お隣の国、中国では「手足口病による乳幼児の死亡が500人以上」と報道されています。日本では重症例はまだ聞こえてきませんが、今後の情報に気をつけたいと思います。

子宮頸がん予防接種 費用助成、知事「今すぐ難しい」 群馬

(2010.7.1:産経新聞)

 群馬県の大沢正明知事は30日の定例会見で、子宮頸(けい)がん予防ワクチンの接種費用の助成について、「予防ワクチンを打つことは非常に意義のあることだと思うが、今すぐ(県が助成)というのは難しい」と述べた。
 県内では、28日に接種費用の全額助成を発表した前橋市をはじめ、榛東村、神流町、上野村が中学1年生らを対象に全額助成を決定している。
 ただ、景気悪化で県税収入が大幅に落ち込む厳しい県財政の中、今年度から子供の医療費無料化を始めたばかりで、大沢知事は「(医療費無料化に)36~37億円かかる。無料化を定着させて、いろいろな角度から検討していきたい」とした。

(院長のつぶやき)昨年「子どもの医療費無料化よりワクチン補助が先」と県知事に意見しましたが聞き流されました。

細菌性髄膜炎の予防接種助成を…函館小児科医会

(2010年6月30日:読売新聞)

 乳幼児の細菌性髄膜炎を予防するため、函館小児科医会(山田豊会長)が28日、ワクチン接種の助成を求める要望書を西尾正範市長に手渡した。
 細菌性髄膜炎は、インフルエンザ菌b型(ヒブ)や肺炎球菌が原因とされ、風邪と似た症状のため早期発見が難しい。約5%が死亡、20-30%に発達障害、難聴などの後遺症が残るとされ、国内では年間1000人以上が発症している。
 ヒブ、肺炎球菌の両ワクチンを接種することで、8-9割の発病を防ぐことができ、世界各国では定期接種化が進んでいるが、国内では2008年12月にヒブワクチン、今年2月に肺炎球菌ワクチンが導入されたばかりだ。費用は1人につき約7万円かかる。
 全国の各自治体で助成の動きが広まっており、同医会によると、ヒブワクチンについては、道内では札幌、旭川、釧路など34市町村(5月末時点)で、費用の全額または一部を負担する制度が導入されている。
 同医会は、市内の乳幼児の保護者ら約1万4400人の署名簿を提出。山田会長は「接種が普及していないのは先進国では日本だけ。中耳炎や肺炎の予防にもなり、効果は極めて大きい」と、公費助成の実現を訴えた。

(院長のつぶやき)全国の小児科医の切実なる願いです。

子宮頸がん予防ワクチン、前橋市が全額補助 中1女子に無料接種

(2010年6月29日:毎日新聞社)

 ◇10月めどに

 前橋市の高木政夫市長は28日の定例会見で、今年度から中学1年の女子生徒全員を対象に、子宮頸(けい)がんの予防ワクチン接種にかかる費用を全額補助すると発表した。市医師会と調整した上で、今年10月をめどに無料接種を開始する。高木市長は「少子化対策や市民の健康を守るという観点から、無料化は大きな意義がある」と話している。市によると、全額補助を表明したのは全国の中核市で初めて。
 子宮頸がんは子宮の入り口付近にできるがんで、国内の発症者は年間約1万5000人、死者は約3500人と推計される。市によると、県内の08年の死者数は41人だったという。発症原因の多くは、性交渉などによるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染。特に発症原因の約7割を占めるHPV16型と18型の予防ワクチンを接種する。
 今年度の中学1年生は約1700人。市によると、ワクチン接種は計3回必要で、費用は最低でも1人当たり計4万5000円必要。市は9月定例市議会に2回分の接種費用として計約5100万円を補助する条例案を提出する。3回目の接種時期は来年度にずれ込むため、来年度予算案に盛り込む。
 子宮頸がんの予防ワクチンは、09年10月に国内での販売が承認された。県内では、榛東村、上野村、神流町が、今年度中にワクチンの無料接種の開始を予定している。県内12市で無料接種を表明したのは前橋市が初めて。

(院長のつぶやき)同じ県なので載せました。前橋が始めれば、他の市町村も右へならえ・・・となることを期待したいですね。

ワクチン由来ポリオウイルス、野生株と同等のリスク示す

(2010年06月28日:NEJM)

文献:Jenkins HE et al. Implications of a Circulating Vaccine-Derived Poliovirus in Nigeria. NEJM. 2010;362:2360-2369
 ナイジェリアで大流行した循環性ワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)の病原性を野生株(WPV)と比較。小児10万名あたりの急性弛緩性麻痺の年間罹患率は1型WPV6.8%、2型cVDPV2.7%、3型WPV4.0%とほぼ同等だった。WPVリスク管理には、cVDPVが同等の病原性を有することを考慮する必要があると著者らは指摘している。

ワクチン産業育成へ日本版ACIPの創設を 有効性・安全性を評価

(2010/6/25:日本経済新聞)

 予防医療の推進や感染症対策の上で、ワクチンが欠かせなくなってきた。この10数年、欧米の先進国に比べて予防接種に慎重姿勢だった日本だが、昨年の新型インフルエンザ発生を契機に、ワクチン産業を本気で育成しようとする機運が高まっている。武田薬品工業など大手製薬会社も参入する方針だ。
 ただ、ワクチンは薬と違い健康な人に打つ。深刻な副作用が起きるとこれまでも社会問題になり、企業にとっては経営リスクが大きい。生物製剤と呼ぶ管理に手間のかかる「生もの」であるうえ、需要は病気の流行に左右される。ワクチン産業をきちんと根付かせるには、米国にあるような予防接種諮問委員会(ACIP)が必要だ。
 日本がワクチンを「軽視」するきっかけになったのは、今から18年前、1992年の東京高裁判決といわれる。種痘やポリオなどの予防接種で死亡したり、重い後遺症が出たりした被害者や家族らが、国を相手取って集団訴訟、被告の国側が全面敗訴したからだ。
 2年後の94年には予防接種法が大幅に改正され、学校での集団接種も取りやめになった。予防接種は「義務」から「努力義務」に切り替わり、産業としてみると、市場は縮小していった。
 ワクチンでは、薬の副作用にあたる言葉を正しくは「副反応」と呼ぶ。人間の体に備わった免疫力を利用して細菌やウイルスの感染を防いだり、発症を予防したりするのがワクチンだからで、接種後の予期せぬ体内反応(副反応)からどうしても逃れられない。作製技術や品質管理が進歩したとはいえ、接種対象者数が多くなると、副反応が「ゼロ」というわけにはいかない。
 新型インフルエンザや口蹄疫(こうていえき)騒動で社会のワクチンへの抵抗感は薄らぎ、追い風が吹いている。ただ、ひとたび予防接種による犠牲者が出ると、風向きが変わることもある。
 ACIPは米政府から指名された産官学の専門家らがワクチンの有効性や安全性などを評価する常設機関だ。メンバーにはワクチン接種に慎重な意見を持つ人もいる。国民を巻き込んで、ワクチンについて話し合い、感染症を減らすために、どれをどの年齢で接種するかなどを決める。権限は強く、政府への勧告はそのまま政策に反映される。
 厚生労働省も日本版ACIP導入を検討している。16日には厚生科学審議会予防接種部会でACIPに詳しい専門家を招き、議論を始めた。
 国立病院機構三重病院の神谷齊名誉院長によると、予防接種には自分の健康を守るほかに次世代の健康や社会を守るという役割もあるという。
 日本版ACIPを創設し、まず、ワクチンや予防接種に対する、こうした共通認識をもつ作業から始めることが必要だ。本質的な議論をさけたまま、前のめりになって産業推進だけをうたうと、手痛いしっぺ返しをくうだろう。

手足口病、死者500人超 中国で流行拡大

(2010年6月25日:共同通信社)

 25日付の中国各紙によると、中国衛生省は24日、手足口病の感染が全国で拡大し、今年に入り乳幼児ら537人が死亡したと発表した。既に昨年1年間の死者数353人を大幅に上回っており、同省は公衆衛生が立ち遅れている農村を中心に予防対策に力を入れるようあらためて呼び掛けた。
 今年の感染者数は累計で98万7千人余りに上り、年間で100万人を超えた昨年に迫っている。衛生省は「手足口病は流行期にあり、情勢は非常に厳しい」と指摘している。

(院長のつぶやき)!?・・・新型インフルエンザよりも死亡者の数が多い・・・この数字本当ですか? そうなら1990年代に台湾で流行し子どもの死者が多数出て問題になった「エンテロウイルス71型(EV71)」以来の大問題です。今シーズン、日本でもEV71が検出されているという情報があります。この夏は要注意ですね。

ペット感染症 ペットからの感染注意 かまれる、ふん吸い込む…過度な接触避け清潔に

(2010年6月25日:毎日新聞社)
 ペットとふれあう中で感染し高熱などの症状が出る「ペット感染症」。感染を放置すれば重症化したり、場合によっては死に至る場合もあるが、飼い主にその存在はなかなか浸透していないのが現状だ。ペット病にはどのようなものがあり、感染を防ぐためにはどうすればいいのか。適切なペットとの付き合い方も含め専門家に話を聞いた。
 ペット感染症に詳しい公立八女(やめ)総合病院(福岡県八女市)の吉田博企業長(内科)によると、動物から人に感染する「動物由来感染症」は世界で約150種類が知られている。日本国内では腸管出血性大腸菌感染症など約50種類が確認されており、うちペット感染症は約30種類と半数以上を占める。

 ■猫ひっかき病

 このうち感染者が最も多いとみられるのが「猫ひっかき病」だ。病原菌に感染した猫にかまれたり、引っかかれたりして感染し、傷口やリンパ節が腫れ、発熱などの症状を引き起こし、海外では死者が出たとの報告もある。国内の死亡例はないが、急性脳症に至ったケースがあるという。
 毎年十数例を治療するという吉田さんの調査では、病原菌を持つ猫ノミが繁殖する7月に患者が増え始める。子猫が増える10月ごろにピークを迎え、寒さが増す12月に終息する傾向がある。男性は20代以下が多く、女性は40代が大半を占める。吉田さんは「若い男性は猫の扱いが乱暴になりがち。40代の女性にはペットに長時間接する主婦が多い。いずれも引っかかれやすいということではないか」と分析する。
 感染を防ぐにはどうすればいいのか。吉田さんは「猫を清潔にすることが最も大切」と指摘し、駆除薬などによるノミ退治を第一に説く。症状が表れた場合は、医師に「最近引っかかれた」「家で猫を飼っている」など猫とのかかわりを説明することも重要という。

 ■カプノサイトファーガ・カニモルサス

 近年は猫と犬の口の中にいる「カプノサイトファーガ・カニモルサス」という細菌の感染症も報告が増えている。犬は7割以上、猫は5割以上が持つとされる細菌で、感染力は弱いが、発症すると敗血症などでショック症状を引き起こし、急激に重症化する。発症のメカニズムははっきりとしないが、これまで国内では02年以降14人が発症し、うち6人が死亡している。
 神戸市立医療センター中央市民病院では、07~08年に4人の患者が運び込まれ、うち2人が敗血症で死亡した。検査を担当した同病院臨床検査技術部の三木寛二副技師長は「血液検査で容易に感染の有無は確認できる。犬や猫にかまれたり、引っかかれた時は、すぐに病院で検査をしてほしい」と呼びかける。

 ■オウム病

 ペットとして人気の高い鳥から移る感染症もある。オウム病は、感染した鳥のふんを吸い込むことで発症する病気だ。ほとんどの鳥類が感染する危険性を持ち、診断した医師は保健所への届け出が義務づけられる4類感染症の一つだ。昨年1年間に全国で21例、例年でも数件から数十件の患者が報告されている。
 東大阪市では、04年に2家族3人のオウム病患者が発生した。患者らは当初、いずれも風邪やインフルエンザなどが疑われた。投薬治療が行われたが、なかなか回復せず転院。その後にいずれも自宅で鳥を飼っていることが分かり、ペット感染症が疑われ、検査でオウム病と診断された。
 国内では複数の自治体が、家庭で飼育されている鳥が持つ病原体の保有データを集めている。東大阪市でも、これまで市内の獣医師会に協力を仰ぎ、犬と猫を中心に複数のペット感染症について飼い主の了解を得ながら病原体の保有状況を確認している。
 オウム病についても、患者発生前の03年から継続的にデータを集めている。昨年度までに約180羽を検査した結果、約2割にあたる35羽が陽性だった。患者は子どもより大人の割合が多い。東大阪市保健所の松田健治主査は「鳥は、かごの中から逃がすと大変なので、子どもより大人が世話をするケースが多いからではないか」と推測する。
 松田さんは「ちょっとしたことで感染は防止できる」と話す。オウム病は、ほこりとして舞い上がった乾燥したふんを吸い込むことで感染する。「まずはこまめにふんの始末をすること。もちろんマスクをすることを忘れないで」と話す。他にも、▽十分に換気をする▽口移しでえさをやるなど過度な接触を避ける▽世話をした後に手洗いを徹底する--なども重要だ。

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 ◆他のペット感染症

【犬・猫】

 ◇パスツレラ症

 かまれたり引っかかれたりして感染する。多くは軽症だが、糖尿病など基礎疾患があると重症化することがある。

【犬】

 ◇狂犬病

 ウイルスに感染した犬にかまれることで感染する。発症すると神経症状や呼吸困難に陥り、ほぼ100%死亡する。

【猫】

 ◇トキソプラズマ症

 ふんに混じった原虫などから感染する。妊婦が感染すると流産する場合もある。

 ◇Q熱

 ふんや尿、胎盤に含まれる病原体を吸い込み感染する。インフルエンザに似た症状が出る。まれに重症化する。

【爬虫(はちゅう)類】

 ◇サルモネラ症

 ヘビやカメなどが菌を保有している。多くの場合、食中毒症状が表れる。敗血症などの重症例もある。

予防接種部会、ACIP日本版設立要望相次ぐ、ワクチン政策舵取りを

(2010/06/22:化学工業日報社)

 厚生科学審議会感染症分科会の予防接種部会は16日、ワクチン政策を舵取りする専門組織の設置に向けて医療界や産業界などの有識者から意見聴取した。有識者からは米国で同政策を司る「予防接種の実施に関する諮問委員会(ACIP)」の日本版の設立を求める意見が相次いだほか、インフルエンザだけでなく幅広く感染症の発生状況を調査・監視する仕組みも必要との声が挙がった。
 国立成育医療研究センターの齋藤昭彦感染症科医長は、米連邦保健省や米疾病管理センターに助言・指導するACIPは「国のワクチン政策に直接影響を与えられる」とその重要性を強調。日本小児科学会の清沢伸幸氏は「長期展望で政策検討するACIP日本版を設置してほしい」と要望。また予防接種のエビデンスを整理するといった役割を担うために「人員と予算をかける必要がある」と語った。
 産業界からは細菌製剤協会の宇野信吾氏が「中長期的にワクチン政策が明確化されれば、的確に開発や生産の計画を立案できる」と述べた。
 一方、日経BP社の北澤京子氏は「感染症サーベイランス体制が不十分なのは感染症対策全般にかかる大きな問題」と指摘し、その体制を充実させる必要性を強調した。
 同部会ではこれらの意見を参考に、専門組織のあり方について議論を進める方針。

(院長のつぶやき)日本の予防接種行政の最大の欠点は、厚労省内で秘密裏に決定がなされること。現場を知らない非専門家が机上の論理でどんどん的外れな通達を出すから現場は混乱し収拾がつかなくなるのです。小児科医の長年の夢「日本版ACIP」設立の実現はいつになるやら・・・

タイの狂犬病死者、5カ月で13人 子犬に注意

(2010/6/21:newsclip.be)

 タイ保健省によると、1―5月にタイ国内で報告があった狂犬病による死者は13人で、バンコク都が6人、西部カンジャナブリ県2人、中部サラブリ県、サムットプラカン県、スパンブリ県、北部ターク県、東部チョンブリ県が各1人だった。感染源は犬が12件、猫が1件で、狂犬病に感染した子犬にかまれたケースが3分の1を占めた。
 日本の厚生労働省によると、狂犬病は狂犬病ウイルスによる感染症で、感染した哺乳類にかまれたり、傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることで感染する。潜伏期間は10日から数年、通常は1―3カ月。発症すると、発熱、頭痛、おう吐、けいれん、幻覚などの症状を示し、液体を飲むとのどがけいれんを起こし、苦しいため水を怖れるようになる。最終段階では犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、大量のよだれを流し、昏睡、呼吸麻痺が起き死亡する。発病すると治療法がなく、ほぼ100%死亡する。狂犬病の恐れのある動物にかまれたら、すぐに傷口を石けんと水でよく洗い、エタノールなどの消毒液があれば消毒する。このとき傷口の唾液や血液を口で吸い出さない。次に、できるだけ早く医療機関を受診し、狂犬病と破傷風のワクチンを接種する。狂犬病のワクチンは複数回の接種が必要。

病欠、発熱の園児は何人? 流行の兆しを早期に把握

(2010年6月21日:共同通信社)

 保育園ごとに病欠や発熱、下痢などの症状がある園児の人数をインターネット経由で入力するシステムを、国立感染症研究所感染症情報センターが21日までに開発した。一定地域の保育園が一斉に利用すれば、インフルエンザや感染性胃腸炎などの流行をいち早くとらえることができ、対策を取るのに有効という。
 システムは同センターが運営。保育園の担当者は毎日、欠席者数や欠席理由、登園後に発熱、頭痛、下痢、嘔吐(おうと)などの症状があった園児数を専用画面で入力する。保育園ごとに集計表やグラフが自動作成され、欠席者などが一定数以上になると、注意喚起のため園医ら関係者に自動で電子メールが届く。
 システムに参加すると近隣の学校での欠席状況も知ることができる。自治体の担当者は、地域の流行状況に応じた早めの対策が可能になる。
 参加しているのは5月現在、全国でまだ約30園だが、一部の自治体では管内の保育園への一斉導入の検討を始めた。
 同研究所は、さまざまな感染症の発生動向を調べているが、報告する医療機関の数は限られ、集計は約1週間ごとで、地域の流行状況の実態を詳細につかむのは難しい。小さな子どもが多く集まる保育園は、多くの感染症の原因となるウイルスや細菌の受け渡し場所になり、地域に感染が広がっていくことが多く、このシステムを感染症の拡大防止に役立ててもらいたい考えだ。

注射より効く「塗るワクチン」用素材を開発

(2010年6月21日:読売新聞)

 インフルエンザウイルスのように鼻やのどの粘膜から感染する病原体を防ぐため、粘膜の免疫力を高める「塗るワクチン」として利用できる素材を、東京大や大阪府立大などの研究チームが開発した。
 21日発行の科学誌「ネイチャー・マテリアルズ」に掲載された。
 ワクチンを注射すると、抗体が血液中にできるが、インフルエンザウイルスは血管から離れた粘膜表面で増殖するため、効果が弱い。粘膜で働く抗体を作るには、粘膜の表面にウイルスや細菌の断片を長期間、付着させる必要があるが、鼻水などですぐに流されてしまうのが課題だった。
 東大の清野宏教授らは粘膜がマイナスの電気を帯びていることに着目し、グルコースなどから、プラスの電気を帯びたゼリー状の物質を合成。この物質に毒性を無くしたボツリヌス菌や破傷風菌の破片を混ぜてマウスの鼻の中に塗ると、粘膜に10時間以上残り、粘膜と血液中の両方に、菌を退治する抗体ができた。
 塗るワクチンは各国で研究が進められているが、ウイルス感染や副作用のおそれがあると指摘される。清野教授は「効果が高く副作用の少ない次世代のワクチンとして期待できる」と話している。

ワクチンで予防できる病気をなくすために 〜看護職に期待される役割

(2010.6.21:週間医学界新聞)
齋藤あや(東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻地域看護学教室修士課程)

 この半世紀においてワクチンの開発が急速に進み,ワクチンで予防できる疾患(Vaccine Preventable Diseases : VPD)が増えている。VPDを減らすためにはワクチン接種が推奨されているが,日本の接種スケジュールは海外に比べ遅れている。そのため日本では,ワクチンを接種しなかったためにVPDに感染し,後遺症を残す症例が後を絶たない。この背景には,日本と欧米におけるワクチン接種制度の大きな差がある。欧米で既に予防接種スケジュールに組み込まれているワクチンが,日本ではいまだに未承認であったり,接種費用が原則自己負担である「任意接種」のワクチンであったりと,世界標準から遅れている現状がある。これらの差は,いわゆる“ワクチンギャップ”とも言われている。
 本稿では,筆者の米国での予防接種業務の経験をもとに,世界標準の予防接種制度を持つ米国を例に挙げ,日本の予防接種制度との違いについて述べる。そして,日本での今後の課題や,予防接種業務において看護職に期待される役割を示したい。

日米の予防接種制度の違い

 日本と米国の予防接種制度を比べると,まず大きな違いは,日本には「定期接種」と「任意接種」が存在することである。米国では国の推奨するワクチンはすべて,国または保険会社が費用を負担する(日本でいうところの「定期接種」に含まれる)
 例えば生後12か月から15か月の幼児に対しては,米国ではB型肝炎,DTaP(百日咳・ジフテリア・破傷風の3種混合),インフルエンザ菌b型(ヒブ),結合型肺炎球菌(PCV),不活化ポリオ,MMR(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹の3種混合),水痘,A型肝炎,の計12種類のワクチンを接種する。さらに,米国で0歳から18歳までに接種するワクチンの数は合計で16種類にのぼる。この中には日本ではまだ承認されていないロタウイルス,不活化ポリオ,髄膜炎菌(MCV4),Tdap(百日咳予防ワクチン)などが含まれる。
 一方,日本では,定期接種としてはBCG,DTP(百日咳・ジフテリア・破傷風の3種混合),経口生ポリオ,麻疹・風疹混合ワクチン,日本脳炎の8種類のみである。米国以外の先進国をみても,日本は定期接種に含まれるワクチンの種類が少ない。
 ワクチンの接種方法も大きく異なる。日本では予防接種は1日1種類,皮下注射が原則であるが,米国に限らず海外では,ワクチンの接種は原則として生ワクチン以外は筋肉内注射で行われている。筋肉内注射は皮下注射と比較して局所反応が現れにくく,免疫原性が高く得られるためである。
 一方,接種種類の多い米国では,乳幼児検診時に,複数のワクチンの同時接種を行っている。12か月から15か月の幼児の例を挙げると,合計12種類,8本のワクチンを同日に接種することになる。その際,接種者の負担を少しでも軽減するために,数種類のワクチンを混合したコンビネーションワクチンが存在する。例えば,DTaPとB型肝炎と不活化ポリオのコンビネーションや,B型肝炎とヒブワクチンのコンビネーションなど,数種類のコンビネーションが存在している。これにより2-3種類のワクチンを1本で接種することが可能で,接種者だけでなく,医療者の負担の軽減につながっている。また,同時接種をすることにより接種率の上昇や,接種者・保護者の時間的負担の軽減につながり,さらには医療費の減少に貢献するという利点がある。

米国の予防接種における看護職の役割

 日本では,医師によるワクチン接種が原則なのに対して,米国においてはワクチンの接種から保護者への説明など,そのほとんどの業務を看護職が行っている。保護者の教育に関しては,米国疾病管理センター(CDC)が作成しているVaccine Information Sheet (VIS)を用いて,ワクチンの副反応やそれに対する対処方法の説明などを行う。また,次回の予防接種スケジュールの確認や,医療機関によっては接種時期間近に案内を郵送するなどして,接種率向上に努めている。
 このように,接種率の向上をめざしワクチンの啓発活動を行っていく上で,看護職の果たす役割は非常に大きい。筆者の居住していた米国カリフォルニア州サンディエゴ市は,米国の中でもとりわけ優秀なワクチンプログラムを試験的に実施している。ここで少し,ワクチンプログラムにおける看護職の活躍を紹介したい。
 米国で高いワクチン接種率を維持している背景には,入学前に月齢に応じた予防接種を完了していることを学校が義務付けていることや,高額な医療費のため治療よりも予防に重点が置かれていること,さらに情報開示を通じての教育が徹底していること,接種率などのサーベイランスの徹底などのさまざまな取り組みがある。
 具体的な例を挙げると,サンディエゴ市では教育機関へのかかわりとして,保健師が小学校入学時の予防接種歴をランダムにチェックし,予防接種率を算出するためのデータを採取する。その際に,保健室の学校保健師へ説明を行ったり,調査結果をレポートとして学校に提示するといったことで継続的に学校への教育が行われている。また,医療機関への教育としては,CDCが行っているAFIX(Assessment;評価/Feedback;フィードバック/Incentive;特典/eXchange information;情報交換 )と呼ばれるシステムを導入している。これは,予防接種を行う医療機関に保健師が出向き,対象年齢の小児の医療記録をランダムにチェックして予防接種歴を調査する。その結果を基に接種が遅れている児たちの状況や要因を分析し,どこに問題があるのか,うまくいっている点は何かなどを医療機関のスタッフと共に考え,対策を立てることで接種率の向上を図るというシステムである。
 またCDCは,予防接種に関する講習会を年に4回(1回3時間),サテライト放送にて行っている。サンディエゴ市では保健所が会場を提供し,保健師や看護師,学校保健の教員などが講習を受講できる。さらに予防接種週間には開業医を対象としたセミナーも開かれるなど,医療従事者への継続的教育が充実している。さらに,一般市民への保健師の啓発活動の一環としては,街のフェスティバルの際にブースを出してシールやペンなどに「Got Shot?(接種した?)」などと書かれている粗品を配布し,啓発活動を展開している。

直接的かかわりから教育・啓発,疫学介入まで

 日本のワクチンの現状として,定期接種と任意接種という分類が接種者側にも医療者側にもいろいろな混乱を生じさせていることや,筋肉内注射や同時接種の是非の問題,副反応に対して過敏な国民性などさまざまな課題が挙げられている。
 こういった国の行政のレベルでしか解決できない問題もあるが,国のワクチン制度の改革と同時進行で行うべきこともある。それは,医療従事者に対する正しい理解の普及やワクチンに関する情報の周知,国民への教育を通じて,ワクチンという素晴らしい手段をどうやって共有していくかを広く情報提供することである。
 同時に,ワクチンの概念は,接種者(個人)だけが病気から守られるものではなく,社会全体で免疫を獲得すること(herd immunity)に本来の意義がある。例えば免疫不全などの何らかの理由でワクチンを接種できない人がいても,周囲がワクチンを接種してVPDを制御できれば,感染は予防できる。これからは,もっと大きなビジョンでワクチンを考えていく必要があるのではないだろうか。そのために,接種者や保護者への直接的なかかわりにとどまらず,教育機関や医療機関への教育,疫学的介入など,今後,看護職に期待される役割は大きいものと考える。

(院長のつぶやき)まっとうな意見ですが、日本人が予防接種に積極的ではないもう一つの理由があります。
 それは日本の子どもの医療費がタダだと云うこと。一方、アメリカの医療費は目が飛び出るほど高いので、自然に「病気に罹る前にワクチンを受けなくちゃ」という気持ちになるそうです(先日帰国した患者さん家族の話)。

小児肺炎球菌ワクチンの接種希望が増加

(2010年6月20日:日テレ)

 子供を病気から守る予防接種の中で、最近、新たに承認され、注目されているワクチンがある。「小児肺炎球菌ワクチン」というもので、現在、接種を希望する親が増えている。
 子供が肺炎球菌に感染するのを防ぐ、小児肺炎球菌ワクチン。今年2月に発売されたばかりだが、川崎市にある「かたおか小児科クリニック」では、一日、約10人の子供が受けに来る。
 肺炎球菌は、日ごろからヒトの鼻やノドにいる身近な菌。しかし、小さい子供、特に2歳未満の乳幼児は免疫がないため感染しやすく、髄膜炎、肺炎、中耳炎などの重い症状を引き起こす場合がある。特に怖いのは、脳の髄膜が感染する髄膜炎で、年間約200人が発症し、そのうち3分の1が死亡したり、重い後遺症が出たりしている。
 かたおか小児科クリニック・片岡正医師は、「髄膜炎は高熱が出て、その後、症状がはっきりするまで時間がかかる。最初(髄膜炎と)わからないことが多く、我々が一番恐れる病気。これを予防するのが一番の大きなポイントだと思います」と話す。
 しかし、問題は費用。世界では、すでに45か国で定期接種(原則公費)になっている小児肺炎球菌ワクチンだが、日本では、受けたい人が自費で受ける任意接種となっていて、費用は一回約1万円。標準の接種回数は4回で、計約4万円が必要になる。片岡医師は、「こういうものは命や健康を守るもので、経済力の差で打てる人と打てない人と、そういう差があってはならない」と話す。
 できる限り多くの子供に小児肺炎球菌ワクチンの予防接種を受けてもらいたい-医師からは、日本でも定期接種に組み込むよう求める声が上がっている。

(院長のつぶやき)当院でも接種希望者が増えています。でも、記事のように経済的負担が重くのしかかります。子ども手当よりも、命を守るための予防接種の無料化の方が優先されるべきではないでしょうか。

【感染症と人の戦い】国立感染症研究所情報センター長・岡部信彦

(2010.6.20:産経新聞)

 ■口蹄疫で知る「命」の現実

 前回のコラムで今年は子供たちの手足口病に注意が必要だと書いた(4月22日付)。その数はさらに増加し依然警戒が続く。ところが牛や豚の間で、人間の手足口病と似たような病名の「口蹄(こうてい)疫(足口病)」の禍が広がった。名前は似ているが、この2つは原因となるウイルスが異なっており、手足口病が動物にうつったり口蹄疫が人にうつったりすることはない。
 人の手足口病と違い、動物(ひづめが2つに割れている偶蹄類)が口蹄疫にかかると、回復には長期間かかり死亡することも珍しくない。感染力も強い。残念ながらまだ被害がおさまらず、宮崎県ではこの口蹄疫で種牛をはじめ、家畜約19万9千頭が殺処分の対象となった(18日時点)。
 私は平成15年から農林水産省の食料・農業・農村政策審議会「家畜衛生部会」の委員をつとめている。動物の感染症や畜産に関して素人同然だが、鳥インフルエンザなど動物の感染症の人への影響を考える立場から参加している。
 今回、口蹄疫対策で牛へのワクチン接種が行われた。しかし、かつて鳥インフルエンザが鶏で流行したときは、鶏へのワクチン接種は行われず、殺処分でおさめた。家畜の感染症対策で、このような違いがでるのはどうしてか。
 鳥インフルエンザ対策の場合、大量にいる養鶏所の鶏1羽1羽に確実に接種するのは難しい。ウイルスは対策網の間を縫うようにして生き続けるので、接種しても結局、流行は収まらない。鳥での流行をおさめなければ、人の健康への影響も心配されるため、鳥インフルエンザの場合、殺処分が最優先となる。
 もちろん、口蹄疫でも感染の拡大を抑えるのは、殺処分が最優先である。しかし今回、口蹄疫ワクチンが牛豚に接種された。ワクチンにより口蹄疫の拡大をある程度抑える間に殺処分を進め、最終的にはウイルスをその地から根絶やしにするためだ。だが、ワクチンも万能ではなく、ウイルスを根絶やしにはできない。ワクチン接種した動物も感染の可能性があり、感染を封じ込めるため、結局、接種した牛や豚も処分されるという運命に変わりはないのだ。人が感染症のワクチンを打つ目的は健康と生命を守るためのもの。だが牛の場合、その生命を守るためではない。ワクチンひとつとっても、人と家畜では目的が大きく違う。
 牛や豚は私たちのために生きて、死ぬ。私たちはこうした経済動物の恩恵の上に生命をつないでいる。大量の牛や豚の殺処分が伝えられることで、普段は見ないで過ごしてきた、「人間が他の生命をコントロールしている」という傲慢(ごうまん)な部分が明らかに見える形となった。
 かつては栄養を得るため、あるいは祝い事のため、庭で飼っていた鶏をつぶして食べるなど、人間の「残酷さ」を知る機会が日常に転がっていたが、今やきれいにラップで包まれた肉の塊、魚の切り身から、それが「命」だったことを想像するのは難しい。
 他の生命をコントロールして人間は生きている。今回、口蹄疫でそんな現実を子供が知ったのではなかろうか。甚大な被害に胸がつぶれる思いがするが、その学びが、食べられることなく生命を失った家畜たちへの、せめてもの鎮魂になるのではないだろうか。

日本脳炎ワクチンの接種再開 保護者の関心高く

(2010年06月16日:日本海新聞)

 2005年から事実上中断していた日本脳炎ワクチンの定期接種が、3歳児を対象に再開された。ウイルスを媒介する蚊が飛ぶ梅雨シーズンを迎え、県や市町村では「蚊に刺されないように注意し、対象者は早めに接種を」と呼び掛けている。
 日本脳炎ワクチンは、予防接種法で定期接種のスケジュールが決められており、標準では3~4歳に3回(第1期)、9歳に1回(第2期)の計4回接種することになっている。
 厚生労働省は05年5月、女子中学生が接種後に急性散在性脳髄膜炎(ADEM)を発症した事例を受けて、従来使用していたワクチンの接種勧奨を中止し、希望者のみの接種に切り替えた。
 しかし、副作用が少ないとされる新ワクチンが開発され、昨年6月から供給開始。今年4月から、初めて接種する3歳児を対象に勧奨した。第2期の接種は、現在のところ使用できるワクチンがない。
 県内の市町村でも5月ごろから対象者に接種券を個別通知し、接種の呼び掛けを始めた。県健康政策課は「今のところ順調。目立ったトラブルはない」という。
 一方で、対象年齢を過ぎて未接種となった子どもは「どうすればいいの?」と保護者から戸惑う声も。鳥取市在住の30代主婦は6月上旬、市内の小児科医院で次男(3)に日本脳炎ワクチンを接種した。次男は市から無料の接種券が5月に郵送されてきたため忘れずに接種できたが、5歳の長男は未接種のままだ。
 「病院から長男については、市に接種券を取りに行くように教えられた。公費で無料接種できる年齢(第1期)は7歳6カ月まで。忘れるところだった」と言う。
 3歳児健診の通知と一緒に接種券を郵送している倉吉市でも、毎日2~3件の問い合わせがある。市福祉保健部保健センターの保健師は「(新ワクチンは)まだ全対象者に勧奨されているわけではないが、保護者の関心は高い」と指摘する。
 鳥取市福祉保健部中央保健センターの担当者は「全国的に接種希望者が急増して、本来の対象児にワクチンが行き渡らないようなことがあっては困る。副作用の問題も理解し、接種についてはかかりつけ医にしっかり相談してほしい」と話している。

(院長のつぶやき)副反応が危険だと停止したのは行政、新ワクチンの安全性も不明なのに(他の国では問題になった危険な副反応は新ワクチンでも発生している)再開したのも行政です。説明責任は行政にあるのが当然です。さらに、接種せずに公費負担期間を過ぎた子ども達を救済できない理由が「ワクチンが足りないから」とは、計画性のなさをまたさらけ出しているだけ・・・情けない。

【次代への一歩】第一三共 感染予防 ワクチン事業全力

(2010.6.17:産経新聞)

 昨年の新型インフルエンザの流行で、国産ではまかなえず緊急輸入に踏み切ったワクチン。世界的大流行(パンデミック)に備えるという意識の高まりに加え、予防による医療費抑制にもつながることから、ワクチンの重要性への認識が高まった。こうした中で第一三共は昨年10月、専門部署「ワクチン事業企画部」を設置し、事業強化を図っている。

 ◆北里研と連携強化

 「先進国では考えられないことだ」。2007~08年にかけ、南関東を中心に麻疹(ましん)が流行した。この事態をワクチン事業企画部の菊池正彦部長はこう嘆く。その背景には、感染症を予防するワクチンの接種率が、日本はほかの先進国に比べて低いことがある。
 日本では1988年に承認された麻疹、風疹(ふうしん)、おたふく風邪を予防する「新3種混合(MMR)ワクチン」。副作用で接種者の1000人以上が髄膜炎を発症し、3人が死亡した。裁判では国の責任を認める判決が相次ぎ、学校での集団接種が原則なくなったことなどから、10、20代で接種率が落ちた。このため、はしかが流行する事態ともなった。
 接種率が落ちたことで、メーカー側もワクチン製造から手を引いた。武田薬品工業が94年にインフルエンザワクチンの生産を中止したほか、旧三共はワクチンを仕入れていた千葉県血清研究所の02年の閉鎖に伴い、ワクチン事業から撤退した
 しかし、これが昨年の新型インフルエンザの流行で“あだ”となった。国内でインフルエンザワクチンを製造するのは、北里研究所(東京都港区)など4メーカーにすぎない。しかも、いずれも生産規模が小さく、輸入に頼らざるを得ない状況に陥った。
 この事態を受け、厚生労働省は昨年末、専門家などによる予防接種部会を新設。2年かけて日本の予防接種を見直し、「欧米に比べて20年遅れている」といわれるワクチン行政改善のため、予防接種法を改正する方針だ。
 第一三共ではこれに先立つ08年12月から、ワクチン事業の強化を目的に北里研とワクチンの研究開発や製造、販売などで提携していた。第一三共が開発に協力し、北里研が生産したワクチンを販売するというものだ。それまでも第一三共では風疹やおたふく風邪などのワクチンを販売してきたが、連携を深め有望なワクチンの事業化を進めていたのだ。
 ワクチン事業企画部の設置は、新型インフルのワクチン不足が懸念されている時期だった。第一三共は現在、北里研との連携をさらに深め、研究開発の強化や生産体制の効率化を図ることで事業拡大を目指している。現在、ワクチン事業は年間約130億円の売り上げがあるが、近い将来、500億円にまで拡大させたい考えだ。

 ◆「公衆衛生の一翼」

 10年度中には麻疹と風疹を予防する「MRワクチン」を発売する予定。数年以内にはジフテリア・破傷風・百日せき・不活化ポリオを予防する「4種混合ワクチン」も発売する方針だ。一般的な注射タイプだけでなく、「皮膚に張ったり、飲んだりと、接種しやすいものも開発していく」(菊池部長)という。
 インフルエンザワクチンでは、13年ごろまでに、強毒性のインフルエンザの大流行時に、半年で5000万人分を生産できる体制を整える方針だ。菊池部長は「打つ順番を決められているというのではいけない。素早く投与できるようにする」と意気込む。
 これに加え、マスコミ向けのフォーラムを通じたワクチンの重要性についての啓発活動なども行っている。「国民が理解すれば、ワクチンの接種率は上がる」(菊池部長)との考えからだ。「公衆衛生の一翼を担っていくという覚悟を持ってやっていきたい。愚直に事業を推し進めていく」。菊池部長の目には一点の曇りもない。

[意見募集] 日本脳炎の予防接種の勧奨再開に伴う実施規則改正

(2010年6月15日 提供:WIC REPORT、厚生政策情報センター)

 厚生労働省は6月15日に、予防接種実施規則の一部を改正する省令(案)に関する意見募集を開始した。今回の改正は、日本脳炎の予防接種実施規則に関するもの。
 日本脳炎については、「定期の予防接種における日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨の差し控えについて(勧告)」(平成17年5月30日付通知)により、都道府県に対し接種の積極的な勧奨の差し控えを求めていた。しかし、現在は、新たに開発された乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの供給実績や副反応報告の状況を勘案し、「日本脳炎の定期の予防接種について」(平成22年4月1日付通知)により、平成22年4月から、日本脳炎の第1期の標準的な接種期間(3歳)に該当する者に対する接種の勧奨を再開した。そのため、接種勧奨の再開に伴い、予防接種実施規則について所要の改正が行われる。
 改正の内容は、(1)過去に接種を受けなかった者に対する接種機会の確保(2)使用するワクチンの追加及び削除-の2点。なお意見は、7月14日まで受け付けている。

(院長のつぶやき)突然中止したときは独断で混乱を招き、再開でワクチンが足りなくて困ると建前の「皆さんのご意見を聞きます」という態度・・・ああ、情けない。
 と思っていたら、これは「実施規則改正」には「30日のパブリックコメント募集」が必須という決まりがあるために出されたもののようです。内容を医師が読んでもよくわからない「お役所文書」となっています。接種を控えている間に定期接種期間を過ぎてしまった子ども達の救済がされるのかどうか、書いてあります?

「打つか待つか」迷う母親 公費助成が普及の焦点に 子宮頸がんワクチン

(2010年6月15日:共同通信社)
 若い女性に急増中の子宮頸(けい)がんを大幅に減らすと期待され、昨年末から自費での接種が始まった子宮頸がんワクチンの普及が進まない。半年間に3回接種が必要で費用は5万円前後という負担の重さがネック。厚生労働省は公費助成の検討に着手したが、いつ結論が出るかは見通しにくい。性体験前の若い年齢での接種が最も有効なため、思春期の娘を持つ母親は「すぐ打つか、助成を待つか」で悩んでいる。
 5月13日。栃木県大田原市郊外にある市立金丸小学校に全国の注目が集まった。小6女児へのワクチン集団接種の、初の実施校になったからだ。
 がんの原因のヒトパピローマウイルスは性交渉で感染する。このウイルスの感染を防ぐワクチンの登場を受けて日本産科婦人科学会などは昨年10月、11~14歳の女子には公費で接種すべきだとの声明を発表した。
 だが、どこも財政難の行政の動きは鈍かった。5月下旬までに約60の自治体が助成を決めたとされるが、全国1750市区町村のごく一部。厚労省予防接種部会での議論も緒に就いたばかりだ。
 そんな中で大田原市は、接種率を高めようと小学校での集団接種に踏み切った。推進したのは前市長の千保一夫(せんぼ・かずお)氏。3回の接種に連れていく保護者の負担や、娘の性交渉というデリケートな問題に「父子家庭が対応できるか」との懸念などに配慮し「市の責任でやろう」と決断した。対象女児の保護者の99%が集団接種を希望したという。
 中学1年の一人娘(12)を持つ大石多歓子(おおいし・たかこ)さん(54)=東京都杉並区=は、大田原市のような学校での接種が「一番助かる」と話す。自身は、子宮頸がんに進行する可能性もある「前がん病変」の疑いを婦人科で指摘され、経過観察中。娘には予防させたい。幸い、杉並区は中1女子へのワクチン全額助成を決めたが「なぜこういう措置が全国一律じゃないの?」と疑問に感じている。
 東京で助成のない区に住む主婦(48)は、どうするか迷っている。中3の娘(14)の性体験はまだまだ先のように思うし、5万円は「ちょっとたじろいでしまう額」だ。娘の学校のPTA仲間とは「助成が出るまで待ちたいね」と話すという。
 悩む母親らに、ワクチンに詳しい吉川裕之(よしかわ・ひろゆき)・筑波大教授(周産期医学)はこう言う。「国の助成の検討には時間がかかる可能性があるし、娘の性体験の時期を親が予測するのも難しい。なるべく早く受ける方がいい」
 ただ、ワクチンで防げるがんは最大でも70%とされ、検診による早期発見が制圧には不可欠だ。自治体検診が20歳から受けられ、早く見つければ子宮温存も可能。なのに検診への理解は進んでいないと、子宮頸がん啓発に取り組む「ティール&ホワイトリボンプロジェクト」理事長の河村裕美(かわむら・ひろみ)さん(43)は心配する。11年前にがんで子宮を摘出し、今も排尿障害などの後遺症に悩む。
 日本の子宮頸がんの検診受診率は20%台で、欧米の70~80%に大きく劣る。「このままではワクチン接種が進んでも、がんを完全にはなくせない。両方を推進する政策を」と河村さんは訴える。

BCG予防接種、有効期限切れワクチンを使う

(2010年6月14日:読売新聞)

 福島県南会津町は14日、昨年5月20日に実施したBCG予防接種で、生後3~4か月の乳児17人に対し、有効期限から約8か月も過ぎたワクチンを使っていたと発表した。
 健康被害は確認されていないという。
 同町によると、担当者は、箱に記載されている有効期限年月日のうち、月と日を確認しただけで、年を見落としていた可能性がある。今月8日、町が接種報告の台帳を、電算入力しようとしたところ、有効期限の記載のない報告が見つかり、発覚。新型インフルエンザへの対応のため、入力作業は大幅に遅れていた。

(院長のつぶやき)有効期限を8ヶ月過ぎていたなんて・・・唖然。この手のトラブルが多すぎますね。

南アフリカ、はしか流行中 ワールドカップ観戦者は予防接種を

(2010.6.12:デイリースポーツ)

 サッカーのワールドカップ(W杯)が開催されている南アフリカでは昨年以降、はしかの流行が続いており、日本の医療関係者は「W杯で現地に行く人で、はしかにかかったことがない人やワクチン未接種の人は、ワクチン接種をした方がいい」と指摘している。
 南アフリカの国立伝染病研究所は、はしかのほか、A型肝炎やインフルエンザ、狂犬病などにも注意が必要と呼び掛けている。
 同研究所によると、昨年初めに北東部で集団発生があり、その後全土に拡大。昨年1月から今年5月に計1万5520人の患者が報告された。現在、予防接種キャンペーンを進めているという。

大人用肺炎球菌ワクチン、乳幼児17人に誤接種

(2010.6.10:読売新聞)

 肺炎や中耳炎、細菌性髄膜炎の原因となる「肺炎球菌」の成人向けワクチンが今年2~5月、2歳未満の乳幼児計17人に誤って接種されていたことが、販売元の万有製薬とファイザーの調査で分かった。
 逆に乳幼児向けワクチンを成人に接種したのも1例あった。健康影響はないとみられるが、成分が違うため効果は不明という。
 厚生労働省などによると、今年2月に乳幼児向けワクチン発売後も、医療機関が卸業者に乳幼児、成人向けで異なる製品名を指示せず発注したことが原因。両社は7日、医療機関と卸業者に製品名に注意するよう呼び掛けた。

(院長のつぶやき)そうなんです。肺炎球菌ワクチンには大人用(ニューモバックス)と子ども用(プレベナー)があるのです。受ける側ならいざ知らず、接種する側の医師でも知らない人がいたとは驚きというか情けないというか・・・。

米国少女のHPVワクチン接種率は3人に1人

(2010.6.4:日本経済新聞)

 米国では、13~17歳の少女でヒトパピローマウイルス(HPV)を予防するワクチンを受けているのは3人に1人にとどまることが、新しい研究により示された。このワクチンは子宮頸癌(がん)との強い関連がみられる4種類のHPV株を標的とするものであり、2006年に米国食品医薬品局(FDA)により承認された(商品名:Gardasilガーダシル、※日本では未承認だが、別の製品が承認済み)。
 今回の研究では、デラウェア、ニューヨーク、オクラホマ、ペンシルバニア、テキサスおよびウエストバージニアの6つの州で1,700人強の少女のHPVワクチン接種率を分析した。このデータは、行動危険因子(リスクファクター)サーベイランスシステム(BRFSS)と呼ばれる全国的な電話調査により収集したもの。この調査ではHPVワクチンに関する部分は任意であり、回答に応じたのは6州にとどまったが、この6州は米国の都市部と郊外、富裕層と貧困層、人種および民族構成をよく反映していると、筆頭著者である米ワシントン大学(セントルイス)医学部のSandi L. Pruitt氏は述べている。
 人種によるワクチン接種率の差は認められなかった。有色人種、特にヒスパニック系の女性の子宮頸癌リスクが高いことから、この事実は重要であるとPruitt氏はいう。高学歴の親をもつ少女はワクチン接種率が高かったが、世帯収入が多いほど接種率は低下した。これは、富裕層では子どもにワクチンを一切受けさせない選択をする親が増えているためだと思われるという。
 この研究は、医学誌「American Journal of Preventive Medicine(予防医学)」5月号に掲載された。米国では、昨年(2009年)中に子宮頸癌と診断された女性は推定1万1,000人で、このうち4,000人が最終的に同疾患により死亡すると予測されている。米国癌協会(ACS)および予防接種実施に関する諮問委員会(ACIP)では、少女および若年女性が同ワクチンを3回接種することを推奨している。

(院長のつぶやき)当院でも4月に受け付けを開始しましたが、いまだに希望者はゼロ行進中です。やはり「3回5万円」の値段がネックですねえ。

全寮制高校でO157感染 17人入院、食中毒症状

(2010年6月3日:共同通信社)

 三重県は2日、津市の全寮制、日生学園第二高校(生徒約420人)で、病原性大腸菌O157による集団感染が発生し、17人が入院したと発表した。
 県によると、約120人の生徒らが下痢や嘔吐(おうと)などの食中毒症状を訴えた。うち5人からO157が検出され、津保健所が感染を確認した。入院した17人は血便や脱水の症状が出ているが、重症ではないという。このほか約100人が頭痛などの体調不良を訴えており、保健所が感染原因や経路を調べている。
 同校では先月26日から腹痛や吐き気を訴える生徒が現れた。津市の給食業者に食材を委託し、校内で調理、生徒は朝昼晩とも校内の食堂を利用しているという。保健所は調理場に立ち入り、調査を進めている。
 この業者が食材を搬入している別の学校でも2日、50人以上の生徒が体調不良を訴え、うち4人が感染性胃腸炎と診断されたという。県が関連を調べる。

(院長のつぶやき)総勢300人?・・・大規模な食中毒です。

西日本中心に「手足口病」増加…大半は5歳以下

(2010年6月2日:読売新聞)

 主に乳幼児の手や足、口内の粘膜に水ぶくれができる「手足口病」が西日本を中心に増え続けている。5月23日までの1週間に全国約3000の小児科定点医療機関から報告された患者数は、前週より倍増した。
 国立感染症研究所は、手洗いを促すとともに、髄膜炎などを起こして重症化するおそれがある「EV71」(エンテロウイルス)というウイルスが検出例の6割を占めることから「発熱が続く場合は早めの受診を」と呼びかけている。
 感染研によると、定点あたりの報告患者数は全国平均で1・41人。前週の0・74人を大きく上回り、過去10年の同時期と比べて最も多い。都道府県別では愛媛(10・2人)、山口(6・1人)、大分(4・3人)、高知(4・2人)の順。大半は5歳以下という。

青森・西目屋村、全額公費で子宮頸がんワクチン接種へ

(2010年6月2日:毎日新聞社)

 西目屋村は1日、小学6年生と中学1年生を対象に、唯一予防できるがんと言われる子宮頸(けい)がんの予防ワクチンを全額公費負担で集団接種すると発表した。4日開会の村議会に事業費を盛り込んだ補正予算案を提案し、7月から実施したい考え。ワクチンを販売しているグラクソ・スミスクライン社(東京)によると、自治体が全額助成で集団接種するのは栃木県大田原市に次ぎ全国2例目という。
 対象は小学6年生(4人)と中学1年生(5人)で、保護者の承諾を得て行う。ワクチンは1回1万6000円で、7カ月間に3回接種し、予算額は計49万5000円。来年度以降も小学6年生を対象に継続する方針。
 また、生後2カ月-2歳未満の乳幼児13人にも髄膜炎などの予防のためヒブワクチン接種1回分(7000-9000円)を助成する方針。

(院長のつぶやき)ワクチン公費補助は都市部が牽引役と思いきや、蓋を開けてみると過疎に悩む自治体が「子育てしやすい土地ですよ」と宣伝目的で補助する傾向があるような気がします。

百日ぜき、半数以上は大人 追加接種求める意見も

(2010年5月31日:共同通信社)

 感染するとしつこいせきが長期間続き、乳児では死亡する場合もあるため、子どもの流行が警戒されてきた百日ぜきで、大人の患者が急増し、今年は小児科から報告される患者の半数以上を20歳以上が占めていることが国立感染症研究所の分析で29日、分かった。
 同研究所は「現状のまま有効な対策をとらなければ成人を中心とした流行が毎年継続的に発生し、大人から乳児への感染の増加が懸念される」と指摘。現在の乳幼児期に加え、思春期などにワクチンを追加接種する方法を早急に検討すべきだとしている。
 同研究所は、全国約3千の小児科定点医療機関からの報告を集計。今月16日までの1週間の患者数は134人で、この時期では過去10年で2番目に多い。都道府県別では神奈川が20人と最も多く、次いで千葉が18人など。百日ぜきは夏に患者が多いため、今後増加が予想される。
 近年は大学で集団発生が確認されるなど大人の患者が多い傾向があるが、今年は5月上旬までに報告された患者全数のうち20歳以上が56・0%で、2000年以降で大人の割合が最も高い。
 百日ぜきの治療には抗菌薬が有効で、早期の投与で症状を軽くし菌を排出する期間の短縮が期待できる。さらに免疫を強めるには、ワクチンの追加接種が有効という。

百日ぜき
百日ぜき菌が原因で、せきやくしゃみ、接触で感染し、感染力は強い。潜伏期間は1週間~10日程度で、風邪に似た症状で始まり、次第にせきがひどくなる。息を吸い込むときに「ヒュー」という音が出たり、夜間に発作が起きたりする。定期接種で乳幼児期にジフテリア、破傷風との3種混合ワクチンの接種を4回受けるが、接種を受けるまでは感染のリスクが高く、乳幼児は肺炎や脳症など重い合併症が起きる恐れもある。大人は特徴的な症状は少ない。

RSウイルスが小児重症肺炎の主要ウイルス 〜ケニア〜

(2010年05月28日:JAMA)

文献:Berkley JA et al. Viral Etiology of Severe Pneumonia Among Kenyan Infants and Children. JAMA. 2010;303(20):2051-2057
 12歳以下の小児を対象に、重症肺炎の病原ウイルスに関して前向き症例対照研究で調査。呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の検出は重症肺炎と関連し(調整オッズ比6.11)、他の呼吸器系ウイルスは重症肺炎との関連が見られなかった(調整オッズ比1.27)。RSVが重症肺炎の主要な病原ウイルスであることが示唆された。

(院長のつぶやき)重症肺炎の起炎ウイルスとして有名な「アデノウイルス7型」の名前が出てこないのが不思議です。

昨年のHIV検査大幅減=新型インフル影響か 〜厚労省〜

(2010.5.27:時事通信)

 厚生労働省は27日、自治体が2009年に実施したHIV検査は15万252件で、前年より約15%減少したと発表した。
 検査件数の減少は02年以来7年ぶり。保健所での相談件数も約16%減少したが、新たに報告されたHIV感染者と発症患者は計1452人で過去3番目の多さだった。
 同省エイズ動向委員会の岩本愛吉委員長(東大医科学研究所教授)は検査件数減少について、「新型インフルエンザの流行で、エイズ検査に対する関心が薄れた可能性がある」との見方を示した。

プライマリ・ケアでの抗生物質、耐性菌増加の懸念

(2010年05月25日:BMJ)

文献:Costelloe C et al. Effect of antibiotic prescribing in primary care on antimicrobial resistance in individual patients: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2010;340:c2096
 プライマリ・ケアでの抗生物質処方が薬剤耐性に及ぼす影響をシステマティックレビュー+メタアナリシスで検討。尿路感染症の5試験および呼吸器感染症の7試験で、治療開始2カ月の耐性菌出現のオッズ比はそれぞれ2.5、2.4 だった。著者らは第1選択薬の耐性菌増加だけでなく、第2選択薬の乱用にもつながると危惧している。

(院長のつぶやき)「風邪薬=抗生物質」という治療では、生き残った菌に薬が効かなくなっていきます。すると本当に必要なときに使える薬がなくなるという怖さが出てくるのです。
 しかし未だに「抗生物質を出してもらえないんですか?」というお母さんが散見されます。症状は鼻水だけだから、自然治癒を待てばいいのですが・・・それができにくい世の中になっています。

はしかが再流行、2012年までに年間50万人死亡の可能性も WHOが警告

(2010年05月27日:AFP BBNEWS)

 世界保健機関(World Health Organisation、WHO)は21日、はしかの再流行の兆しへの懸念を示し、2012年までに年間50万人の死者を出しかねないとして予防対策の徹底を呼びかけた。
 WHOの医療担当官ペーター・シュトレーベル(Peter Strebel)医師によると、2008年以降、各国で政府によるはしか予防努力が著しく低下しており、その結果、はしかが急速に再流行の兆しを見せている。はしかの流行は、アフリカを中心にアジア、欧州の一部でも見られるという。
 さらにシュトレーベル氏は、政治と資金の両面で予防対策を怠れば、2012年までには毎年50万人以上がはしかで死亡する事態となり、過去18年のはしか対策は全て水泡に帰すと警告した。
 WHO加盟193か国は前週、ジュネーブ(Geneva)ではしか対策を協議し、2015年までにはしか発症率を100万人あたり5人未満に抑え、死亡率を2000年の時点から95%減らすなどの目標を決めた。さらに、世界規模ではしかの予防接種率90%以上を目指すという。

(院長のつぶやき)日本では数年前の大学生巻での流行を受け、MRワクチン(麻疹と風疹)の再接種を中一・高三で行うことになりましたが、啓蒙が足りないのか接種率が低迷しています。

子宮頸がんワクチン助成を 関東知事会が国に要望書

(2010年5月26日:共同通信社)

 10都県が参加する関東地方知事会議(会長・松沢成文(まつざわ・しげふみ)神奈川県知事)が25日、都内で開かれ、若い女性の発症が増加している子宮頸(けい)がんの予防ワクチン接種費用を国費で補助するよう求める要望書をまとめた。近く政府に提出する。
 要望書は、子宮頸がんの予防には原因となるウイルス感染前のワクチン接種が効果的だが、3回必要な接種の費用が計約5万円で高額と指摘、国の責任で補助するよう求めている。
 提案した横内正明(よこうち・しょうめい)山梨県知事は「ワクチンで予防できる唯一のがんであり、地域差がないよう国の助成が不可欠だ」と説明。自治体レベルでは東京都が今年4月から助成制度を開始、栃木県大田原市が全額公費による集団接種を始めるなど助成が広がりを見せている。
 会議は、子ども手当の財源について全額を国庫負担とすることや、東京外郭環状道路など都市圏の道路網の整備促進を国に求めることなども決めた。

(院長のつぶやき)公費助成・・・だんだん大きな動きになってきたでしょうか。

ワクチン助成が活発化 千葉県内の自治体

(2010.5.25:産経新聞)

 若い女性の発症が多い子宮頸がんや、細菌性髄膜炎を予防する任意(有料)のワクチン接種に関心が寄せられる中、千葉県内の自治体も高額な接種費用の支援に乗り出す動きが活発化している。鴨川市は6月から、希望者に乳幼児のインフルエンザ菌b型(ヒブ)予防接種の費用一部助成を開始。成田市では4月から子宮頸がんワクチン接種の助成を始めたほか、いすみ市でも子宮頸がんと小児用肺炎球菌ワクチンの接種費用の全額助成の方針を固めるなど、サポート体制が広がりつつある。

 ■乳幼児期に効果

 鴨川市が助成を始めるヒブワクチンは、乳幼児の細菌性髄膜炎の発症予防が目的。髄膜炎は脳や脊髄(せきずい)を包む髄膜に細菌やウイルスが感染して起こる病気で、乳幼児が感染すると死亡率が高く、神経に後遺症を残すことが多いとされる。
 ヒブは肺炎や敗血症などの感染症を引き起こすが、特に重篤な症状が現れるのが細菌性髄膜炎だ。冬に流行するインフルエンザウイルスとは異なり、近年には抗生物質が効きにくい耐性菌が増えていることなどから、乳幼児期の接種が望まれるという。
 同ワクチンは開始月齢によって1~4回の接種が必要。同市健康推進課によると、生後2カ月~5歳未満までの乳幼児が対象で、接種費用は医療機関により異なるが、1回あたり3千円を助成する。現在ワクチンが十分に確保されていないため予約から接種までに時間がかかることがあるが、供給量を段階的に増やしていくとしている。

 ■子宮頸がん予防も

 県内の市町村に先駆け、子宮頸がんワクチンの助成を開始した成田市では、周知活動に力を入れる。子宮頸がんは子宮の入り口にできる女性特有のがんで「唯一の防げるがん」といわれながらも、若い女性の発症が問題となっている。
 ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが原因とされ、ウイルスは主に性交渉によって感染するため、10代前半にワクチン接種すれば7割以上が予防できるという。同市健康増進課によると、4月の制度開始以降、助成額や手続きに関する相談件数は増えているが、実際に申請したのは2件にとどまっている。この理由について、市や医療関係者などは「接種の重要性は理解していても、デリケートな問題で保護者側が話題を切り出しにくい側面もあるのではないか」とみる。市では今後、小中学校などを通して、子宮頸がんや助成制度について話をしていきたいとしており、関係機関と調整を行っている。
 いすみ市では、6月議会でワクチン接種費用の全額助成を盛り込んだ補正予算案を提出する方針という。早ければ8月実施を目指す。

(院長のつぶやき)ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンも大切ですが、それ以前におたふくかぜワクチンが話題になって然るべきなのです。数千人に一人の割合で難聴が発生する病気ですから。

乳児への麻疹移行抗体、生後数カ月で消失

(2010年05月24日 ソース:BMJ)

文献:Leuridan E et al. Early waning of maternal measles antibodies in era of measles elimination: longitudinal study. BMJ. 2010;340:c1626
 健康な母親・乳児207組を対象に、ワクチン接種または自然免疫で麻疹抗体を獲得した母親からの移行抗体の保有期間を前向き縦断的研究で調査。乳児の抗体保有期間はワクチン接種群0.97カ月、自然免疫群3.78カ月だった。著者らは、近年の麻疹流行を踏まえ、1歳未満の乳児にも適宜ワクチンを接種すべきと指摘している。

(院長のつぶやき)現在の日本のMR(麻疹風疹)ワクチンの設定(定期接種)は1歳からです。このデータを元に1歳前の接種に踏み切れれば保育園入園前に接種可能となり、状況が激変するのですが・・・。

佐賀大で19人百日ぜき感染

(2010年5月24日:共同通信社)

 佐賀県健康増進課は21日、佐賀大の鍋島キャンパス(佐賀市)で、医学部の学生17人と付属病院の研修医2人が百日ぜきに集団感染したと発表した。いずれも軽症で、付属病院の患者への感染も確認されていない。
 佐賀大によると、6日に1年の男子学生が県内の病院で百日ぜきと診断されたと報告があり、その後、次第にせきの回数が増えるなどの症状を訴える学生が相次いだという。
 佐賀大は、発症した学生を出席停止にするほか、新入生を対象とした病棟見学などの学内イベントを中止する。

(院長のつぶやき)この大学生達は百日咳ワクチンを含む3種混合(DPT)ワクチンを受けた世代です。やはり免疫は10年くらいしか持たないのですね。アメリカで採用されている成人用3種混合ワクチン(Tdap)の日本への導入が待たれる所以です。

ポリオ予防接種、間隔短縮のミス 〜鳥取〜

(2010.5.22:毎日新聞)

 鳥取県北栄町は21日、町が実施したポリオの予防接種の1回目と2回目の間隔を誤って1週間短くしたと発表した。健康被害の心配はないが、再接種する必要があるという。
 厚生労働省の実施要領は、41日以上の間隔を置いて2回接種すると定めている。町は1回目を4月9日に、2回目を35日後の5月14日に実施。町職員が日数計算を誤り、実施後、ミスに気付いたという。
 日本ポリオ研究所に照会したところ「確実に免疫をつけるためには再接種した方が良い」との回答を得たという。今回は児童31人が接種を受け、町は保護者に謝罪した。
 ポリオの予防接種は生後3カ月から7歳半未満の児童が対象。今回は生後9カ月から1歳児と、7歳半までの未接種者を対象に行われた。

(院長のつぶやき)医院レベルの個別接種で間違うことは時々ニュースになりますが、自治体が仕切る集団接種で間違うことは珍しい・・・しっかりしてください!

不良ワクチン21万人分生産、製薬会社処分 〜中国〜

(2010年5月17日:共同通信社)

 新華社電によると、中国国家食品薬品監督管理局は15日、製造工程での手抜きや虚偽報告で効き目のない狂犬病ワクチン計21万人分を製造、販売していたとして江蘇省と河北省の製薬会社2社に罰金などの処分を科したと発表した。中国では毎年、狂犬病で多数の人が死んでおり、昨年も2100人以上が死亡。衛生当局は既に2社に操業中止を命じ、不良製品の回収と無料のワクチン再接種を急いでいる。
 罰金額と問題ワクチンの売上金没収額は2社で計3100万元(約4億2千万円)余りに上る。製造、販売にかかわった両社の責任者を今後10年間、医薬品事業に従事させないことも決めた。

(院長のつぶやき)狂犬病で毎年2100人死亡! 日本ではここ数十年ゼロ更新中のはず・・・近い国ですが、こんなにも違うのですね。ちょうど日本でのニュースもありました(↓)。

□ 「狂犬病の予防注射は毎年1回受けさせるよう法律で義務づけられています」・・・イヌの話です

(2010.5.22:河北新報社)

 仙台市は毎年3月、犬を登録している市民にはがきを出す。4月には173カ所で集合注射を実施した。
 この「義務」が守られていない。市動物管理センターによると、2009年度は登録数4万7258に対して、注射を受けた犬は3万9780匹で、接種率は84.2%だった。登録していない犬も多く、全国の推定接種率は40%を切ると指摘する声もある。
 理由をセンターは「室内で飼う場合は必要ないと勝手に判断したり、注射の副作用を心配したりしているのではないか」とみる。

 狂犬病はウイルスによる感染症で、人が発病するとほぼ100%死亡する。国内で感染した人の発病例は1954年が最後。ただし世界では年5万人以上が命を落としていて、4年前には海外で感染した2人が、帰国後に相次いで亡くなった。

日本脳炎接種勧奨対象限定で波紋 4歳以上取り扱い不透明

(2010年5月13日:福井新聞)

 2005年から事実上中断していた日本脳炎の定期予防接種について、厚労省が接種勧奨を再開した。しかしワクチン数は限られ、国が対象者を3歳児のみに限定したことが波紋を広げている。県内でも対象保護者向けに一部自治体が通知を開始したが、国のあいまいな年齢基準の解釈や、予算措置を講じるのに時間を取られ通知が遅れている。4歳以上の未接種児の取り扱いも不透明で、医療機関に希望者が殺到しないかとの警戒感もある。
 日本脳炎のワクチンは、接種後に脳髄膜炎を発症した事例があったことから05年5月に、厚労省が積極的に勧めること(勧奨)を控えるよう勧告し、事実上中断した状態となっていた。昨年6月に副作用リスクの低い製法による新型ワクチンが開発され、国は積極的な勧奨を再開することを今年4月に発表した。
 ただワクチン数は限られる。日本脳炎の接種シーズンとなる夏までの供給予定量は約400万本だが、この5年間で未接種児は500万人以上いるとみられる。接種は幼児期に1人3回(間隔は1カ月後と1年後)必要で、絶対数が不足。これを受け、国は3歳児のみを本年度の対象とするよう自治体側に求めた。
 県内では4月中旬から各市町が検討に入ったものの、国の3歳児基準があいまいだったことと合わせ、ワクチン接種は全額公費負担のため突然の勧奨再開による予算措置にとまどっている
 ある自治体では「基準が現在3歳の子を指すのか、学年で3歳の子までを指すのかあいまい。決めるのに時間もかかり自治体に丸投げされても困る」といぶかる。
 越前市は3歳児基準を現在3歳になっている幼児と、来春までに3歳になる幼児の2学年分(1550人)ととらえ、5月7日から対象者に接種通知書の発送を順次始めた。健康増進課の山形進課長は「感染媒介の蚊が発生する6月までには接種するべきとの判断で早めに決めた」と話す。
 福井市など他自治体でも同様の基準で検討するところもある一方、1学年のみ(06年4月2日から翌年4月1日までに生まれた子)を対象とする方向性で調整に入ったところもあり、対応は分かれそうだ。数千万円に膨らむ接種費用に補正予算の検討に入ったところも多く、6~7月に通知書を発送する見通し。
 懸念されるのが未接種者の動向だ。国が求めた3歳児のみの基準は、積極的に対象者に接種を受けるよう勧める性格のもので、それ以外の年齢が接種を受けることを禁止するものではない。
 ほとんどの自治体は「(対象年齢以外でも)希望があれば受け付けざるを得ない」との構えだが、「スタンスとしては次の国の方針が出るまで待ってほしい」(越前市)、「広報せざるを得ないが扱いが悩ましい」(坂井市)と苦しい胸のうちを打ち明ける。
 対象年齢者以外がどれほど希望するのか、坂井市では「1割程度」と見込む。しかし、発症すれば死亡率も高い病気だけに、保護者心理から「予想できない」とみる自治体も多く不透明だ。多くの希望者が出れば、それだけ財政を圧迫する可能性もあり、担当者の頭を悩ましている。
 新型インフルエンザではワクチン不足で当初、対象者を制限。病院に接種希望者が殺到した。県健康増進課では「ワクチン数は接種開始時の新型インフルと比べれば余裕はある」とみている。

子宮頸がん 受診率低調 山梨・4市町村で予防接種助成へ

(2010年5月13日:毎日新聞社)

 ◇県も前向きに検討

 20-30代の女性に急増している子宮頸(けい)がんは、ワクチン接種と検診で「ほぼ100%予防できる唯一のがん」だ。昨年末から日本でも始まった予防ワクチン接種について、県内4市町村は独自助成する方針で、県も検討を始めた。だが、この病気への理解はまだ十分進んでいない。
 「20年後の山梨で子宮頸がんの発症率をゼロにするのも夢ではありません」。日本産婦人科医会のがん対策部委員を務める寺本勝寛医師=県立中央病院周産期センター部長=は、子宮頸がん撲滅に期待を込める。ただ、そのためには、ワクチン接種の普及と、検診の受診率向上が必要だ。
 県内でも約80の産婦人科や小児科でワクチン接種が始まっている。発症の主原因であるウイルスHPVは性交渉で感染するため、性交を経験する前の10代前半の接種が最も有効とされ、発症リスクを約7割軽減できる。
 しかし、保険が適用されないため、高額の費用がネックとなっている。1回1万5000円。これを3回接種する必要がある。県立中央病院では、これまで10人ほどが接種を受けたが、寺本医師は「普及には県や国が主体となって取り組む必要がある」と訴える。
 現在、全国で40程度の自治体が小中学生を対象に接種費用の独自助成を始めている。県内では甲府、市川三郷、小菅、山中湖の4市町村が助成の方針を決定。小菅村は女子中学生が15人と少ないこともあり、県内で最も早く6月から希望者に全額助成する。市川三郷町は7月から、小学6年~中学3年を対象に全額助成する方針。甲府市と山中湖村は対象年齢などについて調整を進めている。
 都道府県による助成はまだないが、県健康増進課は「一部助成の方向で検討中」と前向きだ。県が助成方針を打ち出せば、助成に踏み切る市町村はさらに増える可能性がある。
   ◇  ◇
 予防ワクチンを接種しても、発病の可能性は皆無ではない。しかし、県内の子宮頸がん検診の受診率は低調なままだ。
 県健康増進課によると、山梨県内の子宮頸がん検診の受診率は25・8%(07年)。全国平均(21・3%)は上回るが、厚生労働省が目標とする50%には遠く及ばない。
 寺本医師によると、子宮頸がんはがん化する前の「前がん状態」で発見できるため、検診が非常に有効だ。早期発見ができれば、妊娠、出産に支障を来すこともない。
 乳がんや子宮がん体験者らでつくる市民団体「山梨まんまくらぶ」代表の若尾直子さん(55)=甲府市=は「受診率が上がらないのは、正しい知識が広まっていないから」と指摘する。
 若尾さんには昨年末以降「娘が子宮頸がんと診断されたが、ワクチンで治るのか」「不特定多数の相手と性交渉がなければ検診を受ける必要はないのでは」といった相談が度々寄せられる。しかし、ワクチンは予防のためであり、感染は相手が不特定多数でなくてもあり得る
 子宮頸がんを発症する日本人女性は年間1万5000人。死者は3500人と推計されている。若尾さんは「女性なら誰もがかかる可能性のある病気。自分は大丈夫と思わず、必ず検診を受けてほしい」と呼びかけている。

開発途上国に向けたワクチン普及の取り組みが、急激な資金不足に

―オックスファム・MSFが共同報告書を発表(2010.5.12)―

 国境なき医師団(MSF) とオックスファム・インターナショナルは5月11日に報告書「開発途上国へ最高のワクチンを-ワクチンの普及と研究開発の概略」を発表し、最貧国の子どもたちの命を守るワクチン普及への国際的な取り組みが、その価格の高さと急激な資金不足により阻まれている現状に警鐘を鳴らした。
 開発途上国における予防接種の普及を目的とした官民パートナーシップ「GAVIアライアンス(ワクチン予防接種世界同盟)」(GAVI)は、死亡率の高いB型インフルエンザとB型肝炎の2疾患について、そのワクチン普及がこれらの病気の予防において大きな成果を収めたと報告している。しかし、新種ワクチンの高い価格、そして資金拠出国からの出資が停滞しているために、同団体は現在急速な資金不足に直面している。新たに24億米ドル(約2235億5600万円)の資金が提供されなければ、GAVIは大規模な予算削減を強いられ、貧困国でのワクチン普及活動を後退させざるを得ない。
 MSF必須医薬品キャンペーンのディレクター、ティド・フォン・シェーン・アンゲラー医師は次のように話す。
「ワクチン市場の基本的な性質のために、豊かな先進国向けに開発された高価な新種のワクチンが途上国の子どもたちのもとに届くまでには、何年もの時間を要します。また、研究開発のパイプラインを経て完成した製品は、往々にして途上国のニーズや条件には適合していません。この報告書では、その原因を明らかにしています。」
 GAVIが現在直面している財政面での困難は、肺炎球菌結合型ワクチン(PCV) の導入を加速する試みにおいても顕著に現われている。このワクチンは、富裕国では長年にわたり使用されており、数十万人もの患者を肺炎や髄膜炎などの深刻な感染症から守ってきた。また同時に、多国籍のワクチン製造業者に巨額の富をもたらした。しかし、このワクチンを設備や人材の乏しい貧困国により広く導入しようとするGAVIとその資金拠出国の試みは障害にぶつかっている。
 PCVを開発途上国に遅滞なく普及させるという意思表明は繰り返し行われているものの、製品供給の問題と資金不足により、依然として多くの子どもたちに届いていない。ケニアは2010年にこのワクチンの新型版の提供を受ける資格を持つ唯一の国であるが、子ども1人当たりのコストは21米ドル(約1950円)と、資金拠出国と途上国政府が負担するにはあまりに高い。
 オックスファム・インターナショナルのシニア・ポリシー・アドバイザー、ロヒト・マルパニ氏は次のように述べる。
「最新のワクチンを製造しているのは、一握りの多国籍製薬会社だけです。この寡占状態が高価格を許しているのです。GAVIには交渉力があるとはいえ、新種ワクチンの価格は高過ぎます。今回発表した報告書では、子どもたちへのワクチン接種率を上げ、生きられる可能性を高めるために、手の届く価格のワクチンを開発する新たな方法について述べています。」
 安価な新しいワクチン開発の一例として、世界保健機関(WHO)と米国の非営利団体PATH、インドの後発医薬品メーカーのセラム・インスティチュートが合同で髄膜炎ワクチンを一接種あたり0.5米ドル(約46円)以下で行えるよう実現させたことが挙げられる。サハラ以南アフリカに位置する「髄膜炎ベルト」と呼ばれる髄膜炎が頻繁に発生する国々のニーズに合わせて開発されたこのワクチンは、今年中には利用可能になる見通しである。
 MSFとオックスファム・インターナショナルは、拠出される資金が、開発途上国の条件に合い購入可能な価格のワクチンの開発促進につながるよう、現状の仕組みを変革することを訴えている。
 こうした変革に加え、定期予防接種の態勢を強化する必要がある。開発途上国では、既存のワクチン接種が出来ないために、毎年2百万人もの子どもたちが命を落としている。
 シェーン・アンゲラー医師はこう訴える。
「過去2年間、MSFははしかと髄膜炎の大規模な流行に対応してきました。流行の原因は、はしかワクチンの接種を受けられない子どもが増加していることや、有効期間の長い髄膜炎ワクチンが未だに利用できないことにあります。大枠の目標は、定期予防接種の接種率向上と、新型ワクチンの確保に設定すべきです。」
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MSFは2009年、各地で5万人以上の髄膜炎患者を治療し、740万人以上に向けて予防接種を行った。また、2008年にはしかが大流行した際には流行地にて3万2千人を治療し、190万人以上の子どもに接種を行った。

子どもの細菌性髄膜炎 ワクチンで備え 課題は経済的負担

(2010.5.7:日本経済新聞)

 子どもの細菌性髄膜炎を予防できる2種類のワクチンが出そろった。細菌性髄膜炎は重症になると死亡したり重い後遺症が出たりするが、病気もワクチンも認知度は低い。原因となる細菌の中には抗生物質が効きにくいタイプも増えている。医師は「まずワクチンで予防してほしい」と呼びかける。
 「ワクチンを打てば予防できます」――。「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」の高畑紀一事務局長は4月25日、JR京葉線南船橋駅前で仲間とともに予防接種を訴えるビラを配っていた。
 6年前、当時3歳だった長男が突然高熱を出し意識を失った。検査の結果、細菌性髄膜炎と診断されたが聞いたこともない病名だった。担当医から「死亡か、重い後遺症が出るか、回復するか、どれも3分の1の確率」と言われ、「目の前が真っ暗になった」という。幸い、長男は無事回復した。後に当時はまだ日本は予防ワクチンが承認されていないことを知った。「今はワクチンがある。かかったときに後悔しても遅い」と接種を勧める。
 細菌性髄膜炎は脳や脊髄(せきずい)を覆う髄膜やその中を満たす髄液に、血液などを介して細菌が入り込み増殖して発病する。小児の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の神谷斉名誉院長は「中枢神経の周りで細菌が増えるので怖い病気」と話す。患者はほとんどが5歳までの乳幼児で、国内では年間約1000人と推定されているが、2~3割は運動機能障害や聴覚障害などの重い後遺症が出る。約5%は治療のかいもなく死亡してしまう。
 原因となる細菌は主にインフルエンザ菌b型(略称ヒブ)と肺炎球菌。細菌性髄膜炎のほか、中耳炎や肺炎、血液に菌が入る菌血症なども引き起こす。のどや鼻の奥にいるありふれた菌だが、免疫力がない乳児では細菌が体内に侵入して増殖すると重症化しやすい。

「8割予防可能」

 予防用のワクチンとしてヒブワクチンが2008年12月、今年2月には小児用肺炎球菌ワクチンが使えるようになった。「2つを接種すれば細菌性髄膜炎の約8割を予防できる」(神谷名誉院長)という。両ワクチンとも、生後2~6カ月で接種を始め、合計4回打つのが基本。接種開始時の月齢によって打つ回数は減ることもある。
 発売して間もないため副作用を心配する親の声もあるが、欧米ではかなり前から定期的に接種している。日本は世界的にも導入が最も遅れている国のひとつで、米国に比べてヒブワクチンでは20年、小児用肺炎球菌ワクチンは9年遅れてようやく承認された。接種したときに皮膚が赤く腫れることもたまにあるが、ほとんどは大きな問題にならない。日赤医療センター小児科の薗部友良顧問は「実績が豊富なワクチン。細菌性髄膜炎の予防効果の方がはるかに大きい」と説明する。
 ワクチン接種は小児医療で間接的な効果も期待できる。
 まず、診察時に処方する抗生物質の量を減らせることだ。細菌性髄膜炎は初期では高熱以外の症状がほとんどなくほかの病気と区別がつかない。血液検査で確定診断するのは難しく、医師は念のためにと抗生物質を処方する傾向がある。東京都医師会感染症対策委員長の和田紀之・和田小児科医院(東京・足立)院長は、高熱に見舞われた場合でも「ワクチンを接種していれば余裕を持って診療できる」と話す。
 抗生物質を投与しなければ効きにくい耐性菌を生み出すリスクも減る。東京小児科医会などの調査では耐性菌を持つ子どもの割合は、1歳半で約30%、同じ年の保育園児では80%に達していた。耐性菌が増えると、万が一のとき治療薬が限られ、治療がより難しくなってくる。
 子どもへのワクチン接種で高齢者の肺炎も減らせる。米国では小児に肺炎球菌ワクチンを導入した2000年以降、65歳以上の肺炎球菌による肺炎が約65%減った。「孫などとの接触で感染していた高齢者を減らせたからだ」(薗部名誉顧問)という。

助成まだ少なく

 ただ、ワクチンの普及はそう簡単ではない。国や自治体が費用を負担する定期接種と違い、ヒブワクチンも小児用肺炎球菌ワクチンも任意接種のため自分で払わなければならない。ヒブは1回7000~9000円程度、肺炎球菌は1万円程度かかる。4回ずつ接種すると8万円近くになる。費用を助成する自治体もあるがまだ一部だ。
 接種のしにくさも今後の普及への課題だ。小児は三種混合ワクチンなど数種類の定期接種も受けなくてはならないため、ヒブや肺炎球菌ワクチンを合わせると接種回数がさらに増え、医療機関に通うだけでも大きな負担だ。
 「『VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろう。』の会」を立ち上げた薗部顧問は「欧米では複数の予防接種を同時に打つことで子どもや親の負担を減らし接種率を上げている。日本でもこうした工夫が不可欠」と話す。

小児の急性下気道感染症、呼吸器合胞体ウイルスが主因

(2010年05月07日 ソース:Lancet)

文献:Nair H et al. Global burden of acute lower respiratory infections due to respiratory syncytial virus in young children: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2010;375(9725):1545-1555
 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)による小児(5歳未満)の急性下気道感染症(ALRI)の世界的な発生率・死亡率をシステマティックレビュー+メタアナリシスで調査。2005年に発生したRSV関連ALRIは推定3380万件で全ALRIの22%を占め、RSVが小児のALRIの主因であり、死因としても重要であることが示された。

栃木県は4市町助成、全国で先行 子宮頸がんワクチン

(2010年5月7日:下野新聞)

 国内で解禁された子宮頸がん予防のワクチン接種に対し、本年度からの公費助成を決めているのは8都県16市区町で、うち本県は最多の4市町と先行していることが、財団法人予防接種リサーチセンターの6日までの調査で分かった。県医師会は先月、公費助成を求めて未実施の県内市町に要望書を提出。実施市町の拡大が期待されている。
 調査は1月に実施。新潟、岐阜の両県が3市町で本県に次いでいる。同センターによると、現在集計中の4月時点の調査では、全国で40市区町村を超える見込みだという。
 県内で公費助成を実施するのは大田原、下野、日光、那須の4市町。予防効果が高いとされる12歳前後の女子が対象で、大田原市は全国で先駆けて公費助成による集団接種を決定。日光市は対象を小学6年~中学3年に広げた。大田原市で中学生が半額補助となる以外は全額助成される。
 県医師会は4月、未実施の市町に要望書を送付した。医師会によると、1人計3回の接種で約5万円の費用がかかり、希望者がためらうケースもあるという。太田照男会長は「予防できるものは予防するべきだ」と、将来的な医療費節減の観点からも公費助成の必要性を強調している。
 一方、厚生労働省の予防接種部会は、子宮頸がんワクチンなど、接種費用が高いことから普及が遅れているワクチンについて、予防接種法の対象とするかどうか、6月から議論を始める。

(院長のつぶやき)当院でも電話での問い合わせは多いのですが、価格を聞いて二の足を踏む方が多いようです。姉妹では10万円近い出費となりますので。

百日ぜき接種、小学高学年半数で免疫効果消失

(2010.5.3:読売新聞)

 乳幼児期に受ける百日ぜきワクチンの効果が、小学校高学年になると約半数で失われることが、厚生労働省研究班の調査で明らかになった。
 社会全体の感染者が減ったため、菌にさらされて免疫を維持する機会が乏しくなったのが原因とみられる。3年前から国内で患者が急増しており、研究班は「11~12歳で接種する2種混合ワクチン(破傷風・ジフテリア)に百日ぜきも加えるなど、追加接種の必要がある」と指摘。国の定期接種計画の見直しを、近く厚労省に提言する。
 定期接種計画では、百日ぜきと破傷風、ジフテリアの3種混合ワクチンを、生後3か月~7歳半に計4回接種することになっている。これによって、百日ぜきの免疫は一生、持続すると考えられていた
 ところが、2007年に大学生を中心とした流行が発生した。これを受けて、二つの研究班が11~12歳266人を対象に百日ぜきに対する免疫物質(抗体)の量を調べたところ、122人(46%)は発症を防げる水準を下回っていた
 そこで、抗体量が少なかった人のうち57人に、通常の2種混合ワクチンの代わりに、百日ぜきも加えた3種混合ワクチンを試験接種した。この3種混合は、乳幼児期に接種するものより有効成分が少ないが、51人(89%)の抗体が発症を防げる量まで増えた。
 試験接種を行った中山哲夫・北里大教授は「免疫のない人が増え続ければ、重症化しやすい乳児がワクチン接種前に感染する危険も増す」と話している。

百日ぜき
激しいせきが数か月続く感染症。飛まつや患者への接触で細菌が感染し、7~10日間の潜伏期間を経て発症する。特に乳児は、手足のまひなどの後遺症や死亡の危険がある。米国の統計によると、生後6か月未満で発症すると0.6%が死亡する。

子宮頸がんワクチン 小6集団接種96%希望

(2010.4.29:読売新聞)

 大田原市内の小学校で「子宮頸(けい)がん」予防ワクチンの集団接種が始まるのを控え、同市は28日、接種希望者が小学6年生女児の約96%に上ったと発表した。同市保健福祉部は「全額を公費で助成することや接種の意義を、講演会を開いてPRしたことで、保護者の意識が高まった結果だ」とみている。
 同部のまとめでは、対象児童341人のうち、集団接種を「希望する」児童は328人。「希望しない」は3人、「未回答」が2人で、「個別に接種する」という児童も8人いた。
 同市は、予防接種で事故があった場合、保険で最大1億4280万円まで補償する。集団接種は5月13日から来年1月中旬まで、1人につき3回行う。中学生については、今年度に限り、接種費用の半額を助成し、希望者が個別に接種を行う。

下痢予防ワクチン「遺伝子組み換えコメ」を開発、東大医科研チーム

(2010/4/27:日本経済新聞)

 東京大学医科学研究所の清野宏教授と徳原大介研究員らは、細菌性の下痢を予防できる「遺伝子組み換えコメ」を開発した。常温で長期保存ができ、注射をせずに投与できる「飲むワクチン」として実用化できる可能性が高いという。論文が27日、米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。
 開発したのはコレラ菌と毒素原性大腸菌に対するワクチンが入った米。コレラ菌の毒素を作る遺伝子をイネに組み込み、実験室で栽培して作った。
 粉末にしてネズミに飲ませたところ、コレラ菌や毒素原性大腸菌に感染させても下痢をせずにすむことができた。細菌が出す毒素に対する抗体を腸管の細胞が分泌し、毒素の作用を止めていることを確認した。
 3年間常温で保存しても効果があるという。
 現在、コレラ菌に対する経口ワクチンは実用化されている。ただ、死滅したコレラ菌を使っているため冷蔵庫で保管しなければならない。
 毒素原性大腸菌は旅行者がかかる下痢の原因菌として知られているが、ワクチンはまだない。小児への被害も広がっており、世界で年間2億人が感染、40万人が死亡している。

(院長のつぶやき)下痢予防と言えば「ロタウイルスワクチン」と思っていましたが、よい意味で予想を裏切られました。

ワクチン“格差”ヒブは20年

(2010.4.23 産経新聞)

 子供の重い後遺症や避けられる死を、予防接種で防ごうという取り組みが広がっている。「20年遅れた」ともいわれる戦後の予防接種行政を見直すため、厚生労働省は今後2年かけて、新設した専門部会で審議する。公費の「定期接種」をきちんと受け、保護者負担の「任意接種」にも目配りしたい。(牛田久美)

 ◆発熱で感染が判明

 山口県周南市の斎藤裕子さん(36)は昨年12月、1歳9カ月の次男、伊吹(いぶき)ちゃんを細菌性髄膜炎で亡くした。
 発熱し、翌日夜には意識、自発呼吸がなくなった。当初は新型インフルエンザが疑われたが、発熱から3日後、ヒブへの感染が判明。12月1日、裕子さんの腕の中で静かに息を引き取った。「こんな怖い病気があるのか」。初めて細菌性髄膜炎を知った。
 「ワクチンを接種していれば防げたと知り、何度も自分を責めました。ただ、正しく知っていれば積極的に接種させたかといえば、『はい』と自信を持って言えない。長男は大丈夫だったし、今も『わが子に限って』と考える方は少なくないはず。これが任意接種の壁だと思います。」
 裕子さんはこう話し、「具合の悪さを言葉でうまく伝えられない幼い子が多く犠牲になる病。だからこそ、早い月齢からすべての子供に機会が与えられるよう、定期接種化を強く願います」と訴える。

 ◆小児科医以外でも

 伊吹ちゃんが亡くなった原因の細菌性髄膜炎は、先ごろ承認されたヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンを接種していれば、ほぼ防げるとされる。
 「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」副代表で、耳原総合病院小児科の武内一医師は「ヒブ、肺炎球菌ワクチンの定期接種化によって、疲弊した時間外の小児医療現場は様変わりする」と指摘する。
 これまでは突然の高熱の場合、髄膜炎の可能性も考えて診察してきた。しかし、定期接種となれば、接種歴の有無によってある程度の診療方針を見極められる。武内医師は「小児科医以外でも対応できる。医師は『念のため』と抗生物質を処方する必要がなくなる。社会から菌をなくせばお年寄りを間接的に守れることになり、それは海外のデータが示している。何より、病をなくすことで苦労や悲しみから家族を解放したい」と話す。

 ◇任意接種 公費助成する自治体も

 髄膜炎を防ぐヒブワクチンは、米国より20年遅れて平成19年に日本で承認された。今春、発売された小児用肺炎球菌ワクチンの承認は9年遅れだ。
 遅れが目立つのは、ヒブや肺炎球菌だけではない。不活化ポリオやロタウイルスでは、海外で用いられているワクチンが未承認。国内ではポリオは依然、生ワクチンが使われているために感染の事例が報告される。

「すべての子供に接種の機会を」

 やっと承認されても、その後の対応も鈍い。予防接種には、予防接種法が定める公費の「定期接種」のほか、親の判断に任される「任意接種」もある。ヒブワクチンは世界では133カ国で定期接種化。ようやく登場した日本では任意接種のため、なかなか広がらない。専門医によると、日本の遅れがアジアに影響し、アフリカより後進地域となっているという。
 このため、自治体の中には任意の定期接種では予防が進まないとして、公費助成に踏み切るところも多い。専門医の試算では、ヒブワクチンを定期接種化した場合の費用は332億円に対して、しなかった場合に細菌性髄膜炎を発症した患者への治療費・後遺症への介護費用は414億円。こうした損失を抑えようと、助成に乗り出した自治体は116に上る。
 こうした自治体の動きの一方で、厚生労働省は予防接種部会を新設し、2年かけて日本の予防接種を見直し、予防接種法を改正する方針だ。
 3月の会合では、17年以来控えられ、昨年再開された日本脳炎の予防接種が議題になった。ワクチンを実質的に受けられなかった「5年間のギャップ」があり、接種が急がれるが、生産量が追いつかない。「日本脳炎にかかるリスクの高い地域や、国の方針で接種の機会を逃した子供たちへの接種について情報提供する必要がある」と指摘された。
 全額公費で行われる「定期接種」が行きわたるような環境整備、保護者負担の「任意接種」にも目配りされることが求められる。

疾患予防に威力 子ども向け新型ワクチン次々承認

(2010年4月23日:東京新聞)

 二月から肺炎球菌の小児用ワクチン接種が受けられるようになった。Hib(インフルエンザ菌b型、通称ヒブ)ワクチン、子宮頸(けい)がん予防ワクチンなど新型のワクチンが次々と承認されている。疾患予防効果や接種時期などをあらためてまとめた。
 「予防できたはずなのに、絶対に接種しなくてはという意識はなかった」
 山口県周南市の主婦斎藤裕子さん(36)は昨年十二月、次男の伊吹ちゃんをヒブによる細菌性髄膜炎で亡くした。一歳九カ月だった。突然発熱し、翌日から入院治療を受けたが、その夜に父親(36)に抱かれて「ギャー」と泣いたのを最後に意識を失い、そのまま戻らなかった。
 細菌性髄膜炎は、細菌が脳を覆う髄膜に侵入し炎症を起こす感染症。脳性まひなど重い後遺症が残ったり、死亡することもある。伊吹ちゃんはヒブワクチンの接種はしていなかった。
 「何の既往症もない元気な子どもが突然かかり、急激に病状が悪化する。初期診断も難しい。これほど怖い病気だとは知らなかった」と斎藤さん。生後十カ月の三男にはヒブや肺炎球菌のワクチン接種をさせた。「命は取り返しがつかない」
     ◇
 最近、相次いで子ども向けの感染症予防ワクチンが承認され、接種が始まった。ヒブワクチン(二〇〇八年十二月開始)、肺炎などを防ぐ小児用の肺炎球菌ワクチン(今年二月開始)、子宮頸がんを予防するワクチン(昨年十二月開始)の三種類だ。
 予防接種には、予防接種法に基づいて自治体などが費用を負担する「定期接種」と、希望者が自費で受ける「任意接種」がある。前出の三種類のワクチンは任意接種だ。ワクチンにはそれぞれ接種に適した年齢や、予防効果を得るための接種回数がある=表。
 予防効果はどうか。東京都渋谷区の日赤医療センター小児科顧問で「VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろう。」の会代表の薗部友良医師によると、細菌性髄膜炎は乳児から九歳ごろまでの子どもに、年間約千例の発生がある。原因はヒブが55%、肺炎球菌が20%。ヒブが原因の場合の3~5%、肺炎球菌が原因の場合の7~10%が死に至る。薗部医師は「細菌性髄膜炎の八~九割は、ヒブと肺炎球菌のワクチン接種で防げる」と訴える
 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で、性交渉の経験のある女性なら誰でも発症の可能性がある。若い女性患者が増えているが、「ワクチン接種で発症を約七割は予防できる」と薗部医師は強調する。
     ◇
 任意接種の問題は費用。医療機関で違うが、いずれも一回あたり、ヒブワクチンは七千~八千円、肺炎球菌ワクチンは一万円、子宮頸がん予防ワクチンは一万五千円かかる。水ぼうそうや流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、肝炎などのワクチンも四千~九千円だ。接種回数は年齢で変わるが、ゼロ歳児のヒブと肺炎球菌ワクチン接種の場合、各四回必要。子宮頸がん予防ワクチンも十一~十四歳に三回接種するのが望ましい。
 自治体によっては公費助成もあるが一部にとどまっている。「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」の田中美紀代表は「家庭の経済事情で子どもの命に格差が生じている。速やかに定期接種化してほしい」と望むが、国の動きは鈍い。
 前出の斎藤さんは「任意接種は定期に比べ情報が少なく、必要度が低いと考えがち」と指摘する。子ども手当の給付も始まる。接種の重要性を保護者が理解することがまず大切だ。

子どものワクチン 公費検討 ー厚労省ー

(2010年4月21日:NHK)

 幼い子どもの脳などに細菌が感染し死亡することもある病気や、「子宮けいがん」などを予防するワクチンは、基本的には自己負担で接種しなければなりませんが、厚生労働省の審議会は、こうしたワクチンの接種費用を公費で負担すべきか本格的な検討を始めました。
 幼い子どもの脳やせき髄を覆う膜に細菌が感染し死亡することもある「細菌性髄膜炎」や若い女性に多いと言われる「子宮けいがん」などを予防するワクチンは、海外では多くの国が接種費用を公費で負担しています。しかし、国内では基本的に公費で接種を行う「定期接種」の対象になっていないため、なかなか接種が進まないとして、患者団体などから公費負担を求める声が上がっています。このため厚生労働省の審議会は、こうしたワクチンの安全性や有効性を評価したうえで「定期接種」の対象にするべきか、21日から本格的な検討を始めました。審議会にはワクチンの製造メーカーの関係者が出席し、海外のように費用を国が負担すればメーカーとしても投資した資金を回収しやすくなり、ワクチンの研究開発がさらに進むと指摘しました。審議会では今後、副作用に対する救済制度などについても議論を進め、ワクチン接種の枠組みを定めた予防接種法の改正を検討することにしています。

(院長のつぶやき)遅い・・・遅すぎる・・・。

子宮頸がん予防ワクチン、栃木県大田原市が集団接種

(2010年4月9日:読売新聞)

 栃木県大田原市は5月から、小学6年女児に子宮頸(けい)がん予防ワクチンの集団接種を全国で初めて実施する。対象は市内23小学校の347人。任意だが、費用は市が全額負担する。
 子宮頸がんは、性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって起こるが、ワクチン接種で予防できる唯一のがんと言われる。接種は初回、約1か月後、約6か月後と計3回必要で、費用は4万-6万円もかかる。
 このため、「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」によると、今年度、全国ですでに32市区町村がワクチン接種の公費助成を決めている。

厚労省、不活化ポリオ開発を依頼 国内ワクチンメーカーに

(2010.4.8 共同通信)

 厚生労働省は8日、ポリオ(小児まひ)のワクチン開発を行っている国内4社に対し、生きたウイルスを使っておらず、予防接種による感染の恐れがない「不活化ワクチン」の開発を急ぐよう依頼する文書を足立信也政務官名で出した。
 国内では現在、毒性は弱いが生きたウイルスを使った「生ワクチン」による予防接種を実施。生ワクチンでは数十万~数百万人に1人の割合でまひなどの症状が出ることがあるため、先進国の多くで使われている不活化ワクチンへの切り替えを求める声が患者団体などから上がっている。
 厚労省によると、国内4社はジフテリア、百日ぜき、破傷風に不活化ポリオを加えた4種混合ワクチンを開発中で、来年にも薬事承認が申請される見通しという。

粗悪ワクチンで児童100人被害か―中国山西省

(2010年3月30日:Record China)

 中国各メディアは同日までに、山西省でワクチン接種が原因で、児童約100人に死亡したり後遺症が残るなどの被害が出ていると伝えた。中国衛生部も事態を重視し、予防接種に絡む異常反応についてただちに報告するよう同省衛生庁に指示した。
 中国経済時報によると、山西省疾病予防センターは、国の法律に違反して、ワクチン類の管理と配送を営利企業の「北京華衛時代医薬生物技術有限公司」に勝手に委託した。同社は、高温下で保管するなどずさんな管理を行ったため、ワクチンに問題が生じた。この会社は衛生部直属の企業という。
 省内では2008年以降、予防接種後の児童のうち約100人に死亡や後遺障害などの被害が現れたが、ワクチンに疑いの目が向けられているという。

張るシート状ワクチン、臨床試験 実用化に道…阪大など

(2010.3.29 読売新聞)

 肌に張るだけで、痛みのないシート状のワクチンを大阪大とコスメディ製薬(京都市)が開発し、28日、岡山市で開かれた日本薬学会で発表した。奈良県立医大で実施した臨床研究で7割以上の人の抗体価が増えることを確認。シート状ワクチンで人への試験まで進んだのは国内初で、大阪大の中川晋作・薬学研究科教授は「実用化に道筋がついた」としている。
 ジフテリアと破傷風の混合ワクチンで、長さ8センチ、幅5センチの名刺サイズ。抗原を含むゲルを合成樹脂のシートに塗ってあり、皮下にある免疫関連の細胞へ届く。
 昨年12月、20~70歳代の健康な23人の上腕に丸1日張り、2か月後に血液中の免疫抗体を調べた。ジフテリアは18人、破傷風は17人で張る前より抗体価が上昇した。ただ、このシートは水に溶ける抗原しか使えない。インフルエンザなど不溶性のワクチン用には、微小な突起が多数ついたシートを開発中だという。

母子感染対策忘れ6件 B型肝炎ワクチン投与せず

(2010年3月25日:共同通信)

 B型肝炎ウイルス感染者の母親から生まれた子供に本来必要なワクチンが投与されず、母子感染防止策が取られなかったケースが、日本医療機能評価機構(東京)が集計を始めた2004年10月から昨年12月までの5年3カ月で6件あったことが24日、わかった。
 同機構によると、報告された6件で子供が感染したかは不明。いずれも産科と小児科の連携が不十分なことなどから接種していなかった。産科から引き継ぎがなく、乳児検診をした医師が接種の必要性に気付かなかったり、母親が申し出なかったりして、投与を忘れたことが後日発覚していた。
 厚生労働省の1995年調査では、同年に生まれて母子感染したと推定される子供は0・024%。同機構は「今も事例数はごくわずかだろうが、医療機関、母親ともに注意を怠らないでほしい」としている。

子宮頸がんワクチン、4市町全額助成 〜栃木〜

(2010.3.24 読売新聞)

◇ 学校で集団接種も

 20~30歳代の女性で増加している「子宮頸(けい)がん」の予防ワクチンが昨年末に発売されたことを受け、県内では、新年度からワクチン費用を全額助成する方針を打ち出す自治体が出始めた。
 しかし大田原市など県内4市町にとどまり、地域によって負担額に格差が出そうだ。
 子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で起きる。HPV感染後にワクチンを接種しても効果はあるが、性交渉を持つ前の10代前半のうちにワクチンを接種するのがより効果的とされる。接種は初回、1か月後、半年後と3回必要で、接種費用は医療施設によって異なり、1人当たり4万~6万円かかる。
 県内では、新年度から大田原市、下野市、日光市、那須町が全額助成する方針。このうち下野市は、小学6年の女児約300人分のワクチン費用1080万円を計上。「市ホームページで告知するほか、対象者に個別通知して接種率を上げたい」としている。大田原市や那須町では、接種率を上げるため、学校での集団接種を検討している。
 助成の方針がない市町からは「発売から間もないため、国や他県の動向を見たい」(鹿沼市)、「今年度に新型インフルエンザ対策で多額の出費があり、助成は財政的に厳しい」(那珂川町)と慎重な意見が出ている。

B型肝炎訴訟:36人が追加提訴、原告419人に

(2010.3.24 毎日新聞)

 集団予防接種で注射器が使い回されたことが原因でB型肝炎ウイルスに感染したとして、全国10地裁で患者らが国に損害賠償を求めた訴訟は24日、新たに36人が追加提訴し、原告は計419人になった。12日には札幌地裁が「救済範囲は広くとらえる方向で判断する」として初の和解勧告を出したが、原告弁護団によると、26日に福岡地裁も和解の意向を示す可能性があるという。06年の最高裁判決で国の敗訴が確定しながら、勝訴した原告5人以外の救済を国側が怠ったことで再び始まったB型肝炎訴訟。400人を超えた原告たちは、早期解決を改めて訴えた。
 「僕の血をきれいにしてほしい。他の感染者の血もきれいにしてほしい」。この日、福岡地裁に提訴した福岡市の冨田圭一さん(36)は、会見で実名を公表して訴えた。札幌地裁の和解勧告後も政府の取り組みが見えてこないことに「和解勧告だけでは安心できない」と焦りを募らせる。
 集団予防接種によるB型肝炎感染に国の賠償責任があることは、北海道在住の5人が起こした訴訟の最高裁判決(06年6月)で既に確定している。にもかかわらず、08年3月から新たに起こされた裁判で国が争い続ける大きな理由が、被害規模の大きさだ。

◇ 被害規模

 B型肝炎の国内推計感染者は110万~140万人。集団予防接種が原因とされる割合は、医学生が使う内科の教科書で「約2割」と記載されており、20万人を超える可能性がある。その場合、最高裁判決と同水準(1人550万円)の賠償をすれば、補償総額は1兆円超。08年に和解した薬害C型肝炎訴訟では、国内推計感染者190万~230万人に対し、薬害(ウイルスに汚染された血液製剤の投与)の推計被害者は1万人以上、被害を証明でき給付金を受け取ったのは約1400人にとどまり、今回とは規模が違う。
 政府は16日、関係閣僚会合を開き、鳩山由紀夫首相が仙谷由人国家戦略担当相に総合調整を指示するなど対応を始めた。だが、野党時代の歯切れの良さはなく、24日の衆院厚生労働委員会では「鋭意協議している」と繰り返す山井和則厚労政務官に、自民党の大村秀章・前副厚労相が「なぜ『和解』の言葉が出てこないのか」と迫った。

◇ 救済範囲

 これまでの裁判で国は救済範囲を絞ろうと(1)母子手帳などに集団予防接種の記録が残る(2)母親が存命で血液検査で母子感染を否定できる--ケース以外は因果関係の証明が不十分と主張。弁護団によると(1)を満たすのは原告の約4割、(2)は約7割にとどまるという。
 だが、原告側から見れば、因果関係の証明を難しくしたのは、国が長年対策を放置し時間の経過を招いたことが原因。「集団予防接種は誰もが受けており記録は不必要。母親が死亡していても兄弟姉妹の血液検査で母子感染は否定できる」と反論する。
 和解の諾否を回答する札幌地裁の次回期日は5月14日。福岡地裁などで和解の動きが広まれば、早期解決への圧力はいっそう強まる。最高裁判決がある以上、和解を拒否して判決に至れば国側敗訴は免れず、政府・与党は被害者救済と財源確保の間で厳しい選択を迫られている。

ヒブワクチン:定期接種化を衆参議長に請願

(2010.3.23:毎日新聞)

 「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」(田中美紀代表)は23日、細菌性髄膜炎を予防するヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種化を求める請願を衆参両院議長あてに提出した。昨年12月に細菌性髄膜炎で1歳9カ月の次男を亡くした山口県周南市の齋藤裕子さん(36)ら会員は、長妻昭厚生労働相にも面会し、要望を伝えた。
 面会で長妻厚労相は「ヒブワクチンの定期接種化は、優先順位が高いと思っている。予防接種部会で検討を急がせたい」などと答えた。
 ヒブワクチンは世界130カ国以上で幼児への定期接種が実施されている。記者会見した齋藤さんは「悲劇を繰り返さないでほしい」と次男伊吹君の遺影と共に涙ながらに訴えた。田中代表は「私たち大人に迷っている猶予はない。今すぐ行動と決断をお願いしたい」と話した。

子宮頸がんワクチン接種 定期検診とセットで

(2010.3.23:産経新聞)

 子宮頸(けい)がん予防のためのワクチン接種が国内でも始まり、関心が高まっている。ただし、ワクチンだけでは完全に子宮頸がんの発症を防ぐことはできず、定期的に検診を受けることも重要だ。専門家は「ワクチンと検診の両方を受けてほしい」と呼びかけている。

≪受診率わずか2割≫

 大阪市中央区の三宅婦人科内科医院。昨年末からワクチン接種をスタートしたところ、これまでに15人が接種した。内訳は10代が5人、20代が8人、30代が2人。ほとんどは母親の勧めで医院を訪れたという。「10代、20代ではなかなか自分自身で接種しようとは思わない。やはり何より母親の理解が必要」と院長の三宅侃(あきら)さん。三宅さんは更年期の治療などで医院を訪れる女性に対して、娘がいる場合にはワクチンについて説明し、啓発活動を行っている。
 接種した人には「ワクチンだけで絶対に子宮頸がんにならないというわけではない。検診はちゃんと受けてほしい」とアドバイスするのを忘れない。「検診あってのワクチン。ワクチンあっての検診。どちらも大切です」と三宅さんは話す。

子宮頸がんの予防ワクチンは、発症の原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のうち、原因の大きな割合を占める2種類の発がん性HPVなどに対して効果的だ。接種によって、発症を7割程度予防できるといわれている。完全に防げるわけではないため、残りは定期的な検診で拾い上げていく必要がある。しかし、国立がんセンターがん対策情報センターによると、日本での検診受診率は21・3%(平成19年)にとどまる。

≪海外では無料接種≫

 大阪市内で今月6日、大阪産婦人科医会が主催した子宮頸がん啓発セミナー「子宮頸がんは予防できます-お嬢さんを子宮頸がんから守りませんか」。講演に立った島根県立中央病院母性小児診療部長の岩成治さんは、子宮頸がんの予防ワクチンに関する説明を行ったうえで、「お嬢さんにはワクチンを、お母さんには検診を」というフレーズを紹介。集まった母親や医療関係者ら女性約250人を前に「ワクチンと検診をセットで受けてほしい」と何度も強調した。
 日本赤十字北海道看護大学准教授のシャロン・ハンリーさんは、オーストラリアの学校では無料でワクチン接種が行われ、イギリスでははしかやポリオと同じように接種している、といった海外の事例を報告。さらにイギリスでは子宮がんの検診受診率が高く、「私も大学生のときから受けています」と打ち明けた。
 ハンリーさんは「母も、叔母も、近所の人もみんな受けており、紅茶を飲みながらみんなで検診の話をする。検診が終わると買い物をして外食するので、楽しいイベントのよう。イギリスでは検診は大人になったら当然やることと受け止めている」と話し、ワクチン接種だけでなく、検診の重要性も訴えた。

◇ 検診の受診率、宮城がトップ

 子宮がん検診の受診率は都道府県によってばらつきがある。国立がんセンターがん対策情報センターによると、平成19年の都道府県別受診率(20歳以上)は宮城の31・0%がトップ。以下、山形、秋田と続く。逆に、低いのは山口(16・6%)、兵庫(16・8%)、和歌山(17・6%)で、“東高西低”の傾向が見られた。

おむつ処理に注意を ポリオ予防接種、二次感染恐れ

(2010.3.22:時事通信)

 厚生労働省は、ポリオ(小児まひ)の予防接種を受けた子供から家族らに二次感染することがまれにあるとして注意を呼び掛けている。ワクチン接種後15~37日間にわたり、ウイルスが便に排出されるため、おむつを替えた際などは、入念に手洗いするよう保護者や保育所に求めた。
 神戸市は先月、市内の男児がポリオを発症したと公表。男児はワクチン接種者から二次感染した疑いがあり、同省は今月11日付で都道府県や政令市に通知を出した。
 同省によると、ポリオウイルスに感染すると0.1%程度の割合で手足などにまひが生じ、後遺症が残ることがある。国内の自然感染は1980年が最後だが、海外には現在も患者がおり、国内流入の恐れがあるため、予防接種を続けている。

ポリオ・ワクチン(連載記事)

(2010.3.17-19:読売新聞)

□ 予防接種後に左足まひ

 「学校のみんなは(足の)病気がなくてずるい。僕の病気は運命なの?」
 大阪府の母親(38)は、男児(7)に聞かれ、言葉に詰まった。
 2003年春、ポリオの予防接種を受けた後、熱が出て、左足が動かなくなった。「あれっ、足動いてないんじゃないの?」。母親がオムツを替えている時、父親(42)が気づいた。近くの大学病院に入院、便からポリオワクチンのウイルスが検出された。
 ポリオの予防接種では、毒性の弱いウイルスを使った生ワクチンが使われている。このため、まれに体内でウイルスが強毒化して感染し、手足にまひが出ることがある。予防接種のせいと聞いて、「まさか、うちの子が……」とがく然とした。
 ただ、その後の精密検査で、体内から手足口病のウイルスも出た。検査で複数のウイルスが出ることは珍しくないことなのだが、手足口病のウイルスも非常に頻度は低いものの、まひを起こすという報告がある。確定診断はつかなかったが、厚生労働省からは「ワクチンによるまひの可能性を否定できない」と判定された。
 退院してリハビリに通ったが、足は動くようにならなかった。「予防接種を受けたのが間違いだったのだろうか?」。二人でポリオの予防接種について調べるうち、「不活化ワクチン」の存在を知った。
 ポリオのウイルスを死滅させたもので、ワクチン接種でまひが起きることはない。ポリオが激減した国では、生ワクチンによるポリオの発症が問題になり、米国では2000年、完全に不活化ワクチンに切り替えられた。男児が予防接種を受けた時点で、欧州の多くの国では不活化ワクチンを使っていた。

 日本では1980年を最後に自然感染でまひを発症した人は一人もいない。ところが、今も生ワクチンを使い続け、年に数人程度、ワクチン接種後にまひが発生している。

 小学1年生になった男児の左足は、右足より2・5センチも短く、筋肉がつかないのでやせ細っている。日常生活に歩くための装具は欠かせず、「もっと歩きたいのに足が痛くなる。みんなと一緒に歩きたい」と男児が言うたびに、母親の心は曇る。
 両親は息子に予防接種のことを話せないでいる。
 「不活化ワクチンを使えば防げることがなぜ今も実現できないのか。今のままでは、大人として子どもに説明することができない」と父親は話す。

ポリオ(急性灰白髄炎)
 ポリオウイルスが中枢神経に感染して手足のまひなどを発症する。かつては子どもが多く発症していたため、小児まひとも呼ばれていた。糞便の中に排せつされたウイルスが口から感染し、腸などで増殖、血液を通じて脊髄(せきずい)などの神経に感染して、まひが起きる。
 ただし、ポリオウイルスに感染しても、90~95%は無症状。残りは、下痢やせき、のどの痛みなど風邪のような症状が出たり、無菌性髄膜炎を起こしたりする。世界保健機関(WHO)によると、手足などにまひの後遺症が出るのは感染者200人に1人(0.5%)程度という。
ポリオの生ワクチン
 国内でのポリオの予防接種では、毒性の弱いウイルスを使った生ワクチンが使われている。毒性は弱いとはいえ、生きたウイルスが入っているため、まれに予防接種を受けた人や周囲の人がワクチンに含まれるウイルスに感染して、まひなどの症状を発症することがある。発症の確率は、予防接種約490万回に1回というものから、100万人に数人程度というものまで報告がある。
 国内の発生状況は、国立感染症研究所感染症情報センターによると、まひ症状が出てワクチンのウイルスが見つかった人は2005年に 1人、06年は0人、07年に2人。一方、予防接種後の健康状態の変化を集計する厚生労働省の予防接種後副反応報告書集計報告によると、ポリオの生ワクチンの接種後にまひを起こした子どもは、2006年度3人、2007年度に4人いる。

□ 40歳過ぎ再び健康被害

 ポリオに感染して手や足のまひが残ると、一生、その障害と向き合わなければならない。だが、それだけではない。「ポスト・ポリオ症候群」を発症することもある。
 東京都の丸橋達也さん(44)は、生後8か月の時にポリオの予防接種を受けた後、左足がまひ。便からワクチンのウイルスが出て、予防接種の健康被害と認定された。
 当時、足に障害があれば養護学校(現在の特別支援学校)に行くのが通例だったが、母親は市の教育委員会と交渉して普通小学校に入れた。車の免許を取って、毎朝、校舎に入る前に、泥のついた松葉づえの先をぞうきんで丁寧にふいて送り出してくれた。
 子どもたちの好奇の目にさらされるのはつらかったが、明るく振る舞って撃退した。中学生になると、つえなしで、足に装具をつけるだけで歩けるようになった。野球もした。打つと、友達が代走してくれた。
 高校卒業後、歩き回る営業の仕事を自分で選んだ。24歳で結婚、3人の子どもにも恵まれた。「足のハンデがあっても十分人並みに生きていける」。ところが、40歳を過ぎた頃から、股関節や腰が痛み出し、歩くと痛みはさらに強くなった。
 インターネットで見つけた患者団体「ポリオの会」の紹介で専門医を受診。痛みの原因は「ポスト・ポリオ症候群」だとわかった。

ポスト・ポリオ症候群
 ポリオの発症後、15~50年してから、突然、あるいは徐々に、まひしていなかった部分の筋力の低下や痛み、急に力が抜けるなどの症状が表れる。ポリオ患者の20~40%に起きるとされ、長年、ほかの筋肉や神経に過剰な負担がかかり続けることが主な原因と考えられている。

 筋肉に負担をかけ過ぎないよう注意して生活を送るしかないのだという。悪いのは左足だけと思っていただけにショックを受けた。
 会に入って、自分と同じように予防接種でまひを起こした子どもたちが何人もいることを知った。そして、日本では、ごくまれとはいえ、まひを発症する危険がある生ワクチンが使われているが、海外の多くの国では、まひが出ない「不活化ワクチン」が使われていることも知った。
 丸橋さんは先月、「ポリオの会」の仲間と共に、衆議院議員会館で国会議員たちに自分の体験を語り、日本でも早急に、不活化ワクチンを導入するよう訴えた。「自分と同じ思いをする人をこれ以上出したくない」と力を込める。

□ 日本 進まぬ「不活化」導入

 先月、神戸市は市内の男児が、ポリオを発症したと発表した。男児は予防接種を受けておらず、別の人を介して、ワクチンが2次感染したとみられている。
 ポリオは、かつて年間2000~3000人が発症し、その2割前後が死亡していたが、1961年に生ワクチンが緊急導入されてから感染者は激減。80年を最後に自然感染で発症した人はいない。だが、その後もワクチンに感染した子どもがポリオを発症している。生ワクチンには、毒性は弱いとは言え、生きたウイルスが入っているためだ。
 一方、インド、パキスタンなどでは、自然感染によるポリオの流行が繰り返されており、予防接種をやめれば、海外から持ち込まれたウイルスが国内で再び大流行を起こす危険もある。
 患者団体「ポリオの会」代表の小山万里子さんは「万一に備えて免疫をつけるためにも予防接種は必要。だからこそ、不活化ワクチンに切り替えてほしい」と話す。不活化ワクチンは、ウイルスを死滅させるため、まひは起きない。海外の多くの国では不活化ワクチンを導入済みだ。
 日本でも、不活化ワクチンの必要性は10年以上前から指摘されていたが、導入は進んでいない。
 国内向けの生ワクチンを製造する日本ポリオ研究所(東京都東村山市)は90年代後半に不活化ワクチンを開発。98年から治験を行い、2001年に厚生労働省に承認申請を出したが、接種後の調査が不十分などとしてやり直しを命じられた。同研究所は、やり直しを検討したが、単独で実施するのは難しいとして、05年に中止を決定した。
 同省によると、現在は国内の4社が、不活化ワクチンと、ジフテリアなどのワクチンを混ぜた四種混合ワクチンを開発し、治験中だ。接種時期が同じワクチンを1本にまとめたもので、「来年頃には申請が始まる予定」(同省)という。
 だが、既に予定は大幅にずれ込んでおり、実際にいつ使えるようになるかは不透明だ。同省の委員会は03年に「早急に不活化ワクチンに移行すべきだ」との提言をまとめたが、今も実現していない。事情を知る専門家は「国は国産ワクチンを作るとしながら、規模の小さいメーカー任せにし続けた。無責任と非難されても仕方がない」と漏らす。
 小山さんは「また1人、生ワクチンで発症した子どもが出たことを、国は重く受け止めてほしい。国産の不活化ワクチンが利用できるまで、海外から輸入するなどの緊急措置が必要だ」と訴える。

小児へのBCG再接種、死亡率低下のベネフィットなし、ギニアビサウ調査

(2010年03月18日:BMJ)

文献:Roth AE et al. Effect of revaccination with BCG in early childhood on mortality: randomised trial in Guinea-Bissau. BMJ. 2010;340:c671
 小児2871名を対象に、19カ月齢時のBCG再接種により全死亡率が低下するか、無作為化試験で検証。5歳までの追跡期間中に77名が死亡し、対照群(非接種群)に対するBCG再接種群の死亡ハザード比は1.20だった。著者らは、BCG再接種にベネフィットは認められなかったと結論している。

(院長のつぶやき)BCGを出生時に全ての赤ちゃんに接種する国がある一方で、アメリカなど接種していない国もあるのが現状です。日本でもしばらく前に小学1年生時のツベルクリン反応&BCG再接種が中止になりましたね。

ワクチン接種で異常相次ぐ 中国山西省、4人死亡

(2010年3月18日共同通信社)

 17日付の中国紙、中国経済時報によると、山西省で2006年から08年ごろにかけてB型肝炎やBCGなどのワクチンを接種した子どもに相次いで異常な症状が現れ、少なくとも4人が死亡した。現在も74人に後遺症がある。
 低温下で保管すべきワクチンを高温の場所に放置するなど、管理がずさんだったことが異常の原因とみられるという。
 報道を受けて中国衛生省は17日、調査に着手すると表明、山西省衛生庁に対し状況を報告するよう求めた。
07年11月に生まれた男児は、出生当日などにワクチンを接種した後、けいれんなどの症状が現れ、生後9カ月で死亡した。また、笑ったり話したりしなくなるなど植物状態同然となった女児もいる。

(院長のつぶやき)特定のワクチンではなく、保管方法の問題のようです。日本を含めた先進国ではあり得ないトラブルが中国ではよく見られます。次の記事は続報です。

異常ワクチン接種で死亡・後遺症事故相次ぐ=被害者家族に口封じの脅迫電話も―山西省

(Record China)

 2010年3月17日、中国経済時報は、山西省でのワクチン異常死事件に関する告発記事を掲載した。ワクチン接種後に死亡した子ども4人、後遺症を負った子ども74人が確認されたという。
 問題はB型脳炎やB型肝炎、BCGなどのワクチンの保存・管理にあった可能性が指摘されている。2005年、山西省はワクチンの管理、配送を中国衛生部旗下の企業・北京華衛時代医薬生物技術有限公司に委託したが、その入札にあたっては正しい手続きがとられていなかったという。
 記事を受け、山西省衛生庁は記者会見を開き「報道は事実無根」と反論した。記事でリストアップされた後遺症を負った児童15人のうち10人は確認されたが、ワクチンの異常反応が確認されたのはわずかに1人。その児童が接種したワクチンも、記事で取り上げられた問題ワクチンではなかったという。
 一方で配送センターの委託入札手続きの不備は認めた。北京華衛時代医薬生物技術有限公司が支払ったリスク対策費50万元(約659万円)の一部を担当者が着服、高級車を購入していた事実が確認された。担当者はすでに任を解かれたという。また、記事はワクチン禍を2008年の事件と伝えているが、すでに保管体制は切り替えられ、現在は問題がないとも主張している。
 19日付の中国経済時報は「報道は全て事実であり問題があれば法的責任を負う」と発表、改めて記事の正当性を訴えた。なお17日夜、中国衛生部は「事件を重く見ている。ただちに調査するよう山西省衛生庁に命じた」と発表した。
 22日付香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、被害者の親に「これ以上、追求すると殺す」などの脅迫メール、電話があったことを報じている。脅迫を受けたのは10人以上。追求をやめれば10万元(約132万円)を支払うとも持ちかけてきたという。

ワクチン後進国” 脱却へ

(2010.3.17:産経新聞)

 「ワクチン・ラグ」という言葉がある。海外で使えるワクチンが、日本では承認されない状態を表現するとともに、日本のワクチン行政そのものの20年にもわたる停滞を指摘する言葉だ。
 新型インフルエンザが日本で本格的に流行し始めた昨年8月20日。衆院選で遊説中だった舛添要一厚生労働相=当時=に、厚労省幹部から電話が入った。「大臣。約4千万人分のワクチンを輸入したいのですが」。国産のワクチン生産能力は1800万人分しかない。輸入が必要だった。
 北海道大の喜田(きだ)宏教授(微生物学)は「問題の本質は、なぜ輸入しなければいけなかったのかということ。日本のワクチン行政は20年間停滞していた。それが今回、浮き彫りとなった」と指摘する。
 「ワクチン後進国」。日本の脆弱(ぜいじゃく)なワクチン行政はしばしばこういわれてきた。
 厚労省によると、平成20年までの20年間で、米国では21種類の新たなワクチンが承認されたが、日本はわずか4種類
 顕著な例が「不活化ポリオ(小児まひ)ワクチン」。米国では昭和62年から使われているが、23年たった今も国内では未承認だ。
 昨年承認された小児用肺炎球菌ワクチンは米国の9年遅れ。ラグが3年と比較的短かった子宮頸(けい)がん予防ワクチンも、世界的には99番目という遅さだった。
 薬害エイズなど、厚労省には薬の安全性をめぐる苦い過去がある。その経験が、新薬の承認を慎重なものにさせてきた。
 ワクチン行政に関しても同じ。喜田教授は「批判を恐れすぎてきた」という。
 接種率が下がればメーカーにとっては市場としての魅力が薄れる。武田薬品工業が平成6年にインフルワクチン事業から撤退。現在、国内では中小の4社が製造するのみだ。海外で主流の、ワクチン大量生産のための技術も未熟。新型インフルが発生し、ワクチンを輸入に頼らざるを得なかったのも必然といえる。
 しかし、新型インフルを機に、ワクチンの必要性を多くの人が認識した。
 厚労省も昨年末、専門家などによる予防接種部会を新設。“ワクチン後進国”からの脱却を図ろうとしている。初会合で厚労省の上田博三健康局長はワクチン行政の遅れを認めた上で「不退転の気持ちで大改革に取り組みたい」と宣言した。
 行政の姿勢が追い風となり第一三共、武田薬品工業といった大手製薬会社もインフルワクチン製造参入に動き始めた。
 ワクチンに詳しい三重病院の庵原(いはら)俊昭院長は「ワクチンには将来の病気を予防し医療費を抑える効果がある。安全性を担保しつつ、行政がどれだけ予防医療を前向きにとらえるかが問われている」と話している。

(院長のつぶやき)「厚労省の上田博三健康局長」は「ワクチン後進国」をつくった張本人です。この人が辞めない限り、抜本的改革は期待できません。

小学生4人に期限切れワクチン接種 〜群馬県前橋市〜

(時事通信)

 前橋市は17日、ジフテリア・破傷風の予防接種で、小学5年の男女4人に対し、有効期限切れのワクチンを接種したと発表した。健康被害は出ていないという。
 市保健所によると、市から予防接種の委託を受けた医療機関で、有効期限が2月13日のワクチンを今月8日と9日に使用した。

(院長のつぶやき)またも群馬県ですか・・・。

日本外務省、狂犬病注意喚起:アジアで多発

(2010.3.15:インド新聞)

 日本外務省は12日、「狂犬病-もし、咬まれたらすぐに医療機関へ」というタイトルの渡航情報(広域)を出した。狂犬病は日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国を除いて全世界に分布しており、ほとんどの国で感染する可能性がある。毎年、世界中で5万人以上の人が狂犬病感染で死亡しており、特にアジアを中心とした地域で発生が多く確認されているが、北米、欧州の一部地域でも感染のおそれがある。
 インドは世界で最も狂犬病による死者が多く、ワクチンによる治療を受ける人も年間で100万人に上るとされている。
 日本外務省渡航情報で例示されているアジアの報告例は以下のとおり。
 (1)中国:中国衛生部は、狂犬病の人への感染事例につき、2008年は発病数2,544人(死亡者2,381人)、09年は発病数2,281人(死亡者2,103人)、10年1月の発病数は126人(死亡者116人)と発表した。
 (2)インドネシア:狂犬病による死亡者は毎年約100人前後で、バリ保健当局は08年11月28日に初めての感染事例が確認されて以降、10年3月3日までバリ州1市6県で21人の死亡(ほか、疑い例18人)が確認されたとしている。
日本では狂犬病が撲滅されているため、その危険性を忘れがちだが、06年11月に、フィリピンで犬に咬まれた日本人が帰国後に発症、死亡する事例が確認された。海外に渡航、滞在者は以下の点に注意する必要がある。
 狂犬病とは、犬に限らず、猫やイタチなどほかの哺乳動物(北米ではアライグマ、スカンク、コウモリ、欧州ではキツネ、アフリカではジャッカルやマングース、牛や馬など)からも感染することがある。狂犬病に感染した犬などの唾液中にウイルスが存在するので、主に動物にかまれることで、傷口からウイルスが体内に侵入する。
 症状は人の場合、潜伏期間は一般に1-3カ月で、長い場合は1-2年後に発症した例もある。発症した場合はほぼ100%死亡する。症状は発熱、頭痛、嘔吐(おうと)などに始まり、次いで筋肉の緊張、けいれん、幻覚が現れる。水を飲むとのどがけいれんをおこし(恐水症)、冷たい風でも同様にけいれんをおこす(恐風症)。犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、よだれを大量に流し、昏睡(こんすい)、呼吸まひが起き、死に至る。
 予防方法は、動物にむやみに手を出さないこと。他人のペットであっても要注意。
 また、具合の悪そうな動物には近づかないこと。狂犬病の犬は、多量のよだれを垂らし、物にかみつく、無意味にうろうろするなど独特の行動をとっている。
 万一、狂犬病にかかっているおそれのある動物にかまれてしまった場合、直ちに十分に石けんを使って水洗いを行う(傷口を口で吸い出したりしない)。その後、すぐに医療機関で傷口を治療し、ワクチン接種を行う。発病前であれば、ワクチンの接種は効果があると考えられているので、必ず接種すること(破傷風トキサイドワクチンを未接種の方は狂犬病ワクチンの接種とともに、破傷風トキサイドワクチンの接種も必ず受けること)。事前に狂犬病の予防接種を受けている場合でも、狂犬病にかかっているおそれのある動物にかまれた場合は、治療を目的としたワクチン追加接種が必要となるので、必ず医療機関で受診すること。また、現地医療機関での受診の有無にかかわらず、帰国時に検疫所(健康相談室)に相談すること。

有効期限切れワクチンを中1男子に接種 〜群馬県伊勢崎市〜

(2010.3.12:産経新聞)

 群馬県伊勢崎市は11日、市の委託で行われているはしかと風疹(ふうしん)の予防接種で、同市内の診療所の男性医師が中学1年の男子生徒(13)に対し、有効期限切れのワクチンを誤って接種したと発表した。男子生徒に健康被害は確認されていないという。
 市健康管理課によると、男子生徒は今月8日、同市内の診療所でワクチン接種を受けたが、ワクチンは2日が有効期限のものだった。
 男子生徒が帰宅後に、医師が期限切れに気づき、市に連絡。同市は10日、男子生徒の保護者に謝罪した。

(院長のつぶやき)期限切れや接種量の間違いなどの「誤接種」は年に1回ほど話題になります。今回はご近所でした。

B型肝炎訴訟:札幌地裁が国・患者側に和解勧告 全国で初

(2010.3.12 毎日新聞)

 集団予防接種で注射器が使い回されたことが原因でB型肝炎ウイルスに感染したとして、患者ら57人(うち3人死亡)が国に総額19億9650万円の損害賠償を求めた「B型肝炎北海道訴訟」で、札幌地裁(中山幾次郎裁判長)は12日、原告・被告双方に和解を勧告した。札幌も含め全国10地裁で係争中のB型肝炎訴訟で、和解が勧告されたのは初めて。今後は問題の早期解決に向け、国側が和解のテーブルに着くかどうかが焦点になる。
 訴状によると、北海道訴訟の原告57人は道内外在住の30~60代の男女。0~6歳のころに国による集団予防接種を受けてB型肝炎ウイルスに感染したり、集団予防接種が原因でB型肝炎ウイルスに感染した親から母子感染したとされる。
 B型肝炎訴訟を巡っては、最高裁が06年6月、国の責任を認め、札幌市の患者5人(うち1人死亡)に対して計2750万円の支払いを命じた判決が確定している。国内には推計約140万人の感染者がいるとされるが、国は感染の因果関係がはっきりしないとして一律救済を拒否。このため、08年3月の札幌地裁を皮切りに、東京や福岡など全国10地裁に患者ら383人(うち6人死亡)が順次、提訴していた。

◇「裁判所の姿勢を歓迎」全国訴訟原告団が声明

 全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団は「被害者を広く救済すべきだとの立場に立った裁判所の姿勢を歓迎する。既に北海道訴訟で3人、全国で6人の原告が亡くなっており、解決には一刻の猶予も許されない。一日も早く和解を実現させることを強く求める」との声明を出した。
 厚生労働省は「札幌地裁からの提案については今後、政府部内で対応を検討することとしたい」とのコメントを文書で出した。

HPVワクチン接種、公費助成「決定」はわずか 〜全国自治体アンケート〜

(CBニュース)

 子宮頸がん征圧をめざす専門家会議(議長=野田起一郎・近畿大前学長)が全国の自治体を対象に行ったアンケートによると、「子宮頸がん予防HPVワクチン」の接種に対する来年度の公費助成を決定している自治体は、回答した691自治体のうちわずか1.2%だった。一方、助成を行わないと決定している自治体は25.5%だった。
 アンケートは、専門家会議が2月、全国の1778自治体を対象に「子宮頸がん予防HPVワクチン」接種に対する公費助成の検討状況などを調査したもので、有効回収率は42.0%(747自治体)だった。
 それによると、「子宮頸がん予防HPVワクチンの接種を、自治体の平成22年度の公費により助成することについてすでに検討しているか」と質問したところ、回答した691自治体のうち、公費助成を「決定」としたのは1.2%で、「検討中」は6.2%だった。一方、助成を行わないと決定している自治体は25.5%で、66.7%の自治体ではまだ検討さえされていなかった。
 「子宮頸がん予防HPVワクチンの接種に関して、国費負担をおこなうよう求める議会での決議などが行われたか」との質問には、「行われていない」が97.3%で、ほとんどの地方議会で行われていなかった。「行われた」は1.4%、「審議中」は0.9%だった。

ヒブワクチン接種費助成 兵庫県内22市町が実施前向き 

(2010.3.10:神戸新聞)

 「インフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)」による髄膜炎の予防用ワクチン接種費の助成について、既に実施している三木市を含め県内の22市町が前向きに動きだしていることが、県のまとめで分かった。
 県によると、14市町が4月実施を検討。7市町が2010年度中の助成開始を考えている。
 ワクチン接種は現在、任意。標準の4回接種で約3万円かかる費用は、全額自己負担となっている。
 予防を促進するため、県は、ワクチン接種の実施主体となる市町が接種を受ける人に費用を助成する場合、その半額を県が負担する助成制度を4月からスタートさせることにした。
 これを受けて、県内の各市町も助成へ前向きに動き出した。
 県は今後、残りの市町にも、県の助成制度の活用を、定期的に呼び掛けていくという。

(院長のつぶやき)市町村の補助に県が補助するという動きは初めてではないでしょうか・・・と思ったら東京都も同じ方針でした。

学校と自治体の連携強化を 〜麻しん対策推進会議

(CBニュース)

 厚生労働省の第5回「麻しん対策推進会議」(座長=加藤達夫・国立成育医療センター総長)が3月10日、国立感染症研究所で開かれた。出席した委員からは、自治体によって麻しん対策に大きな差があることを問題視する声や、予防接種率向上のため学校と自治体の連携の強化を求める意見が出た。
 国が2007年に定めた「麻しんに関する特定感染症予防指針」では、12年までにはしかを国内から排除し、その後も排除状態を維持することを目標としている。同会議は、はしか排除に向けて実施される施策の評価・見直しなどを行うために設置された。
 会議では、09年のはしかの患者数は08年と比べて大幅に減ったものの、排除の定義とされる「人口100万人当たり1人」のレベルにまで減らすことができたのは、秋田、石川、高知、熊本の4県だけであることや、昨年4-12月のはしかワクチンの接種率は、中学1年に相当する年齢の人(第3期)が65.8%、高校3年に相当する年齢の人(第4期)が56.6%にとどまっていることなどが報告された。
 また、高校での集団接種の実施によって、第4期の接種率を向上させた茨城県神栖市や、県の健康福祉部と学校関係者が協力し、予防接種を受けていない児童・生徒の出席を一時的に停止するなどの対策を講じた秋田県の取り組みなども紹介された。

B型肝炎訴訟 命を救いたい 〜鳩山政権が公には言えない理由を検証します

(2010.3.10:FNN)

 B型肝炎ウイルスに感染したとして国を訴えている裁判は、12日に和解勧告が出る見込みです。これに対し、被告である国は対応を明らかにしていません。命を救いたい鳩山政権が公には言えない理由を検証します。

 2008年に和解が成立した、薬害C型肝炎訴訟。2008年1月、舛添前厚労相は「率直に国の責任を認め、心からおわびを申し上げたいと思います」と述べた。裁判に参加していなかった被害者も、議員立法によって、1,300人余りが救済されている。

 その一方で、置き去りにされてきたのが、B型肝炎。2006年に最高裁が、予防接種によるB型肝炎ウイルスの感染は国の責任と認定したが、国は、原告5人以外の患者救済を拒否した。やむなく患者たちは、全国10地裁に、383人が追加提訴に踏み切った。この2年間に原告たちの病状は悪化し、6人が亡くなっている。札幌地裁は原告の健康被害が深刻化していることを理由に、2010年1月、早期解決に向けて乗り出した。
 B型肝炎訴訟の原告弁護団・奥泉尚洋弁護士は「裁判所としても、この裁判を和解で解決することが望ましいと考えていると」と話した。札幌地裁の和解勧告に国が応じた場合、全国の訴訟が一気に解決する可能性が出てきた。12日は、最大のヤマ場を迎える。
 しかし、政府内からは、和解に消極的な意見しか聞こえてこない
 関係閣僚の誰も口にしない理由とは、財源問題にあった。集団予防接種で感染したB型肝炎の患者数は、推定5万~7万人。厚労省は、この患者数を元に和解した場合を想定、原告が請求する金額を賠償すると、数兆円規模の財政支出が必要と試算した。こうした財源問題を理由に、早期解決は無理との空気が、政府内に広がっている。
 これに対し、B型肝炎訴訟の原告弁護団・小部正治弁護士は「予防接種で何人被害が出ているかは、誰も知らないわけですよね。したがって、それがどのくらい(原告となる人が)いるのかについて、たぶん、厚労相の中で推定に推定を重ねてるんじゃないですか」と話した。
 一方の原告弁護団は、最終的な原告の数を、数千人程度、総予算も数千億円に収まるとしているが、厚労省の試算と同様、憶測の域を出ない。
 原告弁護団は、早期解決のため、交渉に柔軟な姿勢で臨む方針だったが、財源問題に固執する政府に、疑問を抱き始めた。政府に期待を寄せていた原告にも変化が起きている。B型肝炎訴訟・東京原告の田中義信さんは「財源問題と言っておりますが、わたしたちの命と財源と、どちらが大事なんでしょうか」と訴える。
 3日後に迫った札幌地裁の口頭弁論。和解について方針を明確にしない、長妻厚労相を直撃した。長妻厚労相は、「(大臣の解決への取り組みが、あまり意欲的ではないんじゃないかという批判の声が、原告団の中から出ているんですけども?)われわれとしては、十分それについて準備をしていくという段階です。内閣全体で取り組む課題でもあると思います」と述べた。
 極めて慎重な姿勢に終始した長妻厚労相。命を守る政治を掲げる鳩山内閣は今、その真価が問われている。

(院長のつぶやき)これは予防接種の際の「注射器使い回し」が原因です。微量の他人の血液が混入して注射され、感染が広がる結果となりました。無知が造った悲しい歴史です。

ようやく麻疹排除?

(2010.3.10 産経新聞)

【感染症と人の戦い】国立感染症研究所情報センター長・岡部信彦
 江戸の町人文化を彩った錦絵に「はしか絵」と呼ばれるものがある。はしか(麻疹(ましん))を逃れようと神頼みする町人の姿にまじないの文言などが添えられている。当時、子供だけではなく大人にも「命定めの病」として恐れられ、かかったら75日間、風呂や酒を禁じられたという。古くは平安時代の古典「栄花物語」にも麻疹らしき疫病の記述があり、人類は1000年以上にわたり、麻疹に苦しめられてきた。
 ところが、その“1000年来”の付き合いに、間もなく終止符を打てるかもしれない。平成21年、日本の麻疹罹患(りかん)者数が、おそらくは史上初めて1000人を切り、741人となった。日本ではつい10年ほど前には20万~30万人もの発生と、年間100人前後もの死亡があったと推計される。当時すでに南北アメリカ、隣国の韓国では麻疹排除を成し遂げており、「日本は自動車だけでなく麻疹も輸出する」と何とも不名誉な揶揄(やゆ)を受けてきた
 ただ心配な点がまだある。実は今年度の「麻しん風しん混合(MR)ワクチン」の予防接種率が、昨年度よりやや下回っている。MRワクチン接種費用は特定の年齢はほぼ公費で賄われている。つまり無料だ。しかし現在対象となっている人(中1と高3相当年齢)は、年度が替わるあと20日後には「対象外」となってしまう。
 熱しやすく冷めやすい青春時代の恋愛を「はしかのようだ」と例えるように麻疹は誰でもかかる一過性の病とのイメージもあるが、重症化のリスクは高い。1000例に1、2人が死亡し、後遺症を残すこともある。また亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる難病は、麻疹感染から数年後に発病し、ゆっくりと神経症状が進んで意識がなくなり、治療法がないままやがて亡くなる。
 麻疹患者が20万~30万人いれば、そのうち数人がやがてSSPEを発病する。しかし麻疹患者が700人程度なら、そのリスクは100年に1人出る程度にぐっと落ちる。昨年は麻疹による死者も、脳炎発症例も報告はない。麻疹が1000人を切るということは、この病で亡くなる人がいなくなることにつながるのだ。
 ただ、ここで油断してはいけない。麻疹は空気感染で広がり、感染力は強い。予防接種を怠る人が増えると、すきができ、再び感染が広がる。毎年、95%程度の接種率を保てば、患者発生はほぼゼロに抑えられる。SSPEの親の会の人は言う。「皆さんの予防接種がこの先、子供や孫の代がSSPEになるのを防ぐのだ」と。
 今、公費接種できるのは1歳と就学前の5~6歳、中学1年・高校3年生相当の年齢だ。特に高校3年生では3~4人に1人が今年度はまだ受けていない。対象年齢の人は、3月中に駆け込みで、ぜひMRワクチンを受けていただきたい。その接種が、自分の身だけではなく、クラスメートや恋人、ひいてはまだ見ぬわが子も守るのだから。

ワクチン政策の充実を 小児科学会などが協議会設立へ

(2010.3.9:朝日新聞)

 ワクチン政策に対して専門家の意見を反映させる仕組みをつくろうと、日本小児科学会や日本ワクチン学会など関連8団体が「予防接種推進専門協議会」を4月にも発足させる。欧米より遅れているワクチン政策の現状を改善するのがねらいだ。
 従来は、個別の関係学会が厚生労働省などにワクチンの推進策を要望してきた。しかし、小児の髄膜炎などを防ぐヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンは「要望してから承認まで10年かかった」(小児科学会会長の横田俊平横浜市立大教授)という。
 「一番、被害を受けているのはワクチンが承認されていたら亡くならなかっただろう子どもたち。何とかしよう」という小児科学会の呼びかけで、専門家が力を合わせて意見を政策に反映させるための協議会を作ることになった。
 ほかに加盟が決まっているのは日本ウイルス学会や日本感染症学会など。日本細菌学会と日本産科婦人科学会も加わる予定。

(院長のつぶやき)確かに従来は各学会が声明を出すので混乱するばかりで政府へ訴える力が無いように感じていました。アカデミズムが一致団結して政府の「責任逃れ暴走」を食い止めるシステムができるのは喜ばしいことです。

国内大手がインフルワクチン製造 武田、第一三共が検討

(2010.3.9:共同通信)

 国内製薬最大手の武田薬品工業と3位の第一三共が、新型インフルエンザと季節性インフルエンザのワクチン製造に参入する方向で検討に入ったことが8日、分かった。
 季節性インフルだけでなく、新型インフルの流行などで今後も需要拡大が見込まれることから、採算が合うと判断した。政府が支援体制を強化していることも背景にあり、国産ワクチンの供給量は大幅に増えそうだ。
 国内では、中小の4メーカーがインフルエンザワクチンを製造しているが、大手は現在製造していない。武田は現在、デンカ生研(東京)から、第一三共は北里研究所(同)からそれぞれワクチンを仕入れて販売を行っている。
 中小メーカーの生産能力が小さく、新型インフルの流行などに対応しにくいこともあり、武田も第一三共も、単独生産や、他のメーカーとの共同生産などを検討している。両社ともワクチン製造を新たな中期経営計画の柱に据える考え。生産体制の構築に2010年度にも着手する見通しだ。

(院長のつぶやき)ワクチンを輸入に依存している体質からの脱却が期待される動きです。

新ワクチン 重い自己負担 …細菌性髄膜炎6万円、子宮頸がん4万5千円

(2010.3.6:読売新聞)

 乳幼児の細菌性髄膜炎や、子宮がんを予防するワクチンが相次いで発売された。しかし、接種費用が高額で、所得の格差が健康格差につながりかねないという声が医師や患者団体から上がっている。
 細菌性髄膜炎は、年間推計で1000人近くが発症し、約5%が死亡、15~25%に脳機能障害などの後遺症が残る。2月、乳幼児用に発売された肺炎球菌ワクチンと2008年12月に発売されたインフルエンザ菌b型(ヒブ)のワクチンを接種すれば、8~9割の細菌性髄膜炎を防げるとされる。いずれも有料の任意接種だ。
 肺炎球菌ワクチンは1回9000円~1万円、ヒブワクチンは1回7000円~9000円程度。生後7か月未満の乳児では、それぞれ4回接種が必要なため、両方合わせて6万円~8万円になる。
 東京都医師会の感染症対策委員長で、小児科の和田紀之医師は、「値段を聞いてあきらめるお母さんもいる。国で定期接種に位置づけて、公費補助で誰もが打てるようにしてほしい。このままでは、健康格差が生まれる」と話す。「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」では、定期接種化を求める署名活動を続けている。
 一方、子宮がんの一種、子宮頸(けい)がんは年間約2500人が死亡し、20歳代の若い女性で増えている。子宮頸がんワクチンは、初めてのがん予防ワクチンで昨年12月に発売された。1回1万5000円~2万円程度で、3回の接種が必要。4万5000円以上になる。
 子宮頸がん検診の普及を訴えてきた「子宮頸がんを考える市民の会」事務局長の渡部享宏(わたなべたかひろ)さんは「ごく一部、助成を決めた自治体もあるが、国が一律に助成して、希望すれば接種できるようにしてほしい」と訴えている。
 海外では、細菌性髄膜炎について、ヒブは130以上の国、肺炎球菌は45か国、子宮頸がんワクチンは、アメリカ、イギリスなどで定期接種になっている。
 厚生労働省は、今国会に予防接種法の改正案を提出する予定だが、新型インフルエンザワクチンの接種に関する規定の変更のみにとどまっている。

子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成、仁科亜季子さん訴え

(2010.3.3:毎日新聞)

 子宮頸(けい)がんの予防ワクチン接種への公費助成を求める実行委員会が2日、発足した。発起人共同代表で女優の仁科亜季子さんは自身が患者だった経験を踏まえ、「ワクチンは全女性への贈り物。公費助成を実現し、悲しい思いをする女性が一人でも少なくなってほしい」と訴えた。
 共同代表には仁科さんのほか、土屋了介・国立がんセンター中央病院長が就任した。今後、専用サイト(http://hpv.umin.jp/)などを通じ署名を集め、5月末に厚生労働省に提出する。問い合わせは事務局(電話03・6427・3782)。

麻疹ワクチンの接種低迷 中国5県で50―70%台

(2010.3.2:中国新聞)

「無料」対象者に呼び掛け
 13歳と18歳を対象とする麻疹(ましん)=はしか=のワクチン接種率が低迷している。中国地方5県の2009年度も50~70%台にとどまる(12月末現在)。県や市町村は無料で受けられる3月末までの接種を呼び掛けている。
 無料の予防接種は、08年度から始まった。09年度の広島県の接種率は12月末現在で、13歳は69・4%、18歳は60・7%だった。他の4県も13歳が62・3~71・9%、18歳が54・3~68・7%。国が掲げる目標の95%を大きく下回っている。
 対象者は、その年度に中学1年または高校3年相当になる子ども。市町村は毎年4月、対象者に予防接種票を配布している。無料期間を逃すと、費用は約1万円かかる。大半の市町村が夏休み前などに中学、高校を通じて接種を呼び掛けるちらしを配っているが、効果は薄い。
 広島市は1月から、市のホームページ上でも対象者や接種期間の案内を始めた。市保健医療課の舟越敦司専門員は「成長につれ、保護者と子どもの接種への関心が薄れるようだ。広報活動を続けたい」と話している。
 はしかは07年に高校や大学で流行し、休校が相次いだ。国は5年間に限り13歳と18歳の無料の予防接種を導入した。中国地方の大学は、入学時の健康調査票に接種記録の報告を求めるなどして、学内での流行防止に努めている。

乳幼児向け肺炎球菌ワクチン発売 細菌性髄膜炎を予防

(2010.2.24:朝日新聞)

 細菌性髄膜炎の原因となる肺炎球菌の乳幼児向けワクチン接種が24日、取り扱う小児科医院で始まった。肺炎球菌は菌血症や肺炎も起こしワクチンの予防効果は大きいと期待されている。
 細菌性髄膜炎は、脊髄(せきずい)などを覆う髄膜に細菌が侵入して炎症を起こす。1歳前後の子どもが多くかかり、発熱、嘔吐(おうと)などが主な症状で風邪などと見分けるのが難しい。肺炎球菌は髄膜炎の原因の3割を占め、年間200人ほどが発症し1割前後が亡くなる。3~4割に知能や運動障害など重い後遺症が残るとされる。
 国立病院機構三重病院の中野貴司医師(小児科)は「24日発売の肺炎球菌と、すでに発売されたインフルエンザ菌b型(ヒブ)のワクチンで、8~9割の髄膜炎を防げる」という。
 東京都足立区の和田小児科医院では午前中に5人が接種を受けた。生後7カ月の次男にヒブワクチンと同時接種してもらった朝妻いずみさん(31)は、「気管支が弱いので、少し安心できます」と話していた。
 肺炎球菌ワクチンは生後2カ月~10歳未満が対象で、標準は接種4回で1回1万円前後。世界101の国・地域で承認されている。日本は任意接種だが世界保健機関(WHO)は定期接種化すべきだと勧告している。
 「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」代表の田中美紀さん(38)は、「時間がかかりすぎたけれど、やっと導入された」と胸をなでおろす一方、国に定期接種化を求めている。

ヒブワクチンを「全員に」 〜未接種で子亡くした両親訴え

(2010.2.21:毎日新聞)

 「『任意』のワクチンなので、まさか死ぬような病気になるとは思っていなかった」。「インフルエンザ菌b型」(ヒブ)による細菌性髄膜炎で昨年12月に亡くなった山口県周南市の齋藤伊吹(いぶき)ちゃん(1歳9カ月)の両親が心情を語った。ヒブワクチンは08年12月に任意接種が始まったが、伊吹ちゃんは未接種。国は公費で全員に接種する定期接種化の検討を始めたばかりで、家族らは「一刻も早い定期接種化を」と訴える。
 伊吹ちゃんは昨年11月23日夜に発熱。当初は新型インフルエンザが疑われたが、24日に容体が悪化して脳死状態になり、26日にヒブへの感染が判明。12月1日に母親(36)の腕の中で亡くなった。
 ヒブへの感染が分かった時、母親は「かかりつけ医のところに、そんなことが書かれた紙が張ってあったかもしれない」とぼんやりと思い出した。だが、「『任意』ということで、危険度も『定期』よりワンランク落としているのかと思っていた」と振り返る。
 伊吹ちゃんを診察した周南市の「たにむら小児科」の谷村聡院長も「任意接種である限り、病気の怖さとワクチンの必要性を説明するには限界がある」と悔しさをにじませる。齋藤さんは「周囲には『インフルエンザで亡くなった』と誤解している方もいる。伊吹はヒブの怖さを知らせ、『ワクチンを定期接種にしてほしい』とのメッセージを残してくれたと思う。一人でも多くの子どもの命を助けてほしい」と訴えた。
 ヒブに詳しい国立病院機構三重病院の神谷斉名誉院長は「国が効果や安全性を考慮し、ワクチンを認可しているのに、任意で勝手に接種しなさいという方針は理論的に矛盾している」と指摘している。

ポリオ・ワクチンで2次感染 神戸の男児、まひ残る

(2010.2.18:NIKKEI NET)

 神戸市は18日、同市に住む9カ月の男児がポリオ(小児まひ)を発症したと発表した。今年1月に両足がまひし、右足は改善したが、左足にまひが残っているという。
 市は昨年11月にポリオワクチンの集団予防接種をしたが、男児は体調不良で受けられなかった。検査ではワクチンと同じタイプのウイルスが検出されており、市は「接種した人から二次感染した極めてまれなケース」とみている。
 ポリオワクチンは、接種後約1カ月は便などからウイルスが排出されるため、地域内で集団接種している。同市は「男児の周辺で体調不良の人はいないため、現時点で周辺への感染拡大の危険性はない」としている。

撲滅されたはずのポリオに感染、なぜ?(産経新聞)
 神戸市で今月、9カ月の男児がポリオ(小児まひ)を発症していたことが判明した。ポリオはすでに国内では撲滅された…とされるが、感染源を調べると、原因は感染予防するはずのワクチンだった。ポリオワクチンはウイルスの毒性を弱めて作る「生ワクチン」のため、まれにポリオを発症することがあるという。こうした問題を防ぐため、毒性を除いた「不活化ワクチン」も開発中で、一日も早い登場が待たれている。
 厚労省によると、国内では昭和55年を最後に自然感染によるポリオ患者は確認されていない。しかし、55年以降も20人以上の患者が発生、いずれもワクチンが原因だった。
 ポリオワクチンはウイルスの毒性を弱めて作られる「生ワクチン」。弱毒化したウイルスを体内に入れることで免疫力を高める仕組みだが、ウイルスがそのまま存在しているため、数百万人に1人の割合でまひ症状が出たり、他人にうつす危険性もある。
 神戸市の男児もワクチンを接種していなかったが、ワクチンと同じウイルスが検出されており、ワクチン接種者からの二次感染が疑われている。
 問題解決に向けて期待されているのが国内メーカー4社が開発中の「不活化ワクチン」だ。ウイルスから毒性を取り除いて作るワクチンで、まひの発生や感染が他人に及ぶ心配はなく、安全性は高いとされる。
 麻疹(ましん)やおたふくかぜなどもポリオと同じ「生ワクチン」で、インフルエンザや日本脳炎などは「不活化ワクチン」が使われている。
 国立感染症研究所感染症情報センターの岡部信彦センター長は「生ワクチンを使うとごくまれにだが今回のようなケースが発生する。ポリオは海外でまだ流行している地域があり、予防接種をやめるのは危険だ」と話している。
■ポリオ
 ポリオウイルスが脊髄(せきずい)に入ることで手足にまひを発症させる感染症。1、2歳で感染することが多く小児まひとも呼ばれる。感染すると1千人に1人の割合でまひを発症し、うち半数に運動障害などの後遺症が出る。日本でも昭和35年に年間6500人が発症していたが、39年のワクチン登場以降は患者が激減した。

ワクチン接種助成手厚く 日光市、新年度当初予算案

(2010.2.17:下野新聞)

 【日光】市は16日、新年度当初予算案を発表した。一般会計総額は本年度当初比0・3%増の413億9千万円。新規事業として0歳児を対象に細菌性髄膜炎を予防するためのヒブワクチンと、小児用肺炎球菌ワクチンの接種費用の全額助成に乗り出す。県健康増進課によると両方の接種助成は「全国でも珍しいのでは」という。また子宮頸がんワクチンは小学6年から中学3年までを対象に、接種費用を全額助成することにした。
 市によると、乳幼児が細菌性髄膜炎を発症すると、死の危険がある上、障害が残る可能性もある。原因は6割がヒブウイルス、3割が肺炎球菌による発熱とされる。ワクチンは、最大4回接種が必要だがそれぞれ1回5千円、7千円かかる。
 世界では80カ国以上で法定接種となっており、市は「ワクチンで予防できるなら」と全額助成を決めた。両ワクチンで計約1千万円を計上。子宮頸がんワクチンも県内他市より対象を拡大した。
 斎藤文夫市長は「市民福祉向上に重点的に取り組んだ」とした。

(院長のつぶやき)全国に先駆けて画期的な判断だと思います。栃木県民としてうれしく思います。

ヒブワクチン、不足解消へ

(読売新聞)

 製薬大手の第一三共は、「インフルエンザ菌b型」(Hib=ヒブ)のワクチン供給量を段階的に増やすことを決めた。Hibは、乳幼児に重い細菌性髄膜炎を起こすことがあり、昨年末時点で25万人が接種を待ち続けている。同社は、現在の月産10万本から今秋には27万本まで増産し、慢性的な不足状態を年内に解消する。
 同ワクチンはフランスの製薬企業が製造し、第一三共が2008年12月から国内で販売。昨年末まで月7万本、先月から月10万本を供給しているが、接種希望者は月平均12万人に上り、依然、足りない。
 このため同社はフランスでの製造ラインを追加してもらい、6~7月に月18万本、9~10月からは月27万本まで増やす。

(院長のつぶやき)いつになったら「ひと月3人分」という不条理な配分がなくなるのでしょう。当院では1年先までの予約が埋まっています。これは企業の責任と云うより、定期接種にしなかったワクチン行政の責任でしょう。

グラクソ・スミスクライン、日本において乳幼児のロタウイルス胃腸炎予防ワクチンを承認申請

(2009-11-30:GSKホームページ)

 GSKは、11月27日付で、ロタウイルス胃腸炎予防ワクチン(海外での製品名: Rotarix )の承認申請を行いました。申請したワクチンは、乳幼児のロタウイルス胃腸炎の早期予防を目的として使用される2回接種の経口ワクチンで、ロタウイルスに対するワクチンの承認申請は国内初となります。
 ロタウイルス感染症は世界的に広く見られ、乳幼児の急性重症胃腸炎の主な原因になっています。世界でのロタウイルス胃腸炎による年間死亡者数は60万人以上と推定され、死亡例の多くは、アフリカ、インド亜大陸、およびラテンアメリカなどの途上国で発生しています。

 国内では医療体制が充実しているものの、ロタウイルス胃腸炎による死亡は毎年10人弱報告されています。多くの乳幼児が罹患し、6歳未満の小児のうち年間約80万人(累積罹患率で見ると約2人に1人)がロタウイルス胃腸炎により外来受診していると推計されています。さらに、下痢や嘔吐による脱水症状といった重症化で、毎年5歳未満の小児約78,000人(累積罹患率で約15人に1人)が入院しているとの推計もあり、その多くが生後24ヵ月未満と報告されています。また、脳炎・脳症などの合併症の報告例もあります。

 このように対象となる患者さんが小さいことから、ご本人はもちろんのこと、ご両親をはじめとするご家族の精神的、ならびに時間的負担も大きく、入院時の付き添いや通院、看病による社会的損失も大きいと考えられます。また、ロタウイルスは感染力が強いウイルスで、医療機関や保育施設などで、しばしば施設内感染が発生しており、医療現場にとっても大きな負担になっています。
 このたび国内で承認申請した Rotarix はロタウイルスによる胃腸炎を予防する、弱毒化されたヒトロタウイルスの経口ワクチンです。5つの大陸に渡って実施された世界規模の臨床試験では、現在出現しているG9ロタウイルス株を含む最も流行しているウイルス株(G1および非G1ロタウイルス株)に対して予防効果が認められました。現在 Rotarix は、乳幼児を対象に凍結乾燥製剤あるいは液剤として世界116ヵ国で承認を取得しております。日本では液剤の製造販売承認申請を行いました。
 Rotarix は、2009年6月5日にWHO(世界保健機関)から事前認定(prequalification)を取得しており、さらに各国のワクチン接種プログラムにロタウイルスワクチン接種を含むことがWHOの専門家による顧問団(Strategic Advisory Group of Experts、SAGE)により推奨されました。Rotarixは2回の接種により、生後早い時期からロタウイルス胃腸炎に対する予防が可能となります。
 日本で承認申請を行うにあたり、2007年6月より国内臨床試験を実施し、765名の生後6~14週の健康な乳児を対象にワクチン接種群とプラセボ群とに分け、安全性と効果の検証を行いました。治験の期間は約22ヵ月(各被験者が2歳になるまで観察)です。

GSK社長のマーク・デュノワイエは次のようにコメントしています。
「ロタウイルス胃腸炎は乳幼児にとって深刻な疾患ですが、国内においてはその治療は対症療法のみであり抗ウイルス薬などの有効な治療法はありません。国内外の臨床試験成績からロタウイルス胃腸炎に対する高い予防効果が期待でき、世界で広く使用されている Rotarix は、ロタウイルス胃腸炎の予防ワクチンとして医療上の有用性は極めて高いものと考えています。」

小児用肺炎球菌ワクチン承認へ(2009年8月)

(西日本新聞)

 厚生労働省薬事・食品衛生審議会の部会は31日、ワイス社が承認申請していた小児用の初の肺炎球菌ワクチンについて「承認して差し支えない」との結論をまとめた。9月下旬に開かれる分科会で審議された上で、早ければ10月にも承認される見通し。
 肺炎球菌は、肺炎や菌血症、細菌性髄膜炎などを引き起こす。特に細菌性髄膜炎は乳幼児に多く、原因菌はインフルエンザ菌b型(Hib)と肺炎球菌が大半を占めるが、肺炎球菌はHibに比べて症状が重かったり、急激に症状が進む劇症型が多かったりするとされる。Hibワクチンは既に国内で使われている。
 ワイスによると、接種方法は生後2、4、6カ月と、12~15カ月の計4回、皮下に注射する。海外では95カ国で承認され、38カ国で定期接種の対象となっている。

<関連ページ>

<参考ホームページ>

日本全国でワクチン助成を行っている自治体を横浜の小児科医:山本先生がまとめたものです。

細菌製剤協会作成のスタンダードなQ&A集です。小児科医のタネ本でもあります。

決してまれではないおたふくかぜの合併症に苦しむ子ども達。

KNOW-VPD!VPDを知って、子どもを守ろう