★ インフルエンザの基礎知識(2010年版)
原因
インフルエンザウイルスの感染により発症します。ウイルスの種類は4種類(A香港型、Aソ連型、B型、新型)あります。なお、2009年に新型インフルエンザが登場後、Aソ連型はほとんど検出されなくなりました(バトンタッチ現象?)。
疫学
感染形式は飛沫・接触感染です。
① 飛沫感染:ウイルスが含まれた咳やクシャミをあびる
② 接触感染:ウイルスが付着したもの(ドアノブなど)を触れた後に目・鼻・口などに触れる
潜伏期間・感染期間・隔離期間は以下の通り(報告により少し幅があります)。
| 新型 | 季節性 | |
| 潜伏期間 | 2〜7日間 | 2〜3日間 |
| 感染期間 |
学童以上:発症1日前から発症後約5日間 乳幼児 :発症1日前から発症後約7日間 |
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| 隔離期間 |
学童以上:解熱後2日間 乳幼児 :解熱後3日間 (あるいは発症翌日から7日間、の長い方) |
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★ 各種インフルエンザの致死率の比較
□ 季節性インフルエンザ:0.05%
□ スペイン風邪(1918年):2.0%
□ アジア風邪(1957年):0.5%
□ 香港風邪(1968年):0.5%
□ 今回の新型インフルエンザ:1.3%
(アメリカ2.8%、ヨーロッパ0.4%、東南アジア1.6%、西太平洋地域0.4%)
症状
発熱・頭痛・咳・関節痛・筋肉痛・全身倦怠感などが中心です。咳は約1週間つづきます。咽頭痛・鼻汁、嘔吐・下痢・腹痛などの消化器症状が出ることもあります。
ふつうの風邪と違うところは、「節々が痛い、だるくてつらい」こと。
発熱は39℃前後の高熱が悪寒を伴って突然始まり、2〜4日間つづきます。一方、大人では微熱で終わることもあり「症状が軽いからインフルエンザではないと云えない」のが難しいところです。
診断
その地域の流行状況を参考に、症状・診察所見から疑い、迅速診断キットで確認検査をします。迅速診断キットではA型・B型の区別が可能ですが、新型と季節性の区別はできません。ただし、今シーズンは新型かどうかだけを確認できるキットも発売されました(2回鼻グリグリをやらなければならないので現実的ではありませんが)。
迅速診断キットの感度は100%ではありません。また、発症早期では陰性に出ることがあるので、発症後12〜24時間してからの検査をお勧めします。
合併症
□ 肺炎:高齢者では二次的な細菌性肺炎が多く、小児ではインフルエンザウイルスそのものによる肺炎が多い傾向があります。
□ 中耳炎:小児で多く認めます。
□ 熱性けいれん:就学前までの小児で認めます。
□ 筋炎:歩けなくなるほど筋肉痛が強いときに疑います。
□ 心筋炎:心臓の筋肉が侵され、心臓が上手く動かなくなり息切れ・顔色不良など重症化します。
□ 脳症:下記2種類あります。
【インフルエンザ脳症】
(季節性インフルエンザによる脳症の特徴)
主に5歳以下の乳幼児が発症。
発症後1〜2日内に意識障害・けいれんで始まり、脳が侵されて重症化する。
死亡率15〜30%(近年10%弱へ改善)、後遺症(脳障害、てんかんなど)が残る確率が約30%。
強い解熱剤(ポンタール、ボルタレンなど)により重症化することがある。
(新型インフルエンザによる脳症の特徴)
2009/2010年シーズンに188例の報告あり(発生頻度は小児人口10万人あたり1.0人)
約1/3で神経疾患の既往
発熱から発症まで2日以内がほとんど
年長児で多発:年齢中央値は7歳(季節性では3歳)
異常行動の多発:低年齢児はけいれんを起こしやすく、年長児は異常言動・行動を起こしやすい
頭部MRIでの脳梁部病変が多い
季節性と比較して後遺症率は低いが死亡率は同等で、とくに低年齢児の死亡率は依然として高い
【Reye(ライ)症候群】
回復期に起こる脳症で、アスピリンなどの解熱鎮痛剤を使用するとリスクが高くなります。危険な薬剤を使わなくなり激減した歴史があり、現在ではあまり話題になりません。
しかし現在も発売されている総合感冒薬のPL顆粒、ピーエイ錠、ペレックス顆粒にはアスピリンに似た薬物が入っており、小児のインフルエンザ患者に使うことは禁じられています(間違って処方されることがありますが飲まないよう注意を!)。
治療
1.抗インフルエンザ薬
この10年間に4種類の抗インフルエンザ薬が開発されました。すべて「ノイラミニダーゼ阻害薬」の仲間であり、作用機序は同じなので併用はできません。
ノイラミニダーゼ阻害薬を使用すると、未使用の場合より約1日熱が早く下がります。しかし、インフルエンザ排泄期間は短縮しないので、熱が下がってもウイルスをまき散らす状態が残るのでやっかいです。というわけで感染対策として解熱後2日間(乳幼児は3日間)は隔離が必要です。
■ オセルタミビル(商品名:タミフル) ・・・内服(日本認可は2001年)
5日間内服
カプセル:成人および37.5kg以上の小児
ドライシロップ:1歳以上の小児
副作用:消化器症状(悪心・嘔吐・腹痛・下痢)、異常行動(↓)
※ タミフル内服後の異常行動が問題となり、10歳代には原則投与禁止となっています。
※ 2009年に1歳未満のタミフル使用量も発表されていますので、重症感が強いときは使用することが可能です。
■ ザナミビル(商品名:リレンザ) ・・・吸入(日本認可は2000年)
5日間吸入
適応は5歳以上(10歳代にも使用制限はありません)
副作用:タミフルで報告されている異常行動は少ない(ゼロではありません)
■ ペラミビル(商品名:ラピアクタ) ・・・点滴
2010年1月に発売された新薬。2010年10月に小児への使用も認められました。
1回の点滴でタミフル5日間内服と同じ効果が得られます(1回で十分な効果が得られない場合、連日で5日間投与も可能)。
タミフル耐性株には交差耐性を認めますが、静脈投与で血中濃度が極めて高くなるので、タミフル耐性株に対しても有効な可能性があります。
■ ラニナミビル(商品名:イナビル) ・・・吸入
2010年10月に発売された新薬です。
1回のみの吸入でタミフル5日間内服と同じ効果が得られます。
年齢制限がなく、急乳蛾可能であれば幼児でも使用可能です。
吸入後、ラニナミビルオクタン酸は気道の細胞内で活性物質ラニナミビルへ変化し(プロドラッグ)、徐々に気道に分泌されるので効果持続時間が長い性質を有します。なお、活性物質ラニナミビルの化学構造はザナミビル(リレンザ)と酷似しています。
※ 「発症早期のタミフル投与が日本の死亡率を低く抑えた」
日本では48時間以内に抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)を使用できる環境が整っていたため、他国と比較して致死率が低く抑えられた(0.001%以下)と報告されています。
アメリカの死亡率は0.048%で日本の48倍です。入院患者の解析では、抗インフルエンザ薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)の投与を受けたのは全入院例の75%で、48時間以内に治療を開始したのは28%に過ぎません。ICU入院例は、治療開始が発症7日目と大幅に遅れ、特に死亡例では発症後9日目に抗ウイルス薬治療を開始しており、48時間以内に治療した例はありませんでした。
2.対症療法薬
症状に合わせて処方され「つらい症状を和らげて治るのを待つ」というスタンスの薬です。
咳・鼻水止め、解熱剤、下痢止めなどですが、このうち解熱剤の中には脳症と関係が指摘されているものがあり注意が必要です(↓)
<インフルエンザ脳症と関係する解熱剤>
| 薬剤名 | 備考 | |
| 危険 |
メフェナム酸 (商品名:ポンタール他) インドメタシン (商品名:インダシン他) ジクロフェナクNa (商品名:ボルタレン他) |
インフルエンザ脳症を重症化 |
|
アスピリン サリチルアミド |
Reye症候群(急性脳症の一種)のリスクを増加させる(※) | |
| 安全 | アセトアミノフェン |
商品名:アンヒバ、アルピニー、カロナール、コカールなど |
予防
□ ワクチン
先シーズンは季節性と新型に対応するため2種類のワクチンを接種する必要があり大変でした。また、優先順位も設定され、混乱を招きました。
今シーズンは優先順位の設定はなく、希望者は予約順に接種可能となりました。また、季節性と新型がひとつになった混合ワクチンが開発されましたので、1種類で済みます。従来の季節性インフルエンザワクチンも3種類(A香港型、Aソ連型、B型)を含む混合ワクチン(3価ワクチンと呼びます)でしたが、このうちAソ連型を抜いて代わりに新型をいれたものが今年のインフルワクチンです。
※ それ以外にも、新型インフルエンザだけに有効な「1価ワクチン」も発売され、希望により使用可能です。国産と輸入品があり、接種方法が異なるので注意が必要です。
ワクチンは年齢により接種量・回数が異なります;
| 接種量 | 回数 | 間隔 | |
| 6ヶ月〜1歳未満 | 0.1ml | 2回 | 1〜4週間 |
| 1歳以上6歳未満 | 0.2ml | 2回 |
1〜4週間 |
| 6歳以上13歳未満 | 0.3ml | 2回 | 1〜4週間 |
| 13歳以上 | 0.5ml | 1回 | ー |
ワクチンの効果は、接種後(2回接種者は2回目接種後)2週間から5ヶ月間程度と考えられています。
★ 医学メモ:ひとくちに「インフルエンザワクチン」といってもいろいろ種類があります
□ 不活化ワクチン
・全粒子ワクチン:初期の不活化ワクチンで、ウイルス粒子をホルマリンなどで不活化したもの。副反応が強く姿を消しました。
・スプリットワクチン:精製したウイルス粒子をエーテルなどの有機溶媒やある種の界面活性剤で処理し、脂質成分を覗いたワクチン。ワクチンの有効成分であるHA(ヘムアグルチニン hemagglutinin)以外のウイルス抗性たんぱくが含まれています。日本の現行ワクチン。
・サブユニットワクチン:ウイルス粒子を界面活性剤で処理した後に、さらに有効成分であるHAを精製したワクチン。ヨーロッパの一部ではサブユニットワクチンにアジュバント(免疫を強化する物質)を加えたワクチンが高齢者用として使用されています。
□ 生ワクチン
・経鼻接種生ワクチン:低温馴化された親株ウイルスを用いたワクチン。アメリカとロシアで実用化済み。
(院長のつぶやき)子どもは大人量を2回に分けて接種すると捉えることもできますね。この方法、実は世界標準とは大分違います。アメリカでは生後6ヶ月から6歳までは0.25mlを2回接種、それ以降は大人と同じ0.5mlを1回接種です。乳児では日本のなんと2倍以上の接種量です。日本でも今シーズンからアメリカと同じ接種方法を採用する予定でしたが、諸般の事情で従来法に据え置かれました(残念)。
アメリカでは鼻の穴に噴霧する「経鼻ワクチン」が導入され、注射するワクチンより高い有効率が得られていますが、日本には未だ導入されていません。
2011.1.29のTV番組「世界一受けたい授業」で「皮膚に貼るワクチン」が紹介されていました。手間なしで痛みのほとんどなさそう・・・実用には5〜10年かかるそうです(残念!)。
□ 抗インフルエンザ薬
予防にだけ使う薬剤はありません。治療薬の半量を倍の期間で投与する方法を採用しています。
予防医療は保険が効かないので、患者さんの全額自己負担になります。
■ タミフル:
2007年にタミフルカプセル、2009年にはタミフルドライシロップに予防効能が追加されました。同居者がインフルエンザに罹った場合に予防使用が可能です。
予防対象は、65歳以上の高齢者とハイリスク患者(慢性呼吸器疾患、代謝性疾患、腎機能障害者など)です。治療量の半分を倍の期間(10日間)で使用します。
■ リレンザ:
2007年に予防効能が追加されました。同居者がインフルエンザに罹ったときに使用可能で、対象者はタミフルと同じです。量も治療量の半分を倍の期間で吸入します。
□ 感染予防対策
・手洗い:15秒以上かけてていねいに洗い、流水でよく流しましょう。
・咳エチケット:咳がでる人はマスクをするのが基本です。マスクが手元にないときはティッシュかハンカチ、あるいは自分の肘で受け止めましょう(そのあと洗ってね)。
・うがい:科学的な評価は低く、残念ながら「やらないよりまし」程度です。
★ インフルエンザに関するQ&A集
Q. 今シーズン流行するのは、新型? それとも季節性?
新型インフルエンザ(正式名称は「パンデミックH1N12009」)が登場した2009年は、1年間単独で流行し、ほかの季節性インフルエンザ(A香港型、Aソ連型、B型)は散見するのみでした。
2009/2010年シーズンの日本における小児の新型インフルエンザ罹患率は、成人10%以下、学童70%、未就学の乳幼児は30%と推定されています。残りの人たちが2010/2011年に罹患すると予想されます。
2011年10月末時点で、既に各地で学級閉鎖措置がとられる小流行が散見されますが、その原因ウイルスは新型とA香港型が混在しており、単一ウイルス型の流行にはならないようです。歴史を振り返ると、A香港型が流行しなかった翌年は猛威を振るうので、両方に備える必要があります。
報告によると10月・11月はA香港型>新型>B型の順でしたが、12月に入り新型>A香港型>B型と順位が入れ替わっています。
Q. 新型インフルエンザと季節性インフルエンザは何が違うの?
当初強毒性が疑われ、季節性インフルエンザでは経験したことのない成人層での重症肺炎が話題になりました。しかし、1年過ぎてみて基礎疾患(※)のある患者さんを除くと症状・重症度は季節型とそれほど変わらないことがわかってきました。特徴として季節性と比べると「新型は潜伏期間や感染期間がやや長い」「新型は消化器症状が多い」傾向があります。
(※)新型インフルエンザが重症化しやすいハイリスク患者さん:
・慢性呼吸器疾患(喘息など)
・慢性心疾患
・代謝性疾患(糖尿病など)
・腎機能障害(透析患者など)
・ステロイド内服などによる免疫機能不全
・その他:妊婦、乳幼児、高齢者、肥満者
※ 「妊婦」さんはハイリスク?
新型が登場した際「妊婦・肥満・喘息は重症化因子」と騒がれました。しかし日本では妊婦の死亡はゼロ。これをWHOの国際会議で発表したら、外国の学者は誰も信じなかったというエピソードがあります。理由として、①発熱後早期に医療機関を受診、②早期に抗インフルエンザ薬を投与、が挙げられています。信じられないかもしれませんが、諸外国ではこの二つが実行されにくい医療状況なのです(医療先進国のアメリカでさえ)。
※ 「喘息」はハイリスク?
私の印象では、季節性インフルエンザよりも喘息患者の発作が目立ました。しかし、吸入ステロイドなどの定期治療で症状が安定している患者さんより、以前ゼーゼーしたことがある程度の軽症例に多い印象を受けました。
Q. 今年のワクチンの中身は? 新型も入っているの?
従来の季節性インフルエンザ・ワクチンの中身は「Aソ連型」「A香港型」「B型」の3種類入りの混合ワクチンでした。
昨年は新型インフルエンザが登場し、従来のワクチンの他に新型用ワクチンを接種する必要があり、子どもは2×2の合計4回接種という忙しいスケジュールとなり混乱したことは記憶に新しいですね。
さて、今シーズンのワクチンの中身は「新型(H1N1pdm)」「A香港型」「B型」の3種類入り。つまり、従来のワクチンから「Aソ連型」を抜き去り代わりに「新型」を入れたのですね。Aソ連型は流行しないだろうという予想の元に決定されました。
※ 今年も「新型インフルエンザ単独ワクチン」も発売されてはいます。
Q. 昨年罹ってもワクチンを接種する必要がありますか?
昨年新型インフルエンザに罹ったお子さんにも接種をお勧めします。
理由は、ウイルスが少しずつ変化して昨シーズンの免疫が十分効かないというインフルエンザの性質のためです(今のところ明らかな変異は報告されていませんが)。
また、今年のインフルエンザワクチンは前述の通り「新型(H1N1pdm)」「A香港型」「B型」の3種混合ワクチンですから、昨年流行しなかった型の免疫を付ける必要性から、やはり接種すべきでしょう。
過去も未来もインフルエンザワクチンは「毎年接種」が基本です。
Q. ワクチンの効果はどれくらいもつのですか?
ワクチンの効果は接種後2週間〜約5ヶ月間と云われています。
2回接種する小児では2回目接種後から2週間で効果が期待できると考えてください。
いつ接種すべきか・・・早めの10月、遅めの12月?
インフルエンザは例年11月〜3月に渡り流行します。10月にワクチンを接種すると、5ヶ月後の3月にはワクチンの効果が弱くなり効かないんじゃないか、と心配になるのもごもっとも。
それでも私は早めの接種をお勧めします。
従来、流行するウイルスの型は12〜2月がA香港型、3月がB型というパターンがふつうでした。そして、残念ながらワクチンはB型にあまり効かないのです。しかしB型はA香港型に比べると軽症例が多く、インフルエンザ脳症のリスクが高いA香港型を想定して早めに接種するようお勧めしてきました。
ただし、新型が登場した昨シーズンは流行時期・パターンが従来とは異なりましたので、今年もどうなるのが誰にもわからないのが現状です。
Q. 医療機関をいつどんなタイミング受診したらよいですか?
発熱当日に受診しても、検査はできないし(陽性になりにくい)、でも子どもは辛そうだし・・・明日まで待つべきかどうか迷うところです。
持病のあるハイリスクの患者さんは家でガマンせずに早めに受診してください。
ふだん元気な子どもは、下記の症状を目安に受診を考えましょう。
<病院を受診する目安>
○ 呼吸が速い、息苦しそうにしている。
○ 顔色が悪い。
○ 嘔吐や下痢がつづく。
○ 落ち着きがない、遊ばない、反応が悪い。
○ 症状が長引いて悪化してきた。
タミフルの抗インフルエンザ薬は発症後48時間以降は効果が期待できないので、つらそうならその前に受診してください。
Q. いつから登園・登校していいんですか?
インフルエンザに罹ると、基本的に1週間は人にうつす状態が続くので隔離が必要です。
抗インフルエンザ薬の登場により早く解熱する方法を手に入れたのは喜ばしいのですが、ウイルスを排泄する期間は余り短縮しないようです。つまり「元気だけどウイルスをまき散らす」困った状態の患者さんがたくさん発生することになりました。
熱が下がって元気になったら学校へ行きたい、仕事に戻りたい、というのが普通の感覚ですね。
でも、ちょっと待って!
隔離期間を守らないと流行が止まらないのです。また、ハイリスクでインフルエンザに罹ると重症化する心配があるお子さんも園や学校にいることを忘れないでください。
2009年8月にアメリカのCDC(Center for Disease Control)が発表した隔離期間;
■ 一般向け:「インフルエンザ様症状のある人は、体温が37.8℃以下になってから、あるいは解熱剤を使用せずに熱感がなくなってから24時間経過するまで自宅にとどまることを推奨する」
■ 医療機関向け:「症状出現後7日間、あるいは症状が消失してから24時間のいずれか長い方の期間、自宅待機することを推奨する」
2009年に厚生労働省が設定した日本の基準;
・少なくとも熱が下がってから2日目までは、外出しないようにする。
・発熱や咳・喉の痛みなど、症状が始まった日の翌日から7日までは、できるだけ外出しない。
上記に加えて、いくつか注意すべきことがあります。
□ 乳幼児は感染期間(ウイルス排泄期間)が長い:
このため、乳幼児は上記基準より1日長く、つまり「就学前児の隔離期間は解熱後3日間」と設定します。
□ インフルエンザの自覚がない軽症患者さん:
軽く済む患者さんも珍しく無いことが判明しています。インフルエンザに罹っていても微熱程度で、医者に行かず診断もされておらず、本人の自覚がないまま社会生活(園・学校・会社)を続けている困った患者さんが流行期には街にあふれている可能性があるのです。ふだんからの手洗いをしっかり習慣づけましょう。
(院長のつぶやき)昨シーズンは混乱を避けるために地域医師会に依頼して標準隔離期間を設定してもらいました。守っていただけない医師もいましたが・・・。
・・・以上を踏まえて地域医師会が設定した隔離期間は・・・
「症状が始まった日の翌日から7日間」
です。今年の流行はA香港型がメインですが、新型も検出されているのでこのような判断となったようです。
Q. 解熱剤を使うと危ないって聞きました。全部ダメ?
一部の解熱剤はインフルエンザ脳症との関連で、発症リスクを上げたり重症化させたりする可能性が指摘されています(下表参照)。
効果が強いもの(よく効く)の方がリスクが高い傾向があります。小児科で処方されるアセトアミノフェンは安全とされています。
解熱剤は病気を治すわけではなく高熱でつらいのをやわらげるだけですから、熱の数字で投与するのではなく、「かわいそうで見ていられないほどつらそう」なときに使用してください。
<インフルエンザ脳症と関係する解熱剤>
| 薬剤名 | 備考 | |
| 危険 |
メフェナム酸 (商品名:ポンタール他) インドメタシン (商品名:インダシン他) ジクロフェナクNa (商品名:ボルタレン他) |
インフルエンザ脳症を重症化 |
|
アスピリン サリチルアミド |
Reye症候群(急性脳症の一種)のリスクを増加させる(※) | |
| 安全 | アセトアミノフェン |
商品名:アンヒバ、アルピニー、カロナール、コカールなど |
(※)解熱剤の他にも、注意すべき風邪薬があります。
インフルエンザの合併症として、1900年代後半にReye(ライ)症候群という病気がありました。統計的にアスピリン使用者に多いことが判明し、この薬を使わなくなってからライ症侯群は激減したのです。
では、ライ症侯群は過去の病気と思いきや、アスピリンと似た薬が現在発売されている風邪薬の中にも含まれているのでやっかいです。
総合感冒薬のPL顆粒、ピーエイ錠、ペレックス顆粒にはアスピリンに似たサリチルアミドという薬物が入っており、小児のインフルエンザ患者に使うことは禁じられています(小児科専門医以外では間違って処方されることがありますので、飲まないよう注意を!)。
Q. タミフルなどの抗インフルエンザ薬の安全性はどうなってますか?(準備中)
Q. お母さんがインフルエンザにかかったとき、授乳についてどんなことに注意すべきですか?
母乳を介した新型インフルエンザ感染の可能性は現在のところ知られていません。しかし、母親が直接授乳ヤジのケアを行うためには、以下の3条件が揃っていることが必要、と日本産婦人科学会は提案しています;
1.タミフルあるいはリレンザを2日間以上服用していること。
2.熱が下がって平熱となっていること
3.咳や鼻汁がほとんどないこと
ただし、児と接触する前の手洗い、清潔な服への着替え(あるいはガウン着用)、マスク着用の励行も大切です。3条件を満たさない場合には、母徒事は別室都市、搾乳した母乳を健康な第三者が児に与えるようにします。
(院長のつぶやき)日本産婦人科学会の提案は「建前」という感じで、核家族が中心の若い夫婦にはなじみませんね。お母さん以外に子どもの面倒を見る家族は、他にいないのですから。
<インフルエンザ関連記事>
インフルエンザに関する記事を拾い読みしました。
■ インフル感染予防 病院では「マスク」「手洗い」大切
(2012.1.29 産経新聞)
インフルエンザは、体が弱っている人がいる病院では感染が広がりやすいうえに死に至ることもある。医療施設での注意事項をまとめた。
Q お見舞いなどに行く場合、どうすればいいか
A 病院などの施設には、体が弱っていたり、高齢、年少といった、インフルエンザによって重症化するリスクが高い人が多い。見舞いに行こうとする人が熱やせきが出るなど、具合が悪ければ、控えるべきだ。周囲にインフルエンザ患者がいる場合も、自分には症状が出ていなくても、すでに感染していて、潜伏期の可能性があるので同様だ。
自分が病院の外来を受診する場合には、マスクの着用や外出後の手洗いなど感染予防対策を取ることが大切になる。
Q 病院や老人ホームで取るべき予防策は
A 施設内にウイルスを持ち込まれないようにするのが感染防止の基本で、地域での流行状況を把握する必要がある。入所者へのワクチン接種のほか、加湿器の設置など環境面の整備も効果的だ。空気が乾燥するとのどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなる。
Q 病院で患者が発生したらどうすればよいのか
A 感染拡大を防止するためにも、可能なかぎり、個室での医療提供をしたほうがいい。患者本人を、個室に移動させるか、同室者をほかの部屋に移動させて、個室状態にする。やむを得ず、個室が用意できない場合には、患者の同室者には、マスクの着用や、手洗いなどの感染防止対策を徹底するよう指導する。
老人ホームなど共同で生活する施設で集団感染が起こったら、食堂に集まっての食事や、共同浴場での入浴サービスなど、多くの人が集まる場所での活動の一時停止を考えることも必要になる。
■ 患者を生きる:インフルエンザ脳症(2011年11月:朝日新聞の特集)
1 突然けいれん、呼吸停止(2011年11月10日)
「おはよう」。神奈川県秦野市の市立末広小3年生の高橋佑奈(たかはし・ゆうな)さん(9)は毎日、1年生の弟颯太(そうた)君(7)や、近所の友だちと一緒に登校する。見守り役の父母とハイタッチしたり、赤い花を見つけてむしったり。ちょっと寄り道しながら、30分の「お散歩」を楽しむ。
元気そうに見えるけれど、実は佑奈さんは5年以上、病気と闘い続けている。
始まりは、2006年2月20日の夕方だった。ソファでぐったりしている佑奈さんの熱を母由美子(ゆみこ)さん(31)が測ると、38度を超えていた。颯太君のA型インフルエンザが治りかけたところだった。「うつっちゃったね」と近くの内科に連れて行くと、やはりA型インフルエンザだった。タミフルと解熱剤を処方された。
佑奈さんは薬が苦手で、その夜はうまく飲めなかった。翌21日の朝は、全部飲めた。得意げな佑奈さんに、由美子さんは「お薬飲めたから、ごほうびを買ってくるね」と約束し、颯太君を医院に連れていった。
午前11時半に帰宅したとき、佑奈さんの熱は39.8度あったが、ソファに座りながら、ビデオを見たり、ぬいぐるみと遊んだりしていた。
ところがその40分後、様相が一変した。ふと見ると、白目をむき、両腕を胸元にたたんで、全身が1本の棒のようになって固まっていた。
「ゆうな! ゆうなっ!」。呼びかけても、揺すっても、反応はまったくなかった。由美子さんは、自宅近くの会社に勤めている父雅哉(まさや)さん(31)と、119番に電話。15分後、救急車で市内の総合病院に向かった。
佑奈さんは「強直(きょうちょく)」という激しいけいれんを起こし、呼吸が止まっていた。けいれんを止める注射を何本も打ったが呼吸は戻らず、隣の伊勢原市にある東海大病院に行くことになった。
連絡を受けた小児科の松田晋一(まつだ・しんいち)医師(44)は「インフルエンザ脳症だ」と予想した。小児科や救命救急センターの医師ら10人ほどの態勢で待ち構えた。
午後4時前に着いた佑奈さんは、想像以上の重症だった。意識はなく顔面蒼白(そうはく)。心肺停止患者のようだった。「最悪の事態もありうる」。松田さんは覚悟した。(斎藤義浩)
2 「命だけでも」懸命の治療(2011年11月11日)
神奈川県秦野市の高橋佑奈さん(9)がインフルエンザによるけいれんで呼吸が止まり、東海大病院に搬送されたのは2006年2月21日のことだった。
午後4時に集中治療室(ICU)に入院。強い薬を注射するとやっとけいれんが止まり、人工呼吸器で呼吸できるようになった。だが脳がかなり腫れていることが、CT撮影でわかった。意識も戻らなかった。
症状から「けいれん重積型」というインフルエンザ脳症と診断された。タミフルに加え、脳の温度や体温を下げ、冬眠状態にして脳症や脳の炎症を止める「脳低体温療法」や、通常の10倍のステロイドを使う療法などが次々に行われた。
小児科の主治医、松田晋一さん(44)は、緊急処置を終えると、ICUの外で待っていた母由美子さん(31)と父雅哉さん(31)に説明した。
「今できる処置はすべてしました。完治して元に戻ることも十分考えられるし、最悪のこともあるかもしれない」
午後6時半、やっと面会が許された。反応はないが、佑奈さんの手を握ると温かさが伝わってくる。あと1カ月ちょっとしたら、幼稚園の年少に入る。
「それまでに病気を治して、みんなで笑っておうちに帰ろう」。そんな願いを込め由美子さんは、字の練習用に買った佑奈さんのノートに、闘病記録を記すことにした。
幼稚園の制服を着てポーズを決めていた佑奈さんの写真なども、ベッドの脇に飾った。脳の刺激になりそうなことは、何でもやろうと思った。
低体温療法を続けているのに、佑奈さんの体温は38.8度まで上がることがあった。まだインフルエンザウイルスが残っていて、悪さをしているのだという。人工呼吸器の影響で肺炎も起こしているらしい。
それでも発症から6日たった2月27日ごろには血圧が安定し、脳を眠らせる点滴を減らせた。意識も戻りつつあった。
3月1日。目を大きくあけて、両親を見た。悲しそうな顔で涙を流していた。「佑奈、ママとパパがわかったんだね」
インフルエンザ脳症の患者の多くが亡くなると聞いた。命だけでも助けて――。親としての願いは、それだけだった。
3 「イヤー」確かに聞こえた(2011年11月12日)
インフルエンザ脳症で5年前、東海大病院の集中治療室(ICU)に入院した神奈川県秦野市の高橋佑奈さん(9)は、脳症になって6日たった2月27日ごろから意識が戻り始めた。
脳の腫れがなくなり、炎症を示す血液中の物質も、ほぼ正常値になった。あくびをしたり、手を握り返したりもできた。
人工呼吸器の管が気管に入ったままで、声は出せなかった。涙を流していることが多く、母由美子さん(31)は、意識が戻り、痛みや苦しみを感じているのではないかと心配になった。
3月3日。由美子さんが「今日はおひなさま。ひなあられを持ってきたよ」と声をかけた。その瞬間、佑奈さんが目をそらした。おびえているような感じがした。由美子さんは「不安な表情で上からのぞき込むのが怖いのかも」と、気づいた。
症状が落ち着くにつれ、後遺症に対する不安や、「何で佑奈が」という悔しさと悲しさが、募っていった。由美子さんと父雅哉さん(31)は4日、雅哉さんの祖父の墓前で「生きていれば、いろんな可能性がある。2人で力を合わせて頑張ろう」と誓い合った。
思いが伝わったのか、翌5日朝、佑奈さんが思いがけない行動に出た。人工呼吸器の管をかみちぎってしまったのだ。代わりに装着した酸素マスクを手で外そうとしているのを見て、由美子さんが声をかけた。
「これやなの? やだーっていってごらん……」
「イヤー」。かすかだが、確かにそう聞こえた。
「今度はママーっていってごらん。ママだよ、マー」というと、かすかに「マー」と返ってきた。まさか。信じられない。両親は思わず顔を見合わせた。
6日朝には、脳波とMRI検査の結果を見た主治医の松田晋一医師(44)が、「後遺症の恐れはあるが、一命はとりとめました」と宣言。7日、ICUから小児の一般病棟に移った。
「もう抱っこできますよ」。由美子さんは看護師に促され、2週間ぶりに我が娘を抱き上げた。「筋力が落ちて首や腰ががくがくしてるけど、なんて幸せなんだろう」とほおずりした。
そのときは、佑奈さんの知能に障害が残る恐れについて、深く考える余裕はなかった。
4 会話ちぐはぐ 何か違う(2011年11月13日)
インフルエンザ脳症で東海大病院に緊急入院した神奈川県秦野市の高橋佑奈さん(9)は一命をとりとめ、2006年3月7日に一般病棟に移った。
2週間前に運び込まれた時は、けいれんで体が棒のように固まっていた。今は全身の筋力が落ち、首や腰が「ぐらぐら」になっていた。回復には時間がかかりそうだった。
しかし看護師は「あと何日かしたら車いすに乗って、リハビリ室に行きましょうね」と言った。「うそ、そんなことまでできるの?」。母由美子さん(31)にとっては、うれしい誤算だった。
実際、リハビリの効果は日に日に表れた。1週間もすると筋力がついて腰がすわり、寝返りも打てるようになった。ハイハイしながら車遊びをしたり、階段を上ったり。ほかの動きもよくなった。
ただ、由美子さんと父雅哉さん(31)には気になることがあった。歩いても、すぐにしゃがんだり、転んだりしてしまう。ちょっとした音につられて急に体勢を変えると、バランスを崩してしまう。以前より集中力がなくなったようだ。
「一命はとりとめた」と言ってくれた時、主治医の松田晋一さん(44)はこうもいっていた。「でもね、脳にわずかな爪あとがある。だからなんらかの後遺症が残ると思います」
一般病棟に移ってから再度、脳の診断をしたところ、思考や感情をつかさどる前頭葉の血流が少なくなっていた。
そういえば会話がちぐはぐだ。「幼稚園に行く?」「ディズニーランドにも行く?」と質問しても、佑奈さんは「うん、うん」と返すだけ。「元に戻った」と思っていたが、本当は意味がわかっていないんじゃないかと思うようになった。
それでも体力や運動能力はほぼ回復し、3月17日に退院した。看護師は「よかったねえ」と言いつつ、思いもよらないことを説明し始めた。
「佑奈さんはおしっこに行くのを忘れちゃう。飲み物を飲む欲求も薄くて、まわりが定期的に飲ませてあげないと、脱水症状の恐れがある」
やはり何かが違う。由美子さんと雅哉さんの不安は、間もなく的中した。
5 発達に遅れ あせらず前へ(2011年11月14日)
神奈川県秦野市の高橋佑奈さん(9)は5年前の3月、インフルエンザ脳症の治療後、東海大病院を退院した。医師からは「後遺症が残る」と告げられていた。
確かに集中力に不安はあるが、体力は回復していた。母由美子さん(31)は「待ちこがれた幼稚園に行かせたい」と願った。幼稚園も理解を示し、5月の連休後に入園できた。
だが、友だちのおもちゃを勝手に取るなどのトラブルがすぐに起きた。「人のものを取るのは、いけないのよ」というと謝るが、佑奈さんはそもそも「友だちが今、そのおもちゃで遊んでいる」という現状が理解できないようだった。
入園から1年半後の2007年12月、東京都内の大学病院で佑奈さんは知能検査を受けた。言語や認知能力の発達の遅れが、数字で示された。
「小さいうちはそんなに差がないが、成長したときの生活が心配」という医師の紹介で、由美子さんは翌08年2月、神奈川県厚木市にある神奈川リハビリテーション病院小児科の栗原(くりはら)まな医師(59)を訪ねた。
栗原さんは、脳の損傷のため言語や行動に障害が出る「高次脳機能障害」だと考えた。子どもの検査は難しいため、母娘で1カ月入院してもらい、生活全体を観察することにした。
秦野市立末広小に進んでからも、1年と2年の夏休みに入院診断を実施。その結果、やはり佑奈さんには「集中できない、行動にまとまりがない」などの高次脳機能障害が出ていることがはっきりした。
栗原さんらは、佑奈さん向けのリハビリ計画を考案。通っている末広小の特別支援学級とも情報交換し、「期待にすがるのでなく、今やるべきことを、みんなでやっていきましょう」と励まし続けている。
由美子さんは「入院で、これまで知らなかった佑奈の一面も知った」と話す。幼稚園や小学校の支援を含め、多くの人たちに助けられてきたと感じる。
いま小3の佑奈さんの知能は、4歳前後のレベルだ。ひらがなを全部は書けず、数字の意味もたぶん理解できない。でも父の雅哉さん(31)はいう。
「あせらず、一歩ずつ生きていけばいいや」
6 脳機能の後遺症、検査を(2011年11月15日)
インフルエンザ脳症は、インフルエンザへの感染がきっかけで脳が腫れ、脳機能が低下してしまう病気だ。5歳以下の子どもに多く、毎年100~500人が発症している。残念ながら予防する方法はなく、けいれんや意味不明な言動、意識障害などが出た場合、一刻も早く救急病院に運ぶ必要がある。
かつては患者の30%が死亡したが、最近は10%以下に下がった。抗ウイルス薬に加え、ステロイド剤を短期間に大量注射するステロイドパルス療法、血液製剤のガンマグロブリンで、過剰な免疫反応を和らげる治療法などが広がったためだ。
急性壊死(えし)性脳症など、致死率が高い脳症を悪化させる恐れがある解熱剤が約10年前に使用禁止となったことも大きい。
ただ、後遺症が残る患者は減っておらず、全体の25%にも上る。東京大医学系研究科の水口雅教授(発達医科学)は「致死率は低いが後遺症が残りやすい『けいれん重積型』脳症の割合が増加したため」と説明する。
厚生労働省の研究班は2009年、インフルエンザ脳症の指針を改訂し、後遺症に対するリハビリテーションの項目を増やした。遊びを通じて集中力を養う、言いたいことを表現する言語訓練などが実践されている。
後遺症は、知的障害や高次脳機能障害、てんかんが多いのに対し、身体障害は少ない。3歳以下で発症した子どもの場合、成長して幼稚園や小学校に通うようになって初めて脳機能の後遺症に気づく場合が多い。そのため、指針でも「一見正常に見える子どもでも、発症後1、2年後などの節目に知能検査をし、就学後までのフォローが必要だ」としている。
検査が難しく、患者数も少ないインフル脳症の後遺症に取り組む医療機関は少なかった。しかし、神奈川リハビリテーション病院小児科の栗原まな医師は「小児科医やリハビリ医の関心は高まっており、患者会との協力も進んできた」という。
子どもに脳神経系の障害をおこす病気への知識や診療経験が豊富な「小児神経専門医」は全国に約千人おり、日本小児神経学会のウェブサイトで探すことができる。(斎藤義浩)

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