■ 日々のスキンケアがトラブル知らずの皮膚を造る!
スキンケアとは「清潔&保湿」(汚れを落とし保湿剤で保護)することに尽きます。バリア機能が低下した乾燥肌に汚れ(=刺激物)が付くとトラブルの元。生後、胎脂がとれたあとから毎日のスキンケアを習慣づけましょう。もちろん、今からでもOKです。
■ 赤ちゃんの皮膚の特徴 〜薄い・多汗・皮脂が少ない〜
□ 皮膚の厚さ:
大人の角質層の厚さは20ミクロン(ラップ1枚程度)、赤ちゃんはその半分しかありません。
□ 多汗傾向:
赤ちゃんの皮膚の面積は大人の1/6程度、しかし汗腺の数は同じなので汗っかきです。
□ 乾燥肌:
「赤ちゃんの肌はキレイ」と思いがちですが、現実はそうでもなさそう。生後2ヶ月まではお母さんからもらったホルモンの関係で顔面・頭部の皮脂分泌量が多く(思春期並み)、それ以降は大人の1/3まで減少し、実は乾燥しがちです。
※ 近年の科学データから「顔以外は生後まもなくから乾燥している」と書かれている本が増えてきましたね。
■ 赤ちゃんの沐浴・入浴の注意点
□ お湯の温度:
ぬるめの38〜39℃(本によっては37〜38℃とも)が適切です。体を温めるより、むしろ汚れを落とすことが目的なのです。
□ 湯船につかる時間:
3〜5分が目安です。赤い斑点が出てくるようなら温めすぎと思ってください。
□ お勧めの洗浄剤:
ベビー用石けん(泡タイプがお勧め)&ベビー用シャンプーを使用しましょう。「無添加」より「ベビー用」がベター。頭皮は全身用ボディーソープより、やはり頭皮用のシャンプーの方が皮脂が落ちます。
※ 沐浴剤は必要?
近年、「沐浴剤は必要ない」という論調が増えてきました。化学薬品を溶かしたお湯に赤ちゃんの体をつけ込む、とも捉えることができるので、肌によくないとの考えです。
□ 洗い方:
ガーゼでゴシゴシこすらず、石けんをよく泡立ててお母さんの手でやさしくなでるように洗いましょう。顔や頭は皮脂の分泌が多いので泡でマッサージするように洗いましょう。
□ シャワーを使おう:
すすぎはシャワーで念入りにしてください。ゆるめにすれば顔にかかっても大丈夫です(ずっと羊水の中に入っていたのですから)。
□ ふき方のコツ:
入浴後はバスタオルで押し拭き(軽くおさえるように水分を拭き取る)しましょう。ゴシゴシこすらないように。
□ 出たらすばやく保湿ケア:
できれば5分以内に保湿ケアをしましょう。しっとり感を封じ込めるイメージで。
※ 夏の暑い季節は、昼間たくさん汗をかいたらシャワーを追加するのもよいですね。ただし、皮脂の落ちすぎを避けるため、石けんを使うのは1日1回までにしましょう。
※ 洗うときも拭くときも塗るときも 首や手足のくびれ部分、指の間も忘れずにケアしましょう。
■ 保湿ケアの実際
□ 保湿剤は油分+水分の乳液タイプが基本ですが、冬は軟膏、夏はローションも可です。
□ 保湿剤をたっぷり手に取り、体の各部分に点々と置き、赤ちゃんの肌に薄い膜を張るイメージで塗り広げましょう。
□ 口の周りが荒れやすい赤ちゃんは食事前後の保湿ケアを習慣づけましょう。乾いたものやティッシュでこすると肌が傷つき荒れてしまうので、ぬれタオル・ぬれティッシュで押し拭きをしましょう。
※ 市販の保湿剤の選び方:「無添加」より「ベビー用」「低刺激性」がキーワードです。
■ エアコンの適切な設定は?
【夏】24〜26℃ 【冬】20〜22℃ 【湿度】50〜60%
が理想的。
エアコン・扇風機を使う場合は、吹き出す風が赤ちゃんに直接当たらないようにしましょう。室温は赤ちゃんの目線で考える習慣をつけましょう。赤ちゃんはフトンかベッドに寝ており、大人の感じる室温と異なることを忘れないようお願いします。
■ 日常生活での注意点
□ 薄着を心がけましょう:
赤ちゃんの服は生後3ヶ月以降なら大人より1枚少なくするのが基本。赤ちゃんの背中に手を入れて汗をかいていたら暑がっている証拠です。調節してください。
□ ベビーカーは温室:
ベビーカーはアスファルトからの照り返し熱をまともに受け、内部温度は大人が感じる気温より3〜5℃も高いそうです。ほろで日陰を作るなど工夫をしましょう。
□ 日焼け対策:
基本は直射日光を服で避ける工夫をすることですが、日焼け止め(生後6ヶ月以降)を使うときは保湿剤の上から重ね塗りし、数時間毎に塗り直しましょう。
<お肌のトラブルあれこれ>
〜スキンケアで改善がなければ医師に相談を〜
それでは、実際のトラブルと対処法を記します。
※ 処方される塗り薬・保湿剤は、少量なら目や口に入っても問題ありません。
【おむつかぶれ】
汗やオシッコでふやけた肌に、ウンチの消化酵素やアンモニアが刺激となり赤くなったりブツブツができたりします。こまめにオムツを替え、ぬれタオルで押し拭きし、十分に乾かしましょう(ドライヤーは禁)。一旦赤くなってしまうと悪循環でなかなかよくなりませんね(うちの子がそうでした)。毎回洗うのは大変ですから、霧吹きにぬるま湯を入れてシュッシュッと吹き付けて半洗いするのが手軽でお勧めです。
長引いてブツブツが目立つ場合は「カンジダ」というカビが悪さしている可能性ありますので診察を受けましょう。
⇨ 処方される薬:サトウザルベ、エキザルベ、ロコイド、紫雲膏など。
※ ベビーパウダー(シッカロール)はお勧めしません:汗で固まって逆に肌を刺激したり、吸い込むと肺炎を起こすことがあります。
※ 布おむつと紙おむつ、どちらがいい?
・布おむつの利点は「変える回数が多い」こと、欠点は「ゴワゴワして刺激になる」こと。これは柔軟剤を使用することで解決されます。
・紙おむつの利点は「肌触りがソフトで尿はしみ込んで不快にならない」こと、欠点は「変える回数が減るのでウンチでお尻が荒れやすい」こと、でしょうか。
「紙おむつを使用し、まめにチェックしてタイミングよく替える」のがベストかもしれません。
【乳児脂漏性湿疹〜赤ちゃんニキビ】
生後数ヶ月まで見られる頭部・顔面の脂っぽい湿疹です。
特に頭皮は黄色いフケ・カサブタがこびりつきます。ひどいときは入浴前にワセリンやベビーオイル、オリーブ油を塗ってふやかし、入浴中にクシで少しずつ削りましょう。
顔の「Tゾーン」に脂っぽいブツブツができたら「赤ちゃんニキビ」です。顔も石けんを泡立ててマッサージするように洗いましょう。その後保湿ケアも忘れずに(脂っぽいから必要ないというわけではありません)。
⇨ 処方される薬:アズノール軟膏など。
【あせも(汗疹)】
赤いブツブツで、正体は汗腺がつまって炎症を起こしたもの。ぬれタオルで押し拭きして塩分を残さないようにしてください。軽いものは、スキンケアや昼間のシャワー追加、環境温度の調節などで改善しますが、掻き壊すと「とびひ」になることもあります。
⇨ 処方される薬:カラミンローション、アズノール軟膏など。
【とびひ(伝染性膿痂疹)】
傷ついてバリア機能が落ちた肌に細菌(黄色ブドウ球菌・溶連菌)が繁殖し、水ぶくれができて皮が剥けたりカサブタがついたりします。スキンケア&抗生物質入り軟膏の塗布(&抗生物質内服)で治療します。皮疹が乾くまではプールは控えましょう。
⇨ 処方される薬:フシジンレオ軟膏、アクロマイシン軟膏、セフゾン、ホスミシンなど。
<関連記事>
赤ちゃんの肌に関するニュースの拾い読み。
■ 赤ちゃんの肌荒れ 乳幼児の母親の4割が「皮膚が心配」と回答。
(2011.12月:毎日新聞)
◇生後すぐから保湿し予防
新生児へのスキンケアが注目されている。生後すぐから行うことで肌のバリアー機能を正常に保ち、病原体やアレルゲン(アレルギーのもとになる物質)が体に入るのをブロックするのが狙いだ。遺伝子レベルの研究で、肌のバリアー機能の異常とアトピー(アトピー性皮膚炎)の発症に関連があることも明らかになっており、新生児スキンケアがアトピーの予防に効果があるかを検証する研究も始まっている。
◇表皮薄く水分不足
赤ちゃんの肌は意外にトラブルが多い。東京都内の化粧品メーカーが、乳幼児の母親約1400人に心配事をたずねたところ、3分の1以上の37・34%が「皮膚」をあげた。
肌は体のバリアー役。表面は皮脂の膜と「角質層」という厚さ約0・02ミリのたんぱく質と脂質(セラミド)の層に覆われている=図参照。健康な肌は角質層に十分な水分が保たれているが、乾燥するとセラミドが減って角質層がはがれる。その結果バリアーが壊れ、異物が侵入しやすくなる。
愛育病院(東京都港区)の山本一哉皮膚科部長は約20年前に、日常の診察から、オムツで覆われ乾燥していない部分には湿疹やアトピーが少ないことに気づいた。「赤ちゃんは大人に比べて表皮が薄く、バリアー機能などが未熟。大人よりも丁寧に、肌を清浄にして保湿するスキンケアを1日に何回もする必要がある」と指摘する。
「新生児は皮脂量が多い」などとして、国内の多くの産科・小児科では生後すぐのスキンケアは行われていない。しかし、山本医師らの07年の調査では、新生児は最初の沐浴(もくよく)後に保湿をしないと、生後24時間で額、ほお、腹部で角質層の水分量がほぼ半減し、皮脂量も減少。極めて乾燥した状態になっていた。
京都市の産婦人科クリニック「島岡医院」では、山本医師と協力して退院までの間、新生児にスキンケアを施している。生まれた翌日から、沐浴した後たっぷりのベビーローションで保湿を始める。オムツ替えや授乳など、体が汚れるたびにおしりふきで優しくふき取り、保湿を繰り返す。島岡昌幸医師は「赤ちゃんは、母親の子宮の中では羊水や体を覆う『胎脂』に守られているが、生まれた途端に乾燥が始まる。退院後もスキンケアを続けると肌トラブルが少ない」と話す。
◇アトピーに効果?
肌のバリアー機能をめぐっては遺伝子レベルの研究から、アトピーとの関連が指摘されている。英国の研究チームが06年、アトピー患者とそうでない人の遺伝子を比べ、患者は角質層の保湿など肌のバリアー機能の維持に欠かせない遺伝子「フィラグリン」に異常がある比率が数倍も高いことを突き止めた。
国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)や、大阪大病院皮膚科は10年度から、新生児の生後1週間以内のスキンケアがアトピー予防に効果があるかどうかを検証中だ。同センターの新関寛徳医師は「アトピーは遺伝病ではなく、遺伝子の異常や乾燥などさまざまな原因で肌のバリアー機能が壊れることが発症につながっているのではないか」と指摘。「アトピーには他にもさまざまな要因があるため、新生児期からの予防が必須であるかどうかはまだわからない。だが一定のスキンケアで患者を減らすことができれば、診療に与える影響は大きい」と話す。
すでにアトピーの症状がある子供たちも、しっかりとスキンケアをし、正しく薬を使うことで肌のトラブルが改善される可能性があるという。山本医師は「主治医と相談し、根気よく続けてほしい」と話している。

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