子どもの便秘

 重病とは認識されていませんが、便秘で悩む子どもは毎日のように受診されます。基本的な知識と対策をまとめましたので参考にしてください。

■ 便秘

「便が硬くて出にくい状態」を便秘と呼びます。それによりつらい症状(腹痛、腹満、吐き気、食欲低下)が出て日常生活に支障が出ると治療の対象になり、慢性化している場合は薬物治療でコントロールするのみでなく、生活習慣の見直しも必要です。

□ どのくらいウンチが硬いと便秘なの?

 下図(ブリストル・スケール)の1と2が便秘で治療が必要です(3-5が正常6と7が下痢)。
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□ 子どもの便秘の特徴

 子どもの便秘の原因は大人と異なり、乳幼児期はウンチを出す力が弱いことによる便秘がほとんどです。便秘になりやすい時期は以下の3つ;

① 乳児期の母乳→ ミルクへの移行時期、あるいは離乳食開始期
② 幼児期のトイレ・トレーニング(一番多い!)
③ 学童期の通学開始や、学校での排便ガマン体験

 これらがきっかけとなり、便が硬くなる→ 排便に苦痛を伴う→ ガマンする→ ますます硬くなる、という「便秘の悪循環」に陥ってしまうのです。
 学童期以降はそれに過敏性腸症候群が加わります。ストレスにより自律神経のバランスが崩れることが原因。リラックス状態(副交感神経優位)では腸の動きが活発になり良いウンチがつくられますが、緊張状態(交感神経優位)が続くとそれができません。

子どもの便秘の原因はおとなの態度?

 デリケートな性格の子どもは、おとなの態度で追いつめられて便秘になっている例が最近問題視されるようになりました。
 とくにトイレ・トレーニングの時期に「失敗すると叱られる」ことを繰り返し経験すると、自己評価が低くなり便秘の悪循環が始まると解説している啓蒙書が目立ちました。「良い子しか認めない」社会の風潮が母親を追いつめ子どもを苦しめている状況が、ここにも存在するようです。

赤ちゃんの便秘(乳児排便困難症):肛門刺激法で乗り切ろう

 赤ちゃんがウンウンうなっていきむ、かといって出るウンチは硬くない状態。教科書には 食欲・機嫌が悪くなければ離乳食開始後に軽快するので治療の必要はないと書かれていますが、気になる方は3日を目安に肛門に人肌程度のぬるま湯をスポイトでぴゅっぴゅっとかけて刺激してみてください。
 それでもダメなら「綿棒浣腸」。綿棒の先にワセリンを塗り、肛門から1-2cm入れて肛門を広げるイメージでゆっくりやさしく「の」の字を4-5回描くとウンチが・・・。

□ 薬物療法;悪循環を断ち切り「痛くつらい排便」を「楽しく快便」へ

 下剤は大きく2つに分けられ、これらを単独あるいは組み合わせて使用します:
浸透圧性下剤( 便を軟らかくする)モニラック®、マルツエキス®、カマ®
刺激性下剤(腸の動きをよくする)浣腸、ラキソベロン®、テレミンソフト®
 慢性化している場合は一度出たからといって安心せず、最低2週間は毎日出すよう調節します。その後減量・中止していきますが、多くは数ヶ月~年単位の治療が必要です。

下剤がやめられなくて心配/お腹が痛くなってしまうという場合は漢方薬がお勧め;

・「食が細い、線が細い、お腹のトラブルが多い」→ 小建中湯が有効
・「冷え症でお腹が張りやすい」→ 大建中湯が有効

肛門が切れて痛がるとき

 人肌くらいのぬるま湯で湿らせた柔らかい布で押さえるとじきに出血は止まります。繰り返すときは小児科を受診してください。軟膏が処方されます。

□ 生活習慣で気をつけること;

トイレ・トレーニング:失敗しても叱らず忍耐強く見守る、できたときはごほうびを与える、トイレを楽しい場所にするなどプラスイメージを持たせる工夫をしましょう。
・幼児期以降は朝起きたらコップ1杯の水を飲み、必ず朝食を。腸が目覚めて動き始めます。
・学童では登校前にトイレへ行く十分な時間(15分)の確保を。
夜更かしは便秘の大敵・・・興奮状態(交感神経優位)では良いウンチはできません。

□ 食生活の注意点;最終目的は食事内容を見直して便秘解消

【便秘によい食品例】
玄米ご飯、ソバ、海藻(昆布、わかめ、海苔、もずく)、なめこ、 枝豆、納豆、小豆、寒天、カボチャ、サツマイモ、里芋、オクラ、ゴボウ、モロヘイヤ、 ニンジン、切り干し大根、バナナ、プルーン、リンゴ、キウイフルーツ、ナッツなど

【便秘によくない食品例】
プリン、ゼリー、ケーキ、アイスクリーム、牛乳、甘いヨーグルト、市販の野菜ジュース、ポテトチップスなど

水分

 無理にたくさん摂る必要はありません。飲みたいときに飲みたいだけどうぞ。

乳酸菌・ヨーグルト類

 有効・無効の両方の報告があり、実は評価は一定しません。一般に子どもの腸内細菌は善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌)優位とされ、悪玉菌(大腸菌、ウェルシュ菌)が多い中学生~大人ほどには効かないようです。

食物繊維

 大きく不溶性と水溶性に分けられますが、共に便秘に有効です。
不溶性食物繊維・・・野菜に多く含まれ、水分を吸収して膨張し便量を増やす効果
水溶性食物繊維・・・海藻ネバネバ系食品に多く含まれ、大腸に到達すると善玉菌のエサになり腸内環境を改善する効果があります。

オリーブオイル

 オレイン酸を含むオリーブオイルは一時的に比較的多めの量を摂った場合、小腸であまり吸収されずに小腸を刺激します。また小腸に残った食物と混ざり合うことで腸内の滑りがよくなることがわかっています。イタリアでは子どもたちの便秘予防として、ティースプーン1杯のオリーブオイルを摂ることが推奨されているそうです。

オリゴ糖

 オリゴ糖は単糖(ブドウ糖など)が2-20個結合したもので、分解されることなく大腸まで届き、善玉菌であるビフィズス菌のエサになります。口から入ったオリゴ糖は大腸に到達し、腸内細菌に食べられます。腸内細菌には善玉菌の他、悪玉菌や日和見菌などもありますが、オリゴ糖を食べた善玉菌が乳酸などの酸を出すため、この酸を苦手とする悪玉菌は死滅し、善玉菌だけが増えるので腸内環境が整い、便秘改善に高い効果があるのです。
 オリゴ糖というと甘味料を連想する人が多いのですが、実は様々な食品に含まれています。
(例)乳糖(牛乳、母乳)、イソマルトオリゴ糖(ハチミツ、味噌、醤油など)、フラクトオリゴ糖(ヤーコン、玉ねぎ、バナナなど)、ラフィノース(ビート、キャベツ、アスパラガス等)、乳果オリゴ糖(ヨーグルト)

□ 誤解の多い、子どもの便秘と食品の微妙な関係

野菜ジュースは便秘対策にならない。

 食物繊維がほとんど含まれていないので、便秘対策になりません。

「牛乳を飲むと便がゆるくなる」は子どもには当てはまらない。

 これはおとなだけに当てはまること。その理由として、子どもは乳糖分解酵素が十分あるので牛乳をたくさん飲んでも便がゆるくなることはなく、おとなになると日本人は同酵素活性が低下する民族なので下痢をするようになる、とのこと。ちなみに酪農で生きてきたヨーロッパ民族は、おとなになっても乳糖分解酵素活性が保たれるので問題ないそうです。
 逆に「牛乳は便を硬くする」と断言するベテラン小児科医もいました。
 確かに、母乳栄養より人工栄養の赤ちゃんの方が便が硬めですね。また、牛乳アレルギーでは下痢だけでなく便秘になることも報告されており、ふつうの治療で便秘が解消しない場合は牛乳制限を試す価値があると考えられています。
 そのベテラン小児科医は「野菜嫌いに野菜ジュース、便秘気味だから牛乳多飲が子どもの便秘を作っている」と力説しています。

「便秘には乳酸菌・ビフィズス菌が有効」も子どもには当てはまらない。

 腸内細菌をわかりやすく分類すると善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)と悪玉菌(大腸菌、ウェルシュ菌など)に分けられます。食生活が乱れたおとなは悪玉菌優位になり、その影響で便秘/下痢などに悩まされるのでビフィズス菌や乳酸菌を増やすと改善することが期待されます。しかし、子どもはもともと善玉菌優位なので、おとなほどには効果が期待できまないそうです。

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 ニュースを拾い読みしました。

■ 子どもの便秘…重症化すると便漏れも(2013年10月10日 読売新聞)

 多くの子どもが経験する便秘。かかりつけの小児科で十分な治療が行われず、進行して便漏れなどが起こることがある。こうした子どもの便秘の重症化を防ぐため、受診の目安や適切な治療法をまとめた診療ガイドライン(指針)が、今年9月に完成した。


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 子どもは、離乳食を始めるなど食事の変化や、おむつを外すためのトイレトレーニング、小学校入学をきっかけに便秘になりやすい。
 最も気をつけたいのは、症状を進行させる二重の悪循環だ。便が排せつされずに直腸にとどまると、どんどん水分が吸収され、軟らかさが失われる。便意をもよおしても、硬い大きな塊となった便を出すのは、痛みや出血を伴う。子どもは排便を我慢するようになり、ますます腸に便がたまる。
 さらに、たまった便で直腸が広がると、排便にかかわる筋肉や神経の働きが鈍くなる。すると便意が起こりにくくなり、たまる一方になる。
 悪循環を断ち切れずに重症化すると、直腸が、たまった便でパンパンに膨らむ。そのすき間から、新しくできた軟らかい便が漏れ出たり、たまった便の一部がポロッと出たりする。
 群馬県の男児(4)も、昨年秋の誕生日を過ぎた頃から、便が漏れるようになった。1日3回、下着を交換することもあった。母(36)は「くさいことで、いじめられないか」と心配になった。
 インターネットで情報を集めて便秘を疑い、今年7月、慢性便秘の治療に積極的に取り組む「パルこどもクリニック」(同県伊勢崎市)を受診。腸に大量の便がたまっていることがわかり、下剤やかん腸ですべてを取り除いた。
 今は便漏れもなくなり、安心して幼稚園に通う。母は「少量でも、軟らかい便が出ていたため、最初は便秘だとは思わなかった」と振り返る。
 今回の指針は、日本小児栄養消化器肝臓学会と、日本小児消化管機能研究会による合同の委員会が手がけた。同時に、保護者向けの小冊子も作った。
 委員長を務めた同クリニック院長の友政剛さんは、「便秘の重症化を防ぐには早めの受診が大切です。1か月以上便秘が続いたら小児科や小児外科を受診してほしい」と話す。
 便秘かどうかは、排便回数だけでは判断できない。1回の量、便の硬さ、痛みや出血なども重要だ。
 治療はまず、便の塊があれば、下剤やかん腸で完全に除去する。腸がすっきりした後は、下剤を使いながらトイレを我慢しないよう指導、1日3回きちんと食べる、食物繊維が豊富な食べ物を増やすなど食事の見直しも行い、便通の改善を目指す。
 改善後も、再発を防ぐには、少なくとも数か月間は下剤を使う必要がある。
 指針では、
〈1〉おむつがはずれているのに便漏れがある
〈2〉足を組んで便を我慢する
〈3〉通常の治療で改善しない
――など、治療経験豊富な専門医の受診が望ましいポイントも盛り込んだ。
 指針に準じた保護者向けの小冊子は、日本小児栄養消化器肝臓学会のホームぺージからダウンロードできる。

■ 小児の便秘薬:世界的には第一選択とされている「ポリエチレングリコール」が日本にはない?(2013.7.2:医療問題研究会)

By: Nicolas Nova (Flicker)
便秘を、便秘と診断し、薬が必要かどうかを考えることは小児科医にとって相当な頻度で要求されることですが、なかなか根拠に基づいた判断ができません。
しばらく前に、BMJに英国国立医療技術評価機構NICEの勧告をまとめた「原因不明の子どもの便秘の診断と治療:NICEガイドラインのまとめ」BMJ2010;340:c2585という論文が載っていましたので、読んでみました。
診断などの問題もあるのですが、このページは薬のコラムですので、薬を紹介します。
まず、もっとも最初に紹介されているのが、ポリエチレングリコール3350Polyethylen glycolです。これは、子どもにも使え、まずこれプラス電解質を使ってみる。(第一選択)2週間使っても便秘が改善しないなら、今度は刺激性の下剤を使う。もし、第一選択薬がうまくいかなかったら、刺激性の便秘薬か、ラクツロースのような浸透圧便秘薬と一緒に使う。親には、排便が多くなったり腹痛を伴ったりすることを伝えておく。その後は同様に、維持療法に入り、数週間続け規則的な排便ができるようになるまで続ける。これには数ヶ月間かかるかもしれない。薬は急に止めず、排便の状態を見ながら徐々に減量してゆく。
などと書いています。もちろん食事の検討も必要です。
ここでふと気がつきました。第一選択薬のポリエチレングリコールなんて薬は知らないが、しかしどこかで聞いた名前です。そこで、「日本医薬品集:医療薬」を見てみましたが全く掲載されていません。どうなっているのでしょうか?実は、「ナトリウム・カリウム配合剤」として、「ポリエチレングリコール+電解質」と思われるものが販売されていました。しかし、それは「経口腸管洗浄剤」として認可されているもので、一般的な便秘には承認されていません。
この表は、同論文に載せられた下剤の一覧です。マグネシウム製剤がないですね。(医薬ビジランセンター発行「オーストラリアガイドライン」には載っています。)

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なお、子どもの便秘薬についてのランダム化比較試験RCTはごくわずかしかされていません(コクランライブラリー)。その中でポリエチレングリコールが比較的調べられている薬のようです。安全性は高と評価されているようです。

■ 便秘で「便漏れ」 気づかず(2013年3月21日 読売新聞)

 うんちが何日も出なかったり、硬くて出血を伴ったり――。小児外科は、しつこい便秘の治療も得意だ。
 整腸剤を飲んでも生活習慣を見直しても改善しない時や、出血量が多いなど何らかの病気が原因と疑われる時に、小児科から紹介されることもある。
 便秘に気づきにくいのが、「便漏れ」がある場合だ。
 東京都内の小学1年生の男児(7)は、5歳のころから下着に便が付くようになった。ひどい時は1日6、7回、下着を交換した。においが気になり、幼稚園を休むこともあった。
 母(35)が、妹(3)の乳幼児健診で保健師に相談したところ、「おむつが取れにくい子なのかもしれない」と言われた。かかりつけの小児科クリニックでは、「風邪で腸が緩くなっている」と整腸剤を処方されたが、一向に改善しない。
 思い切って受診した総合病院の小児科では、「しつけの問題ではないか」と言われてしまった。
 兄(11)と同じように育てているつもりなのに、と納得できなかったが、「赤ちゃん返りなのかもしれない」と考え、様子を見ることにした。
 だが、小学校に入っても便漏れが続いたため、夏休みに別の小児科クリニックに行くと、小児外科の受診を勧められた。
 そこで、東京都港区の慈恵医大小児外科を訪ね、画像検査などの結果、直腸に硬い便の塊があることが分かった。塊の上に新しくできた軟らかい便が、塊の隙間から少しずつ漏れていたのだ。
 同大小児外科講師の吉澤穣治さんによると、塊があったら、まず、かん腸したり、医師が腸をきれいに洗ったりして塊を外に出し、子どもにすっきりした感覚を知ってもらうことが大切だ。これで便がうまく出るようになることもある。
 しかし、たまった便で直腸が伸びきってしまうと、筋肉が収縮する力が失われ、神経の働きも弱くなってしまい、便秘や便漏れが改善されないこともある。
 男児の場合、直腸の動きが鈍かったため、昨年11月末、伸びきった直腸の一部を切除する手術を受けた。
 現在は便漏れはなくなり、元気に学校に通う。母は、「いつうんちが出てしまうか心配で、何の習い事もさせていませんでした。これからは、お兄ちゃんと同じように何かスポーツを習わせたい」と話す。
 吉澤さんは「便漏れで受診する子どもの母親は、発達やしつけの問題ではないかと悩まれた経験のある方が少なくない。便秘が原因かどうか確かめるためにも、一度、小児外科を受診してほしい」と話している。

■ 便秘(2013年4月:読売新聞)

(1)「命に関わらない」と軽視

「色々な薬を使っても効かず、途方に暮れていました」と語る女性
 横浜市の女性会社員(31)は幼い頃から便秘に悩まされてきた。
 朝食後にトイレに行くよう母親に促されても、便意を感じたことはなかった。女性は「なぜ食後にトイレなのか、私には理由が分かりませんでした」と振り返る。
 ほぼ毎日、胸やおなかが苦しく、食べ物もあまり食べられない。学校では恥ずかしさから便秘のことは誰にも話せなかった。
 4~5日排便がないと腹痛がひどくなり、週1回はトイレに長い時間こもった。ようやく出てきた便は硬く、しかも多量だった。
 地元の小児科診療所を受診したが、医師は「子どもに薬は不要」「たかが便秘で死にませんから」などといなし、薬も処方されなかった。高校生になると、週1回の排便も自力では難しくなり、座薬タイプの下剤を使った。
 厚生労働省の調査によると、日本では、女性の5%、男性の2・5%が便秘の症状を抱え、80歳代以上では男女ともに1割を超える
 便秘について、日本消化器病学会は「明確な定義はない」としている。ただ、医療現場では便秘を「大腸内の便が長時間滞留する状態」と位置づけ、「排便回数が週2回以下」の場合を便秘とみなしていることが多い。
 便秘には
・「便が肛門近くにまで下りてこず、排便回数が減少する
・「便が肛門近くまで下りてくるが、うまく出せない
といった二つのタイプがある。治療は、食事や運動などの生活習慣の改善や、薬物療法が中心となる。
 薬物療法は、便を直腸まで押し出す大腸の蠕動運動を刺激したり、便の水分量を増やして便を軟化させたりする下剤を使うことが多い。
 ただ、高知大骨盤機能センター部長の味村俊樹さんは「『命に関わらないから』と軽んじられ、適切な治療を受けられない患者も目立つ」と指摘する。
 女性は大学進学後、消化器専門の医師の診療所などをいくつか受診した。処方された下剤はほとんどが効かないか、目まいや腹痛に襲われるかのいずれかで、服用をやめた。市販の便秘薬を最大用量飲んでも、症状は良くならなかった。
 就職してからも、テレビや雑誌などで便秘の解消に効果があると紹介された食品もいくつか試した。効果はなかった。あまりに苦しくて救急病院で浣腸をしてもらったこともある。
 30歳代を迎えて結婚を意識するようになったが、「便秘のことは相手には理解してもらえないだろう。結婚は無理かな」と、半ば諦めかけていた。

(2)マッサージや運動で改善(2013年4月2日 読売新聞)

 便秘に長年悩まされてきた横浜市の女性会社員(31)は2012年春、国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)を受診した。
 同センター・内視鏡健診センター部長の水上健さんは、女性の症状を聞き取り、過敏性腸症候群と診断。コンピューター断層撮影法(CT)画像や内視鏡で女性の大腸を詳しく調べた。
 同症候群は、腹の痛みや不快感を過去3か月間、月3日以上繰り返し、排便後にその症状が治まる場合などに診断される。原因は不明だが、下痢や便秘を伴う。内視鏡で腸内を調べても炎症などの症状はない。日本の成人の5~20%がこの病気を持つとの報告もある。
 水上さんは内視鏡で同症候群の患者を調べ、大腸の動きや形を研究してきた。
 患者の中に、大腸の一部がねじれて内視鏡の挿入が難しい患者がいることに気づいた。女性に多く、ほとんどが便秘に悩まされていた。挿入する際、おなかの上から手で腸を圧迫するとねじれが解消され、内視鏡を通しやすくなった。
 テニスやゴルフ、ダンスなど上半身をひねる動きを伴うスポーツをやめてから便秘を訴えて同センターを受診する人も多かった。
 これらに着目した水上さんは、部位に合わせたねじれを解消するマッサージやストレッチを考案。患者に勧めると、便秘が改善するケースが多かった。
 水上さんに過敏性腸症候群と診断された女性の大腸も、下行結腸や、直腸につながるS状結腸の部分がねじれており、硬くなった便が詰まって、便秘につながったと考えられた。水上さんの指導を受けた女性は入浴時に、ねじれた付近を指圧し、入浴後にはおなかをひねる運動を3分間続けた。下剤と整腸剤を飲み、自然に便が出るようになった。
 今年1月に、体調を崩した時に使った点滴の副作用で便秘になったこともあったが、その後は順調でほぼ毎日排便ができている。女性は「幼い頃から初詣では毎年『便秘が治りますように』とお願いしていました。便秘のことを考え、憂鬱だった食事も、楽しんでいます」と喜ぶ。
 水上さんは「しつこい便秘に悩み、大腸がねじれている疑いがあれば、おなかのマッサージと運動で症状が良くなる可能性がある」と話す。

(3)新薬 高齢者に自然な効果(2013年4月3日 読売新聞)

  加齢にともない、便秘に悩む高齢者は多くなる。
 厚生労働省の調査によると、60歳代後半から増え始め、80歳代では男女ともに1割を超える。便を外に押し出そうとする腸の働きが低下するため、とみられている。
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 東日本に住む男性(78)は20年前に虫垂炎の手術をしたのを機に便秘がちになった。つらいときは市販の便秘薬に頼っていた。
 70歳を過ぎると、症状はひどくなり、排便のペースは5日間に1回に減った。かかりつけの内科診療所を受診すると、漢方の下剤を処方された。毎日飲んでいたが、硬い便がようやく出るだけ。痔も悪化した。内視鏡で大腸内を調べても、異常はなかった。
 便秘の薬物治療は、大腸の収縮運動(蠕動)を活発にする刺激性下剤か、便の水分含有量を多くして便を軟らかくする酸化マグネシウムなどの塩類下剤が、従来使われてきた。
 だが、刺激性下剤は服用後の排便の時期などをコントロールしにくく、高齢者は失禁につながる恐れもある。一方、塩類下剤は、腎機能が低下した人や高齢者が過剰に服用すると、マグネシウム中毒で血圧低下や脱力症状などを引き起こすことがある。

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 昨年11月に、従来の働きとは異なる新薬、ルビプロストン(製品名・アミティーザ)が保険適用された。小腸の粘膜の細胞を刺激することで水分を引き出し、腸内の便を軟らかくする。
 男性は今年2月に鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)を受診した。腹部のレントゲン写真では、下行結腸や、直腸につながるS状結腸などに便が詰まっていた。また、大腸内のいくつもの場所にガスがたまっていた。
 院長の鳥居明さんは、大腸の働きが低下した弛緩性便秘と診断した。男性はアミティーザを処方され、朝と夜の食後にそれぞれ1錠を服用した。飲み始めると、1週間ほどは、便が緩くなる感覚があったが、その後は落ち着いた。男性は「今は毎朝1回排便があり、本当に楽になった」と話している。
 アミティーザは、過敏性腸症候群の若い女性患者で、便秘型の人が服用すると、一時的に胸に軽い圧迫感が生じることがある。気持ちが悪くなったり、下痢になったりするなどの副作用が報告されている。アミティーザについて鳥居さんは「高齢者では、自然な排便が得られて満足する人が多い。若い患者さんに起きる副作用は、薬が効き過ぎるため、とも考えられる。用量を減らすなどの工夫が必要かもしれない」と指摘する。

(4)排便妨げる直腸瘤 手術も(2013年4月4日 読売新聞)

 東京都内の主婦(55)は20歳代の頃から便秘がちだった。市販の下剤などを時々飲んで、便秘とうまく付き合ってきた。
 ところが、5年ほど前から、トイレを出た後も、便を出し切れていない残便感に悩まされるようになった。かかりつけの病院で処方された下剤を飲んでも、改善しない。いつもおなかにガスがたまっているような膨満感があり、物事に集中できなかった。
 そうした不快感に耐えられなくなると、週に1回は、ゴム手袋をはめて、自分の手で便をかき出した。手の指の第1関節ほどの大きさに過ぎない硬い便を取り出すと、いったん不快感は解消された。だが、数日すると元の状態に戻った。
 主婦は2012年8月に、社会保険中央総合病院大腸肛門病センター(東京都新宿区)で、排便機能の状態を調べる排便造影検査を受けた。
 検査ではまず、バリウムと小麦粉を混ぜて少し固めた「疑似便」を肛門から直腸の中に入れる。モニターの画像には、排便時の直腸や肛門が映し出され、形や動きがその場で分かる。
 検査の際、主婦が排便しようといきむと、便とともに直腸の壁が、隣にある膣に向かって飛び出すのがわかった。
 同センター部長の山名哲郎さんは「直腸瘤」と診断した。直腸瘤になると、直腸の壁とともに便が膣にめり込むため、肛門へとスムーズに排便できない状態になる。女性特有の疾患で、出産歴のある50~60歳代に多い。
 軽度の直腸瘤なら、便を軟らかくする下剤を使って排便しやすくする。主婦の場合は、下剤を使って便を軟らかくしても症状が改善しなかったことから、手術を受けることになった。
 手術を受けたのは同年12月。膣を切開して、直腸のそばにある筋肉を縫い合わせ、直腸と膣の間を補強する方法がとられた。手術は1時間足らずで終了した。
 手術から1週間後に退院した主婦は、しばらくは患部付近が引きつるような違和感があったが、術後1か月を過ぎたあたりから徐々に治まった。現在は1日に2回排便をしており、残便感もない。主婦は「こんなに楽になるとは、思いませんでした」と喜ぶ。
 直腸瘤の手術では、膣にメスを入れて縫合するため、術後に性交痛などが後遺症として起きることもある。山名さんは「直腸瘤の手術は、有効な治療法ですが、手術を受けるかどうかは、メリット、デメリットについて、患者さんとよく相談して慎重に決めています」と話す。

(5)骨盤底筋をコントロール(2013年4月5日 読売新聞)

 いきんでも肛門周辺の筋肉の緊張を緩めることができないため、便秘に悩む患者もいる。
 以前から便秘がちだった千葉県の女性(69)は3年ほど前から、いきんでも便が出にくくなった。どうしても出ないときには、常用量の数倍の大腸刺激性下剤を飲むなどして無理やり出していた。
 女性は「何とか排便してもウサギのフンのように小さく硬い便しか出ず、つらかったです」と語る。
 女性は2012年11月に社会保険中央総合病院(東京都新宿区)の大腸肛門病センターを受診。排せつ時の直腸や骨盤の状態をレントゲン画像でみると、女性の肛門は締まり、便が出にくい状態になっていた。
 検査で、女性の肛門に無理な力が入っていることが分かった。同センター部長の山名哲郎さんは、女性の症状を「アニスムス」と診断した。
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 便意がない時、肛門の括約筋は締まっている。便意を感じ、いきむと肛門内の筋肉や肛門の周囲を取り巻く骨盤底筋が緩み、便が排出しやすくなる。アニスムスはいきんでも骨盤底筋が緩まないか、逆に緊張することで起こる。いきめばいきむほど、直腸の出口を塞ぐ状態になってしまう。原因ははっきり分かっていないが、無理にいきみ続けると悪化する恐れがある。
 治療には、排便時に骨盤底筋を緩める「バイオフィードバック訓練」が有効だ。
 センサーのついた管をお尻に入れると、肛門内の圧力が波形としてモニター画像に現れる。肛門を締めた時には波形が高くなり、緩めれば低くなる。
 訓練ではモニターを確認しながら、いきんだり肛門を締めたりする動作を繰り返し、骨盤底筋を緩める方法を30~40分間体感する。便が出にくい状態になっていた圧力値の半分以下に落とすことを目指す。
 女性には排便時の姿勢にも問題があった。上半身を立てて背筋をまっすぐに伸ばして排便すると、骨盤底筋の緊張が解けにくくなる。このため「和式便器を使う姿勢を意識して、前かがみになりながら排便すると骨盤底筋を緩めやすい」とのアドバイスも受けた。
 女性は、下剤や整腸剤なども服用しながら、バイオフィードバック訓練を月1回続けている。「少なくとも3日に1回はいきまずに排便がある。随分と楽になりました」と喜ぶ。
 山名さんは「アニスムスを悪化させないためにも、いきめば、いきむほど肛門が締まってしまうことを理解し、『毎日排便しなければ』と思い込まないことが大切。便意がないのにトイレに行き、無理にいきまないでほしい」と話す。(野村昌玄)

■ 子どものうんち(2012年8月:読売新聞)

(1)やわらかバナナ状が理想(2012年8月12日 読売新聞)

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 子どもが腹痛を訴え、小児科に駆け込んだ際、「原因は便秘だった」とわかって驚くことは珍しくない。
 さいたま市立病院小児外科部長で、子どもの便秘外来を担当する中野美和子さんによると、子どもは、便秘でも、相当たまるまで苦しいと感じないことがよくある。「一人で排せつができるようになっても、時々、親が状態を確かめてほしい」と話す。
 うんちの回数は、1歳を過ぎると、大人と同様、1日3回~3日に1回になる。医学的には、3日に1回より少ないと便秘とされる。
 形や色も見よう。水分と食べかすなどの割合で状態が変わる。理想は、水分が8割ほどで、茶色から黄色がかったやわらかいバナナみたいなうんちだ。
 うんちが腸にとどまると、水分が減り、硬く重くなる。小石状で、黒ずんでいく。毎日うんちが出ても、コロコロうんちが少量出てすっきりしない、長時間いきんでようやく出る、などの場合、快便とは言えない。
 便秘が進むと、下痢や便もれが起こる。大量のうんちがたまった腸は、炎症を起こしやすく、下痢になりやすい。ゆるい便が、たまった硬い便のすき間から漏れ出ることもある。下痢でなくても、うんちで腸が満杯になると便意がなくても、たまったうんちの先が少しずつポロポロと漏れてしまう。「もらすのは、しつけの問題」と誤解して、受診が遅れるケースもある。
 治療はまず、かん腸や薬などで、子どもにすっきりした気持ちよさを実感してもらい、そのうえで腸の働きの改善を目指す。中野さんは、「1か月以上、便が出にくい状態が続いたら、小児科を受診してほしい」と話す。

(2)食物繊維で出やすく(2012年8月19日 読売新聞)

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 夏休みは、食事や睡眠のリズムが崩れやすい。生活の乱れは、うんちの不調になって表れる。
 いいうんちを出すには、材料となる食べかすを増やすことがポイントだ。量をしっかりとることはもちろん、食物繊維を意識して摂取したい。
 食物繊維は、消化吸収されにくく、食べかすのもとになり、排便を促す役割もある。食物繊維が豊富な食材は、海藻やキノコ、豆、野菜などだ。ごはんと具だくさんのみそ汁など、和食だととりやすい。
 こどもの城小児保健部(東京都渋谷区)の管理栄養士、太田百合子さんは、カレーやどんぶりなど子どもが好む献立を生かして、「食物繊維を豊富にする簡単なひと工夫」を提案する。忙しい朝も、「キャベツやブロッコリーなど、野菜をゆでたり、蒸したりして、それを冷蔵庫に常備すると、重宝します」とアドバイスする。
 精神的なゆとりも大切だ。腸の動きに関わる副交感神経は、リラックスした状態で働く。夜、寝ている間は、副交感神経がよく働き、夕食の消化吸収が進み、食べかすが腸にたまる。そこで朝食をとると、腸への刺激となり、うんちが出やすくなる。
 一方、寝不足や寝坊で追い立てられるように朝食をとると、朝のうんちが出にくくなる。早起きして、ゆっくり朝食をとり、トイレを済ませて、すっきりして1日を始めたい。
 運動も、腸の動きを活発にし、便を押し出す筋肉をつけるために欠かせない。暑いからといって、室内にこもらずに、水分補給に気をつけながら、外で元気に体を動かそう。

■ (3)観察日記つけ我慢せず(2012年8月26日 読売新聞)

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◎加藤さんの話を基に作成
 子どもの便秘は、便意があっても、我慢してしまうために起こりやすい。
 幼い子どもは、排便時の痛みや、おしりからの出血を経験すると、怖くなって我慢してしまう。我慢を重ねると、感覚も鈍くなり、なかなか便意が起こらず、うんちがたまっていく。ようやく便意が起こっても、長く腸にとどまったうんちは水分が失われ、かたくなり、出しにくい。
 就学前後には、別の要因も出てくる。NPO法人日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さんは、「うんちをするのが恥ずかしいとの意識が芽生える。学校の古くて暗いトイレではためらう子どももいる」と話す。
 同研究所が、王子ネピアと一緒に、小学校低学年の児童向けに行う「うんち教室」では、いいうんち(キラキラうんち)を出すポイントを学ぶ。その後、家庭で、生活習慣やうんちの回数、特徴を記録する「うんち日記」をつける。
 食事や、腸への刺激となる起床後の1杯の水を飲む習慣でうんちが変化すると、「汚い」「くさい」としか思わなかったうんちに興味がわき、「いいうんちを出したい」と、早起きしたり、おやつを控えて1日3食をしっかりとったりと行動に変化が出てくるという。
 本来、子どもは、うんちが大好き。加藤さんは、「うんちの話をしたら、親が『やめなさい』とイヤな顔をすることで、次第にマイナスのイメージを持ってしまう。いいうんちが出たらほめてほしい」と話す。
 残りわずかな夏休み、親子でトイレ掃除をしながら、うんち日記もつけて、うんちについて大いに語ってみてはどうだろうか。

■ 子どもの便秘 小川恵子の漢方で健康生活(2012.8.10:読売新聞)

 便秘に悩むお子さんが増えているようです。私は小児外科医だった頃、術後の患者さんたちのお通じをいかによくするかが大きな課題の1つでした。排便指導はもちろん食生活改善、運動指導などもしていたのですが、漢方薬も有効である場合が多くありました。そして、その延長で特に病気ではない子どもたちの便秘にも関わっていました。特に腸などに異常がないのにどうして便秘になるのでしょうか。年齢によってその原因は異なるようです。

乳児期

 生後半年は、便が軟らかいので、お乳を飲んでおなかがふくれると反射で便が出ます。この時期に便秘がある場合は、腸に何らかの異常があることを強く疑います。小児科や小児外科を受診することを強くおすすめします。
 離乳食が進んで便が固くなると、排便時に痛みを感じて便秘になる子がいます。この痛みを防ぐために、便の固さを食生活の改善やお薬で調節します。
 漢方薬も良い補助になります。例えば、大建中湯(だいけんちゅうとう)や小建中湯(しょうけんちゅうとう)には膠飴(こうい)という、麦芽糖とデキストリンを含んだ生薬が入っていて腸内環境を整えながら便を適度な固さにすると言われています。

幼児期

 トイレットトレーニングを開始するのが早すぎると、便秘になりやすいと言われています。子どもはストレスを感じると、便意を感じたときに骨盤の筋肉を緩めることができなくなってしまいます。このことが便秘の習慣を作ると言われています。排便をストレスと感じないように、いやがることがない環境作りが大切です。そのためにはトイレを楽しい場所にするように好きなアニメのキャラクターを貼るとか、トイレの歌を歌いながらトイレに行くなど、工夫してみるとよいと思います。緊張しすぎてしまう体質の子には抑肝散(よくかんさん)などの緊張を取る漢方薬が有効である場合があります。

学童期

 学校で排便をするのがいやだとか、排便を友達に知られたくないなどの環境的な要因がより複雑になってきます。排便に対するネガティブなイメージを変える必要があります。先日、金沢市で開かれたワールドコンチネンス企画のイベントを少しお手伝いさせていただいたのですが、その時、子どもの排便を明るくする活動に取り組まれている村上八千世さんとご一緒させていただきました。村上さんの「うんこダスマン体操」などは親子でできて楽しい体操です。小学校で普段は強面(こわもて)の先生が一緒にやってくれたことがきっかけになって学校で排便ができるようになった子もいるそうです。
 学童期の緊張しやすいお子さんでは、いったん便秘の習慣がついてしまうと、直腸が拡張してしまって、ますます便意を感じにくくなってしまいます。この悪循環を断ち切るためには浣腸(かんちょう)や、場合によっては摘便を行う必要がありますが、これがかえってストレスになる場合も多いので、医療者との相談が必要です。漢方薬は,抑肝散(よくかんさん)、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)、大承気湯(だいじょうきとう)などを使いますが、個人差が大きくなってきますし、時期によって使い分けた方が効果の上がることが多いです。

 このように原因や症状には時期も含めて非常に個人差があり、その子に合った治療や対処が必要です。困ったら、小児科や小児外科で相談することが大切です。

■ 赤ちゃんの便秘 子どもの健康 すくすくアドバイス(2012.8.17)

(松平隆光(まつだいら・たかみつ松平小児科院長)

 乳児期(1歳未満)前半の赤ちゃんは便秘になりがちです。ときには1週間くらい排便がないという状態が続くことがあります。この原因は、赤ちゃんは寝ている時間が大人よい多いことや、1人で歩けないことや、お腹の筋肉の発達が未熟であることなどがあげられています。
 赤ちゃんに数日間、排便がなくても、比較的元気で機嫌もよく、食欲もある場合は、何もしないで様子を見ていてもかまいません。しかし、普段と比べてミルク量や母乳を飲む回数が減ったり、機嫌が悪くなった場合には躊躇せずにかかりつけ医に相談してください。
 自宅で紙縒り(こより)を使って肛門を刺激して排便を促す方法もありますが、あまり効果は期待できません。私の診療所では、5日間排便がない時には受診していただき、グリセリン液を用いて浣腸しています。多くの赤ちゃんは、浣腸すると数分後に排便を認めます。
 また、その時に出た便を見ると比較的軟らかい(泥状)便が多いことが赤ちゃんの便秘の特徴です。浣腸して泥状便を認めた赤ちゃんの多くは、離乳が進んだり、自立歩行ができると便秘から解放されることがほとんどです。
 しかし、稀ですが、ころころした硬い便が出る赤ちゃんは、肛門から出血したり、脱肛(肛門が外に出てしまう)になったりすることもありますので、作用の弱い緩下剤ラキソベロンを処方することもあります。
 幼児期まで便秘が続きますと、排便そのものに対する恐怖感を持ち、さらにそれが便秘の原因となるという悪循環にもなりますので、便秘を軽くみることは慎むべきと思います。
 便秘にならないためには、適当な水分補給と線維の多い食事と早起き・早寝を基本とする適切な生活習慣を保つことが大切です。