じんましんのお話

 じんましんは日本人の5人に一人が経験するポピュラーな病気です。
 そういう私も年に1〜2回程度出ます。
 何となく「じんましん=アレルギー」というイメージがあり「じんましんが出たからアレルギーの検査をして欲しい」と受診する方が多いのですが、実はほとんどが原因不明で血液検査で原因がわかるのは10%にすぎないのです。
 本来は皮膚科疾患ですが、アレルギー科を標榜している当院には相談が多いため、わかりやすいパンフレットを作りました。参考にしてください。

じんましんの種類・分類

(日本皮膚科学会「蕁麻疹診療ガイドライン」より)

1.特発性じんましん(70%
 a. 急性じんましん(1ヶ月以内) 
 b. 慢性じんましん(1ヶ月以上)
2.刺激誘発性のじんましん(30%)
 a. アレルギー性じんましん(10%
 b. 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
 c. 非アレルギー性じんましん
 d. アスピリンじんましん
 e. 物理的じんましん(機械性、寒冷、温熱、日光等)
 f. コリン性じんましん
 g. 接触じんましん

 じんましんは皮膚科分野の病気であり、診療ガイドラインはアレルギー学会ではなく皮膚科学会が作成しています。
 1の「特発性」という表現は「原因不明」という意味。つまり、70%のじんましんは原因不明ということになります。
 皆さんがイメージする、2-a のアレルギー性じんましんは10%にすぎません。

じんましんの診断・検査

 詳細な問診で、上の分類のどれに当てはまるか検討します。
 もし、食物アレルギーが原因なら、特定の食材を食べるたびに30分(~2時間)以内に出現し、数時間で消えるのが基本であり、血液検査で特異的IgE抗体が証明されれば診断が確定します。朝ご飯が原因で夕方にじんましんが出ることはありません
 心当たりの食物がない場合はやみくもに検査を行っても診断の役に立ちません。

じんましんの刺激・誘因となるもの

 原因不明のじんましんでも、下図のようにいろいろな刺激や誘因で悪化します。

蕁麻疹の悪化因子.jpg

 「感染」とは風邪のことですね。
 じんましんは“体調のバロメーター”と考えるとわかりやすいと思います。

じんましんの生活指導

原因・刺激・誘因 となるものを避ける

 原因・刺激・誘因となるものがわかれば、それを避けます。
 誘因が明らかでない特発性のじんましんでも、前述のように多くの場合、疲労やストレス、感染症等、さまざまな因子により症状が悪化することが知られています。
 これらをため込まないようにすると、じんましんの程度と頻度が減らせる可能性があります。

家庭でできること

 米国皮膚科学会が公表した「小児じんましんの家庭対処の6か条」を紹介します;

1.痒みや不快感の緩和に市販薬(抗ヒスタミン薬※)を内服することを考慮する。
2.冷やす:冷たい濡れ布を患部にあてる。
3.かきこわしを減らすよう試みる。児の爪を短く切っておくのも1案。市販されていかゆみ止め軟膏を塗るのもよい。
4.ふつうにぬるま湯に入浴する。熱い湯は避け、時間は10分以内にとどめる。刺激の少ない無香料の洗剤を使い、泡風呂や香料入りローションは避ける。入浴後はタオルでこすらず押し当てるように水分を取り、刺激の少ない保湿性ローションまたはクリームをぬる。
5.夏は冷房、冬は加湿器を使うなどして、快適な環境を保つ。衣類は体を締めつけない綿100%のものを着せる。かきむしり防止に患部を覆う場合は暑くなりすぎないよう注意。
6.特定の刺激物が疑われる場合は症状の記録を取るとともに刺激物への曝露を避ける。

※ 日本の「抗アレルギー薬」は、欧米では「抗ヒスタミン薬」に分類されています。

じんましんの治療

 食物アレルギーが原因の場合、治療の基本は原因食物を食べないことです。
 乳児期発症の食物アレルギーは治ることが多く、医師の指導のもとに1歳以降に加工品から少量ずつ試すのが一般的です(重症例は病院で負荷試験が必要)。
 原因がわからない「特発性」でも治療は可能です。原因の如何に関わらず、以下の抗アレルギー薬の内服が有効です。

(例)アレロック(=オロパタジン)®、ザイザル®、アレグラ®、クラリチン®、アレジオン®、ザジテン®、セルテクト®等

 抗アレルギー薬は眠くなることがありますので車の運転などに注意してください。
 アレグラ®とクラリチン®は外国で飛行機のパイロットに許可されている薬ですので、安心して使用できます。
 服薬期間は、急性じんましんでは数日から1週間程度、1~2ヶ月続く場合は1ヶ月、それ以上続く慢性じんましんでは2ヶ月が目安です。
 抗アレルギー薬を2週間内服してもよくならない場合、ガイドラインでは(アレルギー科ではなく)皮膚科専門医の診療を推奨しています。
 その他、補助的治療薬として漢方薬も使用されます。
 残念ながら、塗り薬は気休め程度にしか効きません。私は強いステロイド軟膏ではなく、単純なかゆみ止め軟膏だけ処方しています。

<じんましん関連記事>

関連記事を拾い読みしました。

<参考になるHP>

(日本皮膚科学会)

(厚生労働省)

(京都府立医科大学:益田浩二先生)

(神戸大学:忍頂寺 毅史先生)