■ 風邪ってなあに?
A. 「病原微生物による一過性かつ軽症の感染症」です(わかりにくい・・・)。
イメージとして咳や鼻水が出る呼吸器系の風邪が多いのですが、広く考えると嘔吐下痢など消化器系も上記の定義に当てはまるので、私は「お腹の風邪」と説明することもよくあります。
風邪の原因となる病原微生物の内訳;
9割:ウイルス
1割:細菌・その他
流行する風邪の原因のほとんどはウイルスと考えてよいでしょう。
インフルエンザを筆頭に、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、パラインフルエンザ・ウイルス、RSウイルス、ヒトニューモメタウイルスなどなど。
細菌の中で有名なのは「溶連菌」、その他でマークすべきは「マイコプラズマ」です。
Q. なぜ子どもは風邪を引きやすいのですか?
A. 子どもは風邪のウイルスに対する免疫がないからです。
子どものとき何回も風邪を引いて免疫ができ、抵抗力がついて風邪の回数が減ってきた頃に大人になります。
基本的に全く同じウイルスの感染は受けません。しかし風邪ウイルスの種類は200以上あり、それをヒトは一生かけてこなしていくわけです。
※ 例外もあり、中には1回かかっただけでは十分な免疫ができず、反復する感染症もありますね。
(例)インフルエンザ、RS、ノロ(以上はウイルス)、溶連菌
(院長のつぶやき)毎年4〜5月には風邪を繰り返す子どもが目立ちます。毎週レギュラーメンバーのように通院してます。だいたい、4月に保育園・幼稚園に入園した子どもですね。「うちの子はどこか悪いんじゃ・・・」と心配になりますが、回数は仕方がないと開き直るしかありません。ポイントはこじれて重症化しないか注意することに尽きます。
さて、人生の中で「風邪を引きやすい時期」は3つあるそうです;
① 乳幼児期:お母さんからもらった免疫が消える生後6ヶ月頃から始まり、集団生活が始まる頃には毎週のように風邪をもらってしまうこともあります(涙)。
② 子育て期:子どもが園でもらってきた風邪を、もらってしまうんですねえ。濃厚な接触ですから。
③ 高齢期:免疫力・抵抗力が低下してくるため。こじれやすいのも特徴です。
・・・まあ、頷けます(苦笑)。
Q. 鼻風邪もヒトにうつりますか?
A. ハイ。うつらない風邪はありません。
鼻風邪も、咳の風邪も、お腹の風邪・嘔吐下痢もみんなうつります。「治癒証明書」が必要な感染症だけがうつるわけではありませんよ。
さて、うつり方は以下の3パターンに分けられます;
□ 接触感染:
病原体を含んだ唾液、眼脂、吐物・下痢便が他人に接触して侵入
(例)一般かぜウイルス(ライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルスなど)、嘔吐・下痢を起こすウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)
□ 飛沫感染:
病原体を含んだ唾液・飛沫がくしゃみ・咳などで飛んで他人の喉・鼻に侵入
(例)一般かぜウイルス(ライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルスなど)
□ 空気感染:
病原体を含んだ飛沫核(飛沫から水分が蒸発した微粒子)が空中に長時間浮遊し、遠くにいる他人にも到達(同じ部屋にいたらアウト!)
(例)麻疹(はしか)、水痘(みずぼうそう)、結核、(インフルエンザも?)
※ 空気感染を起こす飛沫核は粒子が小さい(5ミクロン未満)のでマスクの穴を通り抜けてしまいます。つまり市販のマスクは空気感染対策として無効です。
Q. 同じ風邪を引いてもヒトにより症状が違うのはなぜですか?
A. 症状はウイルスと罹ったヒトの体調のバランスで程度が異なります。
侵入してきたウイルスの数が少なく、体力が充実していれば軽く済むかもしれませんし、ウイルスが多く、寝不足で疲れていれば重くなるかもしれません。
中には「不顕性感染」といって、罹っても症状が出ないこともあるくらいです。
Q. 子どもの体温が何℃から「発熱」と考えるべきですか?
A. 私はこんな風に考えています;
・37.5℃台前半
→ ふだん通り元気なら病的とは考えません
→ なにか症状をともなうと病的と考えます
・37.5℃台後半
→ 一応、病的と捉えます
子どもは大人より体温が高めです。はしゃぎ回った後や食事後は37℃台が当たり前。38℃以上の場合は病的ですが、37℃台では微妙ですね。
Q. 風邪薬の中身ってなんですか?
A. 「対症療法薬」です。
前述の通り、風邪の原因の9割はウイルスです。
しかし、ウイルスをやっつける薬(抗ウイルス薬)は非常に限られています。インフルエンザウイルスと水痘ウイルス、ヘルペスウイルスくらい・・・風邪ウイルスの種類は200以上ですから、数種類だけとは寂しい限り。
では病院で処方される、あるいは薬店で売っている「風邪薬」とは何でしょうか?
それは「症状を和らげる薬(対症療法薬)」です。咳、鼻水、頭痛などのつらい症状を緩和し、自然回復を待つというスタンスの薬です。だから、症状がつらくなくなったら飲むのをやめても大丈夫(私は「忘れ時が止め時」と説明しています)。
残念ながらふつうの風邪に「根治療法」「特効薬」は存在しないのが現状です。
皆さんがおぼろげに考えている「風邪薬=抗生物質」は間違いです。次項を参照してください。
Q. あれ?抗生物質は風邪に効かないの?
A. 風邪の9割には効きません。
当然出てくる疑問ですね。抗生物質は細菌をやっつける薬であり、ウイルスには効きません。
風邪の中で抗生物質が有効な病原体は・・・溶連菌とマイコプラズマくらい。この2つは「風邪の原因の1割以下」に入るわけですから、単純に考えて抗生物質の効く風邪は1割以下という計算になります。
Q. 効く薬がないなら、小児科に行く必要はないのでは?
A. いえ、そんなことはありません(苦笑)。
小児科医は病気の知識と診療経験がありますので、受診された患者さんの経過をある程度予測することができます。仕事の内容は「風邪症状を訴えて受診する患者さんを診察して、自宅療養可能か、それとも積極的な治療が必要か、あるいは病院へ紹介して入院診療が必要か」と判断することであり、その一部に「抗生物質が必要な風邪、不必要な風邪の仕分け」があると考えてください。
(院長のつぶやき)漢方薬を診療に取り入れるようになってから、私自身の考え方も少し変わりました。漢方薬を上手に使うと、明らかに症状が楽そうで早く治る感触があるのです。正直言いまして、風邪の症状を和らげる力は西洋医学の薬より漢方薬の方が上だと思います。
Q. なぜ風邪で受診すると毎回抗生物質が処方されるのですか?
A. 抗生物質の歴史と功罪を理解する必要があります(ちなみに私はめったに処方しません)。
抗生物質が登場した当初、「感染症は薬で撲滅できる」と過信される傾向がありました。実際に、死因のトップだった結核は治る病気に激変し、リウマチ熱などの合併症に悩まされてきた溶連菌も見事に治ります。
この時のインパクトが医師の間に「抗生物質を使っておけば安心」という幻想を抱かせ、それは社会全体にも広がり現在に至っているのだと思います。
しかし、人類より長い歴史を持つ細菌類が黙って退場することはありませんでした。それは細菌との長い戦いの始まりに過ぎなかったのです。
現在、「薬剤耐性菌」という細菌の反撃に遭遇しています。抗生物質の攻撃をすり抜けて生き残った細菌は、「薬の効かない菌=耐性菌」となります。それが体内で繁殖すると・・・医学には為す術が無くなりますので、新たな抗生物質を開発して対抗します。するとまた耐性菌が発生し、それに対して抗生物質を開発し・・・エンドレス!
まさにこれが現状です。中耳炎に罹って内服の抗生物質を使用しても治らず入院治療、という事例が増えてきているそうです。
この悪循環を止める最も有効な方法は「抗生物質の適正使用」(交通規則に例えれば「車の制限速度遵守」)しかありません。
溶連菌やマイコプラズマなど必要な患者さんにはしっかりと使い、ウイルス性の風邪には処方しないというストイックさが求められているのです(※)。
小児科医全体はこのように考えていますが、中には「薬をたくさん出してくれるのがよい医者」という雰囲気が医師間・患者間にまだ残っていることも否定できません。
(院長のつぶやき)皆さんご存じのように、私はあまり抗生物質を処方しません。必要を感じて処方すると「エッ? 今日はどうして抗生物質が出るんですか?」と逆に聞かれることもあります(苦笑)。
しかし「ウイルス性の風邪だと思います。症状を和らげて回復を待ちましょう。」と説明したにもかかわらず、「抗生物質を出してくれないんですか?」と聞いてくる患者さんが今でもたまにいます(涙)。
※ 抗生物質が必要な風邪(カッコ内は原因菌)
・溶連菌性咽頭炎(溶連菌)
・マイコプラズマ感染症(肺炎マイコプラズマ)
・急性副鼻腔炎・蓄膿症(インフルエンザ菌、肺炎球菌)
・急性中耳炎の一部(肺炎球菌、インフルエンザ菌)
・細菌性腸炎の一部
(病原性大腸菌、サルモネラ、キャンピロバクター)
・急性喉頭蓋炎(インフルエンザ菌)、など。
Q. 「風邪がこじれる」ってどういうことなんですか?
A. 経過中に悪化・重症化することですが、医学的には2つのパターンがあります。
1週間で治るはずの風邪が、熱が下がらなくて肺炎を起こして入院!
さて、こんなとき体では何が起きているのでしょうか。実は2つのパターンがあります。
① ウイルスによる合併症:
喉・鼻などの上気道で悪さするウイルスも、時に奥に入り込んで気管支炎・肺炎を起こすことがあります。まれながら、髄膜炎や脳炎を発症することもあります(例:インフルエンザ脳症など)。
《検査》炎症の指標となる検査値(白血球数、CRP)は正常〜軽度異常にとどまります。
《治療》当然、抗生物質は無効であり、残念ながら現代医学では防ぐことは困難です。
② 細菌の二次感染:
ウイルス性の風邪で体力・抵抗力が弱っているときに、細菌がここぞとばかりに侵入して増殖し悪化する病態です。
《検査》炎症の指標となる検査値(白血球数、CRP)は異常高値となります。
《治療》細菌ですので抗生物質が有効です。
Q. 鼻水がもう何週間も出ているのですが・・・抗生物質は必要ないんですか?
A. 必要な病態もありますが、すべてではありません。
鼻水が続く場合、一番多いのが風邪の反復です。集団生活を始めた年やお兄ちゃん・お姉ちゃんが入園してお土産に風邪を持ってくるパターンが多いですね。
さて、鼻水をよく観察してください。サラサラ透明ですか、それとも色がついた青っぱなですか?
私は次のように考えています;
① サラサラ〜青っぱなを行ったり来たり → 鼻風邪の反復
② 多量の青っぱながひたすら続く → 副鼻腔炎(蓄膿症)
③ サラサラ透明な鼻水がひたすら続く → アレルギー性鼻炎
さて、この中で抗生物質が必要なのは②の急性副鼻腔炎だけです。
①の鼻風邪の状態に抗生物質を漫然と使用していると「耐性菌」が喉鼻に居座るようになります。すると中耳炎を起こしたときに薬が効かなくて治りが悪くなり、耳鼻科通院が長〜くなります。
Q. 咳が2週間以上ダラダラ続いています。風邪でよいのでしょうか?
A. いろんな病態の可能性があります。
よく相談を受ける症状です。
私は次のように考えています;
① 風邪の反復 ・・・ 一番多いパターン
② 気管支炎・肺炎 ・・・ マイコプラズマやクラミジアでは必ずしも高熱が出ませんので、気づきにくい傾向があります。この場合、どこかに症状のピークがあるのが特徴です。
③ 百日咳(※) ・・・ 咳は始まって2週間頃から悪化し、夜は「咳込み発作」が見られるようになります。
④ 喘息 ・・・ 「風邪を引くと咳が長い」「ふだんから咳が出やすい」場合に疑います。聴診器で聞くとゼーゼーと音が聞こえます。
さて、この4つの中で、抗生物質が必要なのは②と③です。
このように、抗生物質を適正使用できる小児科医が「良医」だと私は信じて診療・精進する次第です。
【トピックス】 百日咳は予防接種(DPT)で免疫をつけているので大人は大丈夫と信じられてきましたが、近年、大人で1ヶ月以上続く咳の3割は百日咳であるとされ、また百日咳患者の半分は大人であると報告されています。ワクチンの免疫は残念ながら一生もたないことが証明されました。アメリカでは「大人用の3種混合ワクチン」が開発・導入されています。日本はやはりここでも遅れています・・・。
■ 子どもの発熱と対処法
Q.熱が高いと脳に後遺症が残りますか?
A. 一般に風邪に伴う高熱(41℃未満)では脳障害の心配はありません。
「脳障害=意識障害」ですから、高熱の際に視線が合わない、ボーッとしていて反応が悪い、等が続いたら早めに診察を受けてください。
乳幼児では高熱のとき熱性けいれんを起こすこともありますが、短時間のもの(5分以内に止まり意識もすぐに戻るもの)なら脳障害の心配はありません。
熱の持続期間も重要です。3日以上高熱が続くときは風邪がこじれていないか、他の病気が隠れていないかのチェックが必要ですので診察を受けましょう。
★ 脳に後遺症を残す恐い病気、その名は「細菌性髄膜炎」
「高熱が続くと脳に障害が・・・」と心配になるのはこの病気の可能性があるからです。「髄膜」とは脳を覆って保護している膜の名前で、髄膜炎とはその中に細菌が侵入して増殖し、脳にダメージを与える病態です。
症状として「意識障害」「けいれん」が特徴です。
高熱でも目線がしっかりしていてコミュニケーションが取れる場合は問題ありません。
しかし、目線がうつろで呼びかけても反応が鈍い場合は危険!すぐに医師の診察が必要です。
さて、この病気の原因菌はインフルエンザ菌b型(=ヒブ)が6〜7割、肺炎球菌が2〜3割です。ヒブと肺炎球菌・・・はてどこかで聞いたことが・・・そうです、最近登場したワクチンの名前ですね。
つまり、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンを接種しておくと、細菌性髄膜炎は9割程度予防できることになります。実際、このワクチンを導入した国では細菌性髄膜炎の患者数が激減しています。
日本は遅れて導入され、さらに費用は自己負担・・・子どもに優しい社会とは言えません。
一日も早くこの二つのワクチンが公費負担の定期接種となり、社会で子どもを守る意識が高まることを希望する次第です。
Q.解熱剤の上手な使い方は?
A. 使用するタイミングを考えましょう。
解熱剤は病気を治す薬ではありません。高熱による体のつらさ・だるさをやわらげる対症療法薬です。発熱は体に侵入したウイルスや細菌をやっつける武器でもありますから、体が耐えられれば基本的に使う必要はないのです(武器が弱まり長期戦になるかも)。
解熱剤を使う目安は「乳幼児では38.5℃以上、学童では38℃以上、かつ子どもがぐずってつらそうなとき」です。 目標は37℃前半で、平熱まで下げる必要はありません。
※ 使用法:間隔は8時間が目安、1日1〜2回(最高3回まで)。
Q. 熱が高いときは冷やす? それとも暖める?
A. 実は両方正解です。子どもをよく観察して使い分けましょう。
熱が続くとき、ずっと高熱ではなくて上がったり下がったりの波がありますね。
熱の上がり始めにブルブル震えて(悪寒)手足が冷たいときは暖かくしてあげてください。
熱が上がりきり顔が火照って手足も温かくなったら冷やすのがよいでしょう(つらそうならこのタイミングで解熱剤を使用)。おでこを冷やすと気持ちがよいのですが熱は下がりません( 赤ちゃんには窒息の危険があるので「冷えピタ」の使用は控えましょう)。脇の下や太腿つけ根など体の中心部を冷やすと熱が少し下がります。
Q. お風呂はいつから入っていいの?
A. 微熱で機嫌が悪くなければ、サッと入るのはOKです。
高熱でグッタリしているときは入浴を控えましょう。
微熱で機嫌も悪くなければ、短時間の入浴(汗を流して体を温める程度)ならかまいません。風呂上がりに湯冷めをしないよう、寒い季節は部屋を暖めておくと良いですね。
Q. 生後6ヶ月未満の赤ちゃんで注意することは?
A. 風邪以外の病気が隠れていることがありますので、早めに診察を受けましょう。
生後6ヶ月(特に3ヶ月)までの赤ちゃんが高熱を出した場合、風邪以外の病気(腎盂腎炎、髄膜炎など)が隠れていることがあります。早めに小児科医の診察を受けましょう。
この時期の赤ちゃんは体温のコントロールがまだ上手ではありませんので当院では解熱剤は処方しておりません。対症療法より診断が優先されます。
■ 感染症と隔離について
まず最初に、感染症にかかった際の伝染力について記します。
ふつう治れば(症状がなくなれば)ヒトにうつす力は無くなると思いこみがちですが、そう単純なものではありません。病原体の種類によっては症状出現前から(水痘、おたふくかぜ等)、そして症状が無くなってからも数週間は伝染力が残り続けるもの(感染性胃腸炎、夏風邪等)があります。
知れば知るほど、乳幼児期の集団生活の場では感染予防対策は困難であることがご理解いただけると思います。
【夏風邪】 プール熱、ヘルパンギーナ、手足口病
夏風邪の原因はお腹の中で増殖するウイルス感染です。
プール熱はアデノウイルス、ヘルパンギーナ・手足口病はエンテロウイルスが代表的ですが、原因となるウイルスは1種類ではありませんので繰り返し感染します。
発疹が出たり、目が赤くなったり・・・いつまで園を休めばいいのか正確に知りたいところですね。プール熱は「症状が落ち着いて2日間自宅安静」と学校保健法で決められていますが、ヘルパンギーナと手足口病は「感染力が無くなるまで」としか書いてありません(感染症法)。この裏事情を説明させていただきます。
ウイルス排泄期間
感染した体からウイルスが検出される期間を「ウイルス排泄期間」と呼びます。夏風邪の場合、喉から1~2週間、便からは2~4週間もウイルスが排泄され続けます。
意地悪に考えれば、最長4週間は他人への感染力ありとして隔離が必要になります。
不顕性感染
これは「感染はしたけど症状が出ない」状態です。外見上は健康そのもの。 しかし困ったことに、この「不顕性感染」状態でも他人へ感染させる力があるのです。 エンテロウイルスでは60~80%が不顕性感染でありアデノウイルスでも多いとされています。
言い換えれば、流行期には風邪が治って登園してきた友達からも、元気に過ごしている友達からもかぜをもらう可能性があるということになります。つまり症状が消えるまで患児を休ませただけでは流行拡大阻止は不可能なのです。
ではどうしたらよいか?・・・日々の感染対策に尽きます。乳幼児のオムツとそれを扱った保育者の手洗い、給食配膳係の手洗い、 幼児自身のうがい、 排便後の手洗い、 食事前の手洗いが大切です。
※ プールの消毒について
「プール熱(咽頭結膜熱)」の原因となるアデノウイルスはその昔プールの水を介して爆発的に流行したのでこの名前が付けられました。しかし、近年は水質が管理されているプールでは流行は起きていません。
現在、学校プールの水質基準は「消毒用の残留塩素が0.4~1.0mg/L」と定められています。この濃度が維持されれば、アデノウイルスは死滅し、プール熱が流行することはありません。プール熱が流行したときの残留遊離塩素濃度は0.1mg/Lくらいが多く、0.7mg/Lまで上げると流行が収まったという報告があります。
家庭の水道水の残留塩素は0.1mg/Lだそうです。
庭先でビニールプールに水道水を入れて友達みんなで遊ぶと夏風邪ウイルスをあげたりもらったりするかもしれませんね。
【感染性胃腸炎】 ノロウイルス、ロタウイルス
ノロウイルスは秋〜初冬、ロタウイルスは真冬を中心に流行する嘔吐下痢症です。それ以外の季節でも集団発赤してニュースになることもあります。
胃腸炎も「治癒証明書」を希望して来院されますが、「感染力がゼロになりました」という内容では医師は署名できません。前述した夏風邪と同じように、症状が無くなり元気になっても少ないながら感染力はしばらく残りますので。
それに不顕性感染もありますから「症状のある子どもを隔離する」だけでは感染対策は不十分で限界があります。
ウイルス排泄期間
ノロウイルス、ロタウイルスともに発症後約1週間は便の中にウイルスが排泄されます。しかし乳幼児は長引く傾向があり、1歳以下では2週間を超える確率が70%を越え、生後6ヶ月未満では最長1ヶ月半続く例もあることが報告されています。
不顕性感染
不顕性感染率はノロウイルスでは30〜50%(逆に言うと感染して症状が出る人は50〜70%)、ロタウイルスで20〜30%です。
以上より、治ったと思っても感染力はゼロではない、かつ症状がない子どもの便も感染源になりうるという認識が必要です。では吐物・便対策は・・・結構大変です。
※ 参考HP:「ノロウイルスに関するQ&A」(厚生労働省)
《まとめ》夏風邪にしても、感染性胃腸炎にしても、登園再開は「感染力ゼロ」ではなく「園生活が送れる程度に体力が回復した」時点で、とご理解下さい。
もし、幼稚園・保育園に提出する書類を書くとすれば、感染力が無くなりましたという「治癒証明書」ではなく、「登園許可書」になりますね。
■ 溶連菌性咽頭炎
□ 原因 A群β溶血性連鎖球菌(略して溶連菌)という細菌。
□ 潜伏期間 2〜4日・・・感染してから症状が出るまでの期間
□ 感染経路 飛沫感染(咳・鼻水・つばが飛んでヒトにうつります)
【症状】 典型的な経過は以下の通りです(全て揃わないこともあります)。
発症日: 悪寒を持って発熱し、のどが痛くなり、頭痛、吐き気、腹痛など。
2日目: 皮膚に細かい赤い湿疹がでてかゆくなる。
3日目: イチゴ舌(舌が赤くなり表面のブツブツが目立つ)
1週間: 指先の皮がむけてくる。
□ 治療
この病気は抗生物質が著効し、飲み始めると翌日から症状が改善します。ペニシリン系の抗生物質を10日間内服します。途中でやめてしまうと下記合併症の危険が増えますので最後までしっかり飲ませましょう。
なお、治療して一旦元気になった後に発疹が出た場合は抗生物質の副作用(薬疹)の可能性があります。薬を中止して当院にご相談ください。
※ ペニシリン系抗生物質アレルギーがある方は申し出てください。
□ 合併症
治ってから1〜4週間後に下記合併症を疑わせる症状が出たら受診してください。
・急性腎炎 : 血尿、乏尿、むくみ、頭痛
・リウマチ熱: 発熱、関節痛、発疹、心炎・弁膜症、舞踏病(体の一部が勝手に動く)など。
急性腎炎になっていないかチェックする目的で当院では尿検査をしています。
【登校・登園基準】
抗生物質内服開始後、下記の条件を満たせば登校・登園が可能です。
・熱がない場合 → 治療開始後24時間以降
・熱がある場合 → 解熱後24時間以降
■ 感染性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルス)
秋から冬にかけて胃腸炎が流行します。「嘔吐下痢症」「お腹の風邪」「感染性胃腸炎」などの名前で呼ばれますが、すべてウイルスが原因の胃腸炎です。
代表的なものはノロウイルスとロタウイルスです。
忘年会で生カキを食べて食中毒を起こすことが有名な秋〜冬に流行するのがノロ、乳幼児に多く脱水症で入院することもあるのがロタですね。
以下に概要を記します。
【ノロウイルス】
□ 流行時期 11〜3月
□ 疫学 乳幼児〜学童〜大人(何回も罹り、家族全滅になりやすい)
□ 感染経路 糞口感染:下痢便・吐物→ 口へ。空気感染の可能性も指摘されています。食中毒。
□ 潜伏期 1〜2日間
□ 重症度 中等症
□ 症状 嘔吐・下痢、筋肉痛・頭痛、発熱は少ない(20〜30%)
□ 治るまで 数日
□ 治療 経口補液、対症療法(抗生物質は無効)
□ 感染期間 数週間は便の中にウイルスが検出される
□ 免疫獲得 一度罹って免疫ができても半年後にはなくなってしまい、毎年罹る可能性があります。
「家族全滅」に注意!
□ 予防
・おむつ交換、トイレの後、食事前の手洗い
・貝の生食を避ける(85℃以上1分間以上の加熱が必要)
【ロタウイルス】
□ 流行時期 12〜4月
□ 疫学 乳幼児が罹りやすい
□ 感染経路 下痢便・吐物→ 口感染。空気感染の可能性?
□ 潜伏期 1〜2日間(2〜4日という記載も)
□ 重症度 比較的重症
□ 症状 嘔吐・下痢(白色調〜レモンイエロー)、発熱
□ 治るまで 1週間
□ 治療 経口補液(↓)、対症療法(抗生物質は無効)
□ 感染期間 数週間は便の中にウイルスが検出される
□ 免疫獲得 一度罹ってできた免疫は長期間有効で、乳幼児期に罹ったヒトは大人になって罹ることはまれ(罹っても軽く済みます)。
□ 予防 おむつ交換、トイレの後、食事前の手洗い
冬以外の胃腸炎では細菌(病原性大腸菌、サルモネラ、キャンピロバクタなど)が原因になることもあります。発熱や血便が特徴であり、抗生物質を用いることがあります。
なお、感染性胃腸炎は下痢が落ち着いて元気になれば登校・登園可能ですが、上の表の通り便の中にはしばらくいますので感染力はゼロではありません。トイレの後(オムツの処理後も含めて)、食事の前には十分手を洗って感染予防する必要があります。
<軽症下痢に伴う反復性けいれん>
下痢をしている乳幼児が無熱性けいれんを短時間に繰り返すことがあります。けいれんは5分以内で1日以内に複数回起こすこともまれではありません。
一般的なけいれんの治療薬は効きにくく、カルバマゼピン(商品名:テグレトール)という抗てんかん薬が有効です。
一旦落ち着けば、その後の生活の中で繰り返すことはまれであり、後遺症も残しません。
★ 嘔吐下痢の自宅療養 〜 経口補液 〜
※ 解説HP:メルクマニュアル・OS-1(大塚製薬)
嘔吐下痢の治療は「脱水予防」
残念ながらウイルス性胃腸炎に特効薬はありません。対症療法で症状を和らげ、脱水に気をつけながら落ち着くのを待つことになります。
従来は「嘔吐してグッタリすると点滴が必要」というイメージがありましたが、軽度の脱水なら次項の「経口補液」が有効であり、針を刺して泣かせる必要はありません。
「経口補液」ってなあに?
一般家庭で行われてきた水分補給を医療レベルに高めた方法です。といっても、塩分・糖分が適切な濃度に調整された経口補水液(ORS, oral rehydration solution)を少しずつ飲ませるだけ。逆に、単なる水分(湯冷まし、お茶)の補給は脱水治療とは言えません。
正式には経口補液療法(ORT, oral rehydration therapy)と呼び、点滴(静脈輸液)の一歩前の治療法に位置づけられます。点滴と比較して経口補液は安全・簡便・安価な方法ですね。
★ 経口補水療法(ORT)の歴史
ORTは当初、発展途上国におけるコレラによる乳幼児の脱水症を治療するために開発されました。1960〜1970年代に行われた研究により、ORTは点滴と同等の効果があることが証明されました。コレラに罹った子ども達の命をたくさん救ったのです。
1975年にWHOにより経口補水液の望ましい組成が発表され(WHO-ORS)、さらに2002年には組成を再調整した改訂版が発表されました。また、アメリカ小児科学会(AAP)やヨーロッパ小児栄養消化器肝臓学会(ESPGHAN)でもORTに関するガイドラインが作られています。残念ながら日本にはまだガイドラインがありません(涙)。
ORSは嘔吐下痢で失われる体液成分(水分・塩分・糖分)が吸収されやすい最適濃度で調整された飲み物です。これは「ナトリウム・ブドウ糖共輸送説〜塩分(ナトリウム)の吸収はブドウ糖の添加により促進される〜」という1950〜1960年代の基礎的な生理学の研究の成果が根拠になっています。
「経口補水液」はどこで手に入るの?
① 病院で処方・・・「ソリタ-T顆粒( T2とT3 )」
② 薬店で購入・・・「OS-1」「アクアライトORS」等
③ 自宅で作成(↓)
★ 経口補水液を自作しよう!
湯冷まし1リットルに、塩:小さじ1/2杯、砂糖:大さじ1杯を溶かす、+α(レモン汁等)
(注意)塩と砂糖の量を間違わないようにしましょう。「砂糖の方が多い」のですよ!
※ 日本の伝統的な治療食(重湯に塩を加える、みそ汁の上澄みを与えるなど)は、実は優れた経口補液法であったと近年評価されています。
※ ソリタ-T顆粒2号は梅干し様の芳香、ソリタ-T顆粒3号はサイダー様の芳香があります。飲みづらいときはカルピスなどを少し入れると飲みやすくなるようです。
スポーツドリンク、イオン飲料や他の飲みものではダメ?
市販のスポーツドリンク類は、あくまでも健康な人の喉の渇きや軽いスポーツ時の水分補給に適している飲料で、経口補水液に比べると塩分・ミネラルが少なく(WHO推奨濃度の1/2〜1/3)、糖分が多すぎて嘔吐下痢の治療には向かないとされています。水道水・清涼飲料水もナトリウム濃度が低くため、水分吸収率が悪くなります。
※生理食塩水:ナトリウム濃度がヒトの体液より高く、濃すぎてもやはり水分吸収率が低くなります。
経口補液の具体的な方法は?
嘔気・嘔吐の始まりは水分も受けつけません。数時間は様子を見て、少し落ち着くのを待ちましょう(程度が強ければ吐き気止めを使用)。
えづくのが落ち着いてきたら経口補液開始です。経口補水液をスプーンで与えましょう。一度にゴクゴク飲ませると刺激で吐いてしまいます。「口から点滴するつもり」で少量頻回に与え、徐々に増量するのがコツです。
※ もっと細かく数字で知りたい方へ・・・
□ 添付文書の記載;
「初回は約20ml投与し、嘔吐がなければ30〜60分後に20〜100ml追加し、以降数時間毎に投与」
□ 各文献より;(やりやすいと思う方法を選びましょう)
・軽度・中等度の脱水に対して、
発症4時間以内:50-100ml/kgを飲ませる
発症4時間以降:下痢や嘔吐の度に、体重10kg未満では60-120ml/回、体重10kg以上では120-240ml/回を飲ませる。
・ORSは乳児は30-50ml/kg/日、幼児:300-600ml/日、学童〜成人:500-1000ml/日を目安に飲ませる。
・ORSは下痢1回につき、体重10kg未満の小児には100ml、体重10kg以上の小児には150mlを目安に補給する。
・水様便1回につき、10ml/kgのORSを補給し、嘔吐1回につき、2ml/kgのORSを補給する。
飲ませてもまた吐いてしまうこともありますね。その時は1時間程度待って、またトライしてください。 なお、投与総量が多すぎて問題になることはまずありません。
水分がお腹に治まり吐かなくなったら固形物を再開しましょう。
経口補液の目安は数日間です。下痢が一日数回程度に減ったら終了し、好きな飲み物にかえてください。
!脱水症に注意!
嘔吐が続いて口の中が渇き、オシッコが半日近く出ていないときは脱水症が疑われ、また他の病気が隠れている可能性もあります。医師の診察を受けてください。
下痢の時、食事で気をつけることは?
従来は「下痢がひどいときは絶食」と指導されてきましたが、何日も絶食すると腸のダメージの回復が悪いことがわかり、近年は「食事は早期に再開」が世界の常識となりました。
吐き気が治まれば「好物で消化の良さそうな食事」を選んで少しずつ与えましょう。
赤ちゃんの母乳・ミルクはそのまま続けてかまいません。ただし、下痢が1週間以上長引くときは「2次性乳糖不耐症」を疑い、酵素製剤を服用したり、乳糖除去ミルクを使用することもあります。
【参考】急性胃腸炎の適切な治療を行うための7つの原則(アメリカ、CDC)
1.脱水是正には経口補水液(ORS)を使用。
2.経口補水は迅速に行う(3〜4時間以内)。
3.迅速な栄養再補給のため、脱水が是正されたらすぐに患者の年齢にあった非制限の食事を与えること。
4.授乳中の乳幼児に対しては、母乳を継続して与えること。
5.乳児用ミルクを用いている場合、薄めたミルクは推奨されず、特殊ミルクも通常は不要。
6.下痢で継続的に水分が喪失している場合、経口補水液を追加して与えること。
7.不必要な臨床検査や投薬は行わない。
嘔吐下痢の漢方療法
嘔吐下痢は漢方薬のよい適応となる病気です。
嘔気・嘔吐がつらい初期には「五苓散」が有効です。特に「水分を欲しがるけど、飲ませると吐いてしまうとき」によく効きます。水に溶かして少しずつ飲めば、吐き気が治まってくるのです。
ある小児科医は五苓散を溶いた液を浣腸のようにお尻から注入して治療するそうです。「8割の確率で嘔気が治まり、顔色が良くなって帰宅できる」と聞いています。
胃がつかえて、お腹がグルグル鳴る下痢の時は「半夏瀉心湯」がよく効きます(院長愛用薬・・・トイレから離れられるようになるのです)。
下痢が長引いて、お腹が冷えて衰弱してくるようなら、お腹を温めて回復をサポートする「人参湯」「啓脾湯」などを用います。
■ 夏風邪(プール熱、手足口病、ヘルパンギーナ)
風邪は冬の病気と考えがちですが、子どもの間では夏には夏の個性的な風邪が流行ります。インフルエンザを代表とする冬の風邪と比べると、発熱・喉の痛み・発疹が目立ち、咳があまりでないことが特徴です。
代表的な病気はヘルパンギーナ、プール熱、手足口病の3つで、犯人はすべてウイルスです。
夏影の原因となるウイルス達はお腹の腸の中で増殖し、増えきってから発熱などの症状を出すことが知られています。実は症状が消えた後もお腹の中にはしばらく居座るので、感染力がゼロになるまで数週間〜最長1ヶ月かかります。これがなかなか流行を押さえられない理由です。
各病気の特徴を概説しました。なお、典型的な症状が揃わないことがあります(原因ウイルスが1種類ではないのでバリエーションがあるのです)。
まれに重い合併症の報告もありますが、ほとんどが自然に治る一過性の軽い病気です。
下記症状と比べて熱が長く続いたり、他のつらい症状が目立つときは医師の診察を受けましょう。
ヘルパンギーナ
□ 原因:コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど
□ 感染経路:飛沫&接触感染
□ 潜伏期:2〜4日
□ 症状:
・発熱(突然の高熱2〜4日間)
・咽頭痛
・食欲低下・嘔吐
・カラダの痛み
□ 治るまで:3〜6日
□ 治療:特効薬なし(抗生物質無効)、対症療法のみ
□ 生活指導:(3疾患共通)
・水分補給:麦茶、イオン飲料などあっさりしたものを。
・喉が痛いのでのどごしの良い食べ物・飲み物を!
→ プリン、ゼリー、アイスクリーム(ほどほどに)、おじや、柔らかいうどん、豆腐、グラタン等
※ 体温より熱いもの、味の濃いもの、刺激のある味、しょっぱい・酸っぱいものはしみて痛がります。オレンジジュースなど柑橘系も嫌がります。
・入浴:高熱でぐったりしているときは避けましょう。微熱で機嫌も悪くなければ、お風呂で汗を流してすっきりするくらいはかまいません。体力を消耗するような長湯は禁物です。
□ 合併症:非常に希に髄膜炎、熱性けいれん
□ 感染対策:(3疾患共通)
トイレ・食事前後の手洗い、吐物処理・おむつ交換時の手洗い励行、タオルの区別。
さらに感染力の強いプール熱では洗濯物を家族と別にしましょう。
□ 登校・登園基準:症状がなくなるとほとんど感染力が亡くなり、元気になれば登園可能です。しかし前述の通りウイルスは便の中に約1ヶ月間居座ります。園でも感染対策を励行しましょう。
プール熱(咽頭結膜熱)
□ 原因:アデノウイルス3型他
□ 感染経路:飛沫&接触感染+めやにでうつります!
※ 「プール熱」という名前の由来はその昔、プールの水に溶け出した「めやに」で爆発的に流行した歴史があるためです。近年は公的に管理されたプールでは十分な塩素消毒がなされているのでプールの水を介した流行はみられなくなりました。あ、水道水の塩素濃度ではウイルスはやっつけられません、悪しからず。
□ 潜伏期:5〜7日
□ 症状:
・発熱(高熱が4〜5日)・・・けっこう長いです。
・咽頭痛
・結膜炎(目の充血、目やに)・
・時に嘔気・腹痛・下痢
「プール熱」≠「アデノウイルス性咽頭炎」?
プール熱の原因で一番多いのがアデノウイルス3型です。
しかし、アデノウイルス3型感染症で、典型的なプール熱(結膜充血、滲出性扁桃炎、発熱)は1/3しかありません。他は「夏風邪」と診断されていることになりますね。
結膜炎を伴うプール熱は眼脂で感染するので学校伝染病に指定されていますが、アデノウイルス感染症は学校伝染病ではありません。何かヘンですけど、法律ってこんなもん?
□ 治るまで:5〜7日
□ 治療:特効薬なし(抗生物質無効)、対症療法のみ
□ 生活指導:(ヘルパンギーナの項を参照してください)
□ 合併症:非常に希に重症肺炎、髄膜炎、脳炎
□ 感染対策:(ヘルパンギーナの項を参照してください)
□ 登校・登園基準:夏風邪の中でこのプール熱だけは別扱いです。学校伝染病に指定されており、麻疹や水痘と同じ扱い、つまり「隔離期間」が発生します。「症状消失後2日間は自宅安静」とし集団生活に戻るには医師の治癒証明が必要です。
手足口病
□ 原因:コクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71他・・・原因ウイルスは複数なので、何回も罹る可能性があります。
□ 疫学:幼児から学童期に多く、2歳以下が半数を占めます。
※ 大人は子どもの時に感染して免疫ができていることが多いので、罹りにくい傾向があります。
□ 感染経路:飛沫&接触感染・・・感染源は唾液、便、水疱内容物
□ 潜伏期:2〜7日(3〜5日)
□ 症状:
・発熱(約1/3にみられ、38℃以下の微熱が1〜3日間)・・・他の2つの夏風邪より勢いはありません
・発疹:手・足・口の中(時に膝・おしり)に直径数mmの水疱性丘疹
※ 皮疹は水痘のように治るときに痂皮(かさぶた)を作りません。
※ エンテロウイルス71が検出されたシーズンでは脳炎のリスクが増えます:頭痛・嘔吐・高熱・2日以上続く発熱などの場合には要注意です。
□ 治るまで:2〜7日
□ 治療:特効薬なし(抗生物質無効)、対症療法のみ
□ 生活指導:(ヘルパンギーナの項を参照してください)
□ 合併症:髄膜炎、小脳失調症、脳炎、心筋炎
※ 腸管で増殖したウイルスが血行性に中枢神経系(特にエンテロウイルス71)、心臓(特にコクサッキーウイルスA16)などに到達して発症します。
※ 1990年代(1997〜2001)にはアジアで中枢神経系合併症(脳炎)による死亡者が報告されました。1997年マレーシアで30例以上大阪でも3例死亡が確認され、1998年台湾で78例の死亡を確認。多くの例は、急激に進行する肺水腫をきたし、入院後24時間以内に死亡するという劇症型の経過をとりました。死亡例からはエンテロウイルス71が検出されています。このウイルスによる流行年は要注意!という認識が小児科医にはあります。
□ 感染対策:(ヘルパンギーナの項を参照してください)
□ 登校・登園基準:症状がなくなるとほとんど感染力が亡くなり、元気になれば登園可能です。しかし前述の通りウイルスは便の中に約1ヶ月間居座ります。排便後の手洗いを徹底させ、園でも感染対策を励行しましょう。
■ RSウイルス感染症(急性細気管支炎)
毎年寒い季節になると赤ちゃんがゼーゼーする風邪が流行ります。この風邪の原因で一番多いのがRSウイルスです。どんな病気なのか、まとめてみました。
□ どんな病気?
ほとんどの子どもは2歳までに少なくとも1回はRSウイルスに罹ります。
その後も繰り返し感染しますがだんだん症状は軽くなり、3歳以降では重症化はまれで、大人ではふつうの風邪として経過します。
逆に低年齢ほど症状が重い傾向があります。1歳未満ではゼーゼーする下気道炎(喘息様気管支炎、細気管支炎、肺炎)になりやすく、入院が必要になるほど重症化することもあります。
※ 特にハイリスクなのは低出生体重児、生まれつきの心臓の病気、肺の病気、免疫力が低下する病気の子どもで、主治医から予防措置(シナジスの注射)の説明があるはずです。
RSウイルスによる細気管支炎にかかった子どもはその後も風邪を引く度にゼーゼーする傾向がありますが、数年の経過で減少します。将来喘息発症の引き金になるかどうかは学会レベルでも議論中で結論は出ていません。
□ 感染径路:ヒトの気道分泌物(痰、唾液)の飛沫・直接接触
□ 疫学:
・生まれたばかりの赤ちゃんも罹る・・・お母さんからもらった免疫は無効
・みんな罹る・・・全乳児の2/3が初めての冬に罹患し、2歳までにほとんどの乳児が感染します
・何回も罹る・・・終生免疫は成立せず、何回も罹るので繰り返し流行します
□ 潜伏期間:2〜8(通常4〜6)日間
□ ウイルス排泄期間:3〜8日間(乳幼児では3〜4週間も続くことがあります)
□ 症状
<乳児期の初感染の場合>
発熱、鼻汁、咳などの上気道炎症状ではじまり、
①(70%)数日で軽快・治癒
②(30%)数日後に喘鳴、時に呼吸困難などの細気管支炎の症状を呈します
③( 3%)重症化し入院治療が必要になります
生後1ヶ月以内の乳児が感染すると「無呼吸発作」を起こすことがあります。
<年齢による症状の違い>
・細気管支炎 ・・・生後6ヶ月未満に多い
・喘鳴を伴う肺炎 ・・・3歳未満に多い
・喘鳴を伴う気管支炎 ・・・4歳未満まで見られます
・喘鳴を伴わない肺炎 ・・・5歳未満まで見られます
(院長のつぶやき)冬季に受診する咳のひどい患者さんで、聴診器で肺雑音が聞こえると気管支炎と診断して抗生物質を処方します。治る患者さんは細菌感染かマイコプラズマ、治らずに病院へ紹介する患者さんはたいていこのRSウイルスによる気管支炎です。
□ 合併症:中耳炎(頻度多い)
□ 診断:迅速診断キットあり(ただし、外来では保険適用なし)
□ 治療:
RSウイルスを退治する薬は日本にはありません(※)。咳止め、痰を切る薬、鼻汁・痰の吸引など、症状を和らげる対症療法が中心です。
呼吸困難が強く、顔色が悪い状態では入院治療が必要です(酸素吸入・人工呼吸管理など)。
※ リバビリンという薬が外国では発売されていますが効果の評価は定まっていません。
□ 予防
手洗いの励行(ヒトの手についたRSウイルスは30分間生きています)
※ パリビズマブ(商品名:シナジス)の筋肉注射:対象はハイリスク者のみです。
■ 伝染性紅斑(リンゴ病)
□ 原因:ヒトパルボウイルスB19
□ 疫学:
主に小児期に罹患し(5-15歳)、乳児や成人ではまれです。
季節的には冬から春にかけて多くみられます。
□ 感染様式:飛沫感染(気道分泌物による)
□ 潜伏期:
感染後 4〜14日(最長21日) → 発熱・倦怠感・鼻汁等。
感染後17〜18日(2〜3週間) → 伝染性紅斑や関節炎。
□ 症状:
ほっぺがりんごのように赤くなる病気です。
1〜2日後に腕、太ももにたくさんの赤い斑点が出てきてくっつく傾向があります。その後中心部から色が抜けてきて「レース編み模様」「大理石紋様」と表現されます(医学的には「網状紋理」)。皮疹は1週間くらいで消えます。約半数で軽度のかゆみを訴えます。
年長児以降では頭痛、関節痛、腹痛などが多く見られる傾向にあります。成人では発熱、関節痛(つらい)が認められインフルエンザ様になることがあります。
□ 合併症:
もともと溶血性貧血のある子ども → 著明な貧血発作、無形成発作
もともと免疫不全状態 → 持続感染となり貧血を主とする慢性骨髄機能不全となります
まれに脳炎・脳症、心筋炎
※ 妊婦さんが感染するとお腹の赤ちゃんに影響が出ることがあります(胎児感染 → 持続的な貧血→胎児水腫)。
妊婦さんは症状がはっきり出ないことが多いので、同居している子どもがリンゴ病になった場合は主治医の産婦人科医に相談してください。
□ 治療:特効薬はありません。かゆみが強いときはかゆみ止めを内服・塗布する程度です。
□ 家庭で気をつけること:
治りかけでも運動、入浴、日光、摩擦などの刺激で発疹の赤みが再度増すことがあります。
・入浴:熱い湯船・長湯は避けましょう。
・運動:体が温まり、また日光に長く当たると赤みが再度目立ち、長引くので控えめに。
□ 隔離の必要性:
感染力は、ほっぺがあかくなる1週間ほど前にみられる風邪症状の頃に強く、発疹が出た頃にはほとんど感染力はないとされています。つまり発疹が出てから隔離する必要性は少ないのです(その前にすでにうつしまくっている!)。
<参考資料>
「伝染性紅斑」「手足口病」の登校(園)停止に関する小児科学会の見解
学校伝染病第三類「その他の伝染病」の内容については明文化されたものはないが、伝染性紅斑、手足口病はこの範疇に含まれる疾病である。
学校保健法施行規則第19条(昭和57年改正)によると、これらの疾病による出席停止期間の基準は「治癒するまで。ただし、学校医その他の医師が適当と認める予防措置をした時、または病状により伝染のおそれがないと認めた時はこの限りでない」となっている。つまりこの法の趣旨は学校での伝染病の蔓延防止が目的であるので、その観点から検討すぺきと考える。
【伝染性紅斑】
伝染性紅斑ははヒトパルボウイルスBl9の感染症である。顔面の蝶型の紅斑に続いて、四肢に網目状(レース状)の紅斑の出現で診断される。通常感染後17〜18日後に発疹が出現する。ウイルスは感染後5〜10日に血清及ぴ気道分泌液中に陽性となるが、発疹出現の時ではウイルスの排泄はほとんどない。すでに発疹出現前に他への感染は拡大しており、発疹出現後の出席停止が本症の学校での蔓延防止に意味があるとは思えない。したがって発疹期にある患児を他への感染を理由にして登校(園)を停止させる必要はないと考える。
ただし、本症には合併症もみられることがあり、個々の症例の最終判断は主治医が決めることになる。以上の考えに基づいて地域の学校医(または医師会)で見解を統一しておくことが望ましい。
【手足口病】
手足口病はエンテロウイルスの感染であり、コクサッキーウイルスAl6型、エンテロウイルス71型による報告がほとんどである。コクサッキーウイルスA4、5、6、10型の報告もある。口腔内の粘膜疹(アフタ様)と手のひら、足の裏、膝、臀部の米粒大の水疱が特徴である。特記すぺきは中枢神経系合併症で、髄膜炎が主であるが、きわめてまれに弛緩性麻痺をおこす。ウイルスは口腔内、便中に排泄され、飛沫感染、経口感染をおこす。不顕性感染が多い。潜伏期間は3〜6日でウイルスの排泄期間は長く、咽頭からl一2週間、便から3〜5週間排泄される。本症の場合は、発症後のウイルス排泄期間が長く、実質的に登校停止で感染を予防することは困難である。また全体的にみて不顕性感染も多く症状も軽微のため、本症をもって他のエンテロウイルスと分けた特別の扱いは不要である。したがって本症の発疹期にある患児でも、他への感染のみを理由にして登校(園)を停止する積極的意味はないと考える。
ただし、本症には合併も見られることがあり、個々の症例の最終判断は主治医が決めることになる。以上の考えに基づいて地域の学校医(または医師会)で見解を統一しておくことが望ましい。
<日本小児感染症学会運営委員会>
(日本小児科学会雑誌第97巻:1993年:第8号から抜粋、下線は武井による)
■ 突発性発疹
□ 原因:ヒトヘルペスウイルスHHV6(&7)・・・ほとんどの児が1回罹っておしまいですが、時に2回罹りこともあります。
□ 疫学:
・生後6ヶ月〜1歳半に多く(4ヶ月〜3歳)、発症は通年性です
・2歳までにほとんどの子どもが抗体を持つようになります(つまりみんな罹るのです)
・不顕性感染率(罹っても症状が出ないこと):20〜30%
※ なぜか保育園で流行るという現象は経験したことがありません。
□ 感染様式:接触感染
感染源は患者と既感染者の唾液で、感染経路は母親などの既感染成人からの水平感染が考えられています。既感染者の唾液腺からは生涯持続的なウイルス排泄が続くと考えられています。
□ 潜伏期:5〜15日(10〜14日)(約2週間)
□ 症状:突然の高熱で始まり、高熱が3日前後続き、熱が下がると共に赤い発疹が全身に出現します。高熱の割には機嫌がそれほど悪くならないのが特徴です。また、咳・鼻水は目立たず、便が緩くなる程度です。発疹は痒くないらしく、3日程度で自然に消えます。
※ 解熱し発疹が出る頃、1〜2日すご〜くグズリます。
なぜかわかりません。以前、3歳の子が罹り、解熱した頃案の定機嫌がすごく悪かったので、治ってから「どこが痛かったの?」と聞いてみました。でも困ったような顔をして「・・・」、本人にもわからない「身の置き所がない状態」なのでしょうかねえ。
□ 診察所見:
・喉の口蓋垂(いわゆる「ノドチンコ」)の根元両側に発赤〜粟粒大の隆起を認めます(永山斑)
・大泉門膨隆を認めることがあります(本来は髄膜炎の所見)
□ 合併症:
・熱性けいれん:熱性けいれん全体に突発性発疹が占める割合は20〜30%、との報告があります。
・脳炎:
・劇症肝炎、心筋炎・・・解熱後の皮疹出現時に発症・・・まれながら解熱後にも重篤な合併症が出ることがあるのです。
・血球貪食症候群
□ 治療:対症療法(特効薬はありません)
□ 予後:軽症で済むことがほとんどです(高熱の割には機嫌はまあまあ)が、まれな脳症を合併すると後遺症が残る危険があります。
□ 予防:予防法はありません。
※ 突発性発疹ウイルスの再活性化
HHV6&7は初感染後体内に潜伏感染詩、免疫抑制状態で再活性化します。臓器移植後(腎移植、肝移植、造血幹細胞移植、心配同時移植など)2〜3週間語に発熱、発疹(GVHD様)を起こし、一般的には無治療で軽快します。
最近HHV-6脳炎が注目されていますが、成人例がほとんどで小児例は少ないと考えられています。
■ 肺炎マイコプラズマ
□ 原因:肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)という細胞壁を有さない小型桿菌(ウイルスと細菌の中間くらいの大きさ)
□ 疫学:
・成人では肺炎を起こしやすいが、幼小児期では上気道炎症状にとどまり、肺炎の描像を摂らないことが多い・・・つまり低年齢ほど軽く済む!?
※ 昔は数年周期で流行を繰り返してました。オリンピックイヤーに一致して流行したので「オリンピック病」と呼ばれたこともありました(最近は聞かないですね)。
□ 感染様式:飛沫感染
□ 潜伏期:2〜3週間
□ 症状:乾いた咳(鼻水、痰は少ない)が止まりません。熱は出ることもある程度です。
※ 「肺炎」のイメージは高熱が続き、咳が止まらなくて苦しそう・・・が一般的ですが、マイコプラズマ肺炎では高熱は珍しく寝込むことはまれです。なので、典型的ではないという意味で「非定型肺炎」と呼ばれることがあるくらいです。
※ マイコプラズマはウイルスと異なり気道の上皮細胞を大量に破壊せず、また粘液の産生を増やさないため「乾いた咳」が特徴です。
□ 合併症:
・呼吸窮迫症候群
・(肺外発症)脳炎、心筋炎
□ 治療:マクロライド系抗生物質(近年耐性化が問題になりつつあります)
□ 予後:肺炎を発症しても、基本的に3週間程度で自然治癒します
※ マイコプラズマと似ている「クラミジア感染症」
・・・クラミジアも「非定型肺炎」を起こしますが、他のウイルス、マイコプラズマと症状だけでは区別困難です。やはりマクロライド系抗生物質が有効です。特徴を挙げますと、
① 発熱が軽度である
② 受診までの期間が長い(治るかな〜と様子を見ていたけど治らないので受診)
③ 寒性咳嗽が遷延することが多い、咽頭痛が比較的強い
④ 肺炎例は2歳未満はまれで、3歳以降徐々に頻度が高くなり、学童期に舏ると成人と同程度になる。
■ オウム病
□ 原因:Chlamydophila pisttaci
□ 疫学:日本での頻度は、2002年以降は年間50例程度(うち小児例5%以下)
□ 感染様式:鳥類(オウム、インコ>ハト)の唾液や排泄物を吸引して感染する。ヒトーヒト感染はありません。
□ 潜伏期:1〜2週間
□ 症状:高熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛→乾性咳嗽〜血痰、呼吸困難
□ 合併症:髄膜炎
□ 治療:マクロライド系、テトラサイクリン系抗生物質を2〜3週間投与
□ 予後:初期治療が不適切であると髄膜炎や多臓器不全に陥り致死的な経過をたどります
■ ネコひっかき病
※ 病気の解説HP:メルクマニュアル
□ 原因:Bartonella henselae という細菌(グラム陰性小桿菌)
□ 疫学:人畜共通感染症(ネコからヒトへ伝搬)
※ 菌が発見されたのは1980年代と最近のこと。
□ 感染様式:ネコとの接触あるいはネコによる受傷(ネコに引っかかれなくても発症することがあります)
※ ネコ・イヌの口腔内、目やに、寄生ノミにもB. henselae が存在します。
□ 潜伏期:1〜3週間
□ 症状:
・有痛性のリンパ節腫大が特徴
・他に微熱、全身倦怠感、悪心・嘔吐、頭痛、食欲不振、体重減少を伴うことがあります。
★ 原因不明の発熱の原因になることがあります!
2週間以上微熱が遷延する場合は、ペット飼育歴・イヌ・ネコとの接触歴のチェックが必要です。小児では必ずしもリンパ節腫張が見られないことがあります。
□ 合併症:
実は、典型的ネコひっかき病はバルトネラ感染症の一病型に過ぎません。他にたくさんの病型が存在します(↓)
※ 非定型的ネコひっかき病:急性脳症、不明熱、多発性肝・脾肉芽腫、髄膜炎、原因不明の心内膜炎、肺炎、胸水貯留、末梢神経炎、結節性紅斑、Parinaud眼腺症候群、血小板減少性紫斑病などなど。
□ 治療:抗生物質(マクロライド系、テトラサイクリン系)が有効です。
□ 予後:抗生物質を使用しなくても6〜12週で軽快し、一般に良性の経過を辿りますが、まれに全身に波及することがあります。
(準備中)
□ 原因:
□ 疫学:
□ 感染様式:
□ 潜伏期:
□ 症状:
□ 合併症:
□ 治療:
□ 予後:

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