小児救急

小児救急

役立つホームページをリンクしました。
夜間や週末に子どもの急な病気で困ったときはご参考にどうぞ(は携帯でも利用可能)。

くすり・薬品中毒に関して。

※ 中毒110番(無料) → つくば:029-852-9999(365日、9〜21時) 
              大阪 :072-726-9923(365日、24時間)
※ タバコ専用電話(無料)→ 072-726-9922(テープによる一般市民向け情報提供)

「妊娠と薬情報センター」(国立成育医療研究センター)
「妊娠と薬」(愛知県版)

<小児救急関連記事>

 ネットで目にとまった記事をメモしました。

■ 救急搬送:1歳児最多 転落、衝突多く--東京消防庁、過去5年間(2011年11月:毎日新聞)

 東京消防庁が過去5年間に救急搬送した53万9136人のうち、1歳児が1万1665人で最多だったことが同庁の報告書で分かった。高い所から落ちたり物にぶつかってけがをしたりするケースが多く、成長に伴い動きが増えることが背景とみられる。同庁は「保護者は子供の目線で危険に注意してほしい」と呼びかけている。
 報告書は06~10年のデータを基に作成した。搬送数は1歳児を含む5歳以下の乳幼児が4万4225人で1割近かった。
 歯磨き中にけがをする乳幼児も目立ち、217人が搬送された。歯磨きをしながら▽動き回って転ぶ(130人)▽人や物にぶつかる(23人)▽踏み台などから転落(11人)--といった状況が目立つ。歯ブラシが刺さり、口の中を切るけがにもつながっているという。このうち1歳児は107人に上り、消防庁防災安全課の佐藤隆志さんは「自分で歯磨きをするようになる時期だが、子供は危険への意識が弱いため十分な介助をしてほしい」と話す。
 電車の戸袋にはさまれてけがをする事故も子供が多い。搬送数510人のうち乳幼児が139人で3割近くを占めた。腕や足が細いため引き込まれやすく、保護者が子供を抱いていても起きることがある。
 また、月別の搬送件数は12月が最多で5万1348人だった。忘年会などで飲酒する機会が増えることが背景と考えられる。
 報告書は東京消防庁のサイトで公開している。けがをしやすい状況や年齢別の傾向を分析し、日常生活での注意点を紹介している。

■ 子どもの急病(2010年12月:読売新聞ー医療大全ー)

(1)娘が熱性けいれん 動転

 記者の娘、紀代香(5)が最初に熱性けいれんを起こしたのは1歳半のある夜のことだった。突然、白目をむいて、両手が硬直し、口から泡をふく。唇はみるみる紫色に変色した。私は突然、ぐらっと地面が揺れたような感覚に襲われた。「死んじゃう!」。1分くらいだったと思うが、動転し、何もできなかった。
 ほとんどの熱性けいれんは一度きりで済むのだが、娘の場合はその後も数か月に1度、けいれんを起こした。2回目以降は、ゆるやかに手足を震わせるもので、何分も止まらない。医師は「5分以上続いたら救急車を呼んで」と言ってくれ、けいれんを予防する座薬「ダイアップ(一般名ジアゼパム)」を処方された。
 熱性けいれんは、高熱になる直前に起きるので、体温が37度5分になったらダイアップを1回入れ、8時間後に38度以上あれば2回目を使う――のだという。
 ところが、少し体調が崩れただけで、体温は37度5分に上がった。便秘や厚着など、明らかに病気ではない、と思うことも多かった。悩んだ末にけいれん後に入れることに勝手に決めた。
 救急車も悩みの種だった。到着時に発作が収まっていることも多く、気恥ずかしい。だが、タクシーを使うと車中が不安だった。
 結局、何度か病院に駆け込んだが、着いた時には止まっており、何もせず経過をみるだけだった。
 連載を機に、熱性けいれんに詳しい京都第二赤十字病院(京都市)小児科副部長の長村敏生さんに聞いた。
 長村さんによると、ダイアップは完全に吸収されるまで15分程度かかるので、使うなら、けいれんが起きる前に使う。体温が高めなら、「平熱より1度高い時」でよい。ほとんどのけいれんは発熱後数時間以内に起きるが、2回使えば24時間は効果が続く。薬を使ってもけいれんが起きることはあるが、使わない時に比べ、発作は軽くて済む。
 「お母さんは心配でしょうが、30分から1時間程度続かないと脳への影響はありません。ただ、万一のことを考えて、5分以上続いたら、救急車は遠慮なく呼んで」と長村さん。けいれん後、意識が戻らない時も救急車を呼ぶ。それ以外でも心配なら、自家用車などで病院へ行って良い。
 丁寧な説明に、長年の疑問は氷解した。子育てをしていて、親は、病院でなかなか細かいことを聞けないと痛感している。子どもの身近な病気や事故についてリポートする。(館林牧子)

 【熱性けいれん】 高熱に対する脳の生理的な反応で、乳幼児の6~8%程度に起きる。約3分の1程度は再発するとされる。

(2010年12月6日 読売新聞)

情報プラス

熱性けいれん以外のけいれん
 京都第二赤十字病院小児科の長村敏生副部長によると、乳幼児のけいれんの7~8割は熱性けいれんだが、そのほかにもてんかん、急性脳炎・脳症、髄膜炎、軽症胃腸炎関連けいれんなど、様々な原因でけいれんは起きる。
 てんかんの場合は、通常は熱がない時にけいれんが起きるが、高熱や睡眠不足、抗てんかん薬の飲み忘れなどで誘発されてけいれんが起きることもある。子どものてんかんは、抗てんかん薬を3~4年以上服用する必要があるが、7~8割は薬で治る
 急性脳炎・脳症、髄膜炎でも、熱とともにけいれんが起きることがある。多くは、感染症が原因で、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、はしかやインフルエンザ、おたふくかぜなど感染症の予防接種を受けておくことで、発症の可能性を減らすことができる。
 軽症胃腸炎関連けいれんは、生後6か月から3歳の乳幼児がロタウイルスやノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎にかかった時に起き、5分以内のけいれんを短期間に繰り返す。熱がない時に起こることが多いが、熱があって起きる場合もある。胃腸炎が治ると、けいれんも止まる。

けいれんが起きたら
1.熱、光、音など刺激の少ない場所に子どもを移動させ、あおむけに寝かせて、タオルなどを丸めて首の下に入れます。
2.けいれん中に吐いたり、つばを誤嚥したりすることがあるので、窒息しないようにあおむけの姿勢で顔を横に向けるか、左側が下になるように横向きに寝かせます。
3.衣服を緩め、楽にします。
4.けいれん中に転落したり、周囲の物にぶつかったりしないような場所に寝かせます。けがの原因になるような家具や置物は遠ざけておきます。
5.けいれん中に口の中に指やスプーンなどの物を入れるのは危険。ただし、食事中にけいれんが起きた場合は取り出せる範囲内で取りだします。
6.5分以上続いたら救急車を呼びます。
7.携帯電話やビデオがあれば、けいれんの様子を動画で記録しておきます。

(京都第二赤十字病院 長村敏生副部長による)

(2)症状の度合い 親も判断

 11月の土曜日のある夜、千葉県浦安市の順天堂大浦安病院で、小児科医の小松充孝さん(34)は、子どもたちの診察に追われていた。ぜんそくや胃腸炎の子どもを連れた親たちが救急外来に駆け込んで来る。
 同市とその周辺の人口約160万人の地域で、年中無休で開いている小児科病院はここだけ。一晩に救急外来に来る子どもは、休日で15~20人、平日で10人程度いる。2人の当直医は、小児科病棟や新生児集中治療室(NICU)に入院中の患者も診る。
 小児救急の危機が叫ばれて久しい。夜間や休日に救急外来を受診する子どもの9割が軽症患者、といったデータが取り上げられ「コンビニ受診」が社会問題になった。最近、報道されることは少なくなったが、同大教授で日本小児救急医学会理事長の山田至康さんは「夜の受診状況は、今も変わっていない」と話す。
 山田さんたちが全国の小児救急病院に行った調査では、「待たなくていいから夜に来た」など、明らかに時間外に来る必要がない患者は2~3%程度しかおらず、残りの大部分は急な発熱や腹痛などの症状があった。「病気になったらすぐに受診」ではなく、「少し待てそうなら翌日に受診」という意識に変わらない限り、夜の子どもの急患は減らないのだ。
 そこで、山田さんが勧めるのが病院に行く前に親が子どもの重症度を判断する「ホームトリアージ」だ。
 救急外来を受診する理由の7~8割が「発熱」だが、38度以上の熱があっても、元気そうなら翌日の受診でよい。途中でぐったりしたと思ってからの受診でも十分間に合う。ただし、3か月未満の乳児は別。高熱が出たらすぐに病院へ行く。
 熱が出て、時に命にかかわるのが、細菌性髄膜炎だ。これを予防するヒブ(インフルエンザ菌b型)ワクチンと、小児用の肺炎球菌ワクチンは必ず打っておく。
 元気かどうかは、顔つき、目つき、言葉がちゃんと話せているか、赤ちゃんだったらあやすと笑うか、などで判断できる。呼吸がいつもより速くないか、ぜえぜえ言っていないか、皮膚の色がいつもと同じか、唇が紫色になっていないかどうかも観察する。発熱以外の症状でも、これで重症度が判断できるという。
 不安な場合は、インターネットや夜間の電話相談も活用できる(表)。「いつもと違う、と気づくには、日頃からお子さんの元気な姿を見ておくことが大切です」と山田さんは話す。

 【子どもの重症度を判断するのに使えるサイト、電話相談】
  「こどもの救急」 http://kodomo-qq.jp/
  小児救急電話相談 #8000(都道府県によって時間帯に違いあり)
  東京消防庁救急相談センター #7119(東京都、一部地域を除く)

(2010年12月7日 読売新聞)

(3)講座で知識、適切な受診

 「ほら、頭のてっぺんが柔らかくなっているでしょう?」
 東京都杉並区の「ひだまりサロン」で、小児科医の佐山圭子さんが、赤ちゃんの頭を優しくなでた。
 「ここは大泉門というんです。赤ちゃんに熱があって、吐いていて、ここがパーンと腫れていたら、髄膜炎かもしれないので、すぐに病院へ行ってください。小児科医はこうやって具合をみるんですよ」。車座に座った赤ちゃん連れの母親たちが大きくうなずいた。
 「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会(阿真京子代表)が11月下旬に開いた講座の一コマだ。
 阿真さんは、長男のけいれんが止まらず、救急外来に駆け込んだ時、夜中の病院に子どもたちがあふれかえっていることに驚いた。「自分も含め、親が子どもの病気と看護法を知れば、もっと適切な受診ができるのではないか」と考え、3年前、会を設立した。
 佐山さんは、会の協力医の一人。3人の子の母でもあり、母親仲間とつきあううち、「母親たちは小児科医に聞きたいことを十分聞けていない」と気がついた。阿真さんと意気投合し、積極的に会の講師役を買って出るようになった。
 発熱のほか、子どもに出やすい症状が下痢や腹痛だ。下痢の時は、うんちの色、におい、回数を観察し、脱水症状にならないようにこまめに水分を取る。吐いた後、下痢が続けば胃腸炎の可能性がある。基本的に翌日の昼間の受診で良いが、月齢の低い赤ちゃんの場合や、おしっこが出にくい、ぐったりしている、などの場合は病院へ行く。
 乳幼児の腹痛で注意しなければならないのは「腸重積」だ。腸の一部が周辺の腸管の中に潜り込んでしまう病気で、小腸と大腸の間で起きることが多い。数分から数十分おきに痛み、激しく泣く。その後、イチゴジャムのような赤い血便が出る。早めに対応すれば回復するが、時間がたつと腸が壊死して、その部分を手術で切り取らなければならなくなる。
 佐山さんは、「間隔を開けて、お母さんが普通じゃない、と感じる泣き方を繰り返す時は、血便が出る前に、腸重積を疑ってすぐに救急外来を受診してください」と話す。これまでに会の講座に参加した後、子どもが腸重積になり、母親の判断ですばやく医療機関を受診できた例もあった。
 会の会員は全国に約70人。約30人の協力医がいる。講座の開催は首都圏が中心だが、地方にも広がりつつある。阿真さんは、「しっかりとした知識を身につけることで、子育ての不安も減らせる」と話す。

 「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会 ホームページ http://shirouiryo.com/index.html

(2010年12月8日 読売新聞)

(4)溺水 直ちに人工呼吸

 京都市の女性(42)は、10年前の出来事が忘れられない。
 まだ暑い9月の休日、お風呂場で1歳7か月の娘が夫と遊んでいた。次の子どもの妊娠中で、つわりがひどく、居間で横になっていた。開いた風呂場のドアから機嫌良く遊ぶ娘の声が響いていた。
 居間に夫が何かを取りに来た。女性は風呂場が急に静かになったことにふと気づいた。「声が聞こえないよ?」。見に行ってもらうと、夫の叫び声が聞こえた。駆けつけると20センチもないほどの浴槽の残り湯につかって、娘が倒れていた。顔は真っ青、息もしていない。
 お湯の量が少なかったので、一瞬、溺れたとは思わず、女性は無意識に子どもの背中をばんばんとたたいた。その時、整形外科医でもある夫が、娘を引き取り、口から息を吹き込む人工呼吸を始めた。
 数回したところで、口からぽろんと水が出て、ごほごほと息を吹き返した。救急車で京都第二赤十字病院に運ばれ、点滴や酸素吸入などの治療を受けた。娘はその後の検査でも異常はなく、元気に成長したが、「しばらくは後遺症が残るかと心配でした」と振り返る。
 1~14歳の子どもの死因で最も多いのは実は病気ではなく「不慮の事故」。なかでも溺水は交通事故に次いで多い。しかも、2歳未満の溺水の約8割は自宅の浴槽で起きている。
 子どもの事故防止を研究する京都第二赤十字病院小児科副部長の長村敏生さんは「浴槽に深さ数センチの水があれば、溺水は起こり得る。小さな子どもをお風呂場で一人にさせないで」と話す。
 トイレも危険だ。便器を流れる水に興味をそそられ、中をのぞき込んでいるうちに頭をつっこんで溺れることもあるという。
 溺れて意識がなくなったら、この夫のように直ちに人工呼吸を開始する。
 平らで固い場所にあおむけに寝かせ、あごを指先で軽く持ち上げる。息をしていなければ、1歳以上の幼児の場合、子どもの鼻をつまみ、口をつけて、ゆっくり息を吹き込む。まず、2回行い、場合によってはさらに2~3回続ける。溺れると、神経反射でのどの奥が閉まってしまうので、息を吹き込んで開通させるためだ。
 続いて心臓マッサージ(胸骨圧迫)を行う。片手または両手を子どもの胸の中央に当て、30回押す。
 その後、人工呼吸2回と心臓マッサージ30回を交互に2分間繰り返す。救急車を呼ぶ前にこの処置をしておく。
 長村さんは「直ちに人工呼吸をするかどうかが子どもの運命を左右する。必要だと思ったらすぐに始めて」と話している。

(2010年12月9日 読売新聞)

(5)ドクターヘリが機動力

 今年2月。茨城県の横田将大君(2)は、母親の実家の前で車にひかれた。ぐったりして、顔は真っ青。祖父母があわてて車でかかりつけの小児科医院へ運ぶと、医師はほかの患者の診察を中断して、救急車に同乗し、約20キロ・メートル離れた県内の救急病院へ運んだ。一晩、治療をしたものの、血圧が低下し、命に危険があった。翌朝、救急病院の医師は千葉県印西市の日本医大千葉北総病院にドクターヘリの出動を要請した。
 午前10時。将大君は日本医大千葉北総病院へ到着と同時に、開腹手術を受けた。肝臓がぱっくりと裂け、出血していた。普通に縫合しては間に合わない。布で患部を圧迫する緊急止血を行い、腹部を閉じた。
 だが、その後も血圧は不安定。肺も傷ついて呼吸もうまくできない。「小児専門の集中治療を受ければ何とかなるかもしれません」。手術後、執刀医は両親に説明。再びドクターヘリで、小児集中治療室(PICU)のある、東京都世田谷区の国立成育医療研究センター病院に運んだ。
 PICUの医師たちは、人工呼吸器、輸血、点滴、経腸栄養、胸にたまった血を取り除く管などを次々と装着。翌日、日本医大千葉北総病院の医師が駆けつけ、共同で止血した布を取る手術をした。手術後再びPICUに戻り、医師、看護師が24時間付きっきりで呼吸や血圧などを細かく調整した。9日後、ようやく安定し、ヘリで日本医大千葉北総病院に戻った。
 事故から1か月後、将大君は退院した。今のところ後遺症もなく、以前と同じ生活を送っている。「先生方の連携が、どこか一つでもとれていなかったら、助からなかった」と父親(45)は振り返る。
 日本医大千葉北総病院は2004年から、国立成育医療研究センターと提携し、子どもの重症患者は、救命治療後にドクターヘリで搬送する。以前の死亡率は、全国の救命救急センターと同程度だったが、それが大幅に減った。同大千葉北総病院救命救急センター助教の八木貴典さんは「子どもの救命率を上げるには小児専門の集中治療が必要だと思う」と話す。
 だが、こうした機動的な治療は、全国どこでも受けられるわけではない。日本のPICUは全国22病院に196床あるが、欧米に比べて少なく、必要とされる数の3割程度でしかない。国は昨年から整備を進めているものの、子どもの救急重症患者の多くはPICUのない病院で死亡しているのが実情だ。国立成育医療研究センター病院集中治療科医長の中川聡さんは「PICUを増やすだけでなく、ヘリの活用も含め、子どもの重症患者をPICUに集める診療体制作りも急務だ」と話している。

(2010年12月10日 読売新聞)

<AED関連記事>

 徐々に普及してきたAED。関連記事を拾い読み。

<参考になるHP>

◇ 「自動体外式除細動器(AED)の適切な管理等の実施について」(厚生労働省、2009年)

AEDノ点検.pdf

AED設置場所検索(財団法人日本救急医療財団)
◇ 「救急蘇生法の指針 2010(市民用・解説編)」(監修:日本救急医療財団心肺蘇生法委員会)

◇ AEDを知っていますか?(財団法人:日本心臓財団)
あなたにも救える突然死〜AEDについて〜(フクダ電子)
AEDライフ(日本光電)
AEDレンタルサービス(ALSOK)
セコムAEDパッケージサービス(セコム)
AEDレンタル(サンワ)
AED(日本メドトロニック)
自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator, AED)(ウィキペディア)

□ AEDの周知進める「集う蘇生の心」(2011年12月1日 読売新聞)

組織と活動

 心臓に電気ショックを与えて正常な拍動を取り戻すAED(自動体外式除細動器)。全国に30万台以上設置されているが、人が倒れた現場に居合わせた人に救命への思いと知識がなければ、救える命も救えない。そうした「蘇生の心」を広めようと、2008年1月、救急医療に携わる医師や看護師、救急救命士らが設立した。
 ホームページ(HP)では、AEDで救われた人や、救命に携わった人たちへのインタビューを動画で公開。会代表で、近畿大教授の平出敦さんは「人が突然倒れた時、救急隊を待っていたら遅すぎる。居合わせた人がチームとなり、救命にあたる。そんな文化が培われる一助になれば」と話す。

<問い合わせ>
 HP「集う蘇生の心」 HPの専用フォームからメールを送ることができる。

□ AED、普及広がる…点検・消耗品交換が不可欠(2011年2月17日 読売新聞)

 栃木県内でAED(自動体外式除細動器)の設置が急速に進んでいる。県や市町の施設には約1500台が設置され、2007年4月(328台)から3年で約4・7倍に増えている。
 しかし、設置から5~6年たちバッテリーなどの消耗品の交換時期が来ている機器も多い。点検を怠ると緊急時に使用できないおそれもあり、使用方法や効果の周知活動と並行して、県や国は設置者に定期点検や消耗品の交換を呼びかけている。
 県医事厚生課によると、県内では公共施設だけでも県、市町合わせて1535台のAEDが設置されている(10年4月1日現在)。小中学校や高校、保育園などの教育関連施設が4割を占め、そのほかスポーツ施設や公民館、福祉施設などが目立つ。また、公共施設以外でも大型商業施設や医院などにも設置されている。
 日光市は1月から、コンビニ店「セーブオン」の足尾、日光東照宮前、鬼怒川滝の3店舗にAEDを設置している。24時間営業の店舗に設置することで夜間の救急医療体制を充実させる狙いで、自治体が商業施設にAEDを設置するのは珍しいという。
 厚生労働省安全使用推進室によると、AEDは本体の日常点検と、バッテリーや電極パッドの定期点検や交換が必要。一度も使用していなくてもバッテリーは2~4年で消耗し、電極パッドも1~2年で粘着面が乾燥するなどして正常に動かなくなるおそれがある。
 バッテリーや電極パッドの消耗品は、メーカーが交換時期を記載した表示ラベルを貼り付けている。また、AED本体は不具合があればランプなど(インジケーター)で表示するため、日常から目視での確認が必要だという。
 県医事厚生課によると、県内では緊急時に故障などで使用できなかった例は報告されていないが、大阪市消防局で昨年4月、救急隊員が使用したAEDが故障で作動せず、心肺停止状態の男性が死亡する事案もあった。
 同省は09年4月に各自治体に対し「点検担当者」を設置、適切な日常点検を行うよう通知し、昨年4月にも改めて通知を出している。
 同課は、「日常的に点検していないと、緊急時に使用できないおそれもある。県内の施設でも最初に設置してから年数がたっているため、設置している施設は改めて点検してもらいたい」と呼びかけている。

AED(自動体外式除細動器)
 心筋梗塞などで全身に血液を送り出す心臓の心室が不規則に細かく震える「心室細動」を、心臓に電気ショックを与えることで取り除く装置。本体とシート状の電極パッドからなる。本体から流れる音声に従ってパッドを患者の胸に張り付けると、装置が自動的に心電図を解析、心室細動発生時のみ、電気が流れる。04年から一般の使用が可能となり全国的に普及した。

□ AED「定期点検を」バッテリー寿命2~5年…埼玉(2011年10月16日 読売新聞)

急増8751台、県呼びかけ

 埼玉県内で自動体外式除細動器(AED)の設置が進んでいるが、点検や消耗品の交換が課題となっている。
 今年3月末時点で設置は8751台に達し、5年間で10倍近くに増えたが、バッテリーは2~5年で交換時期を迎える。万一の際に使用不能とならないよう、県は使用方法や設置場所の周知だけでなく、定期点検をするよう各設置施設に呼びかけている。
 県薬務課によると、AEDは3月末時点で、大型商業施設や病院など民間施設に4620台、学校や役所、スポーツ施設など公共施設に4131台が設置されている。2006年3月末時点の民間施設489台、公共施設391台から大幅に増えている。
 一方、AEDは使用しなくてもバッテリーが消耗するといい、電極パッドも2年近くで粘着面が乾燥し、正常に作動しなくなる可能性があるという。
 メーカーなどが交換時期を記載しているが、目視による装置の確認も必要という。大阪市では昨年4月、救急隊が使用したAEDが故障で作動せず、心肺停止状態の男性が死亡する事例があった。同課は「少なくとも1か月に1度点検してほしい」と施設や各市町村に呼びかけるとともに、「日常点検」を担当する管理責任者の配置を求めている。
 ただ、バッテリー交換には3万~7万円、電極パッドも1万~2万円の負担が必要といい、民間などに対する交換費用の支援の必要性もありそうだ。
 県の把握によると、今年3月末までの過去5年の県内AED使用例は75件。07年6月にさいたま市の小学校で水泳の授業中、児童が心肺停止状態となったが、教諭がAEDを使った救命措置で意識を回復した例がある。
 県内では年間約7万人が救命講習会を受講し、県は携帯電話サイトやパソコンから地図上で、設置場所などが確認できる「設置情報提供システム」でAEDの設置施設などを周知しているが、同課は「救命講習も新たな内容が加わる。一度ではなく定期的に受講し、万一の場面に備えてほしい」と協力を求める。

自動体外式除細動器(AED)
 心臓に電気ショックを与え、心室細動を取り除く装置。2004年に一般人の使用が認められるようになった。総務省消防庁(2007年集計)によると、心肺停止状態の人に対し、一般市民がAEDを使った場合、1か月後の生存率は42・5%で、使用しなかった場合の9・7%に比べ、4倍以上も救命効果が高かった。

学校のAED使われず さいたま・駅伝練習中の小6女児死亡(2011.10.14:朝日新聞)

 さいたま市北区の市立日進小学校で9月、千メートル走の練習中に6年生女児(当時11)が倒れて死亡した事故で、救急隊の確認時は心肺停止状態に陥っていたのに、同校が備え付けの自動体外式除細動器(AED)を使っていなかったことが、関係者への取材で分かった。
 市教育委員会や同校の説明によると、女児は9月29日、駅伝大会の選手選考を兼ねた練習に参加。持病はなく、事前に体調不良も訴えずに走り終え、15メートルほど歩いてから倒れ込んだ。午後4時5分ごろで、意識はもうろうとしていた。
 学校側は、女児を担架で保健室に運んだ後の同8分に119番通報し、救急車を要請。女児は大きく息を吸う動作はしたが、声を掛けても反応がなく、指先は冷たかったという。
 市消防局によると、到着した救急隊員が同15分に確認したところ、心肺停止状態だった。人工呼吸や胸の圧迫などの心肺蘇生処置はされておらず、瞳孔も開いていた。重篤だったため認定救急救命士が追加派遣された。薬剤を投与しつつ、女児を市内の病院に搬送したが、翌30日に死亡した。死因は分かっていない。
 備え付けのAEDを使わなかった理由について、学校側は「自発呼吸と脈があったため」と説明する。
 しかし、救命救急に携わる関係者からは、この判断を疑問視する指摘もある。
 日本救急医学会員の鈴木崇儀歯科医師=愛知県岡崎市=によると、「自発呼吸」は「あえぎ呼吸」だった可能性がある。呼吸の中枢機能が失われ、口を開けて努力するように呼吸する状態を指し、すぐに心肺蘇生処置が必要となる。
 しかし、専門の訓練を受けていなければ判断しにくく、そもそも動転した現場で脈や呼吸の状態を判断するのは難しいという。
 それだけに、鈴木氏は「迷ったらAEDを使った方が良い。自動的に心臓の動きを解析し、必要なら電気ショックを与えることができる」と指摘する。
 遺族の意向で、遺体は解剖されず、火葬された。両親は「同じような死亡事故は、二度と起きてほしくない。教育委員会と学校は、事故を検証し、事実を明らかにしてほしい」と話す。市教委は、専門家を交えた事故の検証委員会を立ち上げることを検討している。(四登敬)

再発防止へ専門家らと検証 さいたま・小6女子死亡事故(2011.10.30:朝日新聞)

 さいたま市北区の市立日進小学校で9月末、6年生の女児(当時11)が長距離走後に死亡した事故で、市教委は外部の専門家らによる事故の検証を進めている。専門家は「自発呼吸と脈」の判断は、現状では一般人には困難だと指摘。同校は再発防止策に乗り出した。
 同校によると、女児は9月29日午後、駅伝の練習で千メートルを走り終え、歩いてから倒れ、約3分後に教諭が119番通報をした。
 同校が18日開いた説明会の出席者によると、教諭2人は倒れた女児がけいれんしているのを見たが、直後に救護にあたった別の教諭らに、けいれんした状態を伝えなかったという。
 同校は、別の教諭らが女児に「自発呼吸と脈」があると判断したことから、自動体外式除細動器(AED)を女児に使わなかったと説明している。
 市消防局によると、救急隊員の到着時に女児は心肺停止状態で、それまでに胸骨圧迫や人工呼吸の処置も実行されていなかった。女児は翌30日に死亡した。
 また、同校は、AEDが心臓の状態を解析し、電気ショックが必要かどうか判断する機能があることは、「今回のことで知った」と話しているという。

◆児童の活動時に携帯電話所持へ

 同校は再発防止策で、児童に異変があった場合の速やかな対応を重視する。児童の健康状態を注意深く観察するよう教職員に促し、児童の活動時に常時、付き添いの教職員が携帯電話を所持すると決めた。月に1回、AEDの使い方研修を実施し、応急処置も学ぶ方針という。
 市教委が立ち上げた事故の検証委員会は25日、初の会合を開いた。委員は救命救急に携わる医師や保護者の代表ら7人。委員長になった小児科医の峯真人氏によると、女児の事故を検証し、今後の安全対策も検討する方針だ。
 峯氏は「どうしたら、(事故は)防げたのか、こういうお子さんが出るのを防げるのか、徹底して議論したい」と語った。(四登敬)

◆胸骨圧迫する勇気を 専門家がアドバイス

 女児は救急隊の到着前に大きく息を吸う動作もしたとされ、自発呼吸ではなく、呼吸の中枢機能が失われた「あえぎ呼吸」(死戦期呼吸)をしていた可能性が指摘されている。
 帝京大学医学部付属病院救命救急センター長の坂本哲也教授は「死戦期呼吸は、一般の人にはなじみがない。いかに教えるかは世界的な課題になっている」「脈の判断は医療従事者でもかなりの確率で誤る」と、いずれの判断も困難だと指摘する。
 その上で坂本教授は「胸骨を圧迫して血液を送り出す方が救命率は上がる。呼吸が普通でなければ、AEDや救急隊が到着するまでの間、胸骨圧迫をする勇気を持ってほしい」と優先課題を挙げた。
 日進小の教職員約40人は6月17日、市消防局による救急救護の講習を受けた。同局によると、講習ではAEDの使い方を学んだほか、胸骨圧迫などの心肺蘇生法の実技もあったという。
 講習のテキストは、救護の際に「正常な呼吸」の有無の確認を求める一方、脈の有無の判断は求めていない。

AEDがあれば、サッカー元日本代表の松田直樹選手は助かった?(2011年8月30日 読売新聞)

素早い処置で、心臓の動きが戻った可能性も

 急性の心筋梗塞が発症すると、心臓がけいれんを起こす「心室細動」に陥った末、心臓機能が止まることが一般的です。
 AED(自動体外式除細動器)は、心室細動の状態の時、強力な電流を流して心臓を刺激することで、心拍を正常な状態に戻す装置です。
 このような場合、一分一秒を争う時間との勝負です。例えば、倒れて1分後にAEDを使用すれば、9割が救命されますが、9分後には、わずか1割しか助かりません。1分遅れるごとに救命率が1割ずつ下がってしまいます。
 AEDは駅やホテル、学校、役所、公共施設などに広がっており、全国に27万台設置されているそうです。しかし、松田選手が練習していた市営運動場には、あいにくAEDが設置されておらず、救急車が到着したときには時間が経過していました。
 松田選手のケースに限らず、スポーツの現場は、突然の心不全を起こす恐れが高いので、さらなるAEDの普及が望まれます。そして、一般の人の協力が欠かせません。
 AEDの使用方法は、装置の音声指示に従えばよく、一般の人でも容易に操作できます。消防署が地域や学校、職場で講習会を開催していますので、ぜひ一度参加してみてください。(編集委員  前野一雄)

質問なるほドリ:AEDはどのくらい広まっているの?=回答・榊真理子

(2011.8.16:毎日新聞)

 ◆AEDはどのくらい広まっているの?
 ◇駅や空港に30万台超 心臓突然死は年6万人、普及課題

 なるほドリ サッカーの元日本代表の松田直樹選手が心筋梗塞(こうそく)で亡くなったね。「AED」という器械があれば助かったかも……と聞いたけど、どれぐらい広まっているのかな?

 記者 AEDは、正式名称を自動体外式除細動器といって、強い電流を流して心臓にショックを与え心臓の状態を正常に戻す器械です。もとは医師しか使えませんでしたが、04年7月から誰でも使えるようになりました。厚生労働省によると、当時は全国で7151台でしたが、09年には27万2020台に。今は30万台を超えていると言われています。

 Q どんなところに多いの?

 A 駅や空港、スポーツ施設などでよく見ます。JR東日本は06年度中に新幹線全48駅(当時)に、東京メトロは08年に全170駅(同)に置いています。Jリーグは04年から試合会場と練習場に設置を義務づけ、大相撲も全部屋に置いています。ルートインホテルズ(242店舗)やコナミスポーツクラブ(205施設)など傘下のすべての施設に置いている企業もあります。

 Q 実際にはどれぐらい使われているのかな?

 A 消防庁のまとめでは09年、心臓が原因で心肺機能が停止した瞬間を一般の人が目撃した症例が2万1112件ありました。このうち、一般市民がAEDを使ったケースが583件で、1カ月後の生存率は44・3%でした。AEDが使われなかったり、使ったものの器械が「必要なし」と判断して作動しなかったのは2万529件で、生存率は10・5%でした。

 Q やっぱり役に立つんだ。これからも広まるといいね。

 A AEDに詳しい京都大学健康科学センターの石見拓さんは「日本におけるAEDの普及は、販売台数で1位の米国とほぼ並んでいます」と話しています。しかし心臓突然死では年間6万人が亡くなっていて、普及はまだ不十分です。

 AEDは音声で指示してくれるので、初めての人でも使えますが、混乱した状況で行動するのは難しいものです。「学校教育や講習会などトレーニングとセットで普及させていくことが大切」(石見さん)といえそうです。(生活報道部)

【秋田】 救急搬送中にAEDが使えず コードが劣化(2011.8.14:朝日新聞)

 角館消防署が心肺停止状態の仙北市の30代男性を救急搬送中に自動体外式除細動器(AED)を使用した際、電極パッドにつながるコードが劣化したため電源が通じず使えなかったことが分かった。男性は病院搬送中、間もなく死亡した。
 大曲仙北広域消防本部によると、6月8日早朝、男性は不調を訴え市立角館総合病院に運ばれた。担当医が高度な医療が必要と判断し、秋田赤十字病院へ転院するために出発した9分後、心肺停止状態になった。医師が心肺蘇生を施しAEDを使おうとしたが、電源が通じず、電極パッドを交換したところ、1回は処置ができたが2回目以降はできなかった。担当医の判断で角館病院に男性は戻されたが、2時間後に死亡した。
 消防本部によると、コードの使用期限が2年だということを知らず、購入から7年間使い続けていた。メーカーへの点検は2006年に1回、昨年2回しており、不具合は今までなかったという。消防本部が救急活動の事後検証や救命士らの再教育をする県メディカルコントロール協議会に調査してもらったところ、AEDの不作動と死亡との因果関係は不明という。伊藤和美・消防本部消防長は「職員が説明書の内容を理解していなかったことは問題だ。住民の信頼を損ねてしまい、申し訳ない。再発防止に取り組みたい」と話した。

□ 救急隊のAEDに不具合、突然作動せず(2011年7月6日 読売新聞)

 東京消防庁は5日、心肺停止状態の男性に4日午後、自動体外式除細動器(AED)を使用したところ、途中で不具合が生じ、使えなくなるトラブルがあったと発表した。
 男性は搬送先の病院で死亡が確認されたが、病院側からは「男性の状態から、AEDが正常に作動しても、救命は困難だった」と説明があったという。同庁はAEDの輸入元に原因究明を求めている。
 同庁によると、4日午後0時45分頃、70歳代の男性が目黒区内で倒れたと119番があり、救急隊員が駆け付けたところ、心肺停止状態だったため、AEDを使用した。1度目は正常に作動したが、約10分後に再び使おうとすると、電源が切れ、バッテリーを交換しても動かなかったという。
 このAEDは米国製で、医療機器輸入販売会社「日本メドトロニック」(東京都港区)が2005年に納入した35台のうちの1台。同庁が4日朝に行った点検では異常はなかったという。