薬に関するQ&A

くすりに関するQ&A集

(初掲載:2011年1月)

 病院・医院で処方される子どものくすりに関する素朴な疑問にお答えします。

Q. 乳幼児に薬を飲ませるコツを教えてください。

赤ちゃんの場合

人工栄養(粉ミルク)児:哺乳直前に20ml程度の湯冷ましに溶いてほ乳瓶の乳首部分に入れて飲ませ、飲みきった後にミルク本体を与えましょう。
母乳栄養児:粉薬は小さい器か手のひらにとり、少量の水分を加えてペースト状とし、これをお母さんの人差し指に付け、赤ちゃんの口の中(ほっぺの内側・上顎の奥の方)に塗りつけ、直後に母乳を飲ませましょう。舌の上に乗せると嫌がって吐き出しがちです。
 シロップの場合は、スポイトで少しずつ流し込んで飲ませましょう。

幼児の場合

・粉薬はスプーンに乗せてパクリと食べさせ、水を飲ませます(基本はジュースではなく水)。
ストローを使用:薬の味が口に広がりません。
・味をごまかす方法:次項の「苦い薬を飲ませるコツ」を参照。ただし、主食(ミルクなど)に混ぜるのはタブーです。嫌いになったら困りますので。
・「飲めなくても起こらない、飲めたら必ずほめる」を原則としましょう。薬を飲んだらシールを貼って、枚数が集まればご褒美をあげるなどの動機づけも有効です。
・薬をなぜ飲むのか繰り返し繰り返し説明しましょう。お母さんの真剣な表情から、いつかはわかってくれます。

 薬剤師の先生が子どもをよ〜く観察し、薬の吐き出し方でなぜ飲めないのか分析し対策を立てる方法を提案しています;

吐き出し方による傾向と対策

吐き出し方 口の端からダラダラ出してくる 口からプーッまたはペッと吐き出す 一度飲み込んでからオエッと吐き出す
傾向 液体をゴックンと飲み込めないために、口の橋から出てきてしまう とにかく薬が嫌いで飲みたくない 苦味が残っているなどで気持ちが悪くなって吐いてしまう
対策 小麦粉、粉末クリーム、きな粉などを少量混ぜて、団子にして食べさせる なぜ嫌いになったかを確かめ、対策を考える(以前に嫌な思いをして嫌いになったケースが多い) 苦味が口に残らないように、ゼリーやオブラートで包んで飲ませる。また、後味を残さないように飴やチョコレートを舐めさせる。

(三重県亀山市「スズラン調剤薬局」の上荷裕広氏による)

Q. クラリスやジスロマックの苦味をごまかす方法はありますか?

 いろんな裏技があります(苦い薬共通)。

(その1)甘い味の飲み物と一緒に飲ませる。

例:アイスクリーム、チョコレート/パンに塗るチョコクリーム、プリン、ジャム、単シロップなど。乳児期以降なら牛乳、コーヒー牛乳もお勧めです。
※ 「甘いものはクセになるのであげたくない」というお母さんには、バナナがお勧め。つぶして柔らかくしたバナナに薬を挟みこむようにしてスプーンですくって食べさせてみてください。他にはのりの佃煮、ふりかけ、インスタント味噌汁やスープを濃いめに作ったもの、などいかがでしょうか。
ウーロン茶麦茶とまぜると味が無くなって飲みやすくなります(山田真先生)

ジスロマック小児用細粒を飲むときの注意事項
 この薬は元々のにが味をごまかすためにコーティングしてあるので、水または牛乳などの中性飲料で速やかに服用するのがベター。酸性飲料(酸っぱい味:オレンジジュース、乳酸菌飲料、スポーツ飲料など)で服用したり、嚙んで服用したり、つぶしたりした場合はせっかくのコーティングがとれて苦味が出るので避けましょう。

(その2)服薬補助ゼリー(商品名”おくすり飲めたね”等)を利用する。

 「ゼリーに薬を混ぜ込むのではなく、ゼリーに薬を乗せて、その上からゼリーをかぶせる」のがコツ。
 にがい味にはチョコレート味がベスト。酸味のあるフルーツ味は合いません。
※ 私のお勧めは、漢方薬製造メーカーの小太郎製薬が販売している「チョコゼリー」です。なんたって苦い漢方薬を飲ませるために開発されたシロモノです。作り方がゼリーより簡単でよいと当院スタッフに評判です。

(その3)オブラートを利用する。

 粉薬をオブラートに包んで飲むのですが、そのままでは口の中にくっついてしまいます。表面を水でぬらしてとろみを出し、ゼリーのように飲み込ませましょう。あるいはオブラートに包んで口を閉じ、水を入れたコップにポトンと落とし、そのままゴクゴク飲ませるのも良し。
 薬の量が多いときは何回かに分けて作った方がのど越しがよく成功率がアップします。

(注意!)酸味は苦味を強調します。

 乳製品やスポーツドリンクを使いたくなるところですが、前述のように苦い薬と酸味のある飲料は合いません!
(例)オレンジジュース、リンゴジュース、スポーツドリンク、ヨーグルトなど

Q. 服用時間設定(食前、食後、食間)は守らないといけませんか?

 薬の種類にもよりますが、一つの目安程度に考えましょう。

「1日3回、食後に内服」という設定は”飲み忘れを防ぐ” "胃が荒れるのを防ぐ"という目的がありますが、医学的には下記のような理由もあります;

① 薬の代謝・動態より

(例1)胃薬(食前・食間)・・・ 直接胃粘膜に作用するので胃内容物がないときの方が効きます。食後服用では食物中の蛋白と結合して効果が弱くなる可能性があります。
(例2)乳酸菌製剤(食後)・・・ ビオフェルミンやラックBなどは胃酸により失活するので胃酸が薄まる食後の投与が好ましいとされています。なお、酪酸菌製剤であるミヤBMは酸性環境でも失活しない(有芽胞菌なので)ため、食事と関係なく服用可能です。

② 効果発現時間を考慮

(例1)鎮吐剤(食前)・・・ ナウゼリンなどは消化管の運動を促進して胃内容物を速く小腸に送る作用があり、食前内服の方が効果が期待できます。

③ 副作用防止目的

(例1)非ステロイド系解熱鎮痛剤(食後)・・・ ロキソニン、ボルタレンなど胃が荒れやすい薬剤は、胃内容物の存在により薬剤が直接胃粘膜に接触しにくくなるので消化器障害を防止します。
(例2)漢方薬(食前、食間)・・・ 胃粘膜障害が少なく作用が穏やかとされているため食後に服用する必要はありません。また、独特な苦味やにおいにより食物と一緒に服用すると悪心を起こすことがあります。

(院長のつぶやき)漢方薬でも「麻黄」という生薬が入ったエキス剤は体力がない人では胃がもたれることがあります。この場合は他の薬に変えたり、軽ければ食後内服に時間をずらすことで対応します。
 また、真面目なお母さんは「”食後”と書いてあるから、食欲がなくて食べられないときは飲んではいけないと思い込んで薬を全く与えなかった」という笑えない話も経験しています。子どもの風邪薬の関してはより柔軟に「飲めるときが服用のタイミング」くらいに考えましょう。

Q. 1日3回の薬は、最低何時間飲む間隔をあければよいですか?

 一般に、4〜6時間あければ問題ありません。

 それ以上間隔を短くすると、効果が重なって効き過ぎてしまう可能性があります(特に解熱剤などは注意!)。
 「1日2回」という設定の薬は、最低8時間あけるようにしましょう。

Q. お腹がいっぱいの時は薬を飲んでくれません。食前ではダメ?

 子どもに処方される一般の風邪薬は、食前に飲んでも問題ありません。

 風邪を引いた乳幼児は、食欲がなく食事をしなかったり、哺乳後すぐに眠ってしまうことも多いのがふつうです。食後にしか飲めない薬は限られているので、このような場合は食前でもかまいません。
 前項に記載したように、整腸剤(乳酸菌製剤)は食後の方が効果が期待できます。

Q. 薬を飲んだ後に吐いたらどうすればよいですか?

 30分以内ならもう一度飲ませましょう。

 飲んだ薬は胃の中で溶けますが吸収はされません。胃を通り過ぎて小腸に行って初めて吸収されます。食べたり飲んだりしたものが小腸にたどり着くまで、30分程度かかるとされています。

Q. 解熱剤の坐薬を入れた後にウンチをしてしまったら?

 坐薬は挿入後10分程度で吸収がはじまりますので、それ以内なら30分様子を見た後に再挿入、それ以降なら必要ありません。

 アンヒバ坐薬は肛門に挿入後30分以内に解熱効果が発揮されます。挿入直後にそのままの形で出てきたときは再挿入してください。数分〜10分以内の場合は、30分程度様子を見て熱が下がる気配がないなら再度挿入しましょう。
※ アンヒバ坐薬が挿入後3分で出てきてしまったときでも、全量吸収された場合の血中濃度の4割程度まで上昇したという報告があります。
解熱剤の効果持続時間;アセトアミノフェン(商品名:アンヒバ坐薬)では、投薬後30分で効果が現れ始め、投薬後2〜4時間で最大の効果を呈し、投薬後7時間で元の体温に戻ります。

 薬剤師さんが考案した<失敗しらずの坐薬の挿入法

① 坐薬の先端を、肛門内へ挿入しやすいよう手で温めたり水で濡らしたりして柔らかくする。
② 子どもの両足を持ち上げて、肛門へ挿入する。この際、以下に直腸の奥に坐薬を押し込むかがポイント。指の第二関節くらいまで入れて10秒間ほど指を抜かずに止めておく。指を挿入するのに抵抗があれば、坐薬挿入後肛門のしわを何度ももんで奥に押し込み、10秒間ほど指やティッシュで肛門を押さえる。
③ 手を離して肛門を確認する。肛門の奥に坐薬の末端が見えているようだと途中排出しやすいので再度押し込む。
④ 挿入後すぐ動いたりすると出やすいので、保護者は足や腕で子どもの股間を押さえながら5分間ほど抱っこする。
⑤ その後、オムツや下着の股間部分を脇から除いて坐薬が出ていないことを再確認して終了。

(東京都中央区「チトセ薬局」の田中嘉一氏による)

(院長のつぶやき)「肛門に指の第二関節まで入れて10秒間」は一般の方には無理では・・・。

他の坐薬の場合
ナウゼリン坐薬:効果発現までに約1時間かかるので、挿入後1時間以内に形が残った状態で排出された場合は再挿入を考えましょう。
ダイアップ坐薬:有効血中濃度に達するまでに要する時間は15〜30分程度。挿入後30分以内に排出された場合を除き再挿入は不要です。なお、ダイアップ坐薬と解熱剤を両方使用したいときは、ダイアップを先に入れ、その30分後にアンヒバ坐薬を使用しましょう(同時に入れるとダイアップの効果が弱くなります)。

※ ちょっと変わった意見(山田真先生);「便と一緒に出したのは子どもが薬を拒否する態度を表明したんだ」くらいに考えて、それ以上は坐薬を入れるのはやめましょう。くすりを吐いてしまった場合も同じように考えましょう。

(関連質問)アンヒバ坐薬が「1回1/2個使用」で処方されたのですが、残りの1/2個は後で使ってもいいですか?

 細菌汚染などのリスクを考えると基本的には破棄すべきですが・・・1日以内なら冷蔵庫保存を条件に使用しても問題ないでしょう。

解熱剤の意味は?
 解熱剤は病気を治す薬ではありません。「熱を下げることによりつらさを和らげる」薬です。ヒトの体は病原体の侵入に対して熱を上げることにより退治しようとします(高熱殺菌のイメージ)が、自分もつらくなり体力を消耗します。その際に”休憩を入れる”のが解熱剤と考えてください。熱が下がると体が楽になり食事が摂れて熟睡できますね。

Q. 間違って兄の解熱剤を飲ませてしまいました。どうすればよいですか?

アセトアミノフェン(商品名:アンヒバ坐薬、カロナール、コカール)は平熱より下げることはありませんので、少し量が多いくらいでは心配いりません。

 昔使っていたポンタールシロップボルタレン坐薬は強力で、通常量を使っていても熱が下がりすぎて救急外来を受診する患者さんをたまに経験しましたが、現在はインフルエンザ脳症の重症化因子と考えられており、小児科医は使わないようになりました。
 小児科で処方する解熱剤はふつうアセトアミノフェンのみです(この薬にアレルギー反応がある場合のみイブプロフェンが使われます)。

Q. 「細粒」と「ドライシロップ」は何が違うのですか?

「細粒」はそのまま服用し、「ドライシロップ」はそのままでも服用可能、水に溶かしても服用可能な剤型です。

 「細粒」を水に溶かしてから服用するとコーティングが溶けて苦味が出たり、含量が低下したりする可能性があります。

Q. 錠剤やカプセルは何歳から飲めますか?

 個人差がありますが、錠剤は小さいものなら5歳頃から、カプセルは小さいものなら7歳頃からが目安です。

小児用の錠剤・カプセル剤が用意されているくすり
・抗菌薬:クラリス、ジスロマック、バクシダール
・抗アレルギー剤:キプレスチュアブル
・咳止め:フスタゾール
・抗てんかん薬:ラミクタール

Q. 薬をお茶で飲んではいけませんか?

 基本は水・湯冷ましです。

 水が適している理由は、飲食物と薬の相互作用や配合変化の問題を取り除く必要があるためです。
 「お茶」と薬の相互作用で問題となるのは「タンニン」と「カフェイン」です。

① タンニン

 昔は「鉄剤とお茶を一緒に飲むと効果が落ちる」とされてきましたが、現在は問題ないことがわかっています。ただし、濃いお茶で鉄剤を飲むと胃がもたれることがあり避けた方が無難でしょう。

② カフェイン

 気管支拡張剤であるテオフィリン(製品名:テオドール、テオロングなど)と併用すると、中枢神経興奮作用が増強され、頭痛などが起きる可能性があります。

(院長のつぶやき)喘息発作の際にテオドールを処方すると、お茶とは関係なく、興奮する患者さんが希に出てきます。「ゼーゼーはよくなったけど、一晩中ハイテンションで眠れなかった」と苦情を訴える方が年に一人程度いらっしゃいます。
 なお、テオフィリンという薬の起源はコーヒーのカフェインです。

他に注意すべき飲み物
牛乳:ニューキノロン系抗菌薬の一部、ビスホスホネート系骨吸収抑制剤→消化管からの吸収が低下する可能性。胃で溶けず腸で溶けるようにコーティングされた腸溶性製剤(セフェム系抗菌薬など)も効果が低下する可能性有り。
グレープフルーツジュース:成分のフラノクマリン酸は薬物代謝酵素(CYP3A4)の阻害物質なので、この代謝酵素が働くタイプの薬剤の効果を増強する可能性があります。
酸味のあるジュース:オレンジジュースやスポーツドリンクなどの酸性飲料は、ドライシロップ製剤のコーティングをはがし苦味が増す原因となります。酸味のあるおくすりゼリーも同様です。

Q. 薬と混ぜるとよくない食品を教えてください。

 当院でよく処方する薬と合わない食品を表にしました;


避ける食品 理由
アドソルビン

オレンジ、リンゴ

苦くなる

クラリス

オレンジ、リンゴ、乳酸菌飲料、グレープフルーツ、スポーツ飲料、ヨーグルト

苦くなる

ジスロマック オレンジ、リンゴ、スポーツ飲料、ヨーグルト 苦くなる
タミフル リンゴ、乳酸菌飲料

苦くなる

ムコダイン オレンジ、乳酸菌飲料

酸味が強くなる

メイアクト オレンジ

苦くなる

ユナシン

オレンジ、リンゴ、乳酸菌飲料、スポーツ飲料、ヨーグルト
苦くなる
リカマイシン オレンジ、リンゴ、乳酸菌飲料、スポーツ飲料、ヨーグルト
苦くなる

Q. くすりの賞味期限(有効期限・使用期限)はどのくらいですか?

 一般に「製造後3年」とされています(ただし未開封の場合)。

 当院では以下のように説明しています;

処方された薬の使用期限>(原則として飲み残しは破棄すべし)
・錠剤は1年(花粉症など、診断・症状が決まっている場合に限る)
・粉薬は半年(ただし湿気て固まった際はダメ)
・風邪薬のシロップはその時の風邪だけに使用し、保存して次の風邪の時使用するのはダメ

Q. 薬の保管方法を教えてください。

 剤型により異なります。保管の際に問題となるのは温度(成分の分解・変質)・湿気(カビ・変質)・(分解)です。剤型別に整理すると・・・

錠剤・カプセル剤・散剤(分包品):室温(1〜30℃)保存。夏の車の中は40℃以上になることがあるので放置してはいけない。

水剤・シロップ剤:水剤は細菌感染の影響を受けやすいので低温(冷蔵庫)で保存する。凍らせると薬の成分が変わってしまう可能性があるので、冷凍庫は禁。

散剤(薬局で分割包装):室温保存。包装紙は防湿性があまり高くない。直射日光や湿気対策として乾燥剤を入れた缶や密閉容器に入れ、陽の当たらない場所に保管するのが望ましい。冷蔵庫に保存するとかえって湿気を帯びやすくなるので勧められない。

軟膏:室温保存。高温では溶けて内部で偏りが出てしまう。

坐薬:冷蔵庫保存。体温で溶ける坐薬は30℃で溶けるよう作られています。一度溶けてしまった坐薬の使用は避けましょう。

スプレー・ローション:アルコールやガスを含むものが多く、火気や高温を避けましょう。

点眼薬:開封前は室温保存、開封後は細菌汚染の危険を考慮し、直射日光を避けて涼しいところに保管する。リザベン点眼液以外は冷蔵庫も可。

Q. 飲み忘れを防止するコツを教えてください。

 生活習慣に組み込みましょう。

 忙しいとついつい飲ませるのを忘れがち。まず、生活習慣を規則正しく整え、歯磨きの時に薬を飲ませるなど、工夫をしましょう。

Q. 薬を飲んだ後のオシッコが赤くなりました。大丈夫?

セフゾン

 という抗生物質と鉄添加製品(粉ミルク、経腸栄養剤)を併用すると、便(や尿)が赤味〜ピンク色を帯びることがあります。体に害はなく、効果にも大きな影響はありません(10〜20%低下するという報告有り)が、気になるようでしたら鉄剤(インクレミン)は3時間以上間隔を開けて服用しましょう。

【アスベリン】

 よく使われる咳止めです。飲むと尿が赤くなることがあります。こちらも副作用というわけではないので服用を続けてかまいません。

Q. 薬で便の色が変わることがありますか?

 あります。

 便の色は健康のバロメーターであり、食生活でも変化を認めます。乳児ではしばしば胆汁色素のために緑色便がみられたり、ロタウイルス性胃腸炎では白色便になることがあります。また、肉食が多ければ黒褐色で臭いがきつくなり、植物性の食べ物が多いと黄色便になります。
 薬の影響で便の色が変化する例を挙げます;

色調

商品名

セレニカR、デパケンR
黄色 サントニン
黄褐色

アローゼン、アジャストA、大黄

黒色 インクレミン、フェロミア、フェロ・グラデュメット、スローフィー
赤褐色 セフゾン
橙赤色 リファジン、リマクタン

Q. 鼻水止めやアレルギーの薬で"けいれん"が起きやすくなるって本当?

 一部、本当です。

 抗ヒスタミン作用のある薬(鼻水止め、一部の抗アレルギー薬)はけいれんを起こしやすくしたり、けいれん重積を起こすという報告があります。

 脳の中でヒスタミンという物質はけいれん・てんかんの抑制に関係しており、これをブロックする抗ヒスタミン薬はこの抑制を解除することになるのです。また鼻水止めは抗ヒスタミン作用の他にも抗コリン作用などによりけいれんを起こしやすくする作用があります。近年、脳へ移行しにくい抗ヒスタミン剤が開発され、これらの薬は動物実験でけいれんに関与しないことがわかってきました。

 個別の薬剤に関する情報を列挙します;

・市販の風邪薬(カルノキサミンジメチンデンなど)・・・ 熱性けいれんを増加させる。
ザジテン(抗アレルギー薬)・・・ 熱性けいれんの持続時間が長くなる。動物実験でもてんかん発症を促進するという報告有り。
セルテクト(抗アレルギー薬)・・・ ザジテンとともに、West症候群というてんかんを発症した報告例有り。

(院長のつぶやき)小児科専門医は熱性けいれん経験者にはザジテン、ペリアクチンなど抗ヒスタミン薬を処方しなくなってきています。このような情報は小児科専門医にしか認知されていませんので、内科小児科・耳鼻科などでは上記薬剤が処方され続けています。
 正式に添付文書に記載されているのはザジテンのみ(ペリアクチン、セルテクトは未記載)。抜粋しますと;
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること):てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させることがある。〕

Q. 目薬を使うときの注意点を教えてください。

・点眼時に内側の目尻を3分程度圧迫 ・・・目から鼻へ薬が流れて全身へ移行するのを防ぎます。
・点眼は1滴で十分 ・・・まぶたの中にたまる量は1滴分のみ、あふれて皮膚に接触するとかぶれる可能性が発生します。
・複数の点眼液を併用する際は、最低5分あけましょう。
・点眼を嫌がり目を開けてくれない幼児には、頭を固定した状態で目頭付近に点眼します。まばたきすると薬が目の中へ入っていきます。また、下まぶたを反転させた状態で点眼する方法もあります。
・泣いているときに点眼しても涙で流れてしまいますので避けてください。
などなど。

なお、目薬がしみる頻度は・・・
・抗菌薬一般:0.1%
・インタール点眼薬:3.1%
・リボスチン点眼薬:1.9%
・リンデロン点眼薬:子どもの多くが痛みを訴えます
いずれも一過性です。薬自身の性質と、pH(酸性・アルカリ性)が関係するようです。

Q. 軟膏の塗り方の注意点を教えてください。

基本は「こすらず、薄く」

 ついつい力を入れてすり込んでしまいがちですが、かえって皮膚に刺激を与えることになりかねません。軟膏なら少しテカテカする程度、クリームなら白い色が消える程度が適当です。
 ただし例外あり。筋肉痛などに処方される「非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)」はすり込むように塗った方が効果的です。また、火傷やケガの傷に対して保護剤として亜鉛華軟膏などの外用剤を用いる場合には少し厚めに塗った方がよいです。

具体的にはどれくらいの量をどれくらいの範囲に塗るの?

 軟膏チューブ(5g)から5mm出すと、直径5cmくらいの円の範囲に塗るのが目安です。
 また、人差し指の先から第一関節までチューブから出した量は手のひら2枚分になるという目安もあります(Finger Tip Unit, FTU)。

★ アトピー性皮膚炎患者に軟膏を全身に塗る場合、どれくらい必要?
 大人では1回約12.5g、1日2回塗ると約25g(軟膏チューブ5本!)となります。

重ね塗りの”塗る順番”は皮膚科医により意見が分かれる?

 ステロイド剤と保湿剤など、同じ部位に複数の軟膏が処方された場合、どちらを先に塗るか悩みます。
 実は皮膚科医の間でも意見が分かれるそうです(困りますねえ)。
 ステロイドを先に塗ることでしっかり吸収させようとする医師が半分で、他は保湿剤を先にする、時間差をつけて塗るなどの意見もあります。
 私は”強さが弱いモノから塗る、つまりステロイド軟膏は最後”派です。理由は「ステロイド軟膏を先に塗った部位に保湿剤を重ねて塗ることにより、ステロイド剤が患部以外の健康皮膚に広がってしまい副作用の原因になりかねない」からです。ステロイド軟膏が複数種類処方されたときは、”弱い→強い”順番が基本です。

軟膏とクリームはどう使い分けますか?

 ”軟膏”は乾燥〜ジクジク病変まで広く適用可能です。一方の”クリーム”はジクジク病変には合わないとされています。刺激感が出てジンジン痛むことがあるのです。

二種類以上の軟膏が混合された外用剤の使用期限はどれくらい?

 よくステロイド軟膏は他の軟膏(保湿剤など)で薄めて容器で処方されることがあります。その際は、基本的に「使用期限は3ヶ月」と考えてください。容器に処方された日付を書いておくと確認しやすいですね。また、軟膏が分離していたら使わないで破棄してください。

軟膏を塗った上から化粧をしてもよいですか?

 化粧は皮膚に刺激を与え、薬物との化学反応の可能性も考えられるため基本的には好ましくありません。患部を外して口紅、アイライン程度にとどめましょう。

<くすり関連記事>

 くすりに関する記事を拾い読み。

■ 薬:子どもに無理せず飲ませて 「食後」こだわらず、タイミング見て、意味説明も

(毎日新聞 2012年2月12日)
 子どもがきちんと薬を飲んでくれない……と悩む親は多いのでは。飲みやすくなる方法を考えた大学の研究者や子育て中の薬剤師に、どんな工夫をすればいいのかを尋ねた。【鈴木敦子】
 「こども×くすり×デザイン実行委員会」(福岡市)は、08年に九州大大学院の平井康之准教授(デザイン工学)とNPO「こどもとくすり」(福岡市)の中村守男代表(34)ら4人が結成した。子どもがストレスを感じずに服薬する方法や、薬の重要性を大人が子どもに伝える方法を考えつつ、薬のデザインも研究している。

 平井准教授の研究室に所属する大学院生が、07年8月に育児情報サイトを通して行った調査では、0~8歳の子どもの母親42人のうち18人(43%)が「子どもは薬を正しく飲めていない」と回答した。うまく飲めない理由(複数回答)は「嫌がるため」が最多(16人)で、理由(複数回答)は全員が「薬の味」を挙げた。苦さに加え、小児薬特有の甘さや香りを嫌う声があったという。「気持ちの問題」も10人に上り、口に入れてのみ込むまでの心理的な障壁が高いことも分かった。
 子どもの心理的・身体的な拒否感をなくすにはどうしたらよいのか。大切なのは、遊びの要素を加えるなどの「動機付け」だという。その一つが形の面白さだ。実行委は▽魚のカプセル▽ゾウの鼻の吸入器▽動物や果物の経皮吸収型シート(気管支拡張剤など)▽カメのばんそうこう--などを考案、モデルをつくった。
 製薬会社に見てもらったところ、「魚のカプセルはのどに引っかかるのでは」「コストが掛かる」との意見があり、現実的には早期の実用化は難しい。平井准教授は「子どもが薬を飲まないのは気分の問題が大きい。意識の転換も考えてもらえれば」と話す。
 苦い薬をゼリーで包んだり、アイスクリームに混ぜ込んだりする方法もある。だが薬によっては苦みが増すものもあり、素人には判断が難しい。平井研究室では、味覚を感じやすい部分を避けて飲めるようなストローの開発も提案している。
    ×  ×  ×
 中村代表は薬剤師で2児の父。育児を経験し、衝撃を受けた。すんなり薬を飲んでくれるものと思っていたのに、長男(7)が小さいとき、薬を嫌がって大泣きする姿を見て、今までの仕事を反省したという。
 例えば「1日3回、食後に飲ませてください」という保護者への言葉掛け。何の気なしに使っていたが、中村さんの子どもたちは離乳期の食事にムラがあり、1日2回のことも。また満腹時は口を開こうとしなかった。体力が低下していれば3食取れるかも怪しいし、授乳後は満腹で薬を吐いてしまう乳児もいる。
 「食後にこだわる理由はない。1日3回の薬なら約4時間、2回なら約8時間の間隔で大丈夫。それを伝えるだけで、親は気が楽になる」。中村さんはいう。
 「極論を言えば、鼻水を抑える薬などは無理に飲ませなくてもいい。時間はかかるけど自然に治る症状は多い。親が必死の形相で飲ませようとすると子どもはますます嫌がってしまう」。中村さんの助言に、ある女児(1)の母親からは「無理に飲ませなくなった途端、子どもが飲むようになった」と喜ばれたという。
 中村さんが自分の子どもで成功した方法は簡単なものだ。まず風呂上がりや寝起きなど、のどが渇いていたり、ぼんやりしている時に飲ませた。言葉が話せるようになると、「テレビを見終わったら飲んでみる?」などと飲むタイミングを本人に選ばせた。同じ効果で液体・粉末・錠剤の種類がある薬なら、自分で選ばせるようにした。
 また効果を理解させることも重要だ。最近は長女(5)には、「これはバイ菌をやっつける薬だよ」と説明すると、苦い粉薬でも我慢して飲むようになったという。

 ◇薬に親しむ絵本、製薬会社が作製
 塩野義製薬(大阪市)は、ライオンの子どもが薬を飲んで元気になるストーリーの絵本を作製、07年から病院などで配布してきた。市場調査から、子どもが薬を飲まなくて親が苦労している様子が明らかで、「薬に対する抵抗をなくしたかった」からだ。自社製品の抗生物質のイメージキャラクター「モックスくん」を使って、0歳児用▽1~3歳児用▽4、5歳児用を完成させた。

 苦い薬を包み込むゼリーも販売されているが、子どもの飲みやすさに着目した薬の開発はなかなか難しい。少子高齢化で小児より成人向けの薬の開発が優先されている製薬業界の事情もあるという。

■ ジェネリック(2011年8月:読売新聞)

(1)効き目は同等 安価な薬

  埼玉県上尾市の男性(66)は1999年に脳梗塞を患って以来、脳の血流を良くする薬など5種類の薬を飲み続けている。4~5年前、かかりつけ病院の院外薬局で薬剤師に「後発(ジェネリック)医薬品を使ってみませんか」と声をかけられた。
 ジェネリックは、新薬の有効成分の特許(20~25年)が切れた後に発売される同じ有効成分の薬だ。多くの開発費がかかる先発品に比べ、値段が2~7割程度と安いのが特徴だ。
 男性が医師から出された処方箋には、ジェネリックに変更しても良いとの医師の署名があった。ジェネリックの普及を図るために2006年に始まった制度で、署名があれば、処方箋には先発薬(新薬)が書かれていても、患者と薬剤師が相談の上、ジェネリックに切り替えてもよい。
 ちなみに08年からは、医師が「変更不可」と指示した場合以外は変更できる制度に、さらに規制緩和が進んでいる。
 男性は「薬代が少しでも安くなるなら」と、薬剤師から説明を聞いた。
 5種類の薬のうち、3種類でジェネリックが発売されていた。うち、脳血流を良くする薬は価格差があまりなかったため先発薬を使い続けることにし、血の塊をできにくくする薬と、胃酸を抑える薬をジェネリックに変更することにした。
 血の塊をできにくくする薬は、現在の薬価で1日当たり124円なのが同15円に、胃酸を抑える薬は同66円が同17円とかなり安い。1日当たりの合計差額は158円で、1か月の自己負担(3割の場合)に換算すると、1500円近く安い計算だ。男性は「家計が助かるだけでなく、ささやかでも国の医療費削減につながるのがうれしい」と話す。
 日本国内で出荷された医療用医薬品に占めるジェネリックの割合(数量)は徐々に増えているものの2割程度で、7割の米国など、かなり浸透している国と比べるとまだまだ低い。国は医療費節減の観点から、12年度までに3割以上にする目標を掲げている。
 日本ジェネリック医薬品学会代表理事の武藤正樹さん(国際医療福祉大教授)は「普及がなかなか進まない背景には『ジェネリックは何となく嫌』との根拠のない拒否感が根強い。経済性の高さを始めとしたジェネリックの利点をもっと社会に広める必要がある」と話す。

ジェネリック医薬品
 薬の有効成分を示す一般名(ジェネリックネーム)で処方されることが多いので、こう呼ばれる。新薬は承認に20種類以上の試験が必要なのに対し、有効成分の溶け方や血液中の濃度など三つの試験でよく、開発費が抑えられる。薬を固めたり覆ったりする添加剤は異なることが多い。国は「効き目や安全性は先発薬と同等(ほぼ同じ)」としている。

(2)ネットで検索 差額計算

 自分の飲んでいる薬には後発(ジェネリック)医薬品があるのかどうか、値段はいくらなのかなどを知るにはどうしたらよいか。
 埼玉県上尾市の男性(66)は、院外処方の薬局の薬剤師からジェネリックの情報を教えてもらった。医師からもらった処方箋の「ジェネリックへの変更不可」欄に医師の署名がない限り、薬剤師と相談の上、変更することができる。「変更不可」に署名がある場合や薬が院内処方の場合は、まず医師に理由などを尋ねたい。
 インターネットのホームページで自分で調べる方法もある。
 日本ジェネリック医薬品学会が運営する「かんじゃさんの薬箱」は、薬の名前を入力するとジェネリックの名前やメーカー、値段が一覧表で示される。よく使われる薬では20~30社程度からジェネリックが発売されており、ジェネリック間でも値段に違いがある。
 検索は薬の商品名でも一般名でもできる。ジェネリック処方に積極的な医療機関や薬局もわかる。
 メーカーで作る日本ジェネリック製薬協会の「かんたん差額計算」は、先発薬の名前と服用量、処方日数を入れて検索ボタンを押せば、1日当たりの差額が分かる。ジェネリックが何種類もある場合は、差額は範囲で示される。
 中小企業の従業員らが加入する「協会けんぽ」は2009年度から、使っている薬をジェネリックに変更した場合の1か月当たりの差額を通知する取り組みを始めた。過去2年間で、薬代の多い約200万人に通知し、約50万人が切り替えた。
 1人当たり年平均1万7000円、自己負担(3割)でみると年5000円軽くなった。全体では1年当たり85億円が浮いた計算になるという。
 差額通知は大企業の健康保険組合の6割、国保は42市町村(10年5月時点)が実施している。
 ジェネリックの発売時の薬価は原則、先発薬の7割と決まっている。2年ごとに先発薬、ジェネリックとも個別に薬価が見直されるためまれに先発薬より高いジェネリックもある。
 薬局での情報提供料(3割負担で30円)やジェネリック調剤料(同6円)など、ジェネリックに替えることで増える負担も一部ある
 東京医科歯科大教授の川渕孝一さん(医療経済学)は「差額が小さく、処方期間が短い場合は、薬代が安くなった分が加算で打ち消されることもあるので薬局などでよく相談してほしい」とアドバイスする。

(3)先発薬にはない工夫も

 後発(ジェネリック)医薬品の中には、先発薬にはない長所を盛り込んだ薬もある。
 水戸市の無職永井和夫さん(83)は2009年10月、胃がんで胃を3分の1切除する手術を受けた後、理由は不明だが食べ物をうまくのみ込めなくなった。
 栄養は、鼻から胃に通したチューブを通じて、栄養剤を流し込んだ。薬も直接飲めないため、水に溶かしてチューブで入れていた。ところが、便通を良くするためにチューブの患者に使われることの多い薬(酸化マグネシウム)は、粉末が大きめで水に溶けにくく、チューブが詰まりやすい問題があった。
 「溶けやすいジェネリックに替えてはいかがですか」。永井さんはかかりつけのフローラ薬局河和田店(同市)の薬剤師に勧められた。酸化マグネシウムのジェネリックには、錠剤を水に入れるとすぐに崩れて細かい粒になり、チューブが詰まりにくいよう改良されたものがある。薬代も半額(6円)だ。説明を受け、永井さんは提案を受け入れた。
 ジェネリックはチューブに詰まることもなくスムーズに摂取できた。3か月ほどでチューブがいらなくなった後は、薬を水に溶かして口から飲んでいる。「チューブでの栄養補給を始めたころは不安だったが、溶けやすい薬に替えて安心できた」と振り返る。
 ジェネリックは、効き目の有効成分は先発薬と同じだが、薬の味や形は変えられる。ジェネリックメーカーでは、先発薬にはない工夫をこらした薬を『付加価値型ジェネリック』などと呼び、積極的に開発する企業も増えている。
 苦みがある抗生物質(クラリスロマイシン)に子どもでも飲みやすいよう甘味をつけたり、高血圧薬の錠剤を、嚥下機能の衰えた高齢者向けに口の中で溶けるフィルム状にしたり、といった例がある。
 このほか、容器から1回分ずつカップで量って飲む薬を、1回分ごとに個別包装して利便性を高めたり、他の薬との誤使用を防止するため特徴的な色や形に変えたり、容器や包装に使用上の注意を目立つように表示したりなどの工夫が行われている。
 付加価値型ジェネリックを積極的に採用している同薬局代表で東京薬科大客員教授の篠原久仁子さんは「経済的負担の軽減だけでなく、医療の質を向上させるという視点も重要」と話す。

(4)薬価低く出回らぬ物も

 東日本大震災で後発(ジェネリック)医薬品は、高血圧薬や胃腸薬、消毒薬など10トンが被災地に送られ、医薬品不足の解消に一役買った。一方で課題も見えた。
 仙台市青葉区の大学研究員の女性(32)の長女(1)は、生まれつき甲状腺の働きが弱い先天性甲状腺機能低下症で、生後すぐからホルモン剤を使っていた。ところが、同剤で国内の98%を占める薬(チラーヂンS)を作っている「あすか製薬」の工場(福島県いわき市)が大震災で被災し、生産が止まった。
 この薬が必要な人は全国で約60万人おり、症状の重い人が長期間服用できないと命にかかわる。薬の特許はすでに切れているが、国内企業のジェネリックはない。1錠が約10円と安く、利益が小さいことがジェネリックが発売されない主な理由とみられる。
 あすか製薬は、長期処方の自粛を求めるなどの対策を取りつつ、工場の復旧を急いだが、震災前の生産体制に戻ったのは7月末。その間、同成分の薬をドイツから緊急輸入し、供給が途絶えるのを回避した。
 この女性は、手持ちの薬が約2か月分あったが「なくなったら大変」と、自分でも海外から個人輸入した。結局は使わずに済んだが、「国内で複数の会社が分散して作る体制になってほしい」と願う。だが、他メーカーが開発に乗り出す動きはない。
 ジェネリックの商品名を巡る混乱もあった。
 宮城県薬剤師会専務理事の広重憲生さんは「被災地の病院や救護所では、患者が日頃使っているジェネリックの商品名を医師に伝えても、耳慣れない商品名で、どんな薬なのかの確認に時間がかかり、診療が滞る場面が度々あった」と話す。
 薬価が高く需要が見込める先発薬には、20~30社ものジェネリックが市場に出回る。たとえば2002年に特許が切れた高脂血症治療薬「メバロチン」(第一三共)には、メバリリン、ブラバチン、アルセチンなど、様々な商品名のジェネリックが発売されている。
 「紛らわしい」との指摘から、05年以降に承認されたジェネリックは、有効成分名(一般名)とメーカー名の組み合わせで表記されるようになったが、それ以前に承認された薬はまちまちの商品名のままが多い。
 「災害時などにも円滑に使えるよう、05年より前に承認されたジェネリックも成分名表記に統一してほしい」と広重さんは訴える。

(5)高額な薬ほど節減効果(2011年9月5日 読売新聞)

  バイオ医薬品と呼ばれる高額な薬が近年相次いで登場し、患者の経済的負担が問題になるなかで、その後発(ジェネリック)医薬品であるバイオシミラーに注目が集まっている。
 「年間55万円も安くなる」。日大薬学部教授の亀井美和子さんは、「低身長症」の治療薬として認可されている成長ホルモン剤を、2009年に発売された後発品に替えた場合の年間薬剤費を試算した。先発薬の費用は総額約197万円なのに対し、後発品は約142万円だった。
 バイオ医薬品は、複雑な構造を持つ体内のホルモンやたんぱく質などを人工的に合成したものだ。抗がん剤や関節リウマチ治療薬、ホルモン剤など、幅広く使われている。開発、製造に手間がかかり、価格が高いのが難点だ。国立医薬品食品衛生研究所研究員の山口照英さんは「もともと高額なので、2~3割安いだけで節減効果が高い」と話す。 
 国内で現在承認されているバイオシミラーは、成長ホルモン剤と、10年に発売された腎性貧血の治療薬の2種類だ。難病などの助成制度がある病気では元々患者負担が軽減されているが、薬の適用が広がったり、新たな後発品が登場したりすれば、直接、患者の負担軽減につながるケースも増えるとみられる。
 山口さんは「バイオ医薬品は1990年代以降に作られたものが多く、これから続々と特許切れを迎える。バイオシミラーは今後増えるだろう」と予想する。
 抗がん剤治療の際、低下した白血球を増やす目的で広く使われている薬について、複数のメーカーが開発中で、早ければ来年中に承認を申請する見通しだ。抗がん剤や関節リウマチ治療薬についても、開発に取り組む動きがある。
 亀井さんは「国は、浮いた財源を新薬の開発支援や小児医療の充実などに回せば、さらに患者にとってプラスとなる」と提言する。

バイオシミラー
 一般のジェネリックは先発品と有効成分が同じだが、バイオ医薬品の場合、技術的理由から全く同じではないため、「似ている」を意味する英語で「シミラー」と呼ばれる。開発費が抑えられ、薬価を安くできる基本的な仕組みは同じことから、ジェネリックとほぼ同様に扱われる。

■ 医薬品供給ピンチ、工場被災で緊急輸入も(2011年4月4日 読売新聞)

 東日本大震災で東北地方や北関東の多くの製薬工場も被災し、様々な医薬品の生産が止まっている。代替品がない薬は、海外製品を緊急輸入したり、在庫を有効に使うため長期間分の薬の処方を避けたりすることなどが求められる。
 深刻なのが、甲状腺機能低下症などの治療薬レボチロキシンナトリウム。あすか製薬の「チラーヂンS」が市場の98%を占めるが、福島県いわき市の工場が被災し、生産が停止した。国内30万人の患者が服用しており、薬が途絶えれば命にもかかわるため、全国保険医団体連合会などが先月、国に緊急輸入支援を求めた。
 在庫は1か月弱あるものの、薬の偏在もあり、同連合会には「処方が受けられない」との声もあるという。関連学会は、被災地以外では原則1か月以内の短期の処方を求めている。
 同社は3月25日に工場を再開させたが通常体制には戻っておらず、国の要請を受け海外から緊急輸入される製品の販売を今月中旬にも始める方針だ。
 普通の食事ができない患者に、胃や腸にチューブで栄養注入する時に使う「経腸栄養剤」として最も普及しているアボットジャパンの「エンシュア」は、缶容器工場が被災した。再開は5月下旬になる。保険で使える製品は、ほかに大塚製薬の製品しかなく、厚生労働省は別の缶容器工場の早期確保を求めている。
 中外製薬は、抗てんかん薬でパニック障害などにも使う「リボトリール」やパーキンソン病治療薬「マドパー」などの生産が止まった。当面は在庫でまかなうが、リボトリールが体に合っている患者は代替薬への変更が難しい。マドパーの場合は別の薬に代えられるが、代替品増産では間に合わないとの指摘もある。

東日本大震災で生産停止した薬(一部)
■チラーヂンS(甲状腺ホルモン薬) あすか製薬
 一部生産再開。海外製品を輸入予定
■エンシュア(経腸栄養剤) アボットジャパン
 5月下旬に生産再開。在庫1か月分
■リボトリール(抗てんかん薬) 中外製薬
 当面、在庫でまかなう
■マドパー(パーキンソン病治療薬) 中外製薬
 当面、在庫でまかなう

医の値段 Q 後発薬、どれくらい安い?(2011年4月14日 読売新聞)

Q 後発医薬品(後発薬)は先発医薬品(先発薬)よりどれくらい安いですか?
A 先発薬の半額以下も

 後発薬は、病気に対する効き目を発揮させる成分(有効成分)の種類と分量が先発薬と全く同じ薬です。「ジェネリック医薬品」とも呼ばれます。国は「効き目も安全性も先発薬と同等」としています。
 後発薬は、先発薬の実績があるため、国の承認を得るために製薬会社が行わねばならない試験が先発薬よりもずっと少なく、開発費が抑えられます。それで、値段が安いのです。
 後発薬の最初の薬価は、薬価算定のルールに基づいて国が決めます。
 ある先発薬について初めて後発薬が出る場合、薬価は原則として、先発薬の7割です。ただし、個々の医薬品の薬価は2年に一度改定されますので、将来的にもずっと、先発薬の7割になるわけではありません。
 すでに後発薬がある場合は、先発薬と後発薬の合計数が20を超えるかどうかで、新たに加わる後発薬の薬価の計算方法が変わります。
 20品目以内の場合は、その中で最も低い薬価が新たに加わる後発薬の薬価となります。一方、21品目以上の場合は、最も低い薬価の9割に抑えられます。これは、同じような後発薬が増えすぎて医療現場が混乱するのに歯止めをかけるためです。
 薬価を下げることばかりにも見えますが、飲みやすさの向上など先発薬にはない工夫を加えた場合、「有用性加算」として、薬価を上げる仕組みもあります。
 このように様々なケースがあるので、すべての後発薬について「先発薬より何割安い」とは言えませんが、国は目安として、「3割以上、中には5割以上安くなる場合もある」としています。

Q 後発医薬品への変更 服薬している高血圧の薬を、後発医薬品に変更すると、薬代は安くなりますか。
A 薬のみなら半額以下も

 後発医薬品は先発医薬品と同様の有効成分を含む薬です。先発医薬品の特許は出願後、最長25年で切れ、その後は、ほかの製薬会社が後発医薬品を製造販売できるようになります。
 開発費が抑えられるため、先発医薬品より3割以上、価格が安く、中には半額以下の薬もあります。実際、薬代がどれだけ安くなるか、血管を広げて血圧を下げるカルシウム拮抗薬で比較してみましょう。
 よく使われている先発医薬品「ノルバスク錠5ミリ・グラム」は1錠64・9円。これに対し、同様の有効成分を含む後発医薬品は30種類以上あり、価格も30~50円程度と様々です。最も安い「アムロジピン錠5ミリ・グラム『TCK』」は29・9円。薬代の計算は特別な方法で行われ、ほかに併せて飲んでいる薬がなければ、ノルバスク60円、TCK30円となります。
 薬局では、この薬剤料のほか、薬局に支払う基本料金の「調剤基本料」、処方日数などによって決まる「調剤料」、服用指導料の「薬剤服用歴管理指導料」などを加えた額を支払います。
 これらは先発医薬品も後発医薬品も変わりませんが、後発医薬品には、「後発医薬品調剤加算」20円分などが加わります。
 後発医薬品は、先発医薬品と有効成分が同じでも、品質保持のためなどの添加物が異なるものもあります。横浜市の宮川内科小児科医院院長の宮川政昭さんは、「薬の変更を希望する場合は、価格だけで決めず、主治医に相談してみましょう」と話しています。(利)

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